#人材育成
2024/08/09

CS(顧客満足度)とは?向上のための具体例や企業の取り組み事例を解説

目次

CS(顧客満足度)とは、企業が提供するサービスや製品に対して、顧客がどれくらい満足しているのかを示すもので、企業が成長して行くうえで大切な指標の1つです。

この記事では、CSを上げるための具体例や、CSの調査方法、顧客満足度と従業員満足度の関係、企業が実際に行っているCS向上のための取り組み事例について解説します。

CS向上につながる「従業員満足度調査」

CS(顧客満足度)とは

CSとは、「Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション)」の略で、「顧客満足度」のことです。

企業が提供するサービスや製品に対して、顧客がどれくらい満足しているのかを示す指標で、顧客の期待値が大きく関わっています。

例えば、「想像よりも良いサービスや製品だった」と感じれば顧客満足度は「高く」なり、逆に「期待していたほどではなかった」「製品は良かったけどスタッフの対応がイマイチ」というように、「想像よりも製品やサービスのクオリティが下回る」と感じれば顧客満足度は「低く」なります。

CSが向上することで、ロイヤリティが高まり、自社製品の「リピート率の上昇」や口コミなどによる「新規顧客の獲得」などのメリットを得ることができるため、企業にとってCSの向上は業績向上を目指すうえで重要な指標になります。

CS(顧客満足度)を向上させるメリット

CSを知るメリットについて確認してみましょう。

例えば、お気に入りの店を想像してみてください。

自分が好む商品やサービスを提供してくれる店には、何回も行きたくなります。

また、そういった店は家族や友人に紹介したくなるのではないでしょうか。

さらに近年では、SNSが非常に大きな影響力を持っていて、口コミが広がるスピードが上がっています。

高い評価の口コミが広まり、その口コミを聞いた人々が来店することで、店は新規顧客を獲得します。

このように、CSが上がることは、新規顧客とリピーター両方の獲得に繋がります。

CS(顧客満足度)を向上させるために知るべき指標

CSを向上させるために、お客様はどのような期待を持って、自社のサービスを受けたり、製品購入をするのかを知ることが大切です。

CSを向上させるために知るべき指標として、「顧客の現状を知る方法」と「顧客の期待値を知る方法」について確認してみましょう。

顧客の現状を知る方法

顧客が自社のサービスや製品に対して「何を期待しているのか」、逆に「何を不要と考えているのか」について把握することがCS向上の第一歩と言えます。

顧客の声を直接聞くために、「アンケート」を実施するようにしましょう。

さらに、アンケートで得られた統計情報から顧客の傾向をつかむことが大切です。

ターゲットとなる顧客層の人口、家族構成、生活様式といったペルソナを把握することで、顧客ニーズをつかむヒントにもなります。

  • NPS

NPS(Net Promoter Score)とは、顧客ロイヤリティ(信頼や愛着の大きさ)を数値化するための指標です。

NPSは、自社のサービスや製品に対する満足度を聞くだけでなく、どれだけ他人に勧めたいかについても採点します。

調査結果から、顧客を「批判者」「中立者」「推奨者」に分け、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた点数がNPSとなります。

  • CSI

CSI(Customer Satisfaction Index)とは、顧客満足度指数のことで、アメリカなど世界30カ国で使用されている、最もポピュラーな顧客満足度調査の指標です。

「顧客期待値」「知覚品質」「知覚値」「顧客不満度」「顧客忠実度」それぞれに相関関係のある複数の質問を行い、その平均値を取り算出します。

  • JCSI

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)とは、「日本版顧客満足度指数」のことで、サービス産業の競争力を強める目的のもと「CSI」を日本向けにカスタマイズし、生み出された日本独自の指標です。

アンケートの項目は、「顧客満足」「顧客期待」「知覚価値」「知覚品質」「推奨意向」「ロイヤリティ」で、それぞれ項目の質問からスコアを出し、100点を満点として指数化しています。

CS(顧客満足度)を向上させるポイント

CSを向上させるために大切な3つのポイントについて確認してみましょう。

CS(顧客満足度)を向上させるポイント

  • 既存顧客のカスタマーサクセス強化

  • ITの活用

  • 従業員満足度(ES)の向上

既存顧客のカスタマーサクセス強化

カスタマーサクセスとは、英語で「Customer Success」と書き、直訳すると「顧客の成功」という意味で、すでに自社のサービスや製品を購入し、利用している顧客の「成功を支援する」ことを指します。

わかりやすい例として、サブスクリプションサービスがあります。

サブスクリプションは継続的に使われて成果が上がるので、顧客になくてはならない存在になる必要があります。

そこで、顧客の成功のために、 カスタマーサクセスとして、継続的なサポートを実施します。

従来のように顧客から問い合わせがあったときのみ対応するような「受動的なサポート」ではなく、顧客が困るであろうことを先回りして対応する「能動的なサポート」が、カスタマーサクセスにあたります。

ITの活用

マーケティング担当者が顧客情報を分析し販売促進の戦略を立てたり、特定の顧客に対してターゲティングを行うためのツールである「CRM(Customer Relationship Management)」や、営業担当者が顧客情報を管理し営業プロセスの効率化を行うためのツールである「SFA(Sales Force Automation)」などのツールを利用することで、正確かつ迅速に顧客データの分析ができます。

