#人材管理
2024/08/26

人事制度とは?目的と作り方や3つの要素について簡単に解説

目次

人事制度とは、企業の経営資源の根幹である従業員に対して、計画的で適切な理念や評価基準のもと、一貫性のある人材管理やマネジメントを行うことです。

また人事制度は、従業員が快適に過ごすための条件や基準や仕組みのことで、従業員の働き方や処遇を決定し、給与、昇給を定めるだけでなく、現在では「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの制度を主要な人事制度と捉える場合もあります。

この記事では、人事制度の目的、人事制度の作り方や見直し方法、人事制度の3つの要素、人事制度を構築する際に役立つコンサルティングと書籍について解説します。

人事制度の構築と見直し方法を解説

人事制度とは

人事制度とは、企業の経営資源の根幹である従業員に対して、計画的で適切な理念や評価基準のもと、一貫性のある人材管理を行うことです。

また人事制度は、従業員が快適に過ごすための条件や基準や仕組みのことで、従業員の働き方や処遇を決定し、給与、昇給を定めるだけでなく、現在では「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの制度を主要な人事制度と捉える場合もあります。

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人事制度の目的

人事制度は、企業が人材を管理するための仕組み全般のことを指します。

近年では「従業員の処遇を決定する仕組み」に絞って人事制度という言葉を使うことが多いですが、本来の人事制度はより広義で、企業の競争力や価値を向上させる組織構築や従業員の意欲と能力を向上させる仕組みを制度として体系化したものを指します。

つまり人事制度は、企業ミッションを達成するために必要不可欠な制度と言えます。

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人事制度と経営理念

経営理念とは、企業がどのように今後発展をしていきたいかを定める指針となるもので、経営理念をもとに、経営戦略や財務戦略が練られます。

経営戦略や財務戦略と同様に、経営理念をもとに人事戦略を立てることで、人事制度を経営戦略に結び付け、より企業に合わせた制度を作ることが可能になります。

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人事制度と人材活用、人材育成、法対応

人事制度には、人材をどのように配置して教育していくか、どのように活用していくかということも含まれます。

また、労働法規への対応もあるため、常にブラシュアップを行い、環境に合わせて制度を変化させていく必要があります。

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人事制度の構成要素

人事制度には、さまざまな制度が含まれます。人事制度を構成する主な制度について確認してみましょう。

等級制度

等級制度とは、一定の基準を基に、従業員を等級で振り分ける制度を指します。

等級制度は、主に「職務」「職能」「役割」の3つに分類され、等級は組織における賃金管理や人材配置に活用します。

また等級制度は、従業員に序列を付けるものではなく、成長のステップを示すものとして設定されます。

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評価制度

評価制度とは、従業員の能力や会社への貢献度を、企業の行動指標をベースに評価する制度で、一般的には等級制度や報酬制度と連動している企業が多く、企業の業績や従業員エンゲージメントに関わる重要な制度です。

評価制度は、従業員を査定するものではなく、人材育成の機会として機能します。

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報酬制度

報酬制度とは、従業員に対して支給する報酬を定める制度です。

報酬は大きく「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」の2つがあり、「金銭的報酬」は給与、賞与、退職金などを指し、「非金銭的報酬」は仕事、権限、学習機会などを指します。

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人材活用制度

人材活用制度とは、働き方改革や新しい生活様式などの社会情勢の変化や、労働人口の減少に対応するために人材を有効活用したりするための制度です。

育児や介護をしている従業員のワークライフバランスのための短時間勤務制度や、在宅勤務制度、非正規社員の同一労働同一賃金制度などがあげられます。

また最近は、新型コロナウイルス感染防止のため、在宅勤務制度が急激に広がりました。

その他(労務管理や研修制度)

労務管理とは、勤怠管理や給与計算、社会保険事務手続きといった法令で決められている手続きを社内で行うことを指します。

勤怠管理には、長時間残業の抑止、給与計算や社会保険事務手続きなどが含まれます。

教育制度とは、従業員のスキルアップや管理職の育成など、従業員個人の職務やキャリアプランにあわせて、人材を育成するための制度です。

OJTなど社内での実務を通じて行われる方法や、OFF-JTなど他社と連帯して社外へ研修に行ったり、講師を招いたりする方法などがあります。

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人事制度のトレンド

また、最新のトレンドの人事制度として、「1on1」「OKR(Objectives and Key Results)」「360度評価」「コンピテンシー評価」「ジョブ型雇用」「ノーレイティング」などがあげられます。

