#人材管理
2024/08/06

【人事必見】適材適所とは?ビジネス上の意味・実践的な方法・事例

目次

「適材適所に人材配置できたら…」と悩んだ経験ありませんか?当たり前に使っている「適材適所」を正確に把握すれば、異動や人材配置と言った人事施策をスムーズに進めることができるかも知れません。適材適所の意味や効果、役立つ施策や成功事例を解説します。

「従業員のスキルやニーズの見える化ができず、社員の適正に合った配置をできていない」
「人事異動後のフォローができておらず、異動・配置の振り返りができていない」
など、お悩みの方も多いのでは無いでしょうか。
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適材適所とは?

適材適所とは

適材適所の意味を、一般的/ビジネスにおける観点から確認しましょう。ニューノーマル時代の今だからこそ適材適所の必要性、求められる背景を解説します。

一般的な適材適所の意味

goo辞書によると“【適材適所】その人の能力・性質によくあてはまる地位や任務を与えること。”と定義されています。

人に適した場所に配置させる意味を持ち、日常生活でも馴染みある四字熟語・諺(ことわざ)の1つです。

類義語として「量才録用」があり、適所適材と同じく能力を十分に発揮できる場所に配置させる意味を持っています。

ビジネスにおける適材適所とは

ビジネスにおいて「適所適材」とは、従業員の特性や経験/スキル・資格を把握した上で、適任だと思う部署へ配置させます。

配置するタイミングや業務内容、配置部署の現状などを勘案し配属させる事で、組織全体の利益追求・業務の最適化を目指しています。

なぜ適材適所が必要なのか

多くの人事担当者が適材適所の実現に向けて頭を悩ませています。なぜなら働き方改革・新型コロナウイルス感染症による影響で、働き方の大変革が起きている事が要因の1つです。

求人大手メディアdodaのホンネの転職白書によると、25~39歳の正社員として就業する人の約50%が転職経験をもっていると言われるため、人材の定着は難しい状況だと分かります。さらに最低賃金が毎年上がり続けているため、人件費の負担が大きく増加しています。厚生労働省の発表した最低賃金時間額を見ると、日本全国の最低賃金時間額は平均すると毎年約1~3%上昇しています。最低賃金時間額の全国平均を見ると2010年の730円から2020年は902円であり、10年間で+172円と約24%上昇しました。

ニューノーマル時代や変わりゆく社会情勢にも適応するためにも、限りある資源の中で最大限のパフォーマンスを発揮しなければなりません。経営資源である「ヒト」を最適化する事で、組織内の無駄を省く効率化が必要なのです。

適材適所の実現による効果

適材適所の実現による効果

適材適所が実現するとどんな効果/メリットがあるのか解説します。

生産性の向上

適材適所は従業員の生産性を向上させます。従業員の特性や能力を十分に発揮できる職場であれば、従業員の生産性向上に繋がるからです。

生産性の向上は、深刻な社会問題になっている「人手不足問題」にも対応できるでしょう。従業員が不足する人手不足は、一人当たりの業務量が増え、健全な営業ができなくなるなど悪影響が発生します。しかし生産性が向上すれば、多くの業務量を効率良く回せるため人手不足をカバーできるかも知れません。

人手不足に対応できる理由や生産性を上げる方法や計算式について、さらに詳しく知りたい方は「人事が知るべき”生産性”とは?計算式・上げる方法・失敗要因・役立つ制度とは」をご確認ください。

従業員の離職防止

適材適所は従業員の離職防止に効果が期待できます。従業員の退職理由を聞いた時に「キャリアアップしたい」「別の職種にチャレンジしたい」と言われた経験はありませんか?
自分の経験・スキルを活かしたい、チャレンジしたいと気持ちを持つ従業員は少なからず存在します。

とくに優秀な人材は自社以外の企業でも通用できるスキルや経験を持っているため、転職のチャンスに溢れています。従業員のスキルや経験・特性や希望/キャリアビジョンに合った配置により、離職防止へと繋がるのです。

従業員の離職を防止する方法や中途採用の定着率を上げる方法について、さらに詳しく知りたい方は「早期離職の理由と問題とは?離職の原因と中途採用の定着率を上げる方法」をご確認ください。

人件費などのコスト削減

適材適所な人材配置は、人件費などのコストを大幅に削減できるでしょう。

例えば、ある業務に対して5時間かかる従業員がいるとします。適材適所の配置により3時間でできるようになれば、浮いた分の2時間分の人件費や経費と言ったリソースを他の業務に充てる事ができます。

業務の効率化により組織全体の余分なコスト削減ができるため、従業員への還元・設備投資や新規事業への余裕へと繋がるでしょう。

適材適所な人材配置をする方法

適材適所な人材配置をする方法

適材適所な人材配置をするための手順とポイントを解説します。

自社の課題と目標を明確にする

自社が抱える課題と目標を確認しましょう。

各部署が担当する従業員数・業務量は適当であるか、対応に必要なスキル/ノウハウを持っている従業員は在籍しているかを確認すると課題と目標が見えるでしょう。明らかにリソースが不足/過剰である場合、組織全体の業務バランスの適正化が必要です。

