#人材管理
2024/08/01

従業員エンゲージメントとは?向上施策・事例も紹介

目次

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従業員エンゲージメントは、従業員の「企業への信頼」を意味する言葉で、会社に「自発的に貢献したい」と思う意欲を指します。日本の企業における従業員エンゲージメントは世界最低水準という調査結果もあり、グローバル経済を生き抜くには改善が必要とされています。従業員エンゲージメントの概念や高める方法、従業員エンゲージメントを高めることでのメリットについて、事例を踏まえて解説します。

従業員エンゲージメントとは?その定義とは?

従業員エンゲージメントとは、従業員が会社の向かっている方向性(企業理念)に共感し、業績向上のために、自発的に「会社に貢献したい」と思う意欲のことを指します。

一言で表すなら、「従業員の企業に対する信頼の度合い」や「従業員と企業とのつながりの強さ」といえます。

従業員エンゲージメントは、わかりやすいようで実は定義があいまいです。このため、従業員エンゲージメントを高めるには、企業それぞれが独自の「従業員エンゲージメント」を定義する必要があります。

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従業員エンゲージメントの3つの要素

従業員エンゲージメントを構成する3つの要素として、ウイリス・タワーズワトソン社は3つのポイントをあげています。

従業員エンゲージメントの維持や向上のためには、従業員エンゲージメントの構成要素をしっかりと意識しておくことが必要です。

  • 理解度

  • 帰属意識

  • 行動意欲

理解度

従業員エンゲージメントの構成要素の1つ目は「理解度」です。

理解度とは、従業員が企業のビジョンや方向性を具体的に理解し支持している状態であることをさします。企業と従業員の方向性が一致することで、共感が生まれ、従業員が当事者意識を持てるようになり、業績向上につながりやすくなります。

従業員の理解度を高めるためには、企業が明確な経営方針や理念を、従業員に対して説明することが求められます。

帰属意識

従業員エンゲージメントの構成要素の2つ目は「帰属意識」です。

帰属意識とは、企業や組織、一緒に働く仲間などの集団に属している一員であるという自覚をさします。帰属意識が強いほど、共感度が高まり、従業員エンゲージメントは向上します。

従業員の組織にコミットする意欲や、仲間とのコミュニケーションが活性化され、組織の一体感や、愛着が生まれます。

行動意欲

従業員エンゲージメントの構成要素の3つ目は「行動意欲」です。

行動意欲とは、従業員が組織の成功のため、自主的に行動することをさします。
従業員の高い行動意欲を維持するためには、成果に対する適切な評価や、やりがいを感じられることが必要です。そのため、企業は納得感のあるフィードバックや、従業員が組織に必要とされている実感が持てるようにすることが大切です。

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従業員エンゲージメントと混同しがちな用語

従業員エンゲージメントを正しく理解するために、従業員満足度やモチベーションなど、混同しがちな用語と、従業員エンゲージメントとの相違点を確認してみましょう。

従業員エンゲージメントの基礎知識

従業員エンゲージメントと従業員満足度

従業員満足度とは、居心地の良さに重きが置かれています。従業員満足度を高めることは大切ですが、必ずしも企業の業績に結びつくものではないので、注意が必要です。

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従業員エンゲージメントとワークエンゲージメント

ワークエンゲージメントとは、従業員の「メンタル面での健康度」をあらわすもので、「熱意」「没頭」「活力」の3つの要素が満たされている心理状態のことをいいます。

ワークエンゲージメントが高まると、ポジティブな状態で業務を遂行することができます。従業員のワークエンゲージメントを高めることで、従業員の仕事のパフォーマンスや成果があがり、企業全体の生産性の向上につながります。また、離職率を下げることもできます。

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従業員エンゲージメントとロイヤリティ

ロイヤリティとは、「忠誠心」のことで、従業員だけではなく顧客に対しても使われる用語です。日本では伝統的に企業が従業員に対して圧倒的な力を持っていたため、ロイヤリティが重視される傾向にありました。

