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2024/08/19

自己顕示欲とは?承認欲求との違いや強い人の特徴や原因と対策について解説

目次

自己顕示欲(じこけんじよく)とは、自分のことを周囲の人から認められたい、注目を集めたいという欲求のことで、「注目されたい」「自分をアピールして良く見られたい」という気持ちであると言えます。

自己顕示欲の強さには個人差がありますが、コミュニケーションを取る際に、相手にストレスを与えてしまったり、自分を偽ったりと、マイナスに働いてしまう可能性があります。

この記事では、自己顕示欲とはどのようなものなのか、自己顕示欲と承認欲求との違い、自己顕示欲が強い人の特徴、自己顕示欲が強くなる原因、自己顕示欲チェックリスト、自己顕示欲と向き合う方法、自己顕示欲が強い人への対策について解説します。

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自己顕示欲とは

自己顕示欲(じこけんじよく)とは、自分のことを周囲の人から認められたい、注目を集めたいという欲求のことです。

自己顕示欲の「顕示」という言葉には、「はっきりと示す」という意味があります。

一般的に、ビジネスの場で顕示したいことは、自分がこれまでに達成した業績や、業務において力を入れて取り組んでいる内容などが考えられます。

また、個人のSNSなどで顕示したいことは、自分の生活がいかに充実しているか、良いものを持っているかなどが考えられます。

つまり、「注目されたい」「自分をアピールして良く見られたい」という気持ちこそが、自己顕示欲であると言えます。

自己顕示欲と承認欲求の違い

自己顕示欲と似た言葉に、承認欲求があります。

承認欲求とは、アメリカの心理学者であるアブラハム・マズロー氏の「欲求5段階説」の中で提唱されています。

欲求5段階説とは、人間の欲求を5つに分類したもので、段階が低い順に「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」に分類され、それぞれの欲求が積み重なって、ピラミッドを構成しています。

マズローの欲求階層説

「生理的欲求」から1段階ずつ欲求を満たして行くことで、次の段階の欲求を持つようになり、最終的に「自己実現」へ向かって行くと考えられています。

承認とは、その事柄を「正当であると認めること」「肯定の意思を示すこと」を指し、承認欲求とは、自分の事を良い存在として認めてもらいたいという感情です。

自己顕示欲がとにかく自分に注目を集めたい、良く見られたいという意味であるのに対し、承認欲求は、自分の考え方や行動などを通じて、自分の存在を認めてほしいという意味合いが強い点が異なる点です。

