人事考課のフィードバックとは?部下と信頼関係を築くポイントも紹介
- 人事考課におけるフィードバックとは
- フィードバックとは
- 人事考課のフィードバックが注目される背景
- 人事考課におけるフィードバックの目的
- 目標達成
- 人材育成
- モチベーションアップ
- 業務の効率アップ
- 信頼関係の構築
- 企業文化を作る
- 人事考課のフィードバックに加え、日々の「1on1ミーティング」を
- 1on1ミーティングとは
- 1on1ミーティングの目的
- 1on1ミーティングの効果
- 1on1ミーティングの注意点
- 1on1ミーティングに便利なタレントマネジメントシステム
- 人事考課におけるフィードバックの方法
- 人事考課フィードバックを行うべき場所
- 人事考課フィードバックにおける適切な伝え方
- 人事考課フィードバックにシステムを活用する
- 人事考課におけるフィードバックで心掛けること
- 自覚
- 関心
- 尊敬
- 傾聴(共感)
- 説得
- 概念化
- 人事考課におけるフィードバックの型
- SBI型
- ペンドルトン型
- まとめ
この記事では「人事考課におけるフィードバックとはなにか」、という点について目的・背景・方法などを補足しながらお伝えします。
人事考課におけるフィードバックとは
人事考課におけるフィードバックとは、評価者(上司)と被評価者(部下)の間で、目標についての達成度合い、その評価・改善点などを伝え、被評価者の成長・課題解決に向けて話し合うことをさします。
またスキル、仕事の態度などを評価した結果を、上司から部下に伝えます。
そうすることで、部下は現時点の自身の能力や課題を、正しく認識することができます。
スキルアップ、課題に向けてのアクションが明らかになることで、モチベーションの向上、業務の効率化、業績のアップへと繋げることができます。
フィードバックとは
フィードバックとはこの図にあるように上司(評価者)から部下(被評価者)へ「行われた仕事に対する評価や改善点を伝える」ことです。
ビジネスで行われるフィードバックには「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」の2つに大きく分けられます。
「ポジティブフィードバック」は部下を褒め、かつ部下が仕事に対して情熱・自信を持ち、積極的に業務に取り組めるよう導くものです。そのために、部下の良い点を具体的に伝えます。
「ネガティブフィードバック」は、部下の良くなかった点を改善してもらう指摘を行うものです。ネガティブなフィードバックを行うには、注意が必要です。
サンドイッチ型など、フィードバックの具体的な「型」については、のちほどこの記事でお伝えします。
フィードバックが必要な理由については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
関連リンク:チームの成果を高めるために!適切な「フィードバック」とは?
人事考課のフィードバックが注目される背景
人事考課のフィードバックが注目される背景には「従業員の価値観の多様化」「雇用形態の多様化」、そして上司と部下の間の「コミュニケーション不足」が挙げられます。
人事考課におけるフィードバックの目的
人事考課におけるフィードバックの目的について紹介します。
その前に、人事評価の項目についておさらいしましょう。
代表的なものとしては、成果評価、能力評価、情意評価の3つがあります。この項目に沿って、フィードバックの目的を紹介します。
目標達成
人事考課のフィードバックでは、部下の目標達成の度合いを共有します。
「仕事の結果を評価」する「成果評価」の項目です。「(被評価者の)行動は成果に繋がったのか」という点を伝えます。
人材育成
業務に必要となる能力や知識、資格を持っていることを評価する項目である「能力評価」は人材育成の目的で設定されています。
現時点での被評価者のスキルをはかり、その上達のためのフィードバックを行うことで、人材を育成します。
モチベーションアップ
人事考課におけるフィードバックの目的のひとつは、被評価者のモチベーションアップです。
評価者が「成果に繋がった行動」「スキルアップして成長したこと」「良かった仕事の姿勢」を具体的に伝えることによって、被評価者は評価者から「見られて、評価されていること」を感じ取ることができます。
しっかりとフィードバックを受けることによって、被評価者は自身の行動を客観視できるようになります。モチベーションアップだけでなく、成長にも繋がります。
業務の効率アップ
