#人材育成
2024/07/30

人材育成とは?何をやるの?基本的考え方と具体的な企画方法を解説

目次

人材育成というと、つい研修を考えてしまいがちですが、基本的な考え方やフレームワークを理解すれば研修だけでは、人材育成を行うことは難しいということが分かります。

人材育成を行う際は、自社の課題を明確にし、戦略や目指す方向性を確認し、課題に合致した人材育成の施策を実施する必要があります。

この記事では、人材育成ですべきことや、人材育成計画の立て方、人材育成の成功事例などについて解説します。

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人材育成とは

人材育成とは、従業員に企業の経営目標の達成や、業績向上に貢献するような、スキルや技術の習得を促し、企業が求める人材へと成長するよう育成することを指します。
人材育成と似た言葉として、「人材教育」や「人材開発」があります。

人材育成と人材教育

人材育成は、その言葉の通り「人を育て成長させること」です。

企業の中で、人材育成という言葉を使用する場合、従業員を会社が望む方向へと成長させることを意味します。

一方、「人材教育」は、知識やスキルを教えることです。

人材育成には、教育以外にも経験によって育成する方法もあります。

つまり、「人材育成の手段の1つ」として、人材教育が存在しているという位置づけです。

人材育成と人材開発

人材開発は、もともと英語の「Human Resource Development(人的資源の開発)」から生まれた言葉です。

人材育成は、単に人を育てる意味として使用されますが、人材開発は「人材を経営資源として捉えた際に、本来の能力を発揮できるように開発する」という意味合いがあります。

つまり、人材育成は単に成長を促すことであるのに対し、人材開発は「潜在能力の開花など人的資源を有効活用する意味」が含まれています。

▼「人的資源管理(HRM)」についてさらに詳しく
人的資源管理(HRM)とは?目的や課題と企業例

人材育成の課題

実際に人材育成を行う際の課題について確認してみましょう。

人材育成の課題

  • 人材育成自体が後回しにされがち

  • 自律型の人材がなかなか育たない

人材育成自体が後回しにされがち

人材育成の課題としてあげられるのが、そもそも「人材育成自体が後回しにされがち」ということがあります。

通常業務の忙しさや、テレワーク化が進み対面でのコミュニケーションの機会が減少したことから、このような課題が生まれています。

テレワークでのコミュニケーションの減少については、「1on1」の実施が効果的です。

1on1を実施し、上司と部下が定期的に1対1でコミュニケーションを取ることは、人材育成にも効果的です。

▼「1on1」についてさらに詳しく
1on1とは? 従来の面談との違いや効果を高めるコツ
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自律型の人材がなかなか育たない