1on1とは、部下の人材育成やモチベーション管理を目的として上司と部下が1対1で行う面談です。

OKR(Objectives and Key Results)とは、高い目標を達成するための目標管理方法です。

360度評価とは、上司だけでなく複数の立場の従業員が1人の従業員を評価する評価制度です。

コンピテンシー評価とは、高い成果をあげるハイパフォーマーである「コンピテンシーモデル」をもとに評価を行う評価方法です。

ジョブ型雇用とは、「職務記述書(ジョブディスクリプション)」をもとに適したスキルや経歴を持つ人材を採用する採用方法です。

ノーレイティングとは、従業員の業績のランク付けや年に1回や半年に1回などの評価を廃止し上司との面談を通してリアルタイムに評価と育成を行っていく評価方法です。

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1on1ミーティングの実践方法を解説

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人事制度の作り方

人事制度の作り方として人事制度を作る際の手順について確認してみましょう。

人事制度の作り方

  • 現状分析

  • 基本方針の検討

  • 制度の詳細設計

  • 制度の導入シミュレーション

  • 制度の運用開始

現状分析

人事制度の策定を始めるにあたって、まずは自社の現状を分析して、解決すべき課題をはっきりさせることが大切です。

具体的に「どの属性の従業員の」「どういった事が」「どのように問題であり」「理想はどのような状態であるか」などをはっきりさせるところから始めます。

分析は、定量分析、定性分析の両方の視点から進めるようにしましょう。

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従業員ひとりひとりの課題の抽出に

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基本方針の検討

人事制度は、経営理念や経営戦略との一貫性がなければ機能しません。

自社のポリシーとして定めた、あるべき組織構造や企業風土、人材要件を実現する手段として人事制度を考えます。

人事制度の基本方針を検討するタイミングで、制度の方針と大枠をまとめておきます。

人事制度の詳細を意思決定して行く際に、基本方針に立ち返ることで、意思統一がしやすくなり、人事制度の軸がブレにくくなります。

制度の詳細設計

人事制度の基本方針が決定したら、人事制度の中心となる3つの柱を設計していきます。

人事制度の詳細を設計する際は、「等級制度」「人事評価制度」「賃金制度」の順に設計することが多いです。

制度の導入シミュレーション

新しい制度のもとで、人件費や賃金がどのように変化するのかシミュレーションを実施します。

従業員の個別賃金と総額人件費の両方について、大幅な変化がないか検証し、狙い通りの結果が得られるまで、設計の微調整を行います。

新しい等級制度に従業員ひとりひとりを当てはめ、賃金がどのように変化するかを見ます。

賃金が下がる従業員に対しては、移行措置を設けます。

賃金の減額は、法的に不利益変更になる可能性もあるため、慎重な確認と判断が求められます。

次に、全人件費を一定の範囲内に収めることができているかどうかを確認します。

許容可能な人件費でなければ、会社経営が危ぶまれます。

例えば、制度導入後数年は人件費が上昇しますが、その後は落ち着いているのか、制度変更によって昇給額が増えすぎてないかなどを確認します。

制度の運用開始

完成した人事制度をまとめた「人事制度ガイドブック」を作成し、説明会を行い、制度の理解と浸透を図ります。

人事制度で定めた方針に沿って「我が社は従業員に対してこのように考えます」といったメッセージを打ち出すことで、従業員は制度の変化を受け入れやすくなる傾向にあります。

加えて、質疑応答やアンケートを実施し、従業員の疑問や不安をひとつひとつ丁寧に解消して行くことが大切です。

新人事制度の運用を始める際に、問題となるのは、評価者の評価スキルや面談スキルの不足です。

制度導入時には「評価者研修」を行い、新しい評価基準を浸透させ、評価力や面談力強化を図りましょう。

人事制度は、導入が「始まり」であり、この後にある運用こそが「本番」です。

初めから完璧な制度というものはなく、実際に使ってみると微調整を要する部分が必ず出てくるため、「動かしながら修正していく」という考えのもと、細やかな手入れを続けていくことで、だんだんと制度が機能していくようになります。

