#人材管理
2024/08/05

アセスメントとは?意味と定義や評価の目的と注意点についてわかりやすく解説

目次

アセスメントは、客観的な評価と分析によって採用や人事配置、昇格などで、最適な行動を取れるようサポートしてくれるツールです。

アセスメントは、採用や人材配置のミスマッチ、人事異動や評価において公平で適切な評価ができないなどの状況を防ぐために、近年注目されています。

この記事では、アセスメントの定義やその種類、アセスメントが必要な理由、アセスメントを行うことによるメリットや具体的な方法と注意点について解説します。

人事異動の業務効率化と「最適配置」実現のキーポイント

アセスメントとは

アセスメント(assessment)とは、「客観的に評価、査定する」という意味を持ちます。

本来アセスメントは、査定、評価、税額といった、税に関する場面でよく使われる言葉です。

日本では、企業活動などのビジネスの場において「特定の人物の能力やスキルなどを評価する」際に使われることが多くなっています。

また、ビジネス以外の場でも、医療・看護の現場では、看護師が患者の持つ問題を把握・分析する「看護アセスメント」、建築・開発の現場では、大規模な土地開発が環境に及ぼす影響を分析する「環境アセスメント」などのように使われています。

人事アセスメントの種類

アセスメントという言葉はビジネスや医療、開発などさまざまな場面で使われています。

ビジネスの場面に限定した場合、具体的にどのような種類のアセスメントが行われているのか、「人材アセスメント」と「組織アセスメント」の2つについて確認してみましょう。

人材アセスメント

人材アセスメントとは、企業外の第三者機関が、人材ひとりひとりの行動特性や資質などから、その人が持つ能力やスキルを正しく把握し評価することで、「客観的な評価ツール」を指します。

人材アセスメントを実施する際は、まず「経営幹部に置く人材を選出したい(サクセッションプランの導入)」「キーポジション人材の選出をしたい」「企業内で適材適所の配置を行いたい」などの目的を決めます。

その上で、訓練を受けた外部の評価者が客観的な項目に基づいて対象者を評価する、という流れで行われます。

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組織アセスメント

組織アセスメントとは、企業や部署など一定の組織の現状を把握し、その組織をより強化し改善する方法を探るためのツールを指します。

組織の問題点を把握し、改善策を講じることによって業績を向上させることを目的に行われます。

具体的には、その企業に属する従業員を「数値的」かつ「客観的」な基準から評価し、企業内にどのような能力やスキル、適性を持つ人が多いのかを明らかにするといった方法が取られます。

このような方法によって、その企業でどのような適性や能力を持つ人が活躍し定着しているのかを知ることができます。

また、組織アセスメントは人材アセスメントと組み合わせることによって、より高い効果が得られることが期待できます。

どの部署で、どのような適性やスキルを持つ人が活躍しているかを把握できることによって、人材アセスメントで得られた客観的な評価を元に、各従業員を最適な部署やポジションに配置できると考えられます。

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アセスメントが必要な理由

ビジネスにおけるアセスメントとして、人材アセスメントと組織アセスメントがありますが、これらのアセスメントは何を目的に行われるのかについて、確認してみましょう。

アセスメントを行う目的は、アセスメントを行う対象の状況を、「正しく評価・分析」することで、その後行う採用や人材配置、治療や開発などにおいて「最適な結果を得る」ためといえます。

人材アセスメントや組織アセスメントで対象となるのは、求人への応募者や従業員、部署などです。

そして看護アセスメントでは患者が、環境アセスメントでは土地や環境がアセスメントの対象になります。

このように、各対象の「評価・分析」と「データの活用」がアセスメントにおける目的といえます。

アセスメントは企業にどう役に立つのか

アセスメントは、採用や人材配置などで最適な結果を得るために行われるものですが、実際にアセスメントが企業で役立つ場面として、どのようなものがあるのでしょうか。

「人材アセスメント」について、3つの場面でのアセスメントの効果について確認してみましょう。

人材アセスメントの効果

  • 採用におけるミスマッチの防止

  • 人材配置の最適化

  • 管理職候補者の選出

採用におけるミスマッチの防止

人材を新たに募集する際に、採用候補となる人のスキルや潜在能力をアセスメントによって把握・分析できれば、自社に合う人材を見極めることができ、結果的に効率の良い採用活動が行えます。

