ティール組織とは?意味と5つの組織モデルや事例をわかりやすく解説
- ティール組織とは
- ティール組織と5つの組織モデル
- レッド(衝動型)組織
- アンバー(順応型)組織
- オレンジ(達成型)組織
- グリーン(多元型)組織
- ティール(進化型)組織
- ティール組織とホラクシー組織
- ティール組織であるための要素
- 進化する目的
- セルフマネジメント
- ホールネス
- ティール組織の成功事例
- ティール組織の日本企業での実現
ティール組織とは、社長や上司が監督や干渉をしなくても、組織の目的実現に向けて、従業員ひとりひとりが主体的に動き、推進できている組織のことを指します。
ティール組織では、組織は従業員全員のものであると考え、ヒエラルキーは存在せずそれぞれが対等な関係であるため、従業員ひとりひとりに意思決定権があります。
また、組織目標を達成するためにできることと、個人の目標達成のためにすべきことが一致しているため、従業員は自主的業務に取り組むことが可能になります。
この記事では、ティール組織の意味や5つの組織モデル、ティール組織とホラクシー組織、ティール組織の要素、ティール組織の成功事例、ティール組織の日本企業での実現について、フレデリック・ラルー氏の本をもとに、分かりやすく解説します。
ティール組織の運用に必要な「情報の透明化」や「人事プロセスの明確化」を実現
ティール組織とは
ティール組織とは、社長や上司が監督や干渉をしなくても、組織の目的実現に向けて、従業員ひとりひとりが主体的に動き、推進できている組織のことを指します。
従来の組織では、管理職が部下を統制する「ヒエラルキー(階層的構造)」によって組織が成り立っていましたが、ティール組織ではヒエラルキーによる管理手法を否定しています。
ティール組織の提唱者であるフレデリック・ラルー氏は、「これまで正解と思われてきた管理手法は問題である可能性がある」と指摘し、目的を実現すべくメンバー全員が自発的に協働する「1つの生命体」として、ティール組織を提唱しました。
▼「主体性」についてさらに詳しく
主体性とは?意味と自主性との違いやある人とない人の特徴や高める方法を解説
ティール組織と5つの組織モデル
書籍「ティール組織」の著者であるフレデリック・ラルー氏は、組織形態について「人類の意識の発達とともに、組織形態も変化している」とし、ティール組織に至るまでの、組織モデルを人類の意識変化の進化過程になぞらえ、「レッド(衝動型)組織」「アンバー(順応型)組織」「オレンジ(達成型)組織」「グリーン(多元型)組織」「ティール(進化型)組織」の5つの色で段階分けをし、解説しています。
(出典)「ティール組織」(著:フレデリック・ラルー、訳:鈴木立哉、解説:嘉村賢州、出版:英治出版)をもとにHRBrainが作成
5つの組織モデル
レッド(衝動型)組織
アンバー(順応型)組織
オレンジ(達成型)組織
グリーン(多元型)組織
ティール(進化型)組織
レッド(衝動型)組織
「レッド(衝動型)組織」とは、組織モデルの中で最も原始的なモデルで、1人の圧倒的な力を持つリーダーによって支配する組織形態であり、組織のメンバーを力と精神的な恐怖でまとめる組織です。
レッド組織では、目の前の利益を得ることを優先し、組織として生存していくことだけに焦点があてられるので、中長期的な目標や継続的な組織運営は視野に入れておらず、衝動的で、1人の力に依存している組織のため、再現性がないという問題があります。
アンバー(順応型)組織
「アンバー(順応型)組織」とは、ヒエラルキーを持つ組織形態のことで、レッド組織の意識が次の段階へと進化した組織です。
アンバー組織には、階級や制度が組み込まれ、明確に決められた役割に従い、役割を全うすることが求められ、メンバーの自発的な行動はありません。
また、組織を構成しているメンバーの上下関係によって秩序が保たれています。
アンバー組織は、トップダウン型の組織で、指示やルール通りに行動することで、安定した組織運営ができるのが特徴ですが、新しい意見やアイデアが生まれにくいため、変化が激しく競争他社の多い社会環境では、状況の変化に付いて行けず対応ができないという問題があります。
▼「トップダウン」についてさらに詳しく
トップダウン型組織とは
オレンジ(達成型)組織
「オレンジ(達成型)組織」とは、アンバー組織で対応できなかった環境の変化に対応するために、「階層的構造(ヒエラルキー)」はあるものの、社会環境の変化に柔軟に対応することができる組織形態で、日本社会で一般的な組織モデルです。
オレンジ組織では、成果を上げるために数値によるマネジメントが重視され、従業員が個々の才能をいかし成果を上げることで、新しいアイディアを生み出し、社会環境の変化に対応していきます。
またオレンジ組織は、ヒエラルキーはあるものの、アンバー組織のような厳格なものではなく、成果を出せば昇格や昇進が可能な合理的な組織です。
しかし、社会環境の変化の中でも成果を上げ、激化する生存競争の中でも勝ち残ることを第一としているため、常に働き続けることを求められ、過重労働が常態化してしまい、「働き方改革」以降の日本社会には適応できなくなってしまっているという問題があります。