人事考課のフィードバックでは、課題を上司と確認し、話し合う場を持つことができます。そうすることで、問題解決の糸口を見つけるだけではなく、被評価者の能動的な行動をも引き出すことができます。
部署全体の業務の効率アップにも繋がることでしょう。
信頼関係の構築
上司・部下との信頼関係の構築も、人事考課のフィードバックの目的です。
目標に対して、建設的な改善点や具体的な行動の助言を評価者が伝えることで、評価者と被評価者との間には信頼関係が生まれます。
しかし信頼関係は、一朝一夕にできるものではありません。人事考課のフィードバックだけでなく、普段のコミュニケーションの取り方や面談の仕方についても、留意する必要があります。
企業文化を作る
人事考課のフィードバックは、企業文化を作ります。
企業独自の価値観、期待する行動を浸透させるために、人事評価制度は構築されています。評価者が被評価者に、自社にマッチした言動についてフィードバックすることで、「企業文化」を伝えることが可能です。
人事考課のフィードバックに加え、日々の「1on1ミーティング」を
人事考課のフィードバックに加えて、定期的な「1on1ミーティング」の開催をおすすめします。
もし被評価者が企業にとって適切でない行動をした場合、それを人事考課のタイミングで指摘することは、信頼関係を損なうことに繋がります。
被評価者の立場から考えると「どうして、あのとき言ってくれなかったのか」と、不満に繋がるからです。そのためにも、定期的に「1on1ミーティング」を行うようにしましょう。
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、その名のとおり、上司と部下で行う定期的な1対1のミーティングのことです。
「どういうキャリアを考えているのか」「どういう悩みを持っているのか」など、部下の考えていることを把握し、「対話型のコミュニケーション」を行います。
15〜30分の短時間での面談を、高頻度で繰り返し行う特徴があります。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティング実施の目的は、部下の成長をサポートすることです。評価や管理のための人事面談・人事考課のフィードバックとは目的が若干異なります。
1on1ミーティングの効果
部下との信頼関係が構築されます。
上司と部下の間に信頼が築かれていない、またコミュニケーションが不足している場合、部下の悩みが深まり「退社という決断」をしてから上司に報告することも起こりえます。
また1on1ミーティングには、上司と業務の課題・問題点などを共有するだけでなく、仕事のポイントを振り返る時間としても有効です。
それは、部下の成長を促すことにも繋がります。
1on1ミーティングの注意点
人事面談・人事考課とは異なり、1on1ミーティングは「対話」の場です。
そのため、上司・部下ともにその形式に慣れていない場合、「話すことがない」という事態が起こりえます。
また、上司が一方的に話す場になってしまうことも。
1on1ミーティングを行う目的・意味をしっかりと双方が理解した上で実施しましょう。話すことを事前に決めることも有効です。
詳しく知りたい場合、こちらをご覧ください。
関連リンク:1on1は意味ない?1on1が無駄になる理由と意味ある1on1にするポイント
1on1ミーティングに便利なタレントマネジメントシステム
1on1ミーティングは上司と部下の雑談の時間ではありません。
部下の成長のための継続的なコミュニケーションであるため、その「連続性」が重視されます。面談記録を整理し「残す」ためにも、クラウドツールの活用がおすすめです。
弊社HRBrainでは、個の成長を加速させる「1on1ミーティング」が可能です。
HRBrainの1on1ミーティング機能
1on1で話す内容を標準化
話した内容やフィードバックを可視化
社員の状態をカンタン可視化
詳しく知りたい場合、こちらをご覧ください。
関連リンク:1on1ミーティング
人事考課におけるフィードバックの方法
人事考課におけるフィードバックの方法を紹介します。
人事考課フィードバックを行うべき場所
人事考課フィードバックは、必ず1対1になれる会議室などで行いましょう。
とくに人事考課は賃金、そして成果など重大な内容を含みます。
騒がしい場所、また他の従業員の気配のある場所でフィードバックを行うことは、部下のモチベーションを大きく下げることに繋がります。
人事考課フィードバックにおける適切な伝え方
最初に褒める
人事考課フィードバックを受ける部下は、緊張している場合がほとんどです。
