コンセンサスとは?意味とアグリーメントやオーソライズとの違いと社内で合意を得るためのポイントを解説
- コンセンサスとは
- コンセンサスとアグリーメントとの違い
- コンセンサスとオーソライズとの違い
- コンセンサスのメリット
- 組織の結束が強くなる
- メンバーの主体性を伸ばすことができる
- 少数派の意見を拾い集めることができる
- コンセンサスのデメリット
- 合意を得るのにエネルギーが必要
- 妥協して意見を合わせる必要がある
- 会議で使われるコンセンサス
- コンセンサス方式
- ネガティブ・コンセンサス方式
- ビジネスシーン以外で使われるコンセンサス
- コンセンサスゲーム
- 市場コンセンサス
- コンセンサスアルゴリズム
- 医学的コンセンサス
- コンセンサスを取るためのポイント
- 論点や目的を明確にする
- メンバーの意見を引き出す
- 意見を率直に伝え合う
- 最終的な解決策を提案する
- コンセンサスには異なる意見への理解や歩み寄りが大切
コンセンサスとは、「意見の一致」「合意」などの意味を持つ言葉で、何らかの意思決定や問題解決をする場面で、複数の人や企業の意見が一致することを指します。
コンセンサスは、全員の意見が一致することを指すため、メンバーの中で1人でも意見が異なる場合は、コンセンサスが取れたとは言えません。
コンセンサスを重視すると、組織の結束が強くなる、話し合いに参加するメンバーの主体性を伸ばせるなど、多くのメリットがあります。
この記事では、コンセンサスの意味、コンセンサスとアグリーメントやオーソライズとの違い、コンセンサスのメリットとデメリット、会議で使われるコンセンサス、ビジネスシーン以外で使われるコンセンサス、コンセンサスを取るためのポイントについて解説します。
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コンセンサスとは
コンセンサス(consensus)とは、「意見の一致」「合意」などの意味を持つ言葉で、何らかの意思決定や問題解決をする場面で、複数の人や企業の意見が一致することを指します。
コンセンサスは、全員の意見が一致することを指すため、メンバーの中で1人でも意見が異なる場合は、コンセンサスが取れたとは言えません。
また、コンセンサスは複数人での場面だけではなく、個人の同意や合意を得る場面でも使われます。
プロジェクトや商談において、何らかのアクションを起こす際に上司の同意を得る、商品の納期について取引先から合意を得るなどの場面がその例と言えます。
加えて、ビジネスでのコンセンサスには、「根回し」という意味もあります。
根回しとは、判断の材料としてもらうためにあらかじめ参考資料を渡しておく、議論する課題についての詳細を前もって説明しておくなどを指します。
根回しの意味で使われるコンセンサスは、ネガティブなものではなく、合意形成をスムーズに行うための下準備と言えます。
コンセンサスとアグリーメントとの違い
アグリーメント(agreement)とは、「同意」「承諾」「契約」「協定」などの意味を持つ言葉です。
同意や承諾を得るという意味ではコンセンサスと似ていますが、アグリーメントがコンセンサスと異なるのは、合意を得る相手の人数です。
コンセンサスが複数人の合意を得る際に使われることが多いのに対して、合意を得る相手が原則1人である点がアグリーメントの特徴と言えます。
コンセンサスとオーソライズとの違い
オーソライズ(authorize)とは、「許可される」「認証を受ける」などの意味を持つ言葉です。
ビジネスの場面でのオーソライズは、公的機関や権限を持つ人から認定されたり、承認を得たりする場面で使われます。
コンセンサスが、社内の会議や取引先との商談などの限定された範囲で使われることが多いのに対して、オーソライズは社会的に良く知られ、認められた存在から許可や認証を得る意味で使われる言葉と言えます。
コンセンサスのメリット
コンセンサスは、意思決定の場で参加者全員の意見が一致した結果を指します。
企業やビジネスでコンセンサスを重視することには、具体的にどのようなメリットがあるのか確認してみましょう。
コンセンサスのメリット
組織の結束が強くなる
メンバーの主体性を伸ばすことができる
