#人材管理
2024/09/02

【解説】スキル管理ツールとは?導入メリット・スキルマップとの関係も

目次

この記事では、スキル管理ツールの導入メリット、スキルマップ、その機能について紹介します。

スキルとは?

スキルとは、主に訓練・学習によって会得した能力・技能のことを指します。

それは業務を行ううえで必要となる専門知識・技術のことだけを指す言葉ではありません。

他者と良好な関係を築くためのコミュニケーション能力、マネジメント能力、持っている資格など、幅広い意味で使用されています。

また近年、「ポータブルスキル」というワードにも注目が集まっています。

ポータブルスキルの構成要素を厚生労働省が提唱する情報をもとに解説すると、以下の3つに分けられます。

  • 専門技術/知識

  • 仕事のし方

  • 人との関わり方

※参考( “ポータブルスキル” 活用研修

スキル管理ツールとは?

スキル管理ツールとは、従業員が持っているこのようなスキルを可視化し、社内で共有するためのツールです。

従業員の現在の業務内容のみに捉われず、過去の経歴から得たスキル・趣味・特技をすべて網羅したデータが搭載されることが特徴です。

そのため、人材の配置・育成に繋げることができます。

【人事・経営者視点】スキル管理ツール導入のメリット

人事担当者・経営者の視点から、スキル管理ツールを導入するメリットについて紹介します。

スキルの把握

従業員が持っているスキルを可視化することで、持っているスキル・足りないスキルの両方を把握できます。

それは部署に配置された従業員のスキルの総量を確認できるだけではありません。

例えば、前職でWeb広告に携っていた従業員に「新しくWEBマーケティングに特化した部署を作ろうと思うのだけれど……」と採用にあたってアドバイスを求めるだけでなく、従業員の希望を聞いて抜擢することもできます。

このように中途採用の従業員の過去のスキルを把握することは、人材の活用に有効です。

不足しているスキルの把握

また「不足しているスキル」について把握することも大切です。

なぜならスキルが可視化されていれば、従業員の一覧から「不足しているスキルの総量」をひと目で理解できるからです。

従業員のスキルアップのために、不足しているスキルを補うための施策(研修・教育など)ができます。

それは従業員のキャリアアップにも繋がります。

スキルの育成・継承

従業員の持っているスキルを育成することだけではありません。
定年による退職などに備えて、スキル継承のための計画を立てることもできます。

スキルの活用

従業員が過去に経験したことのある業務スキルについて登録してもらい、それを会社が把握することは、眠っていたスキルの活用に繋がります。

欲しい人材のスキルを項目化すれば、検索によって該当の人材をピックアップすることも可能です。

業務効率アップ/パフォーマンスの最大化

従業員のスキルを把握することは、適材適所の人材配置にも繋がります。

従業員のスキルに見合った環境を与えることで、その才能・適性が開花し、業務効率のアップも期待できます。結果、パフォーマンスのアップも見込めます。

人事評価に活用できる

従業員のスキル、または持っている資格を、人事評価と紐づけることもできます。

従業員にとっても「〇〇のスキルがあるから△△という評価を得た」という明確な評価基準があることは、モチベーションのアップに繋がります。

【従業員視点】スキル管理ツール導入のメリット

つぎに、従業員の視点からスキル管理ツールを導入するメリットについて紹介します。

不足しているスキルのフォロー

持っているスキルを把握することで、足りないスキルも明らかになります。

従業員自身が足りないスキルを自覚し、その克服をするために行動・学習・会得することは、本人のスキルアップにも繋がります。

適材適所の実現

従業員のスキルを把握することで適材適所の人材の配置が可能になります。
本人にとっても力の発揮できる環境を得られることは、大きなメリットです。

モチベーションアップ

会社がスキルを活用しようと働きかけることは、従業員のモチベーションアップに繋がります。

誰しも「自分の得意なこと」「知識があること」を活かせる環境で仕事がしたいと願っているからです。
また自分の向いている業務につくことで、会社からも評価されやすくなります。

そうした好循環が生まれる環境では、総じて人材の定着率も高くなります。

スキル管理ツールの「スキルマップ」

では、スキル管理ツールにはどのようなものがあるのでしょうか。
そのひとつの形として知られている「スキルマップ」について詳しく紹介します。

スキルマップとは?