ロイヤリティの高さが企業への貢献につながる場合もありますが、企業と従業員は明確な主従関係になるため、従業員自身の判断力や想像力が育たず、指示待ち人材になってしまう、といったネガティブな結果を招く可能性もあります。

従業員エンゲージメントとコミットメント

コミットメントとは、企業が従業員に対して結果や行動を要求し、従業員がそれに応えている(承認している)状態をいいます。従業員エンゲージメントが自発的に企業への貢献のために行動するのに対して、コミットメントは会社が従業員に対して判断を迫ります。

従業員エンゲージメントとモチベーション

従業員のモチベーションとは、従業員自身の心理状態を指します。対して、従業員エンゲージメントは従業員と企業との間の関係性を表します。

日本企業の従業員エンゲージメントは「世界最低水準」!?

米ギャラップ社が世界139か国の企業を対象にしたアンケート結果によると、日本企業の従業員エンゲージメントは132位にランクしており、世界最低水準にとどまっています。

各国の社会情勢や労働環境が異なるため単純比較できる数字ではありませんが、日本企業には改善すべきポイントがあるといえるでしょう。

元々、従業員エンゲージメントの考え方はアメリカで生まれたのですが、最近では、この考え方を参考に改善に向けた取り組みを行う日本企業も増えてきているようです。

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従業員エンゲージメントが重視される理由

従業員エンゲージメントが重視されるようになった理由は、多くの企業において採用や組織開発の領域で、さまざまなメリットがあるためです。

従業員エンゲージメントが重視される理由について確認してみましょう。

離職率の低下と人材確保

少子化による労働人口の減少や、働き方の多様化によって、企業の採用競争率が高まり、今後ますます人材の確保が難しくなってくることが予想されています。

そのため、一人でも多くの優秀な人材を確保し、長く働き続けてもらうことが、大切になっています。

会社が従業員にとって、働きやすく能力を発揮できる場所であるために、従業員エンゲージメントを高めることで、従業員の帰属意識が高まり、人材の定着率が上がり、離職率を低下させることができます。

生産性の向上と事業の成長

従業員エンゲージを高めることは、従業員の生産性の向上につながります。従業員エンゲージメントが高まると、従業員ひとりひとりが高い自主性をもつようになり、自ら業務の改善や効率化をはかるようになるため、結果として生産性が向上するのです。

さらに、生産性が高まることで、質のよいサービスや商品が生まれやすくなり、企業としての利益が増え、業績が向上していくと考えられます。

従業員のモチベーション維持

従業員エンゲージを高め、組織全体の一体感を強めることで、従業員ひとりひとりがモチベーションを保ちやすくなるでしょう。

働き方の多様化や、テレワークの普及により、対面でのコミュニケーションが減り、従業員の特性や業務状況を把握することが難しくなってきています。また、テレワークによるコミュニケーション不足や孤独感からモチベーションが低下してしまうことも問題となっています。

企業は従業員ひとりひとりの、仕事に対する姿勢を正しく評価し、従業員ひとりひとりが企業に必要とされてることを感じられるよう、働きかけることが大切です。

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従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めると、どのようなメリットがあるのかを確認してみましょう。

会社の業績が向上する

従業員エンゲージメントの向上により得られる、もっとも大きなメリットのひとつは、従業員エンゲージメントの高さに比例して「業績が向上すること」です。

世界各国でコンサルティングを手掛けるタワーズワトソンの調査(『Global Workforce Study』)によって、従業員エンゲージメントが高い企業と低い企業では営業利益率に約1.5倍の差が見られる、ということが明らかになりました。

また、株式会社リンクアンドモチベーションの研究(「エンゲージメントと企業業績」に関する研究)によると、従業員エンゲージメントのポイントが1ポイント向上すると営業利益率が0.35%向上する、とされています。