少数派の意見を拾い集めることができる
組織の結束が強くなる
コンセンサスのメリットとして、「組織の結束が強くなる」ことがあげられます。
コンセンサスは、意思決定の場におけるメンバー全員の合意を指すため、メンバー全員が納得したうえで意見が一致するよう、十分な話し合いをする必要があります。
話し合いには多くの時間が掛かると同時に、メンバー同士の積極的なコミュニケーションが必要です。
場合によっては意見が衝突する可能性もありますが、多くの時間とコミュニケーションを費やしながら意思決定を行うことで、チームとしてのまとまりや連帯感が強くなることが期待できます。
▼「組織コミュニケーション」についてさらに詳しく
▼「チームワーク」についてさらに詳しく
メンバーの主体性を伸ばすことができる
コンセンサスのメリットとして、「メンバーの主体性を伸ばすことができる」ことがあげられます。
コンセンサスは、意思決定に関わるメンバー全員が納得したうえで、合意に至ることが重要なため、ひとりひとりが議題について十分に考え、自分なりの考えを他のメンバーに向けて発表する必要があります。
1つのテーマについて考え、自分の意見として他者へ表明することは、上からの指示にそのまま従うだけでは得られない経験です。
また、議題を自分ごととして捉えて考えることは、自分が組織の一員であるという意識を強めてくれます。
コンセンサスを重視することは、メンバーひとりひとりの主体性の向上につながっていくことが期待できます。
▼「帰属意識」についてさらに詳しく
▼「主体性」についてさらに詳しく
少数派の意見を拾い集めることができる
コンセンサスのメリットとして、「少数派の意見を拾い集めることができる」ことがあげられます。
一般的な話し合いの場では、多数派の立場が自然と強くなり、意見が聞き入れられやすくなりがちです。
場合によっては、意見が採用されにくいことから、少数派が多数派に対する不満を抱えたり、対立を生んでしまったりする可能性もあります。
コンセンサスを取る過程では、多数派や少数派に関わらず、参加するメンバーひとりひとりの意見を集める必要があるため、普段は声を上げにくい少数派の意見にも、自然と耳を傾ける機会があります。
従来、気付かれることが少なかった少数派の意見が拾いやすくなることは、コンセンサスを得る際の大きなメリットの1つです。
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コンセンサスのデメリット
コンセンサスを重視することは、組織の結束の強化など多くのメリットがありますが、反対に企業やビジネスでコンセンサスを重視することには、具体的にどのようなデメリットがあるのか確認してみましょう。
コンセンサスのデメリット
合意を得るのにエネルギーが必要
妥協して意見を合わせる必要がある
合意を得るのにエネルギーが必要
コンセンサスのデメリットとして、「合意を得るのにエネルギーが必要」ことがあげられます。
コンセンサスを取るためには、参加するメンバー全員が1つの意見に合意する必要があります。
議論の内容やメンバーの考え方によっては、全員が納得できるような結論が出ず、なかなか合意に至らない場合もあります。
反対の意見をもつメンバーに説明を尽くし、あらゆる方法や角度でアプローチをして合意を得ることは、多くの時間と労力を費やします。
全員の合意を得るための話し合いにエネルギーを必要とする点は、コンセンサスのデメリットの1つです。
妥協して意見を合わせる必要がある
コンセンサスのデメリットとして、「妥協して意見を合わせる必要がある」ことがあげられます。
コンセンサスを取る場面で、メンバーひとりひとりが完全に自分の考えを貫き通そうとすると、全員が合意することはできません。
場合によっては、妥協して自分の意見を周りに合わせなければいけないこともあります。
妥協と言っても、大きく自分の考えを曲げる必要は無く、譲歩できる点を他のメンバーの意見に合わせるなど、歩み寄る姿勢を持つことが大切です。
ただ、妥協した内容や場面によっては、メンバーのモチベーションが低下したり不満が募ったりする可能性もあります。
意見を合わせることによってメンバーが不満を持つ可能性がある点も、コンセンサスのデメリットの1つです。
▼「モチベーション」についてさらに詳しく
