#人材育成
2024/08/19

自己肯定感とは?低い人の行動の特徴や高める方法を解説

目次

自己肯定感とは、「今の自分の存在に価値がある」と認識し、ありのままの自分を好意的に受け止めるポジティブな心の状態を表します。

「自己肯定感が高い」「自己肯定感が低い」と言っても人として優劣があるというわけではありません。

しかし自己肯定感は、人生における人間関係や仕事、自己実現などの場面で、「能動的に動くことができるかどうか?」「どれだけ満足感や幸福感を得られるか?」を左右する大切な感情で、ビジネスパーソンにとって、円滑に業務を進めていくうえで重要なカギを握る概念のひとつです。

この記事では、自己肯定感について、言葉の意味や自己効力感との違い、自己肯定感を高める方法、自己肯定感が低い人の特徴と原因について解説します。

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自己肯定感とは

自己肯定感とは、自分のあり方を積極的に評価できる感情や、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉です。

自己肯定感と対の感情を表わす言葉に「自己否定」があります。

自己肯定感は、「今の自分の存在に価値がある」と認識し、ありのままの自分を好意的に受け止めるポジティブな心の状態を表します。

ポジティブな感情は、主に幼少期に家族や周囲の人たちから大切にされた経験や、自発的な行動を褒められたり認められたりした体験がベースとなって育まれるものと考えられています。

「自己肯定感が高い」「自己肯定感が低い」と言っても人として優劣があるというわけではありません。

しかし自己肯定感は、人生における人間関係や仕事、自己実現などの場面で、「能動的に動くことができるかどうか?」「どれだけ満足感や幸福感を得られるか?」を左右する大切な感情です。

自己肯定感と自己効力感との違い

自己肯定感の類義語に「自己効力感」という言葉があります。

自己効力感とは、「自分の能力を信じる気持ち」を意味し、「自分ならできる」「きっとうまくいく」と思える感情のことです。

自己肯定感は、能力の有無に関わらず無条件に「自分に価値があること」を認める感情であるのに対し、自己効力感は、具体的な目標の達成に対し「自分に成し遂げる能力があること」への認知であるという違いがあります。

▼「自己効力感」についてさらに詳しく
自己効力感とは?高めるための4つの方法と自己肯定感との違いを簡単に解説

自己肯定感が低いとどうなるのか

平成19年(2007年)に、文部科学省がまとめた「次代を担う自立した青少年の育成に向けて(答申)」の中で、「就労・勤労意欲の減退や、成長の糧となる様々な試行錯誤に取り組もうとする意欲そのものが減退している背景には、青少年の自己肯定感の低さなどがみられる」と指摘しているように、自己肯定感は意欲的な行動やチャレンジを促すベースとなります。

自己肯定感が低いと、生活をしていくうえで、さまざまな影響があると考えられています。

仕事の場面で、自己肯定感が低い場合に考えられる影響について確認してみましょう。

自己肯定感が低く、自信が持てず傷つきやすい人が多い場合、失敗を怖がり重要な仕事を先延ばしにしてしまったり、新しいことへの挑戦を避けようとしたりしてしまいます。

また、上司や同僚から注意を受けた際に、「自分はダメだ」と必要以上に委縮してしまったり、逆に自分が上に見られることに強く固執するなど職場での人間関係をうまく構築できない場合もあります。

周囲の人と協力し合い、自発的な行動が求められるビジネスパーソンにとって、自己肯定感は円滑に業務を進めていくうえで重要なカギを握る概念のひとつであると考えられます。

(参考)文部科学省「次代を担う自立した青少年の育成に向けて(答申)

自己肯定感が低い人の行動の特徴

自己肯定感が低い人にはどのような行動の特徴があるのでしょうか。

人によって特徴は異なるため、一概にこうであるという断定はできませんが、自己肯定感が低い人に多くみられる特徴の中から5つを確認してみましょう。

自己肯定感が低い人の行動の特徴

  1. ネガティブな発言が多い
  2. 「できない」と諦めるのが早い
  3. 本気を出して努力をしない
  4. 自分の意見を表に出せない
  5. 承認欲求が強い

