#人事評価
2024/08/07

MBOとは?目標管理でのメリットやOKRとの違いを解説

目次

MBO(Management by Objectives)は、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した概念で、従業員ひとりひとりがモチベーションを維持しつつ、会社が目指す目標に向けて取り組む目標管理制度です。

この記事では、MBOを設定するメリットやOKRとの違い、MBOを導入している企業の事例について具体的に解説します。

MBOの目標設定・進捗管理・評価記録を一元管理

MBOとは

MBOとは、「Management by Objectives」の略で、直訳すると「目標による管理」です。個人あるいはチームごとに設定した目標に対しての達成度合で評価を決める制度のことで、多くの企業で導入されています。

MBOの運用手順

一般的なMBOの運用手順について確認してみましょう。

MBO運用の手順

MBOの運用手順

  • 目標設定:従業員自らが目標を設定する

  • 目標の適性化:上司と面談を行い目標が適正かを判断する

  • 行動:目標を達成するための活動をする

  • 評価:目標を達成できたか評価をする

従業員自らが目標を設定するところがMBOの特徴です。

従業員自らが目標を設定することによって、「自身の課題」や「会社の進むべき方向性」を再認識することができます。

MBOは、より会社の事業に参画しているというポジティブな気持ちを高め、従業員の成長を促します。

また、活動への助言や方向修正が適切に行えるよう、上司との面談が体系化されていることもポイントです。

MBOでの目標設定のポイント

MBOで目標設定を行う際のポイントについて確認してみましょう。

目標設定の仕方

MBOでの目標設定のポイント

  • 目標と達成までの方法が明確で具体的である

  • 努力すれば達成できるというレベルの目標難易度である

  • 目標達成の期限を定める

  • 従業員自身の成長と会社への貢献が同時に実現できる内容である

上司との面談で目標を確認する際に、目標設定のポイントを網羅しているかを確認します。

MBOでの目標は、具体的かつ現実的で、従業員の成長や会社への貢献につながるものであることが重要です。

また、MBOを通して上司と部下は話し合いを行うことになるため、コミュニケーションの活性化が促されるという効果もあります。

目標管理制度は誤って運用してしまうと、従業員にとって納得のできない目標を一方的に設定されてしまうことになり、従業員のモチベーション低下や会社への不信感を招いてしまいます。

そのため、従業員自らによる目標設定から始めるMBOが多くの会社で導入されるようになりました。

MBOを設定するメリット

MBOを設定することで得られるメリットについて確認してみましょう。

MBOを設定するメリット

  • 目標とその結果が明確なため評価を容易にできる

  • 自己統制しながら目標達成に向けて努力することができる

  • 目標を達成することでモチベーションが向上する

目標とその結果が明確なため評価を容易にできる

目標設定の際に、「達成基準」を明確に定めているため、評価が容易です。

評価の不透明性をなくすことで、目標と評価に対して従業員の納得感を得られるため、従業員の目標達成へのモチベーションが上がります。

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自己統制しながら目標達成に向けて努力することができる

目標は、努力すれば達成できるレベルであることも重要です。

達成不可能な高いレベルの目標を設定されると、従業員は最初から達成することを諦めてしまい、努力することもなくなりますが、達成可能な現実的な目標であれば、達成するために努力し、自己統制力を磨くことができます。

目標はさまざまなものが考えられますが、例えば「自身のウィークポイントの改善」を目標に掲げると、「自身のウィークポイントの認識」「自身の課題克服のためのプロセス設定や実践」につながり、従業員が自己統制をしながらさらなる成長を目指すことができます。