会議で使われるコンセンサス
会議や議会で使われる言葉に、「コンセンサス方式」や「ネガティブ・コンセンサス方式」などがあります。
コンセンサスという言葉が含まれるコンセンサス方式やネガティブ・コンセンサス方式には、どのような意味があるのか、それぞれの言葉の意味について確認してみましょう。
コンセンサス方式
コンセンサス方式とは、会議や議会で、賛成派と反対派、双方の意見を聞き入れつつ、互いが歩み寄って、最終的に合意を取る方法を指します。
採決を多数決のみで決めていると、なかなか意見が採用されない少数派が不満を募らせる可能性があります。
少数派と多数派の対立を防ぐために用いられる方法が、コンセンサス方式と言えます。
コンセンサス方式は、国連の安全保障理事会や総会などの場でも採用されている方法です。
コンセンサス方式では、できる限りスムーズに合意を取るために、議題について事前に情報共有をする、議論の際に質疑応答の時間を十分に設けるなどの調整を行うことが大切です。
ネガティブ・コンセンサス方式
ネガティブ・コンセンサス方式とは、コンセンサス方式とは反対に、参加メンバー全員が反対した場合にのみ、否決できる方法です。
1人でも賛成するメンバーがいる場合、議論は可決とされます。
ネガティブ・コンセンサス方式は、WTO(世界貿易機関)の紛争解決制度で採用されている方法ですが、ビジネスの場ではあまり使われていません。
ビジネスシーン以外で使われるコンセンサス
コンセンサスは、社内会議や商談などのビジネスの場を始め、国連などの国際的な会議の場でも浸透している概念です。
ビジネスシーンや公的な場所以外でコンセンサスが使われる場面には、どのようなものがあるのか確認してみましょう。
コンセンサスゲーム
コンセンサスゲームとは、複数人のグループを作り、グループ内で協力して合意形成を目指すゲームです。
採用や研修などの場で、コミュニケーション能力やチームビルディング能力を高める目的で行われることが多くあります。
コンセンサスゲームは、与えられた課題について意見交換や議論をしたうえで合意形成し、最後にグループごとに結果を発表するという流れで行われます。
複数の人がいる中で、全員の合意を得る過程を体験できることが、コンセンサスゲームの特長と言えます。
▼「チームビルディング」についてさらに詳しく
市場コンセンサス
市場コンセンサスとは、株式市場で証券のプロフェッショナルである証券アナリストが分析した株式の利益や格付、配当金額などの平均値を指します。
投資家やトレーダーが株式を売買したり取引の戦略を立てたりする際に、目安となる指標であり、「コンセンサス予想」とも呼ばれます。
市場コンセンサスの予想と実際の動きが異なった場合に、市場に大きな動きが出る傾向があります。
コンセンサスアルゴリズム
コンセンサスアルゴリズムとは、分散システムやブロックチェーン技術などのITの分野で使われているアルゴリズムのことを指します。
分散システムとは、多数のコンピューターをネットワークでつなぎ、複数のコンピューターが1つの作業を分担するコンピューターシステムのことを指します。
また、ブロックチェーンとは、過去からの取引履歴を暗号技術によって1本の鎖のようにつなげることで、正しい状態で維持する技術のことです。
コンセンサスアルゴリズムは、データの改ざんや不正な操作などを防ぎながら、ネットワーク全体で合意を形成する方法として用いられています。
医学的コンセンサス
医学的コンセンサスとは、最新の医学知識や根拠などに基づいて、専門家が公式に表した声明を指します。
専門家による議論や研究結果などの根拠を元に形成され、病気の診断方法や診療のガイドラインを作成するうえで大きな意味を持ちます。
医学的コンセンサスは一般的に、臨床に何らかの進歩があったり、新たな証拠が発見されたりするタイミングで見直され、更新されます。
医療従事者への最新の医学的情報の提供や、治療の最大の効果と安全性確保の観点から、医学的コンセンサスは、医療の現場になくてはならないものです。
コンセンサスを取るためのポイント
さまざまな考えや意見を持つメンバーがいる中で全員の意見を一致させることは、スムーズにいかない場合もあります。
会議や議論の場で、全員の合意を得るためには、どのような点に注意すると良いのか、コンセンサスを取るためのポイントについて確認してみましょう。
