#人材育成
2024/08/05

キャリアデザインシートの書き方やプロセスを解説!NG例も紹介

目次

キャリアデザインシートは、将来どのような働き方や生き方がしたいかについて考える「キャリアデザイン」を作成する際に使用するツールです。

キャリアデザインシートは、自身が目指す「将来像」までの目標や課題を明確化します。

また、就職や転職活動、企業の人材育成や採用活動などに役立つツールとして、取り入れる企業も増えています。

この記事では、キャリアデザインシートの役割、書き方とNG例などについて、分かりやすく解説します。

キャリアデザインに必要な「スキル」の見える化

キャリアデザインとは

キャリアデザインとは、将来どのような仕事をして、どのような働き方や生き方がしたいかについて考えることです。

キャリアデザインは、ただ漠然と未来を見据えるだけではありません。

自分が培ってきた経験やスキルを振り返り、現在地を理解したうえで数年後・十数年後の自分を具体的に考えます。

これまでの日本では、新卒で入社した会社に定年まで勤める「終身雇用」が当たり前の時代でした。

ですが、時代の変化とともに、働き方や仕事に対する価値観や考え方が大きく変わったことによって、仕事への選択肢が広がり、自由なキャリア選択が可能になったため、将来を見据えた主体的かつ具体的なキャリアデザインが必須となりつつあります。

