#人事評価
2024/07/30

評価管理の重要性とは?システムを導入して人事評価を円滑に

目次

有能な人材の発掘や従業員のモチベーションを向上させるためには、適切な評価管理が重要です。

評価管理の目的とは?

人事の評価管理に対する注目は年々高まっています。適切な評価管理を行うことで見込める効果は主に3つ。「経営方針を明確に伝え、行動指針を明文化することができる」「人材育成を促すことができる」「適切な人材配置に役立てることができる」。これはそのまま、評価管理を行う目的でもあります。

経営方針を明確に伝え、行動指針を明文化する

従業員にとって、評価は給与の査定だけではなく、会社の求める人材と経営方針について知る機会でもあります。

人事評価制度の目的の一つは、経営方針やビジョンを明確に伝え、行動指針を明文化することです。その企業がどんな成果や行動指針を求めているのか、評価という形で分かりやすく従業員に提示できます。

人材育成を促す

人事評価では、目標の進捗率や成果によって従業員の評価を下します。適切な評価管理ができれば、それぞれの課題や欠点について、従業員自身が把握する機会にもなります。会社が求めている資格やスキルの獲得に従業員が自発的に取り組む効果もあるでしょう。

評価基準が適切であれば、評価を上げるために従業員が努力するようになります。モチベーションアップにもつながり、人材の育成効果が見込めるのです。

適切な人事配置に役立てる

評価管理によって、それぞれの得手不得手やスキルのレベルなどが管理職にも分かるようになります。パフォーマンスが落ちている社員や、部署を変えたことで成果をあげた社員など、従業員ごとの状況も分かりやすくなり、的確なケアやフォローアップが行えるようになるでしょう。

成果を上げるためには、適材適所に人員を配置することと、一人一人の変化を見て取り、フォローすることが重要です。そのための情報として、評価は役立ちます。

評価管理の手法を理解


評価管理の手法にはいくつかの種類があります。多くの企業が採用している代表的なものが「コンピテンシー評価」「MBO」「360度評価」の3つでしょう。

コンピテンシー評価

『コンピテンシー』(competency)は能力が高い人に共通する行動特性のこと。1970年代にハーバード大学心理学教授であるデビッド・マクレランド氏は、知能レベルや環境が同じ外交官に業績の差が出る理由を研究し、高い業績を上げる人間の行動傾向や特性などを『コンピテンシー』という概念として発表しました。

コンピテンシー評価は、行動特性のパターンについてあらかじめ研究、その職務における理想のモデル像を決定し、それを評価基準として社員を評価します。

評価基準や目指す場所が明確になり、評価がしやすくなります。社内の優秀な社員をモデルとした評価であれば社員も納得しやすいため、効率的な人材育成が可能です。

ただし、この評価制度は評価基準の作成・管理の面でどうしても手間がかかります。導入の際にモデル作成をしなければならないですし、定期的にモデルのバージョンアップが必要になるからです。

▼「コンピテンシー」についてさらに詳しく
コンピテンシーとは?活用メリットやデメリット、導入の流れを解説

MBO(目標管理制度)


あらかじめ社員それぞれの目標を決めておき、それを達成できたかどうか、達成できなくともどこまで目標に迫れたか、『進捗率』で評価を決定する手法です。

この手法では、上司やマネージャーが評価対象者と相談した上で目標設定するのがポイントです。自分の意見が反映された目標であれば、責任感からモチベーションアップも見込めます。また、評価対象者が自ら課題や問題点を見つける能力を育むことができるでしょう。

部下が課題にぶつかったときは、上司が解決方法を一緒に考え、フォローしてあげることがポイントです。目標の設定だけではなく、達成するまでのバックアップもしっかり行うことで、上司との間に信頼関係を築くことができます。

目標を達成できなくても、進捗率をもとにして次の目標を設定することができるため、成長を促すきっかけになります。

この評価制度は、目標設定の最適なレベル調整が大切です。目標が低すぎるとやすやすと達成できてしまって成長が見込めませんし、高すぎる目標は難しすぎて、モチベーションを奪ってしまう可能性もあります。上司の目標設定スキルが問われる評価制度と言えるでしょう。

360度評価

通常の人事評価は、マネージャーや上司など1人の人間が行うことがほとんどですが、『360度評価』は、上司だけでなく同僚や評価対象者自身も同じ人物に対する評価を行うことで、多角的な評価を得る手法です。

上司やマネージャーだけでなく、自分をよく知る人間から評価されることで、評価の信頼性が増し、受け入れやすくなるのが利点の一つです。

複数の人間の多角的な視点で課題や欠点に気づくことができ、自己評価と周りから見た評価のギャップに気づくことができるのも利点の一つですが、周囲との人間関係に亀裂が入ることもあるので、評価の伝え方に工夫が必要な評価制度です。

