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2025/02/11

従業員体験とは?重要視されている背景や向上するための事例について解説

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従業員体験とは、「Employee Experience(EX):エンプロイーエクスペリエンス」とも呼ばれ、企業が従業員の働く環境を整えることで、離職防止や組織の生産性向上につなげる取り組みを意味します。

この記事では、従業員体験が注目される背景、従業員体験に関連する研究としての「ウェルビーイング(Well-being)」と「ワークエンゲージメント」、従業員体験の向上事例について解説します。

従業員体験について分かりやすく解説

従業員体験(Employee Experience:EX)とは

従業員体験とは、企業が従業員の働く環境を整えることで、離職防止や組織の生産性向上につなげる取り組みを意味します。

従業員体験は英語で「Employee Experience(EX)」と表記され、日本語では「エンプロイーエクスペリエンス」とカタカナで表記されることも多いです。

従業員体験が、従来の職場環境の改善と異なる点は、従業員が感じる働く幸福感ややりがい、職場への満足度を重視していることです。

また、従業員が職場で感じる体験を「会社が従業員に提供する価値」として捉えている点も特徴です。

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従業員体験について解説
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従業員体験が注目される背景

従業員体験は主に海外で取り組まれてきましたが、日本でも取り組む企業が増えてきています。

従業員体験が注目される背景について確認してみましょう。

従業員体験が注目される背景

  • 終身雇用制の終焉

  • テレワークの普及

  • 価値観の多様化

終身雇用制の終焉

従業員体験が注目される背景として、「終身雇用制の終焉」があげられます。

日本では2019年に経団連が「終身雇用制を続けるのは難しい」と発言したことで、終身雇用制は実質的に終焉を迎え、1社で定年まで働くという働き方が当たり前ではなくなりました。

働き方の変化に伴い、転職市場も活性化し、人材の流動性も高まり、働く個人が会社や働く場を自由に選べるようになりました。

また最近では、転職口コミサイトが発達したことで、従業員にとってメリットのない会社は口コミで悪い評価が付き、企業は優秀な人材が入社して来なくなってしまうというリスクを抱えることになりました。

企業はより優秀な人材を獲得するために、従業員体験を重視するようになってきています。

テレワークの普及

従業員体験が注目される背景として、「テレワークの普及」があげられます。

2019年に発生した新型コロナウィルス感染症拡大の影響によって、大企業を中心にテレワークが普及しました。

物理的な場所である会社に行って働くことが当たり前ではなくなり、自宅で柔軟性の高い働き方ができるようになりました。

これまで企業は会社での働きやすさを重視してきたため、福利厚生として社内に社員食堂やカフェを併設するなどの取り組みをしてきました。

しかしテレワーク環境では、物理的な働きやすさの向上は難しいため、より会社が従業員に提供する「働きやすさ」が重視されています。

従業員体験の考え方に基づけば、テレワーク環境であっても「会社が従業員に対して何を提供すればパフォーマンスがあがるのか」という観点で議論ができるため、コロナ禍をきっかけに従業員体験に取り組む企業が増えました。

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価値観の多様化

従業員体験が注目される背景として、「価値観の多様化」があげられます。

日本では2010年代のダイバーシティの取り組みや働き方改革によって、より多様な価値観が認められるようになりました。

これまでの日本企業では、同じ価値観や考え方に基づいて組織運営がなされてきましたが、個人が多様化する中、多様な価値観を受け入れなければ離職につながるケースも出てきました。

また、かつての時代は高い給料をもらって、出世できれば良い、とされてきましたが、個人の価値観が多様化する中で、従業員がより働きがいや仕事への満足度を求めるようになりました。

こうした価値観の多様化に対応するべく、企業は従業員体験を重視するようになったのです。

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従業員体験に関連する研究

経営学や心理学の分野を中心に行われている、従業員体験に関連する研究として、「ウェルビーイング(Well-being)」と「ワークエンゲージメント」について確認してみましょう。

ウェルビーイング(Well-being)

ウェルビーイング(Well-being)とは、ポジティブ心理学の概念で、「持続的な幸福感の増大」と定義されています。

ポジティブ心理学の創始者であるセリグマン氏は、ウェルビーイングの5つの要素を「PERMA」という言葉にまとめています。

PERMAとは、「ポジティブ感情」「エンゲージメント」「関係性」「意味・意義」「達成」を指します。

PERMAを企業にあてはめてみると、「ポジティブでやりがいがあって、人間関係も良好であり、仕事に対して意義や達成感を得られることである」と考えられます。

ウェルビーイングの考え方に基づく組織運営は海外では当たり前のトレンドになりつつありますが、従業員体験でも、今後ウェルビーイングの概念をもとに施策づくりが行われていくでしょう。