キャリアデザインの重要性

終身雇用の時代は年功序列が一般的で、会社での出世ルートはある程度決まっていました。

現代でも年功序列が残る会社は多く存在します。

また、年功序列がない会社でも、日々の業務をこなしていれば、基本的に働き続けられるでしょう。

与えられた業務を淡々とこなせることもひとつのスキルといえますが、この先何十年と働き続けることを考えるとどうでしょうか。

「人生100年時代」といわれる今、自分で自分を成長させなければ、いつか時代の流れに追いつけない日が訪れるかもしれません。

また、企業にとっても、従業員のキャリアデザインにはメリットがあります。

キャリアデザインは、自身の得意不得意や能力を把握できるため、自身に求められているものやとるべき行動が理解できます。

目標ができると、そこに向かうための努力ができ、前向きな気持ちで業務に取り組めます。

また、不足しているスキルや経験を積極的に補おうとする意識も芽生えるため、主体的な業務遂行が期待できるといえます。

従業員のモチベーション向上も期待できるほか、主体的に行動できる従業員が増えることで、企業全体の生産性の向上にもつながります。

キャリアデザイン支援は従業員だけではなく、企業側にも意味のあるものといえるでしょう。

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キャリアデザインとキャリアパスとの違い

キャリアデザインに似た用語にキャリアパスがあります。

「キャリアパス(career path)」の「path」には、「道」や「経路」といった意味があるため、「キャリアを実現するための道」といった意味合いになります。

キャリアデザインは、個人が主体的にキャリアをプランニングする一方で、キャリアパスの主体はあくまで企業にあります。

会社に存在するさまざまなポジションや部署に就くための経路を用意することが、キャリアパスに該当します。

たとえば、あるポジションに就くために必要な社内検定を設けたり、必須スキルや実績、経験を明示します。

また、キャリアパスのことを「キャリアステップ」と呼ぶ企業もあります。

キャリアデザインはキャリアプランと似ていますが、キャリアプランはキャリアに特化した目標や計画を立てるのが特徴です。

一方で、キャリアデザインは、結婚や子育てといったライフイベントも含めながら総合的な計画を立てるという違いがあります。

キャリアデザインを実施する方法

キャリアデザインを従業員に実施させたい、あるいは自主的にキャリアデザインに取り組みたい場合に必要な、キャリアデザインのプロセスについて確認してみましょう。

キャリアデザインのプロセス

  1. これまでの経験の「振り返り」
  2. 将来の「理想像の設定」
  3. キャリアの「現状把握」
  4. 将来の「目標設定」

これまでの経験の「振り返り」

まずは、これまで自身が歩んできたことを振り返りましょう。

社会人になってから経験したこと、獲得した資格やスキルなど、自分の持っている能力を書き出してみてください。

次に、やりがいを持って取り組めた仕事と、反対に自分には向いていないと感じた仕事についても洗い出します。

また、得意ではあるものの好きではない仕事、得意とはいえないものの好きな仕事などについても、振り返りましょう。

これまでの経験を通じた自分の適性を理解することで、どのような働き方がしたいかが明確になります。

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将来の「理想像の設定」

将来の理想像を明確にします。

すでにやりたいことが明確であればスムーズですが、明確ではない人もいるかもしれません。

将来何をしたいのかが明確ではないという場合は、「どう生きたいか」「どんな暮らしがしたいか」など、ライフプランから考えてみるのもひとつの方法です。

たとえば、「都会を離れ地方で暮らしたい」「在宅で仕事をしながら家族との時間を大切にしたい」といったことです。

また、「ロールモデル」を探すのもよいでしょう。

憧れの先輩や上司、有名人のキャリアを参考にして、自分の理想像を明確にしましょう。

特に20代、30代の場合、さまざまなライフイベントを控えているため、自分が理想とするロールモデルを見つけることで、モチベーションも高まります。

また、憧れの上司などに話を聞いてみるのもおすすめです。

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キャリアの「現状把握」

理想とするゴールが定まったら、自分のキャリアの現在地を確認します。

現在のポジションや業務と、将来の理想像とを比較してみましょう。

現在地と将来像を比較することで、理想を叶えるために足りないものや、課題が見えてきます。

たとえば、最終的な理想が「海外で働くこと」であれば、海外で働くために必要な英語力や、海外転勤に必須な資格や経験が不足している場合などが考えられます。

また、「在宅で働くこと」を理想とする場合は、完全リモートワークが可能な職種を考えたうえで、自分自身の現状を見つめ直し、身につけるべきスキルなどを洗い出してみましょう。

将来の「目標設定」

現在地とゴールを明確にできたら、ゴールまでの道のりを考えましょう。

ゴールについて考えるプロセスが、キャリアデザインではもっとも重要です。

キャリアデザインは、職業人生を具体的にプランニングすることが大切なため、設定する目標や課題が曖昧だと意味がありません。

現状を把握して整理した内容をもとに、解消すべき課題をリストアップします。

たとえば、海外勤務が目標であれば、海外勤務に最低限必要といわれる「TOEIC730点以上」、完全リモートワークが可能なエンジニアが目標であれば、「各プログラミング言語取得」などがあるでしょう。

リストアップした課題を目標に置き換え、達成時期を設定します。

「来年はTOEIC500点以上、3年後には800点以上」「働きながら資格スクールに通い、1年でプログラミング言語を習得する」など具体的な目標設定が重要です。

ただし、大きすぎる目標ばかりでは、モチベーションを維持できません。

自身の性格にあわせて、達成しやすい目標を組み込むことで、理想に近づいていることが実感でき、モチベーションを高い状態で維持することができるでしょう。

キャリアデザインシートの役割

キャリアデザインを設定する際の、各プロセスで役立つのが「キャリアデザインシート」です。

キャリアデザインシートとは、キャリアデザインの各プロセスを整理しやすくするためのツールです。

シートに設定された項目を埋めていくことで、キャリアデザインを可視化します。

また、担当者が管理やフィードバックしやすいのもキャリアデザインシートのメリットといえるでしょう。

厚生労働省では「ジョブ・カード」とも呼ばれており、キャリア形成や求職活動、能力開発に活用されています。

もちろん白紙に書き出すことも可能です。

ただし、キャリアデザインシートを用いることで、大まかな書き方や流れが把握できるため、よりスムーズなキャリアデザインを実施することができます。

企業が従業員に対し、キャリアデザインを実施する場合は、オリジナルのキャリアデザインシートを用意することで従業員も取り組みやすくなります。

(参考)厚生労働省「マイジョブ・カード

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キャリアデザインシートの書き方

キャリアデザインが4つのプロセスで分けられるように、キャリアデザインシートも「振り返り」「現状把握」「理想像の設定」「目標設定」の4つに分類されます。

1枚に全プロセスをまとめても問題ありませんが、プロセスごとにシートを分けたほうが見やすく、その後の振り返りもスムーズに行えます。

キャリアデザインシートは、文章でまとめたり、箇条書きで書き出したりなど、書き方に決まりはありません。

また、ペーパーシートだけでなく、デジタル管理も可能です。

パソコン上であれば、表やグラフも挿入しやすく、画像も取り入れやすいのが魅力です。

キャリアデザインシートが思い浮かばない場合は、インターネットで「キャリアデザインシート」を検索すると、さまざまなテンプレートや作成例があるので、参考にするとよいでしょう。

キャリアデザインシートを書く際のポイント

キャリアデザインやキャリアデザインシートを記入する際に大切なポイントについて、確認してみましょう。

キャリアデザインシートを書く際のポイント

  • キャリアとライフイベント両方の視点で考える

  • より明確な将来像を立てる

キャリアとライフイベント両方の視点で考える

キャリアデザインを実施するうえで、ライフイベントの考慮は欠かせません。

人はただ仕事をするだけではありません。

結婚や出産、転勤、家族の介護など、人によってさまざまなライフイベントが発生します。

すでにパートナーがいる場合は、パートナーともよく話し合い、働き方やライフイベントについての方針を大まかにでも決めておきましょう。

たとえば、出産をひかえている場合、産休や育休を、いつからいつまで取得し、いつから職場復帰するのか、子どもの送り迎えはどう担当するかなどを考えておきます。

ライフイベントを考慮せずにキャリアデザインを実施してしまうと、実際にライフイベントを迎えた際に、綿密に計画していたキャリアデザインを練り直すことになります。

パートナーにお互いの将来像や、希望を共有しておくことも、キャリアデザインの大切なポイントのひとつといえるでしょう。

より明確な将来像を立てる

キャリアデザインは「具体性」が重要です。

目指す将来像をはじめ、叶えるための目標や課題設定も細かく考えましょう。

将来像が「海外で働くこと」であっても、日系企業の海外支社で働くのか、現地の企業で働くのか、フリーランスとして働きながら海外で暮らすのかといったように、さまざまな働き方が考えられます。