分析した結果によって、顧客の「事前期待」を把握することができれば、それを新商品や新サービスに活かすこともできるでしょう。

また、近年では顧客情報を管理する「CRM」と「SFA」の両方の役割を果たすツールの導入が一般的になりました。

これらのシステムを活用することで、顧客の事前期待を会社全体に共有することができます。

従業員満足度(ES)の向上

顧客満足度(CS)を向上させるためには、従業員満足度(ES)の向上がとても大切です。

CSを向上させるためには、顧客の期待値を超えるサービスや製品を提供する必要がありますが、顧客の期待値を超えるサービスや製品が生み出せるかは、従業員のパフォーマンスにかかっています。

そして、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮するためには、従業員満足度を向上させる必要があります。

このように、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)には相関関係があります。

例えば、従業員の満足度が低い企業では、従業員のパフォーマンスも低下し、お客様への対応もきっと良いものにはならないでしょう。

逆に、従業員の満足度が高く、企業に対してロイヤリティが高ければ、従業員はモチベーション高く仕事に取り組むことができ、その結果として、良いサービスや製品を顧客に届けることが可能になります。

▼「従業員満足度(ES)」についてさらに詳しく
従業員満足度(ES)とは?満足度構造や向上のための企業の取り組みを解説
顧客満足度と従業員満足度の相関関係と企業事例を解説

CS(顧客満足度)向上の取り組み事例

CS向上のために、実際に企業が行っている取り組み事例について確認してみましょう。

CS(顧客満足度)向上の取り組み事例:東京ヤクルトスワローズ

東京ヤクルトスワローズは、顧客満足度調査の結果から、「地方ファンは遠征するのが難しく球場にあまり来ていない」という事が分かりました。

また、ファンクラブ会員のメリットを希薄に感じていたことも分かり、逆に、グッズについてはファンからの評価が高い事が分かりました。

これらの結果を踏まえ、地方ファン向けのイベントを実施し交流を深めていきました。

同時に、ファンクラブの会員特典の増強も行いました。

その結果、2年でファンクラブ会員数は2〜3倍に増え、有料となるプラチナ会員の入会数も増えました。

あわせて、観戦チケットの売上も伸び、経営状況が改善されました。

東京ヤクルトスワローズ

CS(顧客満足度)向上の取り組み事例:スターバックスコーヒー ジャパン株式会社

スターバックスコーヒー ジャパン株式会社では、スタッフの行動をマニュアルで制限するのではなく、ビジョンを共有し自律的にホスピタリティを考える仕組みを構築しています。

一般的に飲食店では、オペレーションのばらつきを抑えるため、細かい接客マニュアルを作成しています。

しかし、スターバックスの「グリーンエプロンブック」では、固定されたマニュアルはなく、「歓迎する」「心を込めて」「豊富な知識を蓄える」「思いやりを持つ」「参加する」の5つのキーワードが従業員に伝えられています。

スターバックスは現場スタッフに権限を移し、臨機応変に対応するようにしています。

その結果、スターバックスは顧客の高い満足度を軸に、居心地のいい空間として認知されるようになりました。

スターバックスコーヒー ジャパン株式会社

CS(顧客満足度)向上の取り組み事例:ソニー損保株式会社

ソニー損保株式会社では、特に顧客へのサービスに力を注いでいます。

保険はサービスに信頼がなければ契約に繋がりません。

その中でも、ソニー損保が他の保険会社と異なる点は、顧客満足度に主眼を置いている点です。

こうした姿勢が顧客に受け入れられ、収益増加に成功しました。

ソニー損保は「24時間365日事故対応サービス」のほか、「手話・筆談サービス」「外国語通訳サービス」の提供など、顧客価値の最大化に向けた取組みを継続的に実施し、顧客目線を徹底し、信頼を強めてきました。

その結果、「JCSI」で、2020年から2023年の4年間連続(※2023年12月時点)で「損害保険業界第1位」を獲得しています。

(参考)ソニー損保「JCSI(日本版顧客満足度指数)の調査において、 4年連続で損害保険業界第1位

ソニー損保株式会社

CSに大きな影響を与える「従業員満足度」の改善方法

CSとは、企業が提供するサービスや製品に対して、顧客がどれくらい満足しているのかを示す指標で、顧客の期待値が大きく関わっています。

つまり、顧客の期待値を超える、サービスや製品の提供を行うことで、CSは向上します。

このように、CSを向上させるためには、顧客の期待値を超えるサービスや製品を提供する必要がありますが、顧客の期待値を超えるサービスや製品が生み出せるかは、「従業員のパフォーマンス」にかかっています。

そして、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮するためには、「従業員満足度を向上させる」必要があります。

従業員満足度が高く、企業に対してロイヤリティが高い従業員は、モチベーション高く仕事に取り組むことができ、その結果として、良いサービスや製品を顧客に届けることが可能になります。

このようにCSに大きな影響を与える「従業員満足度」を向上させるためには、現状の「満足度」を調査し、把握することが大切です。

従業員満足度を把握するために、「仕事内容」「労働環境」「人間関係」など、なかなか知ることが難しい従業員の満足度について、アンケート形式で簡単に調査ができるツールを導入してみても良いかもしれません。

従業員満足度を改善することは、従業員のためだけではなく、企業にとっても「離職率の低下」「生産性の向上」「顧客満足度(CS)の向上」などのメリットを得ることができます。

また、従業員満足度を改善し「CSを向上させる」ことは、自社のロイヤリティを高めることになり、結果的に「企業業績向上」にもつながります。

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組織サーベイとは?目的や従業員満足度調査・社内アンケートとの違いを解説


HR大学編集部
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