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ワークエンゲージメント

従業員体験を語るうえで、エンゲージメントの概念は欠かせません。

エンゲージメントとは、「会社が従業員に果たす約束」という意味で、「従業員の仕事に対するやりがい」と定義されます。

エンゲージメントの中でも学術的に確立されている概念が「ワークエンゲージメント」です。

ワークエンゲージメントとは、「仕事に対するポジティブで充実した心理状態」と定義されます。

ワークエンゲージメントは、オランダのユトレヒト大学の教授であるシャウフェリ氏によって提唱され、日本でも厚労省や各研究機関が研究を行っています。

ワークエンゲージメントが高い状態では仕事の生産性もあがり、ストレスにも強い状態が続くとされています。

従業員体験の中では、従業員がワークエンゲージメントの高い状態で働けるように会社が配慮していく必要があります。

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従業員体験の向上事例

従業員体験の向上に対する企業の取り組み事例について確認してみましょう。

Airbnb Global Services Limited

従業員体験の先駆け事例として取り上げられる代表的な事例がAirbnbです。

Airbnbは「民泊」を生み出したアメリカのベンチャー企業です。

Airbnbには人事部は存在せず、かわりに「エンプロイーエクスペリエンス」という部門が採用から社内環境の整備までを担っています。

エンプロイーエクスペリエンス部門では、従業員に関する様々な業務を行い、優秀な人材を他社から引き抜いてくることや、社員食堂の献立を考えること、社屋が快適な職場環境になるよう改善することまでが含まれます。

(参考)Airbnb Global Services Limited

Adobe Inc.

Adobeも、人事部の代わりに「エンプロイーエクスペリエンスチーム」が人事機能を担当しています。

Adobeは、アメリカの企業としては珍しく、従業員のために産前産後休暇の拡大や、慶弔休暇の取得を認めました。

アメリカでは産前産後休暇の制度が整備されておらず、多くの女性が臨月まで働くことが当然とされてきました。

しかし、Adobeは従業員が長く働ける環境づくりを重視し、休暇の拡大に踏み切りました。 

また現在では、3週間に1度グローバル全社で休む一斉休暇日の設定や、従業員のボランティア活動への支援など、従業員体験を高める様々な取り組みを行っています。

こうした取り組みを行ったことで、グローバル本社だけでなく、日本法人も「働きがいのある会社」としてランクインしました。

(参考)Adobe Inc.
(参考)Adobe Inc.「アドビ、2024年の日本版『働きがいのある会社(Great Place To Work)』に7年連続で入賞!

従業員体験の向上の取り組みは人事戦略そのもの

従業員体験とは、企業が従業員の働く環境を整えることで、離職防止や組織の生産性向上につなげる取り組みを意味します。

また、従業員が職場で感じる体験を「会社が従業員に提供する価値」として捉えている点も特徴です。

人材の流動性が高まる日本では、優秀な人材を確保することが年々難しくなってきています。

多くの人が、より良い環境を求めて転職してくため、従業員体験に取り組んで従業員が働きやすい環境をつくることは、人事戦略上とても重要なことになっています。

「HRBrain タレントマネジメント」は、従業員の働く環境を整えるため、1on1などのコミュニケーション施策の実施や、評価の透明性を高め納得感の高い評価制度の実施を実現します。

さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
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株式会社HRBrain 東本真樹
東本 真樹
  • 株式会社HRBrain コンサルティング事業部 組織・⼈事コンサルタント

2008年、デジタルマーケティングを支援する企業に入社。
企業ブランディングを活かしたマーケティング支援を経験した後、人事コンサルティング事業の立ち上げに参画。
主に300名未満の中小企業に向けた人事評価制度設計・運用支援・研修企画/実施を行う。

その後、1,000名規模の上場企業にて人事ポジションを経験し事業会社人事としての職務にも従事。

人事評価制度の運用、サーベイによる組織傾向分析、人材データベースの運用管理を経験。
現在は、HRBrainコンサルティング事業部にて組織人材コンサルタントとして活躍中。
人事評価制度の設計から定着に向けたコンサルティングまで各企業のフェーズに沿った支援を行っている。

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