目標を達成することでモチベーションが向上する

目標を達成すること自体がモチベーションアップになります。

目標が達成できれば、評価が上がり、報酬へと反映されます。

遥かに高い目標を立て、目標未達という結果で終わるより、実りある効果をもたらします。

MBOとOKRの違い

MBOとよく混同されるのが、「OKR(Objectives and Key Results)」です。

MBOとOKRの違いについて、大きく2つのポイントに分けて確認してみましょう。

MBOとOKRの違い

  • 「MBO」は評価制度の機能強く「OKR」は育成を目的としている

  • 「MBO」は個人や部署ごとの目標であることが多く「OKR」は全従業員が対象

MBOは評価制度の機能が強い

MBOは評価制度の機能が強いため、OKRほど個人の能力を最大限に引き出す効果はないといえます。

目標達成度で、MBOではほぼ100%を目指すのに対して、OKRでは60〜70%程度が理想とされています。

OKRでは、高めの目標を設定し、個人の能力を引き上げる狙いがあります。

そのため、OKRでは達成度合いがそのまま給与に反映されることはありません。

MBOは個人や部署ごとの目標であることが多い

MBOとOKRとでは、目標に取り組む適応範囲にも違いがあります。

MBOは個人あるいは部署ごとの目標であることが多いですが、OKRは会社全体で取り組みます。

MBOは自身と上司の間での管理制度という意味合いが強く、機密性もMBOは従業員とその上司だけで共有されますが、OKRは社内で全従業員に対して共有されます。

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MBOの事例:グリー株式会社

MBOをうまく活用している事例として、グリー株式会社の事例について確認してみましょう。

グリーでは、「5段階の指標」で目標の達成基準を明確化しています。

さらに、1on1ミーティングでの定期的な振り返りによって、組織としての目標達成に加えて個人の成長も実現しています。

従業員へのアンケート調査でも「1on1に満足している」という回答が7割に及んでいます。

グリーでのMBOの具体的なサイクルは、「目標設定」「進捗確認」「振り返り」となっています。

グリーのMBOサイクル

  1. 目標設定:上期(6〜8月)・下期(12〜2月)
  2. 進捗確認:上期(7〜12月)・下期(1〜6月)
  3. 振り返り:上期(12~1月)・下期(6~7月)

グリーのMBOサイクル:目標設定

従業員に対して部門目標の提示を行い、それをうけて各従業員が自身の目標設定を行います。

目標は半期で5〜6つ程度設定し、それぞれの目標に対して、割合(%)で重要度を割り振り、割合が高い目標ほど重点的に取り組むようにします。

また、目標は最初に5段階での達成基準が明確に示されています。

例えば、売上予算金額を100%達成することが、5段階中の4であったり3であったりし、それぞれの割合については上司との面談ですり合せが行われます。

目標設定は、数値目標に留まるのではなく、アクションベースで考えます。

例えば、「今期の売上50万円を達成する」ではなく、「売上50万円を達成するために1日100件テレアポを行う」といった形です。

目標をアクションベースにすることは、評価する際の基準が明確になるとともに、「何をすべきか」ということを目標として設定するため、目標を見失う心配がありません。

グリーのMBOサイクル:進捗確認

設定した目標に対する進捗確認は、週次で原則30分の1on1面談を実施して行います。

1on1では、仕事ぶりのフィードバックや業務上の相談、アドバイスなどを上司から部下へ行います。

MBOの個人目標は基本的に組織の目標達成につながるものとしていますが、場合によっては目標の改定を行うこともあります。

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グリーのMBOサイクル:振り返り

最後に実施するのが、成果の振り返りです。

上司からの評価と自己評価をあわせて確認し、次期の目標へと反映させます。

MBOのサイクルを正しく回し、成長していくためにも不可欠なのが、上司と部下の信頼関係です。

例えば、上司がきちんと話を聞いてくれないと部下が感じてしまった場合、部下は1on1で本音を話せなくなってしまい、MBOも機能しなくなってしまいます。

グリーでは、MBOを正しく機能させるために重要な、上司と部下との信頼関係を築けるよう、マネージャー向けの研修で相互理解について学ぶという取り組みを行っています。

グリーは、MBOと1on1面談を組み合わせて運用し、個人・チーム・会社のさらなる成長へとつなげています。

(参考)グリー「成長支援制度

グリー株式会社

MBOを成功させるために

MBOは個人やチーム単位で目標を設定し、それに対する達成度合いで評価を決める制度のことをいいます。

上司と部下が話し合いによって目標やアクションのすり合わせを行うことが、MBOを成功させるキーポイントになります。

目標管理制度を誤って運用してしまうと、従業員の「モチベーション低下」や「会社への不信感」を招いてしまいます。

しかし、正しく運用すれば従業員の「自律心やモチベーションのアップ」につながり、会社の「業績にも貢献」します。

MBOをはじめとした目標管理制度は、制度を作るだけでは何の役にも立ちません。

正しく運用するために、人材管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「HRBrain タレントマネジメント」は、1on1やフィードバックなどの面談履歴、OKRなどの目標設定と進捗管理などを一元管理します。

また、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、研修などの育成履歴や、異動経験、人事評価などの従業員データの管理も行います。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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HR大学編集部
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