人材育成の課題としてあげられるのが、人材育成に力を入れるものの「自律型の人材がなかなか育たない」という点です。

ここで言う、自律型人材とは自ら考え、主体性を持って仕事に取り組む人材のことを指しています。

このような自律型の人材を育てるには、しっかりとした人材育成の「目標」を設定することが必要になります。

▼「自律型人材」についてさらに詳しく
自律型人材とは?自立との違い、育成方法について解説します

人材育成の目標

人材育成の目標を立てる際におさえておくべき、3つのポイントについて確認してみましょう。

人材育成の目標を立てる際のポイント

  1. 定量的な目標を設定する
  2. 期限を明確に設定する
  3. 会社やチームの目標を意識する

定量的な目標を設定する

定量的な目標の設定は、人材育成の評価を行う上で欠かせません。

人材の育成の目標が、定性的な指標に偏らないよう、「定量的な目標を設定する」ように注意しましょう。

▼「定量的・定性的」についてさらに詳しく
定量的・定性的の意味と使い分け、ビジネスや目標設定では注意も

期限を明確に設定する

人材育成の目標をいつまでに達成するのか、「期日も明確に設定する」ようにしましょう。

期日から逆算した人材育成の計画を立てることが、人材育成の成否のポイントになります。

会社やチームの目標を意識する

人材育成の目標を立てる際は、「会社やチームの目標を意識する」ようにしましょう。

人材育成が後回しにされないためにも、会社やチームの目標と人材育成が密に関連している状態を作り出すことが重要です。

人材育成の考え方

人材育成の基本的な考え方でポイントとなる、3つの視点について確認してみましょう。

人材育成の考え方

  1. 人材育成は長期的な視点で考える
  2. 人材育成像は会社が育てたい人物像から考える
  3. 人材育成の方法は階層別に分けて考える

これらの3つのポイントを踏まえた上で、人材育成の施策を考えて行きましょう。

▼「人材育成のポイント」についてさらに詳しく
人材育成に重要なポイントとは?若手や部下を育てる人材育成の考え方

▼「人材育成の考え方」についてさらに詳しく
【人事必見】人材育成とは?目的や考え方を紹介

人材育成施策の計画方法

人材育成施策の計画方法について確認してみましょう。

人材育成施策の企画には、ある程度の決まった手順があります。

人材育成施策の計画方法

  1. 自社の課題を発見する
  2. 自社の戦略や目指す方向性を確認する
  3. 課題に合致する解決方法を検討する

まずは、自社の従業員の状態や経営状況、組織の状態などを調査し、現状を分析し、正確に把握するようにしましょう。

その上で、従業員が目指すべき人物像を具体化し、現実的な人材育成施策を計画するようにしましょう。

施策は、何かを解決するための手段です。

何も解決したい問題がないにも関わらず施策だけを実施することは意味のない試みになってしまうため注意しましょう。

▼「人材育成計画」についてさらに詳しく
人材育成計画とは?狙い通り人材が育つ計画の立て方から方法までを解説!

自社の課題を発見する

現状分析を行うことで、自社の課題を発見することができるはずです。

課題の中には、人事の観点からはアプローチできないものもあるでしょう。

そのため、「戦略の課題」「組織の課題」「人材育成上の課題」と3つの課題に分類して自社の課題を検討して行くと良いでしょう。

自社の戦略や目指す方向性を確認する

課題を発見したら、それが本当に解決すべき課題かを検討する必要があります。

その課題が、今後の自社の戦略や事業の方向性にとって重要な課題かどうかを検討し、重要であれば重点的に取り組みましょう。

課題に合致する解決方法を検討する

最後に、課題に合致する解決方法を検討します。

解決方法は研修や座学だけとは限りません。

例えば、上司との関係性を改善することかもしれません。

人事からアプローチできる最も効果のある解決方法を検討しましょう。

▼「e-ラーニングでの人材育成」についてさらに詳しく
e-ラーニングを導入し人材育成!導入方法やメリットについて解説

人材育成の基本的なフレームワーク

人材育成施策の企画方法には、基本的な手順と同時に、フレームワークが使われることが多くあります。

人材育成の基本的なフレームワークについて確認してみましょう。

ギャップ分析

人の能力を開発することは、目指すべき状態と現状とのギャップを埋めることです。

例えば、英語を話せない人が英語を話せるようになりたいのであれば、その目標に向けて英語を話せない自分を変えていかなければなりません。

このようにあるべき姿と現状とのギャップを明らかにし、ギャップをどう埋めていくかを分析するギャップ分析が能力開発の基本的な考え方です。

コルブの経験学習モデル

人材育成における古典的な考え方に、経営学者のコルブが提唱した経験学習モデルがあります。

経験学習モデルは、人がどのように経験から学ぶのかを表したものです。

人は単に経験するだけでは学びません。

経験したことを振り返り、何を学んだのかを考えることで学習します。

経験学習モデルは、人材育成におけるOJTとOff-JTをつなぐ考え方としてよく取り入れられています。

▼「OJTとOff-JT」についてさらに詳しく
OJTとは?OFF-JTとの違いや意味と教育方法をわかりやすく解説
メンター制度を取り入れたOJT制度設計ガイドブック

7:2:1モデル(ロミンガーの法則)

現代の人材育成の基本的考え方は、「7:2:1モデル」に集約されます。

アメリカの人事コンサルタント会社である、ロミンガー社が「経営幹部やリーダーがリーダーシップを発揮するために有効な要素」を調査したところ、「業務経験7割」「人間関係(上司や先輩からの指導)2割」「Off-JT(研修)1割」であることがわかりました。

そのため、現代の人材育成施策は経験を重視しながらメンタリングやOff-JTを組み合わせた施策を行うことが常識となっています。

人材育成の成功事例

人材育成施策の成功事例について、トヨタ自動車のT型人材の育成事例と、専門職人材の育成事例について確認してみましょう。

人材育成の成功事例:トヨタ自動車(T型人材の育成)

トヨタ自動車株式会社では、「T型人材」の育成として、将来有望なエンジニアに対して、全てのバリューチェーンを経験できるようなキャリア設計を行っています。

T型人材とは、「T」の文字の「横」をビジネスモデルなどの幅広い知識、「縦」を専門性の高いスペシャリストとしての知識として、創造性と専門性など幅広い知見を持つ人材を指します。