面接では意欲があり、自社にマッチしそうと感じられた候補者でも、いざ業務を始めてみると予想と異なっていた、早期離職してしまった、というパターンは多々あります。

そのようなミスマッチを防止し、採用した人材に長く勤務してもらえるようになることが、採用におけるアセスメントの効果といえます。

また採用そのものだけではなく、採用後にどの部署に配置するか、どのようなポジションで活躍してもらうかといったことも、アセスメントによって事前に考慮することが可能となります。

将来的にリーダーや管理職になってほしい人材を、早い段階で見極めることもできます。

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人材配置の最適化

「人員が不足した部署に新たに人を異動させる」または、「新規部署やプロジェクトの立ち上げなどによって人員を集める必要がある」といった場合にもアセスメントは役立ちます。

管理職などの個人の主観で従業員を見ようとすると、どうしても先入観が入ってしまい、公平で適切な評価ができない場合があります。

また、公平で適切な評価ができない状態で行われた人事配置では、部署やプロジェクトの目的や業務内容と従業員のスキルや志向が合わないといった状況が起こり、結果的に生産性や従業員のモチベーションが下がってしまうことにもなりかねません。

一方、アセスメントでは主観的な評価ではなく、客観的な視点でひとりひとりの潜在能力やスキルを把握・分析できるため、各部署やプロジェクトの特性に合った人材を選定することが可能になります。

必要な部署に適切な人材を配置し、業務の生産性と従業員の充実度を同時に上げていくためにもアセスメントは有効です。

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管理職候補者の選出

管理職に就く従業員の選出の際にも、アセスメントが役立つ場合が多くあります。

他の従業員をまとめ、牽引するリーダーである管理職には、実務能力や判断力に秀でた人物が選ばれることが多いです。

しかし、そうした人物が必ずしもリーダーシップやマネジメント能力を持ち合わせているとは限りません。

リーダーに不向きな人材を管理職に置いても、本人も周囲の従業員にとっても負担が大きくなってしまうでしょう。

その点で、アセスメントは人材の能力を客観的に見ることができるため、リーダーや管理職に向く人材を見極めるのに役立ちます。

アセスメントによる管理職の選出は、本人や周囲の従業員のモチベーション向上、さらには企業の業績向上にもつながることが期待できるでしょう。

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人材アセスメントの方法

人材アセスメントは実際にどのような方法で行われるのか、人材アセスメントにおける「アセスメント研修」「適性検査」「多面評価」について確認してみましょう。

アセスメント研修

アセスメント研修は、実際の業務時と同じ状況を設定し、その状況の中で対象者を観察する方法です。

アセッサーと呼ばれる特別な訓練を受けた人物が、グループディスカッションやプレゼンテーションなどのさまざまな状況下で、各対象者がどのような行動を取るかを見て、それぞれの判定項目を評価していきます。

判定項目は、企業側が求める人物像を確認した上で事前に設定されます。

実際の業務と似た状況下で観察と評価をすることで、対象者ひとりひとりの職務スキルや業務への考え方や姿勢を見極めることができます。

第三者の視点から対象者の行動を観察するという点で、従業員ひとりひとりの知識やスキルを高めるための人事研修と大きく異なります。

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適性検査

適性検査はテスト形式で、対象者の知的な能力やパーソナリティ(性格)、興味、関心を確認する方法です。

具体的な適性検査のツールに、リクルートマネジメントソリューションズ社の「NMAT(管理者適性検査)」や「JMAT(中堅社員適性検査)」などがあります。

検査項目には「はい」「いいえ」で回答する「ノーマティブ方式」と、選択肢の中から最適と思われるものを選ぶ「イプサティブ方式」のものがあります。

適性検査は、テスト形式であることによって対象者の能力や性格などを定量的に測定できる点が特徴で、昇格や人材配置などのさまざまな場面で活用できます。

また、従業員に対してだけではなく、採用試験の際に用いられる場合もあります。

さらに、退職した従業員の適性検査のデータを分析することで、早期退職の原因などについて改善のヒントが得られる可能性もあります。

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多面評価(360度評価)

