コア人材とは?育成のポイントや離職を防ぐための注意点について解説
- コア人材とは
- コア人材が重視される理由とは
- フェーズ別に見るコア人材の役割とは
- 創業期
- 成長期
- 発展期
- 変革期
- コア人材を育成するメリットとは
- 生産性が向上する
- 幹部候補となる人材を確保できる
- 自社組織の改善や安定化ができる
- 他社との差別化ができる
- コア人材を育成するポイントとは
- 自社に必要なコア人材の定義を決める
- 従業員のスキルを把握する
- 経営視点を習得する機会を増やす
- コア人材の離職を防ぐためには
- 重要なポジションを担当してもらう
- 他社と交流する機会を設ける
- 学習する機会を与え続ける
- 適切な人事評価制度を整備する
- コア人材の育成を促進し離職を防ぐには
現代は、VUCA時代という、社会情勢が目まぐるしく変化することから先の予測が困難な時代であると言われています。
そのような時代の中で事業成長を続けるためには、社会の変化に迅速に対応するスピード感や、無駄なく業務を進められる効率性が重要です。
事業をスピーディーかつ効率的に成長させるためには、事業内容に精通し、かつリーダーシップのある人材の存在が不可欠でしょう。
そのような、事業の中核を支える人材として近年注目されているのがコア人材です。
それでは、コア人材とはどのような従業員のことを指すのでしょうか。
また、コア人材には具体的にどのような役割があり、コア人材を育てることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、コア人材の概要やコア人材を育成するメリットとポイント、コア人材の離職を防ぐためのポイントなどについて解説します。
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コア人材とは
コア人材とは、自社の中核として事業を支え、事業成長を促進する人材を指します。
コア人材になる人の特長には、自社の事業内容に精通していることや、高いリーダーシップを持っていることなどが挙げられます。
企業によってコア人材に必要な条件は異なるものの、共通しているのは今後の自社の発展や継続に不可欠な存在であるという点です。
コア人材と反対の言葉に、フロー人材があります。
フロー人材とは、契約社員や派遣社員、アルバイト、パートなど、流動的な従業員のことを指します。
正社員に限らず、フロー人材の中に優秀な人材がいる場合もあるため、優秀なフロー人材を自社に定着させることも企業にとっては重要といえます。
コア人材が重視される理由とは
近年、なぜコア人材に注目が集まっているのでしょうか。
その主な理由として、ビジネスにおいては、指示がなくとも自分で適切な判断や行動ができる人材が求められていることが挙げられます。
コア人材は、自社事業に関して高い専門性を持っていることから、市場の変化や競合企業の動きに対して迅速に状況判断を行い、対応策を決定、実行できると考えられます。
自社を継続的に成長させていくためには、このように事業に精通し、その時々の状況に応じた判断を自主的に下せる人材が必要であることが、コア人材が重視される大きな理由と考えられます。
フェーズ別に見るコア人材の役割とは
コア人材は、長期的な自社の成長に欠かせない、事業の中核となる存在です。
それでは、コア人材は事業において、具体的にどのような役割を担うのでしょうか。
以下で、創業期から変革期までの各フェーズでの、コア人材の役割について解説します。
創業期
創業して間もない企業では、各種の制度や社内文化が確立していない場合が多いでしょう。
従業員数がまだ少ないことも多いため、従業員ひとりひとりが自分で考え、行動することが求められます。
そのような中でコア人材が担うべき役割は、経営的視点からリーダーとして周囲を引っ張っていくことといえます。
自分で考え、行動をすることが重要とはいっても、従業員ひとりひとりが別々の方向を向いていては、組織として全体がまとまっていくことができません。
コア人材は、高いリーダーシップで他のメンバーを率いることにより、結束のある組織づくりに貢献できる人物であることが大切です。
成長期
成長期は、創業期と比較すると自社の商品やサービスが世間に認知され、事業が成長している場合が多いでしょう。
従業員数が増え、人事制度を始めとする各制度や社内文化なども確立しつつある時期と考えられます。
この時期のコア人材の主な役割は、さらなる事業成長や事業開拓に向けた業務の合理化や、生産性を向上させるための組織改善を積極的に推し進めることです。
業務の進め方や事業全体に効率の悪い点や改善すべき点があれば、良くするための方法を考えます。
成長期のコア人材には、周囲のメンバーと連携しながら、より効率的かつ機能的に業務が行えるよう、改革を推し進めていける行動力が重要といえるでしょう。
発展期
発展期は、創業期や成長期と比べ、さらに事業が大きく成長している場合が多いでしょう。
この時期の企業には、より自社の価値を高めるために、事業の多角化や他社との差別化を行うことが重要といえます。
そのためには、これまでとは異なるターゲット層へのアプローチや、新規事業への参画などの新たな施策が必要になるでしょう。
この時期のコア人材に求められる役割は、自社の業績などの現状を正しく把握・分析し、今後の事業計画や戦略を立案することといえます。