自己顕示欲が強い人の特徴

自己顕示欲には個人差があり、自分への注目を集めたいと強く思う人と、そうではない人とがいます。

自己顕示欲が強い人には、どのような特徴があるのか確認してみましょう。

自己顕示欲が強い人の特徴

  • 自分の話をすることが多い

  • 周りからの評価を気にしやすい

  • 相手の話を否定しがち

  • 負けず嫌い

  • 嘘や偽りが多い

自分の話をすることが多い

自己顕示欲が強い人の特徴として、「自分の話をすることが多い」ことがあげられます。

自分に関する話を多くすることは、自己顕示欲が強い人の特徴の1つです。

自分に関する話の例には、自分の生い立ちや境遇についての身の上話や自慢話などがあげられます。

また、自己顕示欲が強い人は他の人の話に興味がないことが多く、相手が話す内容を自分の話題に転換したり、自分の意見や経験を押し付けたりする場合もあります。

自分が輪の中心でいたいという気持ちが表れていると考えられます。

周りからの評価を気にしやすい

自己顕示欲が強い人の特徴として、「周りからの評価を気にしやすい」ことがあげられます。

自己顕示欲が強い人は、自分が周囲からどう見られているかを気にする傾向があります。

ビジネスにおいて周囲からの評価を気にすることは、長時間労働や過度な残業など、過労のリスクにつながる可能性があります。

一方で、他者からの評価につながらない業務には、全く関心が持てないこともあります。

また、他者からの評価を気にし過ぎると、本当は自分がどう考えているのか、どうしたいのかが分からなくなってしまう場合があります。

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相手の話を否定しがち

自己顕示欲が強い人の特徴として、「相手の話を否定しがち」であることがあげられます。

自己顕示欲が強い人は、他者の話に関心を持ったり相手の意見に同調したりすることが少ない傾向にあり、相手の話を否定することも多いでしょう。

否定することで、自分が相手よりも優れた意見や考えを持っていることを示し、周囲よりも優位に立ちたいという気持ちが強いのです。

また、相手の言っていることが正しい場合でも、自身の優位性を保つために相手の話を否定することがあるため、場合によっては人間関係に支障をきたす可能性があります。

負けず嫌い

自己顕示欲が強い人の特徴として、「負けず嫌い」であることがあげられます。

自分に足りない部分や知らないことがあることに気付いた時は、学びの機会と捉えて、自己成長に活かす姿勢を持つことが大切です。

しかし、自己顕示欲が強い人は、自分が持っていないものを相手が持っている状況を、「負けている」と考えてしまいがちです。

また、自己顕示欲が強い人は自尊心が高いことも多いため、あらゆる場面において、誰かに負けることを嫌います。

知らないことを学べる機会があったとしても、学びよりもどのようにして自分が相手の上に立つかという事ばかりを考えてしまいがちです。

嘘や偽りが多い

自己顕示欲が強い人の特徴として、「嘘や偽りが多い」ことがあげられます。

自己顕示欲の強い人は、相手に対して自分をより良く見せたいという気持ちがあるため、つい嘘をついたり、偽りの自分を見せようとしたりしがちです。

例えば、自分自身の存在を、本来の自分よりも優れた存在であると思ってもらいたいために、仕事の実績を誇張して話したり、持っていないものを持っていると言ったりする嘘をついてしまいます。

特にビジネスの場では、嘘をつき、その嘘を隠すためにさらに別の嘘を重ねるなどすることで、周囲からの信頼を失ってしまう可能性があります。

自己顕示欲が強くなる原因

自己顕示欲は、非常に強い人とほとんど無い人がいるなど、個人差が大きいものです。

では、自己顕示欲が強くなる原因には、どのようなことがあるのか確認してみましょう。

自己顕示欲が強くなる原因

  • 自分に自信がない

  • 仕事や私生活がうまく行っていない

  • 育った環境の影響を受けている

自分に自信がない

自己顕示欲が強くなる原因として、「自分に自信がない」ことがあげられます。

自分に自信がないと、自分で自分のことを認めてあげることができないため、他者から認めてもらいたい気持ちが強くなる可能性があります。

本人の考え方や状況によっては、自信の無さが「もっと優秀な人材だと思われたい」「周囲の人よりも上の立場に立ちたい」という気持ちとなって、自己研鑽や努力につながり、自信を持てるようになる場合もあります。