ネガティブな発言が多い

自己肯定感が低い人は、不安や怖れを持ちやすく、ネガティブな考えに陥りやすい傾向にあります。

ちょっとした仕事のミスや、誰かからの指摘などで罪悪感を持ち、自分の価値そのものを否定してしまうこともあるでしょう。

自分と人との違いを認めることができず、他人に対してすぐに批判的になるケースもあります。

「できない」と諦めるのが早い

自己肯定感が低い人は、「自分が劣っている」という思い込みから、物事を始める前に「できるわけがない」「失敗するに決まっている」と諦めてしまいがちです。

何かにチャレンジする意欲が低く、自分から行動することが苦手なタイプが多いでしょう。

本気を出して努力をしない

自己肯定感が低い人は、他人の評価で自分を判断するため、傷付くのを恐れ本気で努力をする姿を他人に見せたがりません。

「本気を出していないから」という理由で、「できない自分」を正当化したいという気持ちが働いている場合もあります。

自分の意見を表に出せない

自己肯定感が低い人は、自信のなさから、主体性がなく受け身になってしまいます。

自分の中での判断基準を持つことができず、優柔不断になってしまったり、問題解決をすることができなかったりします。

また、自分よりも人を優先し過ぎて自己犠牲を払い、強いストレスを感じていることもあるでしょう。

承認欲求が強い

自己肯定感が低い人は、他人の評価に振り回されてしまう特徴があります。

人に評価されないと不安になってしまい、「もっと認めてほしい」「自分を褒めてほしい」と強い承認欲求を持ちます。

自分が優位に立つために、周囲に対して高圧的な態度を取る、いわゆる「マウンティング」をする人もいます。

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自己肯定感が低い人への接し方

自己肯定感が低い人は、自分でも無意識にネガティブな発言や行動をしてしまっている場合もあります。

また、職場の部下や従業員のコンディションを知りたくても、面談などで直接気持ちを聞くことは難しいかもしれません。

自己肯定感が低い従業員への接し方として、日頃の就業時の行動や発言、業務態度などで気を配るべき点について確認してみましょう。

自己肯定感が低い人への接し方

  • ネガティブな感情を否定しない

  • 過度な励ましは避ける

  • 褒める時には具体的な根拠を伝える

  • 相手につられて感情的にならない

ネガティブな感情を否定しない

自己肯定感が低いことは決して悪いことではありません。

「トキシック・ポジティビティ(Toxic Positivity:有毒なポジティブ思考)」という言葉があるように、ネガティブな感情を完全に否定するのではなく、まずはそのまま受け入れることが大切です。

「自己肯定感を高く持つべき」「ポジティブであるべき」という押しつけで、相手の感情を否定しないように気を付けましょう。

過度な励ましは避ける

「もっと頑張れ」「そんなに気にすることはない」という叱咤激励も、相手に期待に応えられない申し訳なさや劣等感を感じさせてしまう場合があります。

プレッシャーを与えることのないように、自分の考えを伝えるよりも先に、まずは相手の話をじっくり聞いて共感をすることから始めるようにしましょう。

褒める時には具体的な根拠を伝える

相手に自信を持たせようと、漠然とベタ褒めしてしまうと、逆に不信感を持たせてしまう可能性があります。

結果だけでなく、過程にも目を向けて「あなたの仕事のこういった対応が良かった」「あなたがこうしてくれたから自分や周囲の人が助かった」というように、具体的な根拠を伝えたうえで褒めるようにしましょう。

相手につられて感情的にならない

相手が感情的に話をするタイプの場合、つられて自分の思いを感情的にぶつけてしまいそうになることがあるかもしれません。

また、相手に共感をすることは大切ですが、自分の気持ちまで引きずられることがないように注意が必要です。

感情が不安定になりそうな時は、冷静になるために時間を置くと良いでしょう。

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自己肯定感を高める方法

自己肯定感を意識的に高めることは可能です。

自己肯定感の低い人でも成功体験を重ねていく中で、自己肯定感が上がっていきます。

一方で、もともと自己肯定感の高い人でも失敗や挫折の経験から自己肯定感が下がってしまう場合もあります。

自己肯定感を高める方法として、自己肯定感を高めるために誰でも実践しやすい3つの方法について確認してみましょう。

自己肯定感を高める方法

  1. 今の気持ちを紙に書き出す
  2. 物事を別の角度から見てみる
  3. その日あった良いことを振り返る

今の気持ちを紙に書き出す

自己肯定感を高めるために、まずはネガティブな感情や気になっていること、嫌だと感じていることなどを、思いつくままに紙に書き出してみましょう。

これは、「エクスプレッシブ・ライティング」「ジャーナリング」と呼ばれる手法で、誰かに見せるためではなく、自分の気持ちを正直に書き出すことで、ストレスや不安が緩和されると言われています。