会社の雰囲気が良くなる

従業員エンゲージメントの向上により、従業員が企業理念に共感し、業績の向上に対して積極的にかかわり合うので会社に活気が出てきます。

顧客満足度が向上する

従業員エンゲージメントの向上により、従業員が自発的、積極的に行動することで仕事の生産性や質が上がり、顧客満足度の向上にもつながります。

離職率が下がる

従業員エンゲージメントの向上により離職率も低下します。採用にかかる費用を減らせることから、会社の資金を有効活用することができ、良い循環を生み出すことができます。

従業員エンゲージメントを高める方法

従業員エンゲージメントを高める方法

従業員エンゲージメントを高めるためには、さまざまな方法があります。

ただし、社風や地域性などによって最適な方法は異なるので、他社のやり方をそのままコピーしてもうまくいくとは限りません。自社に合ったやり方を模索する必要があります。

従業員エンゲージメントの高い企業に共通しているのは、全社員が企業のビジョンを共有し、壁をつくらない活発なコミュニケーションがなされ、結果として互いに尊敬し合える関係が作られていることです。

そのためには、経営者や直属の上司が、部下に対して理念や熱意をざっくばらんに語れる雰囲気づくりがもっとも必要と言えるでしょう。

ワークライフバランスは重要な項目ですが、重視しすぎると従業員満足度の向上のみにとどまってしまいます。従業員エンゲージメントを高めるには、従業員が適度なストレスを感じることも時には必要といえるかもしれません。

また、組織との関わりを通じて得られる体験や経験である「従業員エクスペリエンス」の改善は、従業員エンゲージメントの向上につながります。

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従業員エンゲージメントを高めるカギは「従業員エクスペリエンス」

鍵は従業員エクスペリエンスにあり!従業員エンゲージメントを高める重要なポイント

人的資本情報開示の義務化や、働き方改革によって、日本の企業でも「従業員エンゲージメント」への注目が高まっています。

自社の従業員エンゲージメントを高めたいと考える際に、ポイントとなるのが「従業員エクスペリエンス」です。

従業員エクスペリエンスとは、従業員がその企業で働く上で得られる体験のことで「従業員の満足度や幸福度を高めること」を意味しています。

従業員エクスペリエンスを向上させることで、生産性の向上や離職率の低下が見込めるとともに、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。

従業員エンゲージメントが注目される理由や、従業員エンゲージメントの向上施策とあわせて、従業員エンゲージメントに深く関わる「従業員エクスペリエンス」について、確認してみましょう。

この資料で分かること

  • 従業員エンゲージメントとは

  • 従業員エンゲージメント施策の重要なポイント

  • 従業員エクスペリエンスとは

  • 従業員エクスペリエンスの可視化・改善を行うためには

従業員エンゲージメントの観点から見た日本の特性

従業員エンゲージメントの観点から見た日本の特性について確認してみましょう。

従業員エンゲージメントの指標は国や企業によって異なります。
世界の企業ではエンゲージメントの高さの要因の1位に挙げられる「経営者のリーダーシップ」が、日本の企業においてはあまり重視されていません。

上述した、タワーズワトソンの調査では、日本で重視されるエンゲージメントの項目、上位3位は以下の結果になっています。

  • 1位:ストレス、バランス、ワークロード

  • 2位:企業の社会的認知、社会的使命

  • 3位:直属の上司

従業員エンゲージメント向上における企業での取り組み事例

従業員エンゲージメントにおいて、企業での取り組み事例について確認してみましょう。

従業員エンゲージメント向上への取り組み事例:小松製作所

建機大手の小松製作所では、マネージャー層の能力の強化によって、従業員全体のエンゲージメントを強化することに取り組みました。経営陣よりも現場の従業員に近い位置にいるマネージャー層こそ、従業員エンゲージメントへの影響が大きい存在であると考えたのです。

マネージャーたちは、信頼を得ること、部下のモチベーション向上の方法、変化への対応力、チームワークの取り方、権限委譲の重要性、この5項目に関する研修とワークショップを受講しました。

このような意識強化によって、従業員エンゲージメントが33%から70%に向上しました。その結果、わずか半年間で工場のパフォーマンスが9.4%向上したといいます。

従業員エンゲージメント向上への取り組み事例:スターバックスコーヒージャパン

誰もが知るアメリカのコーヒーチェーン、スターバックスは、従業員が学士号をとるための資金援助を行うといったユニークな経営でも知られています。日本でも通信教育の補助を行い、従業員が業績向上のために自身のスキルを磨くサポートを行っています。