漠然とした将来像では、目指す過程も曖昧なものになってしまい、キャリアデザインの意味をなしません。

キャリアデザインに取り掛かる際は、大まかな将来像を定めたうえで、最終的に辿り着きたいキャリアを細かく作り込みましょう。

キャリアデザインシートのNG例

キャリアデザインシートを作成する際に、避けたい「NG例」について確認してみましょう。

キャリアデザインシートのNG例

  • 具体性がない

  • 対象となる企業の方向性とかけ離れている

  • 実現へのビジョンが見えづらい

具体性がない

もっとも避けたいのが、「具体性に欠ける」ことです。

極端な例ですが、たとえば将来像を「年収1,000万円」とだけ設定し、そのために日々の業務を頑張るというようなものです。

これでは具体性のかけらもなく、キャリアデザインとはいえません。

初めは、キャリアデザインシートのどこから手をつけて良いのか分からず、キャリアデザインシートが埋まりにくいかもしれません。

まずは、大まかな部分を決め、それぞれを細分化すると具体的な内容がみえてきます。

「年収1,000万円」であれば、単純に計算すると月収100万円です。

所属している企業で月収100万円が可能なのか、もしくは叶えられる企業や業界はどこかを調べ、転職に必要な経験やスキルを洗い出し、足りないものを整理します。

それをもとに、課題をリストアップし、目標を設定しましょう。

1年後、3年後、5年後と具体的な計画を立てることで、充実したキャリアデザインシートが作成できるでしょう。

対象となる企業の方向性とかけ離れている

キャリアデザインは、就職活動や転職活動の一環として行われる場合もあります。

とくに学生の場合、就職活動のひとつとして、キャリアデザインシートを作成することも多く、キャリアデザインシートをもとにした面接対策も少なくありません。

しかし、作成したキャリアデザインシートの内容と、入社を希望する企業の方向性が合致していなければ、逆効果になってしまうでしょう。

例えば、企業の事業計画では、既存店舗の持続をメインとした展開であるのにも関わらず、自身のキャリアデザインでは、新店舗や新事業の立ち上げに携わりたいといった場合です。

これでは、企業と自身のキャリアデザインが全く異なる方向を向いているため、内定は難しいでしょう。

仮に、入社したとしても、自分のやりたいこととは異なるために、やりがいを感じられない可能性もあります。

その場合、他の企業を視野に入れるか、企業にあわせたキャリアデザインへと方向転換をしましょう。

実現へのビジョンが見えづらい

高い目標や理想を掲げることは悪いことではありません。

目標が高ければ高いほど、やりがいやモチベーションの向上につながるという人もいるでしょう。

一方で、自分のレベルや現在地からかけ離れすぎた目標ばかりだと、目標達成に時間がかかり自信もやる気も失ってしまうという人も少なくありません。

無理のある計画は避け、自分のレベルに合わせた、実現可能な計画を立てるようにしましょう。

大きな目標をひとつ達成するよりも、小さな目標を多く達成する方が、自信へとつながりモチベーション維持に効果的です。

キャリアデザインシートを人材育成や人材採用に活用

キャリアデザインは、人材育成や人材採用のひとつとして、多くの企業が取り入れています。

従業員の意識向上や成長目的、人材採用において企業の方針や環境と相性の良い人材を選ぶ方法としても有効です。

キャリアデザインは、キャリアプランを形成して終わりではありません。

立てた計画を実行し、定期的に見直すことも必要です。

また、経験や環境の変化にあわせ、その時々で自分と向き合い、キャリアデザインシートを更新するとより一層充実した内容になるでしょう。

「HRBrain タレントマネジメント」は、キャリアデザインシートの作成に必要な、従業員のスキルデータや育成記録など、あらゆる従業員データをクラウド上で管理することが可能です。

また、従業員のデータから、「ロールモデル」となる優秀人材の傾向の把握や、企業が求める人材像を抽出することも可能です。

さらに、OKRなどの目標設定と進捗管理、適材適所の人材配置などを実現します。

HRBrain タレントマネジメントの特徴

  • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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HR大学編集部
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