スキルマップとは、スキル管理を可視化するための仕組みです。

業務に必要な知識・経験・資格などのスキルを洗い出し、従業員がどのレベルにまで達しているのかを一覧化したマップのことを指します。

スキルマップを作成する目的・効果

スキルマップを作成する目的・効果は、以下の5つです。

  1. スキルの強み弱みが把握できる
  2. スキルを維持・管理できる
  3. 社内でスキルを持った人材を探せる
  4. 社内でスキルが継承できる
  5. 適切な人材が配置可能になる

スキルマップはなにで作る?

スキルマップはどのようなツールで作成することができるのでしょうか。

エクセル、システムの2つを例にとって紹介します。

エクセル

スキルマップはエクセルで作成することができます。

そのフォーマットとして参考になるのが、厚生労働省のHPからダウンロードできる 「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」です。

こちらは無料でダウンロードが可能です。

事務系職種・スキルマップのテンプレートでは、以下の職種のフォーマットが参考にできます。

  • 人事・人材開発・労務管理・生産管理・ロジスティックス

  • 経営情報、情報システム、営業・マーケティング・広告

  • 企業法務、・総務・広報、経理・資金財務、経営管理分析・国際経営管理、貿易

スキルマップはこのようにエクセルでも作成できますが、個別のファイルで管理することになるので、それぞれのファイルを都度更新する必要があるのがデメリットです。

これでは社内の人材を活用したいと人事担当者が考えたとしても、個別ファイルをすべて開いて確認しなければならないため、かなりの業務の工数がかかります。

システム

スキルマップとして使えるシステムの一例として、タレントマネジメントシステムがあります。

導入するシステムにもよりますが、一般的に以下のようにスキル・資格・研修の履歴などを一元管理して可視化・蓄積することができます。

  • 業務上必要なスキル

  • 業務経験・キャリア

  • 資格

  • 研修履歴・教育状況

タレントマネジメントシステムを使うと業務に適した人材のピックアップ・検索が容易になります。

しかしエクセルと違い、タレントマネジメントシステムは導入コスト・月額のランニングコストがかかる場合があります。

ただ、会社の規模・利用人数に合わせたプランや、ベーシックな機能に絞って導入できるプランもあり、現在は比較的リーズナブルにお試しができるものも増えています。

従業員のスキル把握に苦戦している場合は、導入してみるのもひとつの方法です。

スキルマップ作成の流れ

スキルマップ作成する場合は、「誰がそのスキルマップを作り、どのように運営し、評価するのか」を決定しましょう。

エクセルを使用する場合、またタレントマネジメントシステムを導入する場合でも、以下の流れは変わりません。

  1. スキルマップの作成者を決定
  2. スキルマップの項目を作成
  3. スキルマップのレベルを設定(評価段階)
  4. スキルマップの評価者を決定
  5. スキルマップの管理者を決定
  6. スキルマップの更新時期を決定

詳しくはこちらを参照ください。

参考リンク:スキル管理とは?必要性や方法、スキルマップの作り方について解説

スキルマップ作成時の注意点

スキルマップ作成・導入時の注意点についてお伝えします。

どのようなスキル管理ツールを使う場合でも、従業員にその目的をしっかり伝える必要があります。

とくにスキル管理ツールを活用することで「従業員の特技や適性、スキルが活かされる」、「従業員にもメリットがある」など、スキル情報によって適材適所の配置が可能になります。