従業員の適性や意思を知る

従業員の適性を知るために、積極的にコミュニケーションを取ることも必要になります。例えば将来希望するキャリアビジョンや、挑戦したい職種など従業員の意思を確認します。

業務内容を洗い出す

上記の「課題と目標」「従業員の適性」で確認した情報をもとに、配属候補を挙げます。具体的にいつ、どんな業務を担当してもらうのか、具体的に掘り下げて配属候補の部署と擦り合わせを行いましょう。

配属部署と情報共有する

配属部署の決定後、定期的なヒアリングとフォローアップが重要です。
新しい配属先では初めての業務や人間関係に戸惑う従業員も珍しくありません。「目標管理の進捗度」「モチベーションの状況」など情報共有を適宜行いましょう。

目標意識を高める方法として「OKR」と呼ばれる目標管理方法が注目されています。
OKRの基本、1週間のOKR運用スケジュール例について、詳しく知りたい方は「OKR、目標の設定はできたけど、実際の流れは?1週間の運用例」をご確認ください。

OKRの基本から実践まで網羅的に学びたい方のために「OKR入門書」をご用意いたしました。ぜひご活用ください。

適材適所に役立つ人事施策

適材適所に役立つ人事施策

適材適所の人材配置に役立つ施策やポイントを解説します。

ジョブローテーション

「従業員の適性に合う職種が分からない」と悩む場合は、ジョブローテーション制度が役に立つでしょう。ジョブローテーション制度とは、一定の期間で様々な職種/部署を経験させる事です。

多くの業務を経験できるため、従業員が自分の適性に合った仕事を見つけやすいというメリットがあります。

ジョブローテーション制度のメリットやデメリット、実施方法などさらに詳しく知りたい方は「ジョブローテーションのメリット・デメリットを人事視点から解説」をご確認ください。

定期的な検査を実施する

「従業員が今の配属先が適任と思っているか知りたい」というケースには、パルスサーベイ、エニアグラム、従業員アンケートなどの検査を実施すると良いでしょう。

これらの検査は、従業員が抱える問題や不満をアンケートや心理学形式で調査する方法です。従業員の声を聞けるため、メンタルヘルス対策にも活用できるでしょう。

従業員の状況を把握できるパルスサーベイやエニアグラムの基本や導入方法について、さらに詳しく知りたい方は「【事例あり】パルスサーベイとは?目的から実施・活用のポイントまで」「エニアグラムで実現する科学的タレントマネジメントの実践方法」をご確認ください。

人材データベース化する

大企業だと従業員数も膨大なため、データ上で管理するのが効率的です。

人材データベース化する事で、面談でヒアリングした従業員の声を人材データベース化する事で、マネジメント担当者や人事部・経営層が管理しやすくなります。

最新情報を一元的に共有できるので、情報の伝達スピードが速くなりトラブルにも迅速に対応ができるため、適材適所の配置・組織の健全化にも効果的です。

人材データベースの構築方法について、さらに詳しく知りたい方は「人材データベースとは?構築方法とおすすめソフトを紹介!」をご確認ください。

適材適所の成功事例

適材適所の企業事例

適材適所の人材配置に成功した事例を解説します。

ソニー株式会社

ゲーム機をはじめ幅広い電気機器事業を手掛ける国内大手のソニー株式会社

従業員の自主性とキャリア構築、部署/部門を越えた適材適所を実現させる目的のために2015年より社内公募制度のフルモデルチェンジを開始しました。上司の許可なく社内で公開された求人に応募/移動できるシステムです。

業績/評価がある従業員にはFA権を付与する「FA制度」・新しい業務やPJへとチャレンジできる「兼務/PJ型募集」・異動や新しい経験を積みたい機会をサポートする「キャリア登録」の制度を兼ね備えています。

ヤマト運輸株式会社

宅配便事業を手掛ける国内大手のヤマト運輸株式会社

従業員の適材適所な人材配置のために、新入社員全員にジョブローテーション制度を取り入れています。

入社して3年間は経営的視点を持たせる目的のために配送業務やサービスセンター、営業事務など、多様な仕事に取り組むシステムです。3年間のジョブローテーションで自分のキャリアを見つめる機会を与え、適材適所の配置や人材育成を狙っています。

【まとめ】適材適所の配置は人的資源を最適化させる

「適材適所」の意味や効果、役立つ施策や成功事例について解説しました。

適材適所とは、従業員の特性や経験/スキル・資格を把握した上で、適任だと思う部署へ配置させて人的資源の最適化を目指す取り組みです。適材適所の人材/人材配置は、離職防止・生産性の向上・コスト削減など組織成長に大きく貢献します。

適材適所を実現するためには、従業員の適性や経験を活かし必要な部署に情報共有できるよう、人事管理を適切に整備しなければなりません。

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HR大学編集部
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