グリーン(多元型)組織
「グリーン(多元型)組織」とは、成果を上げ目標達成することを第一としていたオレンジ組織から、従業員がより主体性を持って行動することができるようになった組織形態で、ヒエラルキーは存在するものの、ボトムアップ型の意思決定を行う組織です。
グリーン組織では、組織での決定権はマネジメント側にありますが、従業員の個性や多様性が認められ、互いを尊重し合う組織のため、心理的安全性が担保されやすいのが特徴で、意見を出しやすい環境ではありますが、合意形成に時間がかかるという問題があります。
▼「主体性」についてさらに詳しく
主体性とは?意味と自主性との違いやある人とない人の特徴や高める方法を解説
▼「ボトムアップ」についてさらに詳しく
ボトムアップとは?トップダウンとの違いやメリットとデメリットや意味について簡単に解説
▼「心理的安全性」についてさらに詳しく
心理的安全性とは?高い職場の作り方と取り組み事例をわかりやすく解説
ティール(進化型)組織
「ティール(進化型)組織」とは、組織を「1つの生命体」として捉え、絶対的な権力を持つリーダーは存在せず、組織は社長や株主のものではなく、従業員が組織の使命を果たすために、必要に応じて意志決定を行う組織形態で、独自のルールにもとづいた組織運営が行われるのが特徴です。
ティール組織では、組織は従業員全員のものであると考え、ヒエラルキーは存在せずそれぞれが対等な関係であるため、全ての意思決定に合意を得ることは必要とされず、従業員ひとりひとりに意思決定権があります。
組織目標を達成するためにできることと、個人の目標達成のためにすべきことが一致しているため、従業員は自主的業務に取り組むことが可能になります。
(参考)「ティール組織」(著:フレデリック・ラルー、訳:鈴木立哉、解説:嘉村賢州、出版:英治出版)
ティール組織とホラクシー組織
ホラクラシー組織とは、従来のヒエラルキー型やピラミッド型の組織とは異なり、「役割(ロール)」によって紐付けられたグループが能動的に活動する自主管理型組織を指します。
能動的に動くチームの単位を、ホラクラシー組織では「サークル」と呼び、サークルの結成、変更、解散のルールを定めた「文書(ホラクラシー憲法)」に従って活動を行います。
ホラクラシー組織は、ティール組織に含まれる形態の1つで、「フラットで上下関係が無い組織」かつ「意思決定が分散している」自主管理型の組織であるという共通点があります。
▼「ホラクラシー組織」についてさらに詳しく
ホラクラシー組織とは?メリット・デメリット、ティール組織との違いも
ティール組織であるための要素
ティール組織であるための要素はどこにあるのか、フレデリック・ラルー氏は、押さえるべき3つのポイントをあげています。
ティール組織であるための要素
進化する目的:組織の変化に合わせてメンバー全員で目的を進化させる
セルフマネジメント:メンバー全員が自己管理を徹底する
ホールネス:メンバーの多様性を尊重する
進化する目的
ティール組織であるための要素として、「進化する目的」があげられます。
ティール組織は、「1つの生命体」だと考えてください。
生命体が生きている以上、存在目的があり、さらにその目的も進化して行きます。
1つ目のポイントは、将来向かうべき方向を常に考え続けることです。
従来の形式とは異なる点は、社長や上司が考えて部下に伝えるものではないということです。
さらに、1人で考えるのではなく組織のメンバー全員で話し合い、作り上げていくものだとされています。
セルフマネジメント
ティール組織であるための要素として、「セルフマネジメント」があげられます。
セルフマネジメントとは、ティール組織を語るうえでよく引き合いに出されるものです。
ティール組織では、社長や上司からの指示や命令が無いため、メンバー全員が信念に基づき、工夫しながら自己管理し、働いていくことが必要になるため、「情報の透明化」「意思決定プロセスの権限譲渡」「人事プロセスの明確化」が必要となります。
情報の透明化:評価軸などのあらゆる情報が透明化されている
意思決定プロセスの権限譲渡:個人の意思決定を尊重しつつ、組織からのフィードバックも受け取れる
人事プロセスの明確化:個人的権力が及びにくいように採用、給与、退職のプロセスが明確である
「情報の透明化」「意思決定プロセスの権限譲渡」「人事プロセスの明確化」の3つによって、従業員は成果やプロセスを把握できるため、自分自身の働きぶりを常に振り返ることができ、セルフマネジメントが可能となります。
▼「人事評価」についてさらに詳しく
人事評価とは?解決すべき9つの課題と人事評価制度のメリット5つを紹介
▼「フィードバック」についてさらに詳しく
フィードバックとは?意味や効果と適切な実施方法をわかりやすく解説
評価の納得度を向上させる方法
⇒「納得度の高い評価とは?」資料ダウンロード
ホールネス
ティール組織であるための要素として、「ホールネス」があげられます。
ホールネスについて、書籍では「個人としての全体性の発揮」と説明され、上下関係を作らず、各個人が「本来の自分」として働くことを奨励するティール組織ならではの考え方としてあげられています。