従業員にもメリットが還元されることを、熱意をもって伝えましょう。

スキル管理ツールの機能

ここではスキル管理ツールとして用いられるタレントマネジメントシステムについて、その一般的な機能を紹介します。

スキルの一元管理

スキル管理ツールでは、エクセルの個別ファイルで管理する方法とは違い、自社の人材を部署に関わらず、横断的に把握することができます。

異動の場合でも、データをシームレスに引き継ぐことが可能です。

メリットで挙げたように、スキルの一元管理ができるため、部署ごとにスキルの強み・弱みを把握することができます。

従業員によるスキルの記入

スキル管理ツールによっては、従業員に自身のスキルを記入してもらうことも可能です。

その場合は、スマホ端末に対応しているツールを選ぶのがおすすめです。

スマホという身近な端末から、従業員は気軽にスキルを記入・更新することができます。

スキル情報の閲覧・検索

従業員が記載したスキルを、人事担当者は閲覧・検索することができます。

例えば「〇〇というスキルを持った人材を社内で集めたい」というニーズがあった場合でも、簡単に検索ができます。

条件にあった人材をすぐに把握できるため、事業展開のスピードもアップします。

必要に応じたスキル項目やレベルなどを設定できる

スキル管理ツールによっては、自社の独自の業務に対応したスキルの項目を新たに作成することもできます。

ただスキルに「あり」「なし」だけでなく、5段階評価など細かくレベルを設定することもツールによっては可能です。

その場合、どの程度そういったニーズがあるのか、事前に社内でスキル項目の洗い出しをしておくと、スキル管理ツールの導入がスムーズです。

スキル管理ツールの導入事例

最後に、スキル管理ツールの導入事例をお伝えします。

株式会社大光銀行

株式会社大光銀行は、新潟県を中心に店舗を展開し、普通銀行業務(預金業務、融資業務、為替業務、国際業務、証券業務、信託業務、代理代行業務、保証業務、その他)を行っています。

とくに、「従業員の能力」や「保有スキル」「研修履歴」「人事考課」などのスキル管理を「人材改革」の基盤として活用しています。

従業員のデータを可視化することで、経営面で迅速な判断を可能にしたり、適材適所の人事異動の実施を行っています。

また、従業員のデータをもとに、直近3年間の評価上位者を抽出し、ハイパフォーマーのタイプの分析のためにタレントマネジメントシステムを活用しています。

参考リンク:株式会社大光銀行 | 導入事例

これで分かる!「スキル管理ツール」チェックリスト

スキル管理ツールとは、従業員が持っているスキルを可視化し、社内で共有できるツールです。

人事担当者・経営者視点と、従業員視点の2つに分けて、それぞのれメリットについてそれぞれ箇条書きで紹介します。

【人事・経営者視点】スキル管理ツール導入のメリット

  • スキルの把握

  • 不足しているスキルの把握

  • スキルの育成・継承

  • スキルの活用

  • 業務効率アップ/パフォーマンスの最大化

  • 人事評価に活用できる

【従業員視点】スキル管理ツール導入のメリット

  • 不足しているスキルのフォロー

  • 適材適所の実現

  • モチベーションアップ

つぎに、スキル管理ツールのひとつである「スキルマップ」について紹介します。

スキルマップを作成する目的・効果は、以下の5つです。

  • スキルの強み弱みが把握できる

  • スキルを維持・管理できる

  • 社内でスキルを持った人材を探せる

  • 社内でスキルが継承できる

  • 適切な人材が配置可能に

スキルマップはエクセルでも作成することはできますが、従業員ひとりひとりにファイルを作成する必要があるため、会社の規模が拡大するごとに管理が煩雑になります。

スキルの一元管理・可視化ができるタレントマネジメントシステムの活用がおすすめです。

スキルマップを作成方法を具体的に紹介します。

  • スキルマップの作成者を決定

  • スキルマップの項目を作成

  • スキルマップのレベルを設定(評価段階)

  • スキルマップの評価者を決定

  • スキルマップの管理者を決定

  • スキルマップの更新時期を決定

とくにスキルマップを導入する際に注意しなければならないのは、従業員にその目的をしっかり伝えることです。

スキル管理ツールを活用することで「従業員の特技、適性、スキルが活かされる」と、メリットがあることを強調します。

そうでなければ「また余計な記入の手間(仕事)が増えた」と、せっかくの施策がマイナスに受け取られてしまう恐れがあります。

スキル管理ツールのひとつとして注目を集めているタレントマネジメントシステムの一般的な機能には、以下の4つがあります。

  • スキルの一元管理

  • 従業員によるスキルの記入

  • スキル情報の閲覧・検索

  • 必要に応じたスキル項目やレベルなどを設定できる

HR大学編集部
HR大学 編集部

HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。

\ この記事をシェアする /

  • X
  • LinkedIn

おすすめ記事