コンセンサスを取るためのポイント
論点や目的を明確にする
メンバーの意見を引き出す
意見を率直に伝え合う
最終的な解決策を提案する
論点や目的を明確にする
コンセンサスを取るためのポイントとして、「論点や目的を明確にする」ことがあげられます。
議論を始める前に、何について何のために話し合うのかといった、議論の論点や目的、解決すべき課題などを明確にすることが大切です。
目指すべき地点を把握することで、メンバー全員が同じ方向を向いて議論に臨むことができるようになります。
また、話し合いの途中で話題が脱線したり、結論に辿り着けずに議論の時間を無駄にしてしまったりすることを避けることができます。
メンバーの意見を引き出す
コンセンサスを取るためのポイントとして、「メンバーの意見を引き出す」ことがあげられます。
コンセンサスは、参加するメンバー全員の意見が一致することを指すため、議題についての考えをメンバーひとりひとりに表明してもらうことが大切です。
ただ、メンバーの中には、積極的に発言できる人もいれば、なかなか自分の意見を口に出せない人もいます。
全員が考えを表明できるよう、進行役やメンバー同士が意見を引き出す工夫をすることが大切です。
意見を引き出すためには、発言が少ないメンバーに「○○さんはどう考えますか」と発言を促したり、メンバーが話している間は適度な相槌を打ったり表情を変化させたりして関心を示すようにしましょう。
意見を率直に伝え合う
コンセンサスを取るためのポイントとして、「意見を率直に伝え合う」ことがあげられます。
コンセンサスを取るためには、メンバーひとりひとりが自身の考えを率直に伝え合うことが大切です。
複数の人がいる中でコンセンサスを取る場面では、周囲に合わせて自分の意見を曲げた方が良いのではないかと考えることもありますが、周囲に合わせて本音を隠そうとすると、他のメンバーにもその姿勢が伝わり、全体が意見を言いづらい雰囲気になってしまいます。
反対に、率直に意見を表明すると、オープンな雰囲気が周囲に影響し、活発な意見交換ができるようになります。
ただし、率直な意見といっても、感情的になり過ぎたり相手に対して攻撃的になったりすることは良くありません。
全員の合意を得ることが最終目的であることを忘れず、建設的な議論をすることを心掛けましょう。
最終的な解決策を提案する
コンセンサスを取るためのポイントとして、「最終的な解決策を提案する」ことがあげられます。
率直に考えを表明する中では、批判的な意見が出る場合もあります。
批判的な意見を受け入れるにはエネルギーが必要ですが、ネガティブな意見から意外な解決策が生まれることもあります。
批判的な意見もそのままにせず、合意形成の材料として集約し、整理することが大切です。
また、整理した結果、取り入れないことにした意見については、発言者へ取り入れなかった理由をフィードバックすることも必要です。
意見が異なっていても互いに歩み寄り、最終的に双方が納得できるような解決策を考えることが、コンセンサスを取ることにつながります。
▼「フィードバック」についてさらに詳しく
▼「アサーション」についてさらに詳しく
コンセンサスには異なる意見への理解や歩み寄りが大切
コンセンサスとは、「意見の一致」「合意」などの意味を持つ言葉で、何らかの意思決定や問題解決をする場面で、複数の人や企業の意見が一致することを指します。
コンセンサスは、全員の意見が一致することを指すため、メンバーの中で1人でも意見が異なる場合は、コンセンサスが取れたとは言えません。
コンセンサスを重視すると、組織の結束が強くなる、話し合いに参加するメンバーの主体性を伸ばせるなど、多くのメリットがあります。
話し合いを進める中では、時に意見が分かれたり、批判的な意見が出たりする場合もあります。
なかなか全員の意見が一致しない場合も、メンバーひとりひとりが率直に考えを述べ、互いに歩み寄りながら、最終的な解決策を追求することが大切です。
少数派も含めた、さまざまな意見をもれなく拾い集めることによって、メンバー全員にとって納得感のある合意形成ができるでしょう。
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