その点から発展期のコア人材には、マーケティング能力や分析能力、自社の現状に最適な新規事業を打ち立てる創造力や遂行力など、幅広いスキルが求められるでしょう。
変革期
変革期は、従来にはなかった新事業の立ち上げなど、企業として新しいサービスや枠組みを作る時期です。
そのような意味では、変革期は第二の創業期ともいえるでしょう。
この時期のコア人材の役割は、これまで自社や他社になかった斬新なアイデアを生み出すことや、そのアイデアをサービスや事業として形にしていくことと考えられます。
その点から、変革期のコア人材には、変化や失敗を恐れないチャレンジ精神、そして新たなアイデアを論理的に周囲にプレゼンテーションすることができる提案力などが求められるでしょう。
コア人材を育成するメリットとは
コア人材は、創業期から変革期までのあらゆるフェーズで、重要な役割を担う存在です。
それでは、コア人材を育成することには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で4点に分けて説明します。
コア人材を育成するメリットとは
生産性が向上する
幹部候補となる人材を確保できる
自社組織の改善や安定化が出来る
他社との差別化ができる
生産性が向上する
コア人材は、自社の事業内容に精通しており、その点からあらゆる場面で自分で考えて行動できる人物です。
そのため、業務上で何か問題が起こった場合でも、上からの指示を仰ぐことなくスピーディーに対応することができるでしょう。
また、高いリーダーシップがあることも、コア人材の特長です。
このように、周囲のメンバーを牽引しながら迅速な対応ができるコア人材が育つことで、業務全体の生産性が向上することが期待できます。
幹部候補となる人材を確保できる
コア人材を育成することは、自社の将来を担う幹部候補を確保することにもつながります。
コア人材は、自社事業への高い専門性とリーダーシップを持ち、経営上の中核となる人物です。
その上、自社の理念やビジョンを熟知し、優れた経営マインドを持っているため、経営における重要な場面においても、適切な判断を下すことができるでしょう。
今後長きにわたって自社の中心人物となりうるコア人材は、将来の幹部候補として手放してはならない存在といえます。
自社組織の改善や安定化ができる
コア人材となる人物には、自社事業や組織の改善につながる斬新なアイデアを生み出す創造力が求められます。
それらのアイデアによって、常に自社の経営や事業の新陳代謝が行われる状態になることが期待されるためです。
また、コア人材はその高いリーダーシップで、組織全体をまとめてくれます。
統率が取れた組織の下では、従業員ひとりひとりが安心して働くことができるでしょう。
このようにコア人材の存在は、従業員の心理的安全性を保ち、自社全体の安定化につながるといえます。
他社との差別化ができる
優れた経営マインドを持ったコア人材は、自社の事業内容を一歩引いて客観的に見ることができると考えられます。
そのため、自社事業において他社に比べて優れている点や足りない点について、冷静に分析することができるでしょう。
また、コア人材には分析力の他に創造力に長けている人も多いため、それらの不足点に対する改善策を立案・実行できることが期待できます。
他社にはない、斬新な技術や特徴を持つ商品・サービスを思いつく場合もあるでしょう。
このように、コア人材がいることは、自社事業において他社との差別化を推し進めることにもつながると考えられます。
コア人材を育成するポイントとは
コア人材は、自社の次世代を担う存在として非常に重要です。
それでは、コア人材を育成する際は、どのような点に留意すると良いのでしょうか。
コア人材の育成に関するポイントを、以下で3点に分けて説明します。
コア人材を育成するポイントとは
自社に必要なコア人材の定義を決める
従業員のスキルを把握する
経営視点を習得する機会を増やす
自社に必要なコア人材の定義を決める
コア人材の育成を始める前に、自社のコア人材にどのような要素が必要なのかを考えます。
コア人材の要素について、今後の自社の発展に不可欠な存在であるという点はすべての企業に共通します。
しかし、それ以外の点についてコア人材に求められる要素は、企業ごとに異なります。
まずは、自社にとってのコア人材の定義を定めることが大切です。
0から考えるのが難しい場合は、知識、能力、ポテンシャル、性格の4つの要素をベースに考えると良いでしょう。
この4要素を基準に、自社のコア人材に必要なニーズを挙げていきます。
このとき、現時点のみではなく、成長期や発展期、変革期のフェーズに入った場合も考慮したコア人材を想定することが重要です。
従業員のスキルを把握する
コア人材には、高い専門性や豊富な業務知識が求められます。
そのため、まずは自社の従業員ひとりひとりが持つスキルを把握することが大切です。
把握した従業員のスキルは、客観的に評価しやすいデータなどの形式にまとめましょう。
スキルを把握する際は、業務知識や専門技術のみではなく、性格やリーダーシップなど個人の人物像についても記録すると良いでしょう。
このように、各従業員の専門スキルや人物像を包括的にまとめることにより、自社が持つスキルだけではなく、自社に不足しているスキルについても把握することができると考えられます。
