職務分掌とは?業務分掌との違いやメリットとデメリットや作り方を解説
- 職務分掌とは
- 職務分掌規定(職務分掌表)とは
- 職務分掌と業務分掌との違い
- 職務分掌とセグリゲーションとの違い
- 職務分掌のメリット
- 健全な組織運営ができる
- 効率的な人材育成ができる
- 内部統制とリスクマネジメントができる
- 職務分掌のデメリット
- 業務範囲が制限される
- 指令系統の硬直化のリスクがある
- 職務分掌の作り方
- 組織図で会社全体を把握する
- 部署や職務単位で職務内容を細分化する
- 権限の振り分けをする
- 職務分掌表を作成する
- 職務分掌は組織の効率化を実現する施策
職務分掌は職務の役割や権限を明確化し、業務上の混乱を防ぐ効果があります。
さらに、内部統制や人材育成、目標管理の効率化にも繋がるため、今後さらに組織の結束力を高めたい企業には必須の施策と言えるでしょう。
一方で、正しく規定しないと、指示系統の硬直化などリスクがあります。
この記事では、職務分掌とは何なのか、職務分掌の意味や業務分掌との違い、メリットとデメリット、職務分掌表の作り方について、分かりやすく解説します。
職務分掌の作成をサポートする
職務分掌とは
職務分掌とは、「しょくむぶんしょう」と読み、取締役などの役職や職務について担当者の範囲と責任を明確化させ、職務における役割や権限を整理し配分する制度です。
職務分掌を取り入れるのは大企業が多いと言われています。
また近年は、新型コロナウイルス感染症による経営悪化や人手不足により、イレギュラーな仕事が増えたため職務分掌にある職務以外の仕事をする場面も珍しくありません。
職務分掌規定(職務分掌表)とは
職務分掌規定とは、職務分掌で決められた職務や範囲、権限を記載した規定書で、「職務分掌表」と呼ばれるケースもあります。
職務分掌と業務分掌との違い
業務分掌とは、部署単位での業務範囲と責任を明確化させることを指します。
「個人単位」での職務である職務分掌と異なり、業務分掌は「部署単位」という大きな枠組みでの役割や権限が配分されている点に違いがあります。
職務分掌とセグリゲーションとの違い
セグリゲーションとは、従業員の不正やミスの防止を目的として、職務の役割と権限を明確化させることです。
組織運営の効率化が目的である職務分掌とは異なり、セグリゲーションは従業員の不正やミスの防止が目的です。
職務分掌のメリット
職務分掌は組織運営の効率化が期待できるなどのメリットがありますが、具体的にどのような効果があるのかについて確認してみましょう。
職務分掌のメリット
健全な組織運営ができる
効率的な人材育成ができる
内部統制とリスクマネジメントができる
健全な組織運営ができる
職務分掌は「いつ誰が何をするのか」が明確化されるため、従業員がやるべき仕事が見えやすくなります。
そのため仕事の優先順位付けができ、業務がスムーズに遂行できるでしょう。
組織が大きいほど、業務に関わる従業員や業務内容が膨大になるため、職務の役割や責任を明確化しなければなりません。
また、適切な職務分掌はミスやトラブル防止に繋がるため組織運営の健全化が期待できます。
効率的な人材育成ができる
職務分掌は、人材育成を効率的に進める事ができます。
従業員のやるべき仕事が明確になるため育成計画が立てやすく、さらに育成指導を受ける従業員も目標が明確化されるため、目標に集中して行動できるようになります。
また、効率的な人材育成に基づいた適切な評価は、従業員のモチベーション向上に繋がり、さらなる目標意識やチャレンジ精神を育み、主体性を持った人材を育成できるでしょう。
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内部統制とリスクマネジメントができる
職務分掌は、組織の内部統制とリスクマネジメントができます。
従業員の職務ごとに仕事の範囲や責任が明確になっているため、業務上のトラブルやミス、不正が発覚しても担当者や責任者がすぐに分かります。
また、組織でのリスクマネジメントは「1人の人間に権限を集中させない事」が基本です。
職務分掌のように職務別に権限を分散させて、権限の偏りを避ければ周囲の従業員がチェックしあえる環境になるため、不正や隠ぺい、虚偽などの不正防止が期待できます。
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職務分掌のデメリット
職務分掌には、組織運営や人材育成の効率化、リスクマネジメントなどの効果が期待できる一方で、デメリットもあります。
職務分掌を実行する前に知っておきたいデメリットと対策について確認してみましょう。
職務分掌のデメリット
業務範囲が制限される
指令系統の硬直化のリスクがある
業務範囲が制限される
職務分掌は、「いつ誰が何をやれば良いか」が明確に分かりますが、裏を返せば「決まった業務以外はしなくて良い」と捉えられるリスクがあります。
そのためイレギュラーに発生した仕事に誰も手をつけないケースも考えられます。
イレギュラーな仕事は、業務の手順や責任を負う部署が確立されていないケースが多く、通常業務に割ける時間や労力も限られてしまいます。
そのため、職務分掌で決められた以外の新しい仕事は、責任の押し付け合いになり、軋轢が生じる可能性があります。
2020年に台頭した新型コロナウイルス感染症のように、いつ新しい感染症や自然災害が発生するか分かりません。
このような事態が発生した時に備えて、「職務分掌でイレギュラーな仕事の業務範囲や権限を詳細に決める」「ジョブローテーション制度を採用して業務の属人化を防ぐ」など、イレギュラーな仕事の進め方を事前に社内で決めておきましょう。