設計開発者であれば、入社後に製造部門へ配属し、製造を経験させた後、マーケティング部門や営業部門も経験させます。

こうすることで、事業と商流について理解することができ、よりお客様のニーズに答える製品を設計するエンジニアを育てることができます。

同時に、自己学習促進として、書籍を読むことを奨励しています。
幅広い書籍を読むことは、幅広いジャンルの知識を得ることです。
このようにして、知識感度が高く視野の広いエンジニアを育てています。

トヨタ自動車株式会社

人材育成の成功事例:専門職型人材の育成

多くの製薬会社では研究職を育成しています。

製薬の世界は、常に新薬をつくることが求められています。

しかし、新薬を開発することは年々、難しくなっている状況です。

そこで、各製薬会社では研究職を海外に留学させ、場合によっては博士号を取得させることもあります。

一方で、視野が狭くならないように学会発表やベンチャー企業との交流も推進しています。

▼「人材育成の事例」についてさらに詳しく
人材育成を成功させるには?企業別の事例とあわせて解説!
▼人事業務効率化とエンゲージメント向上推進、人材育成に力を入れるC-Unitedの取り組みとは
C-United株式会社

自社に合った人材育成を実施するために

人材育成というと、つい研修を考えてしまいがちですが、基本的な考え方やフレームワークを理解すれば研修だけでは、人材育成を行うことは難しいということが分かります。

人材育成を行う際は、自社の課題を明確にし、戦略や目指す方向性を確認し、課題に合致した人材育成の施策を実施する必要があります。

人材育成への課題が、人事評価にあるのであれば人事評価制度の改善を、上司とのコミュニケーションにあるのであれば1on1の実施を、というように、組織の状況と課題によって人材育成の施策はさまざまです。

その他にも、経営者や幹部候補の育成を目的とした「サクセッションプラン(後継者育成計画)」や、DX化やIT化に伴い技術やビジネスモデルの変化に合わせて業務に必要な最新知識やスキルを学ぶ「リスキリング」など、さまざまな人材育成があります。

▼「サクセッションプラン(後継者育成計画)」についてさらに詳しく
サクセッションプランとは?事例・導入方法から便利ツールまで解説
キーポジションの後継者育成計画とは?人事がやるべき施策を解説
経営人材を育成する〜サクセッションプランを成功させる秘訣とは〜

▼「リスキリング」についてさらに詳しく
企業変革を実現するパーパス経営とリスキリング
リスキリングとは?実施する意味やリカレントとの違いについて解説

経営戦略と連動した人材育成

経営戦略と連動した人材育成を実現する 失敗しない人材育成ハンドブック

この資料でわかること

  • 人材育成の考え方

  • 人材育成の目標を設定することの効果とは

  • 人材育成計画の立案|4つのポイント

  • 育成施策実施後のポイント

人材育成で目指すべき人材が明確でない、企業全体が人材育成に積極的な環境でないために後輩が育たない、人材育成を行っているか効果が実感できない、といった人材育成での課題の解決方法を人材育成計画を立案する際のポイントなどについて解説します。

人材育成を実現するための人事評価

効果的な人材育成を実現するための人事評価とは?人材を成長させる人事評価のポイント

この資料でわかること

  • 人事評価制度の設計方法

  • 効果的な人材育成につなげるための評価のポイント

  • メンバーを成長に導く評価面談のポイント

客観的かつ公平な人事評価を行うことは、従業員のスキルを可視化し、人材育成を促進することに役立ちます。

また、人事評価制度によって、自社の求める人材を明確にすることで、どのような人材を育成していけばよいのかについての確認をすることもできます。

人材育成は、従業員の成長だけでなく企業の成長においても、欠かせない施策となっています。

効率的な人材育成につながる人事評価について確認してみましょう。

▼「人事評価」についてさらに詳しく
人事評価とは?解決すべき9つの課題と人事評価制度のメリット5つを紹介

自社と従業員の成長を助ける「タレントマネジメント」

人材育成を成功するためには、まずは、自社の現状と課題の把握、そして従業員のスキルやこれまでの実務経験、研修などの育成履歴や、人事評価などのあらゆる従業員データを把握することが大切です。

企業が求める人材像と、従業員の現状とを照らし合わせ、実施すべき人材育成の施策を検討するようにしましょう。

また、1on1や研修履歴、フィードバックなど、人材育成に必要な施策もシステム上で一元管理することが可能です。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

人材情報の一元化によりタレントマネジメントを実現

▼「タレントマネジメントと人材育成」についてさらに詳しく
事例から学ぶ「タレントマネジメント」導入法・人材育成のためのスキル管理

▼「タレントマネジメント」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで

▼「タレントマネジメント」お役立ち資料まとめ
【人事担当者必見】タレントマネジメントに関するお役立ち資料まとめ

HR大学編集部
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