しかし、自信の無さがプラスに働かない場合、過剰な自己顕示欲につながって行く可能性があります。

仕事や私生活がうまく行っていない

自己顕示欲が強くなる原因として、「仕事や私生活がうまく行っていない」ことがあげられます。

具体的には、仕事で思うような成果が出せていない、家族との関係が良くない、などがあげられます。

自分の生活に満足できていないことから、周囲から良く見られたい、評価されて満足したいという気持ちが生まれ、自己顕示欲につながると考えられます。

反対に、仕事や私生活がうまく行っている人は、自分の現状に満足できているため、それ以上の評価や賞賛を得ようとすることは少ないでしょう。

育った環境の影響を受けている

自己顕示欲が強くなる原因として、「育った環境の影響を受けている」ことがあげられます。

例えば、幼少期に親からの愛情を受けてこなかった、十分なスキンシップを取ることが無かった、という場合があげられます。

育った環境に満足できていないと、その反動で他者から注目されたり、認められたりすることを強く望むようになる可能性があります。

そして、強い自己顕示欲につながり、場合によっては、職場やプライベートでのコミュニケーションに支障をきたすことがあります。

自己顕示欲チェックリスト

自分の自己顕示欲の強さを、自分で客観的に判断することは難しいため、自己顕示欲チェックリストを参考に確認してみましょう。

自己顕示欲チェックリストの8つの項目に当てはまる数が多い程、自己顕示欲が強いと言えるでしょう。

自己顕示欲チェックリスト

  1. 目立ちたがり屋である
  2. SNSを頻繁に更新し投稿に自分の顔を出したりすることを好む
  3. 自分の話をすることが多い
  4. 長い説教をすることが多い
  5. 声が大きいと言われることが多い
  6. 自分より目立つ人を見ると不快になる
  7. 他者からのアドバイスを聞こうとしない
  8. 自分を中心にして物事が進んでいると感じる

自己顕示欲と向き合う方法

自分の自己顕示欲の強さに悩んでいる場合、どのように対処するのが良いのか、自己顕示欲の強さと向き合う方法について確認してみましょう。

自己顕示欲と向き合う方法

  • 自己肯定感の向上に取り組む

  • 人と自分を比較し過ぎない

  • 自己顕示欲をポジティブに捉える

自己肯定感の向上に取り組む

自己顕示欲と向き合う方法として、「自己肯定感の向上に取り組む」ことがあげられます。

自己顕示欲が強くなる要因の1つに、自分への自信の無さがあります。

自分に自信が無いと、自己肯定感が低くなります。

自己肯定感は、ありのままの自分を肯定する気持ちであり、自己肯定感を高めることこそが自分への自信につながるため、自己顕示欲を抑えるためには、自己肯定感を高められるような働きかけを行うことが大切です。

また、自己肯定感を高めるためには、自分に対する評価基準を周囲に求めるのではなく、自分自身で決めることが重要です。

誰かに認めてもらうのではなく、自分で自分自身を認め、褒めてあげられるようになると、自己肯定感が高まり、自分のことをより大切に思えるようになります。

▼「自己肯定感」についてさらに詳しく
自己肯定感とは?低い人の行動の特徴や高める方法を解説

人と自分を比較し過ぎない

自己顕示欲と向き合う方法として、「人と自分を比較し過ぎない」ことがあげられます。

仕事でもプライベートでも、他者と自分とを比べることは、努力の原動力や目標になり、プラスに働くことがありますが、一方で、自分と他者とを比較し、優劣を判断した結果がマイナスに働いてしまい、強い自己顕示欲につながる場合もあります。

