#人材育成
2024/09/05

動機付けとは?意味や心理学的なメリットと高める方法や具体例をわかりやすく解説

目次

動機付けとは、目標や目的などのある要因によって行動し、達成するまで保持し推進するための、心理的なプロセスや機能のことです。

動機や動機付けは、「モチベーション(motivation)」と言い換えることもでき、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類に分けられます。

動機付けをすることで、従業員のモチベーションの向上や維持が可能になり、企業の生産性の向上や定着率の向上が見込めるようになります。

この記事では、動機付けの意味と注目される背景や、外発的動機付けと内発的動機付けについてだけでなく、心理学での動機付けや動機付けのメリット、高める方法と具体例について、分かりやすく解説します。

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動機付けとは

動機付けとは、目標や目的などのある要因に向けて行動し、達成するまで保持し推進するための、心理的なプロセスや機能のことです。

動機や動機付けは、「モチベーション(motivation)」と言い換えることもできます。

動機付けは、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類に分けられます。

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動機付けが注目される背景

動機付けが注目される背景には、少子高齢化や人口の減少による「労働人口の減少」と働き方改革による「人材の流動化」があります。

労働人口が減少することで、企業はより生産性を向上させる必要があります。

また、人口の流動化によって、自社の優秀人材を確保することが難しくなっている中、自社の定着率を上げる必要があります。

従業員のモチベーションの低下が、生産性低下や離職率増加の原因になるため、企業は従業員のモチベーションを高めるため、動機付けが注目されるようになりました。

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動機付けの外発的動機付けと内発的動機付け

動機付けは、外から与えられる報酬などによる「外発的動機付け」と、人間の内面から湧き上がる仕事への興味などによる「内発的動機付け」に分けられます。

外発的動機付けと内発的動機付けについて確認してみましょう。

外発的動機付け

外発的動機付けとは、「報酬」「評価」「懲罰」といった外からの働きかけによる動機付けです。

外発的動機付けは、「賞与が欲しいので業績を上げる」「叱責されないために業務を行う」行動が手段化している状態で、強い関心や興味がない従業員にも有効に働きます。

また、報酬は昇給や昇格にも結び付きやすいため、会社の「人事制度」に組み込むことで、多くの従業員のモチベーションを上げることが可能です。

外発的動機付けは報酬が与えられる目標を達成すると、その後はモチベーションを保つことが困難になるため、外発的動機付けは一時的な施策とし、長期的効果を求める場合は他の方法と組み合わせると良いでしょう。

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内発的動機付け

内発的動機付けとは、人間の「内面の欲求」に基づく動機付けです。

内発的動機付けは「興味」や「関心」など、自分自身の欲求に基づく動機付けで、「仕事に対する興味や関心」「仕事の達成感」「仕事のやりがい」などで、「仕事自体にやりがいがある」「自分の成長を実感できる」「仕事のスキルをアップさせたい」と感じることが特徴です。

内発的動機付けは、仕事への興味関心、成功体験を通して、仕事に対して好奇心や関心などを持つことが必要になるため、短い期間では成果を出せません。

また、興味や関心を高める方法は人それぞれで標準化できないため、従業員ひとりひとりの関心や興味を把握し、そのうえで従業員本人が関心を持つまでのプロセスを実行するのには多くの時間が掛かります。

短い時間で成果を求める場合は、内発的動機付けより外発的動機付けの方が向いていると言えます。

内発的動機付けは、従業員が仕事にやりがいを感じられるように働きかけるだけでなく、多くの従業員に活躍の場を与えることができ、従業員も充足感が得られるため、内発的動機を満たすことは企業にとっても従業員にとっても重要です。