最初に褒めることで、部下の緊張も和らぎ、また「嬉しい」と思うことでモチベーションも高まります。最初に話を聞く姿勢を、部下に作ってもらうためにも有効です。
目標・課題を振り返る
立てた目標に対しての達成度を振り返りましょう。
実行可能なことを建設的・具体的に助言する
その目標に対して、達成していなかった場合、「どのような行動をどのくらいの頻度で繰り返したら到達可能なのか」など、部下が実現できると思える内容まで落とし込んで、具体的に助言しましょう。
行動に対して評価をする
部下の気質について評価するのでは、「変えようがない」と部下のモチベーションを下げることにも繋がります。「行動」について助言を行いましょう。
伝え方を人に合わせて変える
Aさんに響く伝え方が、必ずしもBさんに伝わるとは限りません。部下個人を責任と愛情を持って「見て」、適切なフィードバック方法を常に模索しましょう。
信頼関係を築く
人事考課フィードバックは、上司が一方的に部下に結果を伝える場ではありません。
トップダウン式のリーダーシップの取り方は、部下の自発的に業務に取り組もうとする意欲を削いでしまいます。
人事考課フィードバックは、1on1ミーティングと同様、部下の成長を促し、信頼関係を築く場であることを意識しましょう。
人事考課フィードバックにシステムを活用する
人事考課フィードバックに、タレントマネジメントシステムを活用することも有効です。
従業員の評価に対する納得度をアップし、人事評価にかかる工数の削減に大きく貢献します。また、評価者による評価のバラつきも解決可能です。
人事考課におけるフィードバックで心掛けること
次に、人事考課におけるフィードバックで心掛けること(マインド)について紹介します。
自覚
評価者のフィードバックは、主に評価者自身がかつて被評価者だったときにフィードバックされた経験から形作られています。
「無知の知」ではありませんが、そのことを「自覚」することが重要です。
評価者のフィードバックは、被評価者からどのように思われているのでしょうか。
アシミレーションなどの手法を使い、評価者が自分を客観視することもひとつの手法です。
また見識を広げ、フィードバックの具体的なロールプレイングを学ぶために、人事評価制度研修を受けることも有効です。
関連リンク:人事評価制度研修はなぜ必要?研修の目的や被評価者メリットについて解説!
関心
上司は部下の仕事の成果、能力、仕事の姿勢に関心を持って日々「見る」ことを心掛けましょう。
尊敬
上司と部下という指示系統にこだわらず、尊敬をもって接するようにしましょう。
その想いは、部下に「尊重されている」という意識を生み、信頼関係を構築することに繋がります。
傾聴(共感)
普段から部下の話に共感し、耳を傾けるようにしましょう。
説得
上司は部下に対して一方的な命令・指示を行いがちです。
従わせるのではなく、同じ目標を目指すために、望ましくない部下の行動・仕事の姿勢がある場合は、それを指摘し、修正するよう「説得」しましょう。
概念化
トップダウンで下りてきた目標を共有するのではなく、よりよい方向へ組織を導くための目標を据え、部下に共有しましょう。
これらの特性については、こちらの記事の「サーバントリーダーシップ」で詳しく紹介しています。
関連リンク:今注目のサーバントリーダーシップとは?従来型との違いや役割にも
人事考課におけるフィードバックの型
最後に、人事考課におけるフィードバックの型を3つ紹介します。とくにマイナス評価を部下に伝えるときは細心の注意が必要です。
そこで、今すぐ使えるフィードバックの「タイプ」について3つ紹介します。
フィードバックの3つのタイプについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
関連リンク:フィードバックの種類は?3つの型で部下との信頼関係を構築するサンドイッチ型
その名の通り、パン、具、パンの順番で作る「サンドイッチ」のようにフィードバックをする型です。
- ポジティブなフィードバック/(パン)
- 改善点・指摘=ネガティブなフィードバック/(具)
- ポジティブなフィードバック/(パン)
以上のように「褒める」間に「指摘」を挟むことで、被評価者のモチベーションの低下を最小限に抑えることができます。
SBI型
SBI型とは、「状況(situation)」、「行動(behavior)」、「結果(impact)」の頭文字を取った型のことです。
- 状況/〇〇のとき
- 行動/△△していたことが(被評価者の行動・発言に対して)
- 結果/結果として、わたしには××のように見えたけど、どう思う?