ホールネスの考え方においては、共に働く仲間の不安や弱さにも寄り添い、全体としてセルフマネジメントを機能させることで、個々の能力が最大限発揮されるとし、ティール組織を実践している組織では人間関係を良くするトレーニングや感情の相違を扱うトレーニングなどに取り組んでいるケースもあります。
ティール組織の成功事例
ティール組織の成功事例としては、オランダの在宅介護支援を行う非営利団体である「Buurtzorg(ビュートゾルフ)」が知られています。
ビュートゾルフの特徴は、マネージャーを持たない850ものチームが、目的実現に向けて独立して運営されていることです。
各チームは最大12名で構成され、それぞれが目標に沿って自由に行動しています。
ビュートゾルフがティール組織として機能する1つのポイントは、「Buurtzorg Web」と名付けられた多彩な機能を持つITツールの活用です。
Buurtzorg Webのうちの1つであるコミュニティ機能は、チーム内やチーム間でのコミュニケーションや情報共有のために利用されています。
特徴的なのは、議論を行ううえで行き詰まった場合に、コーチが補助するという仕組みを取っている点です。
ただし、コーチは問題を解決するのではなく、議論を進めていく進行役に徹し、最終的に主体的に問題を解決するのはメンバーです。
その他に、ティール組織として仕事を進めていくうえで必要となるツールとしては、「顧客管理ツール」「ダッシュボードツール」「ビデオラーニングツール」があります。
顧客管理ツールとは、患者ごとの電子健康記録が登録されたデータベースのことで、診断の記録をデジタルで共有し、各メンバーの専門性をいかして、より良いサービスを提供するように取り組みます。
チームの誰もが顧客のタイプや進捗状況を把握できるようになっているため、メンバーが自ら考えて行動することができます。
ダッシュボードツールとは、全てのチームメンバーが患者の数や満足度、あるいはチームのコストといった組織に関する全ての情報を把握できるようになっています。
従来の組織では、マネージャーにしか開示されなかった情報も含まれており、情報を全員が共有することでメンバー自身での意思決定を可能にしています。
ビデオラーニングツールとは、自主的な学習のために準備されているもので、新しく入社したメンバーであっても、動画によるラーニングで、より効率的に組織のことを学んだり、新しい知識を習得したりすることができます。
業務進捗など社内データの見える化に
⇒「HRBrain タレントマネジメント」資料ダウンロード
ティール組織の日本企業での実現
ティール組織とは、社長や上司が監督や干渉をしなくても、組織の目的実現に向けて、従業員ひとりひとりが主体的に動き、推進できている組織のことを指します。
ティール組織では、組織は従業員全員のものであると考え、ヒエラルキーは存在せずそれぞれが対等な関係であるため、従業員ひとりひとりに意思決定権があります。
また、組織目標を達成するためにできることと、個人の目標達成のためにすべきことが一致しているため、従業員は自主的に業務に取り組むことが可能になります。
しかし日本企業では、重厚なヒエラルキーを持ったケースが多いため、社長や上司が監督や干渉をしないティール組織を実現するのが難しい場合もあるかもしれません。
ですが、現状の組織の在り方に疑問を感じている場合は、ティール組織であるための要素である「進化する目的」「セルフマネジメント」「ホールネス」をもとに、ティール組織の考え方を参考にしてみると良いかもしれません。
「HRBrain タレントマネジメント」は、ティール組織の運用に必要な、情報の透明化や人事プロセスの明確化を、簡単かつシンプルで使いやすい機能で実現します。
さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。
HRBrain タレントマネジメントの特徴
検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現
運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで
▼「タレントマネジメント」お役立ち資料まとめ
【人事担当者必見】タレントマネジメントに関するお役立ち資料まとめ
おすすめ記事
- 職場の人間関係で大切なことは?人間関係が悪い職場の特徴と改善策について解説#人材管理2024/11/21
- コンセンサスとは?意味とアグリーメントやオーソライズとの違いと社内で合意を得るためのポイントを解説#人材管理2024/11/19
- 職場の人間関係で大切なことは?人間関係が悪い職場の特徴と改善策について解説#人材管理2024/11/18
- コアコンピタンスとは?意味とケイパビリティとの違いや企業例を簡単に解説#人材管理2024/11/06
- キャリアパスとは?意味やキャリアプランとの違いとメリットとデメリットや制度の導入方法について簡単に解説#人材管理2024/11/06
- マネジメントの仕事とは?業務内容や求められるスキルと役立つ手法について簡単に解説#人材管理2024/10/28