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動機付けでの重要な理論

動機付けでの重要な理論として、心理学での動機付けについて確認してみましょう。

心理学用語としての動機付けとは、「行動を始発、方向付け、推進、持続させる過程や機能の総称」です。

動機付けは、「動因」と「誘因」があって成立するとされています。

動因とは、飢えや渇きなどの生理的欲求に伴う心理結果で内的な状態を指します。

誘因とは、行動を起こさせる外部の要因のことです。

モチベーションに関する心理学の理論では、「ハーズバーグの二要因理論」「アンダーマイニング効果」「エンハンシング効果」が有名です。

それぞれの理論について確認してみましょう。

(出典)心理学用語集「動機

ハーズバーグの二要因理論

ハーズバーグの二要因理論とは、アメリカの臨床心理学者である、フレデリック・ハーズバーグ氏によって提唱された、満足と不満足を引き起こす要因についての理論です。

ハーズバーグの二要因理論では、人間の仕事での満足度は、特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるのではなく、満足と不満足に関わる要因は別であり、「衛生要因」と「動機付け要因」の2つで成り立つとされています。

衛生要因とは「給与」「福利厚生」「職場の人間関係」「上司との人間関係」など、仕事の不満に関わる要素です。

衛生要素は、動機付け要素に対して不満要素とも呼ばれ、「維持されていないと不満を感じるもの」「維持されていなくても不満につながるものではない」という要素です。

ハーズバーグの二要因理論では、モチベーションを上げるためには、まず衛生要因の問題を解決し、そのうえで動機付け要因を満たす必要があるとしています。

例えば、動機付け要因である「仕事への達成感」を得られても、衛生要因である「給与」が求める水準よりも低ければモチベーションは上がらないでしょう。

つまり、動機付け要因と衛生要因は相反する要因ではなく、補完関係になっています。

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アンダーマイニング効果

アンダーマイニング効果とは、内発的動機付けに対し、報酬を与えるなどの外発的動機付けをすると、かえってモチベーションが低下してしまうことを指します。

例えば、仕事に夢中になっていた人が、上司から評価され昇給をしたような場合、「お金のために仕事をしているわけではない」と感じ、自発的な行動を起こさなくなってしまうことです。

エンハンシング効果

エンハンシング効果とは、外発的動機付けによって内発的動機付けを高めることで、「賞賛効果」とも呼ばれ、相手を褒めることが典型です。

特に、信頼している人物から褒められることで、高い効果を発揮します。

動機付けは心理学的効果を組み合わせることで高い効果を発揮する

動機付けは、アンダーマイニング効果とエンハンシング効果を組み合わせることで、高い成果を上げることができます。

例えば、まだ十分に内発的動機が高まっていない従業員に対して、褒めたり目標を与えるなどの外発的動機付けをすることで、エンハンシング効果での内発的動機を高めることができ、徐々に内発的動機付けにシフトして行くことが可能になります。