評価管理システムとは

hrbrain evaluation management 1

一人一人を評価していくのはかなりの重労働です。社員数が多い企業では、評価記録の管理にも手間がかかります。

ある程度人数が増えたら評価管理システムを導入し、人事評価のタスクを軽減することを考えましょう。

評価管理システムの機能

一般的に、評価管理システムの機能には次のようなものがあります。

  • 評価過程・評価結果を管理、グラフ化

  • 評価シートのテンプレートを作成

  • 紙やエクセルに出力

  • 評価結果について分析

評価タスクを軽減し、結果を管理しやすいよう記録しておくことができます。

導入する評価管理システムによって、できることは多少異なりますが、どの評価管理システムも上記の機能は最低限備えてあると思っておいて良いでしょう。

システム化のメリット

評価管理システムは以前よりも一般的なものになってきましたが、まだシステム化に踏み切れていない企業も少なくありません。

システム化によってどのようなメリットがあるのでしょうか。

「評価者・管理者の負担を軽減できる」。これが評価管理システム導入の最大のメリットです。評価は片手間には行えません。別の仕事が今まで通りの量なのに、評価作業がそこに加わると業務がパンクしてしまう可能性があります。

データを一元管理できるのもメリットの一つです。部署ごとに評価の情報を管理していると、部署異動や担当者が変わるときのデータの引き継ぎがかなり大変です。

システム化して人事部がすべて管理すれば、データの照会や引き出しが楽に行えるようになり、閲覧・管理がしやすくなり、引き継ぎもかなり楽になります。

なぜ評価管理システムが必要なのか

近年、急に普及が進んだ評価管理システム。評価システムを導入する企業が増えているのはなぜでしょうか。

公平な人事評価を実現できる

人間ですから、評価者の主観が評価に多少なりとも影響してしまうことはあります。ですが、主観がただの好き嫌いだったり、客観的データを無視した評価だったりした場合は大問題。自身の成果が公平かつ公正に評価されない環境では、従業員のモチベーションは下がる一方です。

客観的データは人事評価システムに任せてしまいましょう。データの可視化と評価基準の明確化ができれば、評価が主観によって偏ることを防ぎ、適切な評価を下すことができます。

360度評価など、公平性を担保できる評価制度を導入しているシステムもあります。大抵の評価管理システムはカスタマーサポートを用意していますから、どのテンプレートが適しているかなど、評価制度自体の質問も受け付けてくれるはずです。第三者的立場からの助言を受けることができます。

複雑化した人事管理への対応

日々の目標の進捗率を把握したり、面談記録を管理したり。評価を行う時期以外にも、人事がすべきことは山のようにあります。従業員が持っている資格や技能、キャリアなどの膨大な情報を取り扱う場合もあり、管理業務はどんどん複雑化しています。

システム化で、人事管理の工程を簡略化できます。人事部のリソースを大きく削減でき、他の仕事にリソースを注げるようになるでしょう。

評価管理システムの種類と特徴

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評価管理システムにはさまざまな種類がありますが、主に『クラウド型』『オンプレミス型』『パッケージ型』に分けることができます。

クラウド型評価管理

現在の評価管理システムの主流は『クラウド型』です。インターネット経由で事業者のシステムを利用するため、自社でサーバーを用意したりダウンロードしたりする手間が不要なのが一番のメリットでしょう。

インターネットにつながっていればいつでもどこでもシステムに接続できるため、導入の手間が少なくてすむ、トータルコストを抑えられるなどのメリットもあります。メンテナンスやバージョンアップを業者側が行ってくれるため、システム管理の手間がほぼ不要なのも嬉しいところ。

デメリットとしては、事業者側にシステムが依存しているため、サーバーなどのトラブルの際、自社で対応することができません。また、システムによっては企業に合わせたカスタマイズがしにくい場合もあります。

オンプレミス型評価管理

サーバーを自社で用意し、自社でシステムを構築する管理方法を『オンプレミス型』または『自社運用型』と呼びます。

オンプレミス型は自社で運用するため、独自の役職や評価など、企業ごとの最適な形にカスタマイズできるのが最大のメリットです。

ただし、導入費用はクラウド型やパッケージ型に比べ、かなり高額。また、運用や管理をすべて自社でまかなう必要があるため、システム管理ができる技術者がいないと運用することができません。基本的には、大企業などの事業規模が大きい場合に適しているのが『オンプレミス型』のシステムです。