自分と他者の優劣はあくまで主観的なものであり、状況によって見方も変わります。

また、ある時は自分の方が勝っていると感じても、別の場面では自分の方が劣っていると感じる場合もあるように、他者と自分を比較する状況は、数えるときりがありません。

自己顕示欲を抑える観点からも、自分と他者を比較し過ぎないよう注意することが大切と言えます。

自己顕示欲をポジティブに捉える

自己顕示欲と向き合う方法として、「自己顕示欲をポジティブに捉える」ことがあげられます。

自己顕示欲は、考え方の癖などから、思うように抑えられない場合があります。

どうしても思うように自己顕示欲をコントロールできない場合は、自己顕示欲を嫌なものと考えず、ポジティブなものと捉えることも大切です。

例えば、職場などの公の場で自分をアピールできることは、臆せず自分のことを主張できるという強みであると捉えることができます。

また、自分を良く見せたい、評価されたいという気持ちが強いということは、理想の自分に近付くための強い原動力を持っているとも言えます。

自己顕示欲が強い人は、具体的な目標や目的さえあれば、原動力を活かして、高いスキルや知識などの習得に励むことができる存在であるとも考えられます。

自己顕示欲が強い人への対策

仕事やプライベートでさまざまな人と接する中で、自己顕示欲が強いと感じる人に出会うこともあります。

自己顕示欲が強い人は、自分のことを過剰にアピールすることが多いため、状況によってはコミュニケーションが取りにくいと感じることもあるでしょう。

自己顕示欲が強い人と接する際は、どのような点に留意すると良いのか、自己顕示欲が強い人への対策について確認してみましょう。

自己顕示欲が強い人への対策

  • 自己顕示欲について理解する

  • 適度な距離を保つ

  • 話を否定せずに受け入れる

  • 相手の良い点を褒める

自己顕示欲について理解する

自己顕示欲が強い人への対策として、「自己顕示欲について理解する」ことがあげられます。

自己顕示欲が強い人と接する機会が多い場合は、自己顕示欲とは何か、なぜ強くなるのかなど、自己顕示欲そのものについて理解することが大切です。

自己顕示欲の強さが、ただ目立ちたい、上の立場に立ちたいという考えではなく、相手のこれまでの環境に起因しているかもしれないと知ることで、接し方が変わったり、相手への気持ちが穏やかになる可能性があるためです。

自己顕示欲について理解することは、相手と接することで受ける自分のストレスを軽減する点からも大切であると言えます。

適度な距離を保つ

自己顕示欲が強い人への対策として、「適度な距離を保つ」ことがあげられます。

自己顕示欲に関して理解したとしても、自己顕示欲が強い人と接することに、どうしてもストレスを感じてしまう場合もあるでしょう。

特に、職場で自己顕示欲が強い人から強いストレスを受け続けていると、仕事自体が上手く回らなくなってしまう可能性もあります。

相手と接することがあまりにも大きな負担になる場合は、近付きすぎず適度な距離を保つことも大切です。

自己顕示欲が強い人は、自分の話を聞いてくれる人を慕う傾向があります。

どうしても関係性を保つことが難しいと判断した場合には、適度に距離を置くと、話を聞いてくれない存在であると認識され、自己顕示の対象となりにくくなると考えられます。

話を否定せずに受け入れる

自己顕示欲が強い人への対策として、「話を否定せずに受け入れる」ことがあげられます。

自己顕示欲が強い人は、自分を認めてもらうことが非常に大切なため、自分の考え方や行動を批判されたり否定されたりすると、傷付いたり場合によっては逆上したりすることがあります。

トラブルを避ける観点からも、自己顕示欲が強い人と接する際は、相手の話を否定せず、受け入れることが大切です。

全ての話に同意したり同調したりする必要はありません。

「そうなんですね」と相手の主張を受け止めたうえで、反論することなく流すことで、自分も相手も余計なストレスを溜めなくて済みます。

相手の良い点を褒める

自己顕示欲が強い人への対策として、「相手の良い点を褒める」ことがあげられます。

自己顕示欲が強い人は、周囲に認められたい、評価されたいという気持ちを持っているため、自分が負担に感じないのであれば、聞き役に回り、相手の話や相手自身の良い点を見付けて褒めることで、良好な関係が築けると考えられます。

具体的には、相手が努力している点や、発想力などの能力面について褒めると良いでしょう。

ただし、褒めることで、もっと自分の話を聞いてほしいという気持ちから、相手の話が長くなってしまう可能性もあります。

仕事に関係のない話があまりに長いと業務に支障をきたすため、適当な所で切り上げたり聞き流したりすることも大切です。

自己顕示欲を理解したうえで適切なコミュニケーションを

自己顕示欲は、周囲に自分をアピールし、良く見られたいと考える気持ちのことです。

自己顕示欲の強さには個人差があり、自己顕示欲が強くなることには、自分への自信の無さや育った環境など、さまざまな要因が影響しています。

また、自己顕示欲が強い人は相手の話を否定したり、自分自身を偽ったりすることがあるため、コミュニケーションにおいてストレスを感じてしまう場合があります。

自己顕示欲が強い人と接する際は、相手の良い点を褒めて良好な関係を築いたり、近付きすぎず一定の距離を保つなど、自分と相手の関係性に合わせたコミュニケーション方法を選ぶことが大切です。

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HR大学編集部
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