最初は褒められることや目標達成がうれしいと感じていた従業員が、徐々に仕事にやりがいを見いだし、内発的動機付けで仕事をするようになります。

つまり、アンダーマイニング効果でモチベーションを低下させることなく維持し、エンハンシング効果で内発的動機を高めることができるのです。

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動機付けをすることのメリット

従業員を動機付けすることは、企業と従業員の双方にメリットがあります。

動機付けの際は、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」を使い分ける事が大切です。

外発的動機付けと内発的動機付けのそれぞれの特徴と合わせて、従業員を動機付けをすることで得られるメリットについて確認してみましょう。

外発的動機付けのメリット

外発的動機付けのメリットは主に、「分かりやすく短期間で効果が出る」ことです。外発的動機付けのメリットのメリットについて確認してみましょう。

外発的動機付けのメリット

  • 簡単に動機付けができる

  • 短期間で効果が得られる

簡単に動機付けができる

外発的動機付けのメリットは、「簡単に動機付けができる」ことです。

外発的動機付けの報酬は分かりやすいものに設定することが可能なため、簡単に動機付けができます。

例えば、プロジェクトの達成を動機付けにした場合、チームにとってもメンバーにとっても、分かりやすい動機付けになります。

短期間で効果が得られる

外発的動機付けのメリットは、「短期間で効果が得られる」ことです。

外発的動機付けは、従業員にとって何がメリットになるかが分かりやすいため、短期間で効果が得られます。

特に、緊急で対応しなければならない案件などで効果があります。

内発的動機付けのメリット

内発的動機付けのメリットは主に、「効果が長時間持続する」ことです。内発的動機付けのメリットについて確認してみましょう。

内発的動機付けのメリット

  • モチベーションが長時間持続する

  • 期待以上の成果が出やすい

  • 自発的は行動が期待できる

  • 創造力が高まる

モチベーションが長時間持続する

内発的動機付けのメリットは、「モチベーションが長時間持続する」ことです。

内発的動機付けは自分の関心などを満たすものであるため、モチベーションが長く持続します。

一方で、外発的動機付けでは仕事の成果が目標を上回ると報酬が得られるため、目標を達成し報酬を得た後のモチベーションの維持が困難です。

期待以上の成果が出やすい

内発的動機付けのメリットは、「期待以上の成果が出やすい」ことです。

内発的動機付けで目標を達成した場合、自ら次の目標を設定し、仕事に取り組む場合が多く、結果として仕事の成果は高いものになることが期待できます。

外発的動機付けでは仕事の成果が基準を上回ると報酬が得られるため、基準以上の目標を達成しようというモチベーションが生まれにくく、期待以上の成果は得られにくいです。

自発的は行動が期待できる

内発的動機付けのメリットは、「自発的は行動が期待できる」ことです。

内発的動機付けでは、自分の興味や関心があることを満たすために行動を起こすため、自ら学んだり、自発的に行動したりすることが期待できます。

創造力が高まる

内発的動機付けのメリットは、「創造力が高まる」ことです。

内発的動機付けは、自分の興味や関心があることに対して行われるため、仕事の進め方などについて、自分で考えながら積極的に業務に取り組みます。

また、より高い成果を出したいという意欲が生じ、成果を出すために試行錯誤を繰り返し、業務プロセスを改善するため、従業員の創造力が高まります。

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動機付けをチームマネジメントで活かす方法

組織のリーダーがチームマネジメントを成功させるためには、チームメンバーひとりひとりが「主体性」を持って行動することができるように動機付けすることが欠かせません。

チームメンバーが動機付けを通じて、仕事を「自分ごと化」することで、仕事に対するエンゲージメントも高まり、自律的に行動することが可能になります。

動機付けがうまくできていれば、仕事でトラブルが生じた際も「自分ごと」として、主体的に対応できるようになり、トラブルを解消する時間が短縮できたり、トラブルの原因自体を排除することができるようになり、トラブル自体が少なくなり、業務の品質も高められるでしょう。

また、チームメンバーへ動機付けをすることで、チーム全体に対しても効果があります。

アメリカの心理学者である、エドワード・L・デシ氏は「自己決定理論」で、「自律性」「有能性」「関係性」を高めることで、モチベーションを高められるとしています。

「自律性」とは、自分の行動を自分自身で自律的に行っていると感じることで、「有能性」とは、自分には能力があり役立っていると感じること、「関係性」とは、周囲の人と信頼し合っていると感じることです。

チームメンバーひとりひとりの「自律性」「有能性」「関係性」を高めるようにすることで、チームメンバーの内発的動機が高まり、チームはリーダーが管理しチームメンバーに指示を出さなければならないという関係性から、チームメンバーひとりひとりが責任を持って自律的に業務を行うようになり、チーム全体の生産性が高まります。

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動機付けは企業のパフォーマンス向上にも重要

動機付けとは、目標や目的などのある要因に向けて行動し、達成するまで保持や推進するための、心理的なプロセスや機能のことです。

動機や動機付けは、「モチベーション(motivation)」と言い換えることもでき、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類に分けられます。

動機付けをすることで、従業員のモチベーションの向上や維持が可能になり、企業の生産性の向上や定着率の向上が見込めるようになります。

適切な動機付けを行うためには、従業員ひとりひとりの関心や興味を把握したうえで、施策を行う必要があります。

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HR大学編集部
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