パッケージ型評価管理

『パッケージ型』は、ソフトウェアを購入して利用するという方法です。基本的にはソフト購入代金のみで、ランニングコストがかかることはありません。ソフトさえ購入すればすぐに始められるので、初心者が多い職場でも導入しやすいのが特徴といえます。

利用する端末すべてにダウンロードが必要になるため、PC台数分のソフト購入代金がかかります。また、ダウンロードした端末以外からはデータにアクセスできない点や、データの共有が難しいことにも注意しましょう。

ソフトが古くなるとセキュリティなどの懸念も生じます。定期的にアップデートやバージョンアップ版を買いかえる必要がありますので、クラウド型やオンプレミス型と比較する際には購入代金だけではなく、使用期間や機能などを見比べた上で検討しましょう。

評価管理システムの比較ポイント


上記の種類の中から適切なシステムを選ぶには、導入コスト・ユーザビリティ・機能・サポートの四つのポイントを吟味しましょう。

導入コストは、額面だけでなくコストパフォーマンスを考える必要があるでしょう。また、基本料金は安くても、サポートが有料だったり、オプション料金が高くつく場合もあります。

無料トライアル期間を設けているシステムも多いので、まずは使ってみるのも良いでしょう。無料期間を有効に使えば、コストを抑えつつ切り替えも楽に行うことができます。

ユーザビリティと機能も重要チェック項目です。必要な機能がなければ導入する意味はありません。必要な機能が使いやすいかどうかも、無料トライアルなどでしっかり見ておきましょう。

サポート体制は、利用後に一番価値がわかる部分かもしれませんが、事前に必ずチェックしておきたいポイントです。使い方で不明な点があった場合にきちんと対応してくれるか、トラブルがあった場合にサポートしてくれるか、またサポートの利用回数制限があったり、別料金だったりする場合もあるので、そちらもあわせて確認してください。

評価管理システムの導入の流れ

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あなたがこれから評価管理システムを導入することにしたとします。導入過程で発生するトラブルを防ぐための最適な流れはどのような流れでしょうか?

導入目的を明確にする

まずは導入目的を明確にしましょう。評価管理システムには色々な種類があり、それぞれ特徴が違うため、システムの選定のためにも目的は明確にしておく必要があります。

機能比較、システム選定

導入目的が明確になったら、そのためにやりたいこと、必要な機能、予算などを整理しましょう。「絶対に必要な最低限の機能」「できれば欲しい機能」「不要な機能」を前もって整理しておくことができれば、選定の際に役に立ちます。

どんな機能があるのかイメージがつかない場合はインターネットで調べたり、数社から資料を取り寄せたりして、どういった機能が一般的なのか、料金の相場などを見ておくと良いでしょう。最近は数社にまとめて資料請求ができる比較サイトなどもあります。

見積り依頼

複数社に見積もりを依頼し、サービス内容や機能について比較します。これは資料請求の際に行っておいてもかまいません。実際の料金がわかれば、より具体的な選定基準になります。

基本料金だけの見積もりではなく、別料金のオプションサービスなども確認しておくとより金額のイメージが具体的になります。

デモや無料トライアル

デモや無料トライアルがあるようなら、必ず実施しておきましょう。実際に動くところを見たり、使ってみたりしないとわからないことはたくさんあります。

機能や予算、使いやすさ……。各要素を総合的に比較し、自社にとって最も良いシステムを選びましょう。

その他、検討しておきたいこと

導入前に、時期と運用方法についても決めておくと、導入から運用がさらにスムーズになります。

導入時期を決定

時期の決定は重要な要素です。導入するとなれば、社員が操作方法を覚えなければいけませんし、マニュアルなども必要です。システムに反映するため、もともとあるデータを整理する必要もあるでしょう。準備することは意外とたくさんありますから、準備期間も含めたスケジュール管理が必要です。

運用方法を検討

導入して終わり、ではありません。運用方法の検討も大切です。どのようなスケジュールで運用していくのでしょうか?IDを追加する際の窓口や担当者も決めておく必要があります。

オンプレミス型のシステムを導入する場合は、サーバーとシステム構築のための準備が必要になります。システムの担当者を誰にするのか、会社のどの役職の人間にどこまでの権限を与えるのかも決めておきましょう。

評価管理システムの導入で効率的に

評価のタスクは多様化しています。目標管理をはじめ、それに伴う面談などのフォローアップに加え、評価対象者の細かい情報を管理しなければなりません。

働き方改革の実施により、生産性の向上は全ての企業の命題となっています。データの管理や整理、分析をシステムに任せることができれば、これらのタスクを効率的に処理できるようになり、余ったリソースを教育や広報などに注ぐことができるようになります。

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HR大学編集部
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