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指令系統の硬直化のリスクがある
職務分掌では、組織全体の指令系統が硬直化するリスクがあります。
職務内容が明確になれば、マネジメント担当と責任を負う管理職の存在も明確になります。
そのため「あの業務を進めるには上司の許可が必要」「上司から言われなければ仕事を進めなくて良い」と指示待ち状態が発生するかも知れません。
指令系統が硬直すれば、従業員の自主性が損なわれ、組織全体の労働生産性の低下へと繋がります。
指令系統の硬直化を防ぐためには、従業員の自主性を高めるためにOKRなどの目標設定と評価制度が重要です。
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職務分掌の作り方
職務分掌の規定を記す「職務分掌表」の作成方法について確認してみましょう。
職務分掌の作り方
組織図で会社全体を把握する
部署と職務単位で職務内容を細分化する
権限の振り分けをする
職務分掌表を作成する
組織図で会社全体を把握する
まずは自社の組織図を作成し全体を把握しましょう。
職務分掌では、職務1つ1つと組織全体とリンクした制度設計が重要だからです。
組織図には、本社・支社・各地の営業所、各部門・部署やチームなど、詳細を記載します。
部署単位で組織を把握できれば、のちに職務の役割や権限の範囲に繋がりが見つけやすくなり、連携すべき業務が把握できるようになります。
また、「なぜ職務分掌を取り入れるのか」について経営層にヒアリングを行い、組織としてのビジョンを共有すると設計がスムーズです。
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部署や職務単位で職務内容を細分化する
各部門や部署、チーム単位でどのような職務や役職、業務の範囲や権限があるのかを確認します。
現状の職務が持つ役割を明確にすれば組織の業務を俯瞰的に見れるようになるため、業務の重複や非効率な作業を発見できる手掛かりになります。
また、部署や職務単位で今どんな業務を担当しているのか、社内アンケートを実施すると良いでしょう。
現場の声を取り入れる事で人事の主観を排除でき、より客観的に職務内容と役割を確認することができます。
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権限の振り分けをする
部署単位で職務を細分化できたら、権限の振り分けをします。
組織と部署を横断的に見て、関連部署同士を繋ぎ合わせる事が大切です。
なぜなら権限が曖昧な場合、将来イレギュラーな仕事が発生した際に、責任の押し付け合いや軋轢を生むリスクがあるからです。
権限の振り分けは、組織図をもとに関連性が高い部署を繋げて整理すると良いでしょう。
職務分掌表を作成する
作成した組織図と職務の役割と権限をもとに職務分掌表を作成します。
職務分掌表を作成する際のポイントは、経営者と各部署の担当者との声を反映させる事です。
綿密なヒアリングをすることで、職務分掌表で決められた事項と現実との間でギャップが生まれることを防ぎ、実現性が高い職務分掌表が作成できます。
具体的には、経営者には中長期的なビジョンや経営方針を確認し、各部署の担当者には役割と権限に不備や不足がないかの確認を取ります。
また、職務分掌表の作成後は定期的な見直しが必要です。
社内アンケートやモチベーションなどの調査が人事施策の見直しに有効です。
中でも従業員に対して簡単な質問を短期間で繰り返すパルスサーベイを実施すると良いでしょう。
▼「職務分掌の作り方」についてさらに詳しく
【実践編】職務分掌の作成から活用法を具体例をもとに徹底解説
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ミッション、ビジョン、バリューの作り方とは?具体的な事例も紹介
▼「パルスサーベイ」についてさらに詳しく
パルスサーベイとは?意味や目的と質問項目を解説
「パルスサーベイ」の導入効果やメリットを解説
⇒「HRBrain パルスサーベイ」資料ダウンロード
職務分掌は組織の効率化を実現する施策
職務分掌には、職務の役割や権限を明確化し業務上の混乱を防ぐ効果があります。
さらに、内部統制や人材育成、OKRなどの目標管理の効率化にも繋がるため、組織の結束力をさらに高めたいと考える企業にとっては、必須の施策と言えるでしょう。
職務分掌表を作成するためには、組織図の作成を行い自社の全体を把握することが大切です。
また、社内の従業員の個々のスキルや経験を活かせるよう、各部署と職務の役割や権限を適切に把握しなければなりません。
「HRBrain タレントマネジメント」は組織図ツリーの作成や、社内のあらゆる従業員データの一元管理と見える化を実現します。
また、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、研修などの育成履歴や、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、1on1やフィードバックなどの面談履歴、OKRなどの目標設定と進捗管理などを一元管理します。
HRBrain タレントマネジメントの特徴
検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現
運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
▼「タレントマネジメント」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
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