企業においては、創業期から変革期までの各フェーズによって、求められる人材のニーズが異なる場合があります。
把握したスキルデータを活用して、各フェーズでどのようなスキルを持つ従業員がコア人材にふさわしいかを見極めることが大切です。
経営視点を習得する機会を増やす
コア人材には、経営に関する知識や知見を持つことも大切です。
それらの知識や知見により、的確な戦略立案やスピーディーな意思決定ができるようになることが期待できます。
経営視点で考えられる人材を育成するためには、自社のビジネスモデルや業務のオペレーションなどについて学ぶ機会を与えることが大切です。
具体的には、以下のような方法があります。
他部署の業務内容把握のため、各部署のリーダーによる研修を実施する
研修を受けた上で、他部署の業務を一時的に経験する
自社のビジネスモデルや市場状況、財政状況を学ぶための研修を実施する
経営マインドを習得できると、業務において自身が担うべき役割が自然と見えてくるようになると考えられます。
やがて、組織全体や業務を最適化する方法を自発的に考えることができるようになり、コア人材として成長していくことが期待できるでしょう。
コア人材の離職を防ぐためには
コア人材は、そのリーダーシップの高さやあらゆる場面に臨機応変に対応できる判断力などから、他の企業からも戦力として求められる存在です。
そのため、残念ながらせっかく育成したコア人材が、自社を離れてしまう場合もあります。
それでは、コア人材の離職を防ぐには、どのような点に留意すると良いのでしょうか。
以下で4つに分けて説明します。
コア人材の離職を防ぐためには
重要なポジションを担当してもらう
他社と交流する機会を設ける
学習する機会を与え続ける
適切な人事評価制度を整備する
重要なポジションを担当してもらう
コア人材は、自社事業に関する豊富な知識や高い分析力、判断力を持っています。
そのような人材が、誰にでもできるような簡単な業務ばかりを任されていると、次第に仕事に対する張り合いを失くしてしまうと考えられます。
その結果、モチベーションが低下し、離職につながる場合もあるでしょう。
コア人材がモチベーションの低下によって離職することを防ぐには、責任のある重要なポジションを担当してもらうと良いでしょう。
具体例には、新規事業の立ち上げや参入、大規模なプロジェクトの推進などがあります。
レベルの高い業務を任せられることにより、コア人材が仕事に飽きることなく、長く働き続けられることが期待できます。
他社と交流する機会を設ける
コア人材となる優秀な人物にとっては、スキルアップにつながる刺激があることがモチベーションの向上につながることが多くあります。
他社との交流も、コア人材にとって良い刺激の一つになるでしょう。
具体的な他社との交流の場としては、外部機関が実施する他社との合同研修などがあります。
研修の場で他社の従業員と交流を持つことにより、自社の良い点を再認識したり、自社に新しいアイデアを持ち帰ったりしてくれることが期待できます。
また、研修に参加することが、業界全体の動向など、経営に関する情報や戦略について学ぶ機会にもなるでしょう。
学習する機会を与え続ける
コア人材となる人物には、知識の習得が好きで、学習意欲の高い人が多くいます。
そのため、学習の機会を多く与えることも、コア人材の離職防止につながるでしょう。
具体的には、外部の研修に参加させる、オンライン学習の受講費について会社から補助を出すなどの方法があります。
自社が積極的に学びの支援を行うことにより、コア人材のモチベーション向上にもつながることが期待できます。
適切な人事評価制度を整備する
コア人材が成果を出し続けるためには、自社事業に対するモチベーションを維持することが大切です。
モチベーション維持のためには、上司から適切に評価されていると、本人が感じられることが大きなポイントとなるでしょう。
そのため、従業員ひとりひとりの業績や自社への貢献度を正しく評価できるような人事評価制度を整えることが大切です。
人事評価制度を策定する際には、成果の大きさのみではなく、成果に至ったプロセスまで評価できる仕組みがあると良いでしょう。
また、得られた評価を元にインセンティブや昇進の機会を得ることができると、さらにモチベーションが向上することが期待できます。
▼「離職」についてさらに詳しく
原因と対策を考える 若手の離職を防ぐためには
▼「人事評価」についてさらに詳しく
人材を成長させる人事評価のポイント
コア人材の育成を促進し離職を防ぐには
コア人材は、高い経営マインドとリーダーシップで周囲を牽引し、自社の次世代を担っていく存在です。
また、豊富な知識や多角的な観点から新しいアイデアを生み出し、新たな商品やサービスによって他社との差別化を可能にする存在ともいえます。
そのようなコア人材を育成する際は、自社にとってのコア人材像を具体的にイメージした上で、従業員が経営の観点を養える施策を実施することが大切です。
また、せっかく育てたコア人材が離職することを防ぐためにも、従業員ひとりひとりの能力を適切に評価できる人事評価制度を整えることも重要です。
コア人材を育成し、定着化させる取り組みは、自社の中長期的な成長を中核から支える意味で、あらゆる企業にとって今後欠かせないものとなっていくでしょう。
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