多面評価(360度評価)とは、対象者の職務能力や人物像などを多面的に評価をする手法です。

評価する人は対象者の上司を始め、同僚や部下、取引先の人たちなど幅広く設定されます。

自身を取り巻くさまざまな人たちからの評価であるため、対象者は納得感を持って評価を受け止めやすくなります。

また、自己評価と多面評価との結果の乖離を認識することで、自分の強みを再確認できたり、逆に改善すべき課題を認識することもできます。

一方で多面評価は、普段から対象者と接する立場にいる人が評価するため、評価者の主観や好みが反映されがちである点が弱点といえます。

また、評価が行われることを気にするあまり、対象者が上司の立場の場合、部下に対して強い指示ができなくなってしまうといったことも考えられます。

評価項目は、対象者が管理職と管理職以外の場合で異なることが多く、管理職が対象の場合は、先頭に立ってチームを率いるための「リーダーシップ」、活発なコミュニケーションの元で成果を生み出す「組織づくり」、正しく評価しその努力をサポートする「部下の育成」に関連した項目を設定されることが多くなります。

管理職以外が対象の場合は「主体性」や「解決力」、課題解決までのプロセスを踏まえた上での「業務遂行力」、上司や同僚と良好なコミュニケーションを取れる「協調性」に関する項目が多くなります。

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アセスメント導入時の注意点

アセスメントを実際に企業へ導入する際に、注意すべき点について確認してみましょう。

アセスメント導入時の注意点

  • あくまで「適性評価」であることを明確にする

  • アセスメント後のフィードバックを確実にする

  • 継続的な学習と効果の測定を行う

あくまで「適性評価」であることを明確にする

アセスメントを行うにあたって、アセスメントによって評価・分析できるのは、あくまで対象者ひとりひとりの客観的な「適性」であり、能力ではないということを認識し、アセスメントの対象者にも周知することが大切です。

アセスメントによって自身の能力を評価されると捉えてしまうと、対象者も必要以上に緊張するなどして、本来の姿やスキルが見られなくなってしまう場合があるためです。

アセスメントの評価項目は、企業がその時に求める適性に応じて定められた、ごく限定的なものです。

対象者ひとりひとりが持つ人間性や総合的なスキルすべてを見ているわけではないことを、評価する側もされる側も認識しておくことが重要です。

アセスメント後のフィードバックを確実にする

アセスメントを導入するにあたって、対象者ひとりひとりが多忙な業務時間を割いて協力してくれることになります。

そのため、アセスメントの結果を対象者に十分にフィードバックすることを忘れないようにしましょう。

フィードバックは単にアセスメントの結果の伝達だけではなく、その結果をいかして対象者が自身の課題や改善点に気付くきっかけになったり、新たな目標設定にいかせることもあるでしょう。

上司がひとりひとりの対象者と個別に面談をする時間を取って、結果を伝えることが理想的です。

また、フィードバックの際に上司の主観で結果を「良い」「悪い」といった言い方で伝えないよう注意することも大切です。

本来客観的な評価ができるはずのアセスメントの結果が、受け取る側によって異なる意味に捉えられてしまう恐れがあります。

アセスメントを受けたものの、自身の適性がどうだったのか結果的によく分からなかった、といったことにならないよう、伝え方には注意するようにしましょう。

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継続的な学習と効果の測定を行う

アセスメントは1度行うだけでは、本来のメリットや期待した効果が得られません。

行ったアセスメントの結果を振り返り、改善点や課題を把握した上で施策を実行することが大切です。

可能であれば、事前にアセスメントの結果を予測し、得られた結果と照らし合わせて、異なっていた点について検証するなどの方法を試してみるのも良いでしょう。

気付いていなかった個人や組織の課題に気づくことがあるかもしれません。

さらに、繰り返しアセスメントを行い、その度に施策の効果を測定することが、企業の業績向上や従業員ひとりひとりの成長につながっていくでしょう。

アセスメントという改善や成長のための手段が目的そのものとならないよう、継続的な施策の実施と測定を意識することが大切です。

アセスメントの導入によって適切な人事施策を実施

アセスメントは、客観的な評価・分析によって採用や人事配置、昇格などで、最適な行動を取れるようサポートしてくれるツールです。

アセスメントのメリットや効果を十分受けられるようにするためにも、アセスメントによって分かるのは対象者の「適性」であることを理解したうえで、対象者へのアセスメントの結果のフィードバックを徹底するようにしましょう。

また、繰り返し継続的に行うことによって、アセスメントはより役立つものとなります。

より効率的な自社の成長を促進するために、アセスメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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HR大学編集部
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