以上のように、具体的に、いつ、どんなことが、どのように結果としてあらわれたのか(評価者にどのように見えたのか)、順を追って説明します。
決めつけはせず「どう思う?」と被評価者にボールを手渡してあげることで、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。
SBI型の指摘によって、被評価者は「あのとき、まわりからはそう見えていたんだ」という気づくことができ、成長に繋がります。
評価者と被評価者の間に、信頼関係を築くことができるフィードバックの型です。
ペンドルトン型
ペンドルトン型とは、心理学者のペンドルトン氏が開発したフィードバックの型のことで、「言葉のやり取り」をすることが特徴です。
- なにを話すのか(確認)
- 良かった点
- 改善点
- 今後どうするのか(行動計画)
- まとめ
評価者とともに「なにを話すのか」、はじめに認識を合わせ、そのテーマに対し被評価者が自分の言葉で考えて表現します。
そのため被評価者に「内省」を促すことができます。
評価者が被評価者のために良かれと思って先回りして「答え」を出すのではなく、被評価者が自ら考えて「答え」を出すため、モチベーションのアップに繋がりやすいメリットがあります。
このペンドルトン型はひとつの議題についてじっくり話し合うことが特徴です。被評価者自身で答えを考えるため、なかなか答えが出ないこともあるでしょう。
この型を採用する場合は、フィードバックの時間を多めに確保しておくのがおすすめです。
まとめ
人事考課におけるフィードバックとは、評価者(上司)と被評価者(部下)の間で、目標についての達成度合い、その評価・改善点などを伝え、被評価者の成長・課題解決に向けて話し合うことをさします。
「価値観の多様化」「雇用形態の多様化」「上司と部下のコミュニケーション不足」という背景から、人事考課におけるフィードバックは再度注目されています。
また、人事考課におけるフィードバックの目的は、以下の7つです。
目標達成
人事考課の結果の共有
人材育成
モチベーションアップ
業務の効率アップ
信頼関係の構築
企業文化を作る
信頼関係の構築をするために、人事考課のフィードバックに加え、日々の「1on1ミーティング」を行うことも有効です。
1on1ミーティングとは、上司と部下で行う定期的な1対1のミーティングのことです。短時間での面談を、高頻度で繰り返し行うことで、部下の成長をサポートします。
効果的な人事考課のフィードバックを行うためにも、部下との信頼構築は欠かすことのできないものです。
1on1ミーティングを行うことで、日頃のコミュニケーション不足を解消することができます。
また人事考課におけるフィードバックの際に、以下6つを意識することで、劇的な改善が見込めます。
褒める
目標・課題を振り返る
実行可能なことを建設的・具体的に助言する
行動に対して評価をする
伝え方を人に合わせて変える
信頼関係を築く
そのためには、以下のことを心掛けるようにしましょう。
自覚
関心
尊敬
傾聴(共感)
説得
概念化
また人事考課におけるフィードバックの型には以下3つの型があります。
マイナス評価を部下に伝えるときに意識すると、コミュニケーションがスムーズです。
サンドイッチ型
SBI型
ペンドルトン型
人事考課のフィードバックには、「タレントマネジメントシステム」の活用が、便利かつおすすめです。
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