物事を別の角度から見てみる

自己肯定感を高めるために、「リフレーミング」をしてみましょう。

リフレーミングとは、出来事の枠組み(フレーム)を変えることで、出来事に別の視点を持たせることを指します。

例えば、「この方法しかない」を「この方法もある」というように、同じ出来事でも見方を変えることでポジティブに変換することができます。

リフレーミングを活用すれば、自分や他人の短所を長所に置き換えることができます。

その日あった良いことを振り返る

自己肯定感を高めるために、「誰かにしてもらったこと」「自分ができたこと」を毎日振り返る習慣をつけ、今あるものに満足できるようにしてみましょう。

また、達成できるような小さな目標をたて、小さな成功体験を積み重ねることも効果的と言われています。

自己肯定感が日本の若者は低い

最後に、内閣府が実施した「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書」の調査結果の中から「自己肯定感」と「意欲」に関する項目について確認してみましょう。

自己肯定感についての調査

自己肯定感の調査として、「私は自分自身に満足している」という問いに対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した若者の割合の合計を調査した結果、「そう思う」と回答した割合は5割弱と、諸外国と比べて日本が最も低い結果でした。

自分自身に満足している(全体)

(出典)内閣府「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書」をもとにHRBrainが作成

自分自身に満足している(全体)

  • 日本:45.8%

  • 韓国:71.5%

  • アメリカ:86.0%

  • イギリス:83.1%

  • ドイツ:80.9%

  • フランス:82.7%

  • スウェーデン:74.4%

自分自身に満足している(年齢階級別・日本)

(出典)内閣府「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書」をもとにHRBrainが作成

自分自身に満足している(年齢階級別・日本)

  • 13~15歳:62.5%

  • 16~19歳:44.3%

  • 20~24歳:37.4%

  • 25~29歳:44.6%

意欲についての調査

意欲の調査として、「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」という問いに対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した若者の割合の合計を調査した結果、「そう思う」と回答した割合は5割強と、諸外国と比べて日本が最も低い結果でした。

うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む(全体)

(出典)内閣府「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書」をもとにHRBrainが作成

うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む(全体)

  • 日本:52.2%

  • 韓国:71.2%

  • アメリカ:79.3%

  • イギリス:80.1%

  • ドイツ:80.5%

  • フランス:86.1%

  • スウェーデン:66.0%

うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む(年齢階級別・日本)

(出典)内閣府「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書」をもとにHRBrainが作成

うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む(年齢階級別・日本)

  • 13~15歳:50.5%

  • 16~19歳:54.7%

  • 20~24歳:51.1%

  • 25~29歳:52.0%

自己肯定感と意欲の調査結果から分かること

内閣府が実施した「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書」の調査結果の数値を見ると、日本の若者は諸外国と比べて、「自己を肯定的に捉えている人の割合が低く、うまくいくかわからないことに取り組むことが苦手である」ことが分かります。

年齢階級別のデータでは、社会に出ていく20代前半、仕事においての責任が増えていく20代後半においても、同様の傾向が見られます。

10代後半と比較して20代になり自分への満足度やうまくいくかわからないことへの意欲が上がっている国もありますが、日本では下降傾向が見られることから、社会に出て働くことが、必ずしも自信につながっているわけではないとも考えられます。

(参考)内閣府「平成26年(2014年)版 子ども・若者白書

自己肯定感は円滑に業務を進めていくうえで重要なカギ

自己肯定感とは、「今の自分の存在に価値がある」と認識し、ありのままの自分を好意的に受け止めるポジティブな心の状態を表します。

「自己肯定感が高い」「自己肯定感が低い」と言っても人として優劣があるというわけではありません。

しかし自己肯定感は、人生における人間関係や仕事、自己実現などの場面で、「能動的に動くことができるかどうか?」「どれだけ満足感や幸福感を得られるか?」を左右する大切な感情です。

また、内閣府の調査によると日本の13歳〜29歳までの「自己肯定感」や「意欲」は、諸外国と比べて日本が最も低い結果でした。

次世代を担う若者の自己肯定感を高め、自信ややる気を醸成していくためにも、従業員ひとりひとりの課題を早期に吸い上げ解決していくよう、職場環境を整えることから始めてみる必要があります。

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HR大学編集部
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