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人事制度の設計と構築についてのコンサルティング

人事制度の設計と構築の方法について、外部コンサルタントを利用する場合について確認してみましょう。

人事制度コンサルタントを利用する際に、企業が得られる価値は主に「専門性」と「客観性」の2点があげられます。それぞれの詳細について確認してみましょう。

専門性

人事制度コンサルタントを利用することで、組織データや、人や組織を見立てるフレームワーク、他社事例などを元にした専門的な観点からのアドバイスが得られます。

また、社内で合意形成を図る際に、人事制度コンサルタントは根拠となる考え方を提示できるため、正解のない人事制度設計においては欠かせない存在であると言えます。

客観性

データや情報を元に考える人事制度コンサルタントを利用することで、社内の人材だけでは分からなかった問題や課題を知ることができます。

また、外部の視点を取り入れることで認識していなかった問題や課題に気付きやすくなります。

▼「人事制度コンサルタント」についてさらに詳しく
人事制度コンサルタントとは?評価制度設計を依頼するメリットと依頼の流れ

人事制度の設計と構築についての書籍

人事制度の設計と構築の方法について、自社内で構築する場合に役立つ書籍について確認してみましょう。

書籍から学ぶうえでのメリットは、外部にコンサルティングを依頼するよりもコストを抑えられることや、内容がまとめられていることです。

また、業務の空き時間に学ぶことができるのもメリットの1つと言えます。

書籍は特に、人事制度の基礎から学び、全貌を理解したい場合に適しています。

全く人事制度について知識がない場合には、教科書としても使われている良書を読むと効率的に学習することができるでしょう。

人事制度に関する書籍には、歴史や過去の事例がまとめられています。

人事制度のあり方は常に変化して行くため、過去の人事制度のケーススタディが書かれている本は多く、成功や失敗から学んで制度を考えることが可能になります。

人事制度の設計と構築についての書籍「社員が成長し業績が向上する人事制度」

「社員が成長し業績が向上する人事制度」では、年商3億の「5K職場(きつい・危険・汚い・給料安い・休日少ない)」が、年商175億円(1部上場)となった原動力である、「社員の定着」「社員の成長」「業績向上」「賃金の上昇」という、経営の好循環を生み出す画期的な人事制度の作り方を分かりやすく解説しています。

(参考)「社員が成長し業績が向上する人事制度」(著:松本順市、出版:日本経営合理化協会出版局)

人事制度の設計と構築についての書籍「先進企業の新人事制度事例集」

「先進企業の新人事制度事例集」では、人事制度を取り巻く環境が大きく変化している中で、これからの制度改革の方向性を解説し、人事制度を改定した12社を厳選して紹介しています。

(参考)「先進企業の新人事制度事例集」(著・出版:労務行政研究所)

人事制度の設計と構築についての書籍「名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち」

「名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち」では、人事ジャーナリストの海老原嗣生氏と荻野進介氏が、日本型雇用の誕生を紐解き、時代の流れを通して、経済や社会の激変の中で、どのような問題が起こり得るのかについて解説しています。

(参考)「名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち」(著:海老原嗣生 ,荻野進介、出版:白桃書房)

人事制度の設計と見直しについて解説

⇒「ゼロから作る人事制度設計マニュアル」資料ダウンロード

人事制度は企業になくてはならない仕組み

人事制度とは、企業の経営資源の根幹である従業員に対して、計画的で適切な理念や評価基準のもと、一貫性のある人材管理やマネジメントを行うことです。

人事制度の構築や見直しを行い、自社にとって適切な人事制度を導入することは、企業の更なる成長や発展につながります。

人事制度は企業にとってなくてはならない仕組みですが、自社の現状を分析し課題を明確にして、自社のポリシーや企業風土をもとに設定した基本方針のもと、一貫性のある制度を設計して行かなくてはなりません。

また、人事制度の構築や見直し後は、制度の社内浸透と従業員の理解が大切になります。

さらに、人事制度のあり方は常に変化して行くため、人事制度導入後も制度を動かしながら、調整を進めブラッシュアップして行くことが大切です。

「HRBrain タレントマネジメント」は、従業員ひとりひとりのデータから課題の抽出を行い、人事制度設計の際の調査や制度導入後の社内浸透をサポートします。

さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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HR大学編集部
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