また、そうした支援だけではなく、根本的な働き方も他社とは違っています。チェーン展開をする飲食店としては珍しく、マニュアルがほとんどないというのもそのひとつでしょう。

マニュアルによって従業員を管理するのではなく、アルバイト・パートタイマーを含めたスタッフを「パートナー」と呼び、スターバックスの理念に共感してもらうように働きかけているのです。本部の人事部長である久保田氏によれば、国内の3万3千人を超える「パートナー」のうち、8割以上がアルバイトで占められています。

これほど多数のスタッフの行動をマニュアルによって管理するのは至難の業ですが、従業員エンゲージメントを高めることで「自発的に」お客様や店舗のためを思った行動につなげているのです。

従業員エンゲージメント向上への取り組み事例:株式会社鴻池組

株式会社鴻池組は、主に建設工事の企画や測量、設計、監理、請負及びコンサルティングを行う創業150年のゼネコンです。入社後のミスマッチによる早期離職や、理念浸透が進んでいないことに課題を感じていました。

課題

  • 入社後のミスマッチによる早期離職が課題であった

  • 理念や情報の浸透・伝達に課題、社員が目にする機会が少なく会社からのメッセージが届きづらかった

課題解決のカギ

  • エンゲージメントを向上させるための組織診断サーベイ「EX Intelligence」を導入

  • 「EX Intelligence」で明確になった組織の具体的な課題を若手研修などに早急に活かし実行

社員満足度ではなく、エンゲージメントを調査できる組織診断サーベイ「EX Intelligence」を導入。「EX Intelligence」により明瞭化した期待値と実感値のギャップから、組織の具体的な課題を抽出し若手研修などに活用し、早急に組織改善に踏み切ることができました。

システム導入効果

  • サーベイの結果から部署ごとの課題を抽出し、経営層と現場へ具体的なフィードバックができるようになった

  • 中期経営計画に行ける組織のKPIとしての指標ができた

導入システム
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導入事例
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従業員エンゲージメント向上はこれからますます重要な取り組みに

従業員エンゲージメントという考え方は、これまで日本では浸透していなかったこともあり、あまり重視されていませんでした。しかし、企業活動がグローバル化し、世界的な競争力が必要とされることや、人的資本情報開示の義務化、終身雇用を始めとした日本型の雇用体系が変化する中で、従業員エンゲージメントを高める取り組みは今後、ますます重要視されていくでしょう。

従業員エンゲージメントを高めるには、各企業が方針や経営理念を掘り下げて明確に定義し、フィードバックや業務の社会的意義の共有など、従業員一人ひとりに対して働きかけていく必要があります。事例などを参考にして、従業員エンゲージメントを高められるよう、工夫してみてください。

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従業員エンゲージメントを「EX Intelligence」で改善

従業員エンゲージメントを高めるには、組織との関わりを通じて得られる体験や経験である、「従業員エクスペリエンス」を改善することが重要です。

国内初の従業員エクスペリエンスクラウド「EX Intelligence」は、組織と個人の課題を見える化し、個別最適化された施策実行を実現することで、ひとりひとりが躍動する組織へ導きます。

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株式会社HRBrain 吉田 達揮
吉田 達揮
  • 株式会社HRBrain 執行役員

  • ビジネス統括本部 本部長

  • 人的資本TIMES編集長

新卒で東証プライム 総合人材サービス企業に入社。2020年HRBrainに入社。
人事制度コンサルティング部門の立ち上げから大手企業向けのクラウド営業に従事。
また社内タレントマネジメントのユニットの立ち上げと運営を担当。
以後、事業企画にてゼネラルマネージャーとして全社戦略の策定・推進を担当。
その後、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供しているEX事業本部を管掌。
2022年4月に執行役員へ就任。2023年4月よりビジネス統括本部の本部長として全体を統括。「人的資本TIMES」の編集長も兼務。

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