#人材育成
2024/08/30

LMSでタレントマネジメント。eラーニング研修の効果・評価測定で人事戦略

目次

LMSは、eラーニングを効率的に運用管理するためのプラットフォームですが、管理業務の負荷軽減にとどまらず、タレントマネジメントシステムなどへの連携により、人事戦略を実現するシステムとしても活用できます。

ここでは、LMSの概要、タレントマネジメントシステムへの連携による人事戦略、eラーニング研修の効果測定・評価、LMS選定のポイントについて解説します。

LMS(学習管理システム/ラーニングマネジメントシステム)とは

LMSとは

LMSとは

LMS(学習管理システム)は、Learning Management Systemを指し、eラーニング実施時のプラットフォームとなるシステムです。受講者の学習状況の進捗などの学習管理やコンテンツ管理などを行うには必須のシステムです。

LMSの基礎を詳しく知りたい方は、「【基礎編】LMSとは?eラーニング研修の効果的な活用方法を解説」を参考にしてください。

LMSで研修の効果測定と評価、人事戦略にどう活かす?

企業は、経営資源のなかでも重要な「ヒト」へ投資することは成長に不可欠ですが、費用対効果が見えにくい人材育成はコスト抑制されることが多くあります。

研修の効果測定と評価を実施しなければ、研修の費用対効果を測ることができずに結果、研修コストが削減されてしまうことになります。

企業の成長を継続していくためには、研修の効果測定と評価によって費用対効果を測り、研修をより良いものに改善していくPDCAサイクルを回していくことが不可欠です。

実際、研修の効果測定・評価を行うには相当の手間がかかり、アンケート実施にとどめているケースもありますが、eラーニング研修の効果測定、評価は、LMSによって、効率的に実施が可能です。

自社の成長を継続的に図っていくために、研修の効果測定と評価を行うことは、企業にとって必須といえます。

LMSでタレントマネジメント、人事によるLMS活用法

LMS活用法

HRDXの加速化を背景に、タレントマネジメントシステムなどシステムを活用した人事戦略の取り組みが進展しているなか、LMSを活用して人事戦略を実現する動きも進んでいます。ここでは、LMSをタレントマネジメントに連携することで人事戦略に活かす方法などについて解説します。

▼「タレントマネジメント」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説

タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムとは、個々の従業員の経歴やスキル、マインドを管理・分析し、人材配置や人材育成に活用するシステムです。

データを一元的に管理・蓄積することで、多角的な集計や分析が可能です。選抜人事や後継者計画など基幹人材の育成管理なども行うことができます。

タレントマネジメントシステムを詳しく知りたい方は、「タレントマネジメントシステム15選!導入メリットや選定ポイントを解説」をご参考ください。

タレントマネジメントへの活用で人事戦略

LMSで蓄積した従業員の研修履歴データをタレントマネジメントシステムに連携することで、経営目標に応じた人材育成や人材配置など人事戦略に活用することが可能です。

タレントマネジメントシステムの管理項目としては、職務内容やプロジェクト活動、目標・評価などの人事評価項目、人物に対する評判のほか、LMSに関する項目としては、社員の研修履歴やスキル、テスト結果などがあります。

LMSで蓄積したeラーニングの研修履歴、スキル、テスト結果、アンケートなどの人材育成データをタレントマネジメントシステムに連携することで、多角的な集計や傾向分析を可能となり、人事戦略に活かすことができます。

今後、主力となる優秀なリーダー人材を育成するために、選抜して経営戦略レベルのテーマを受講させてLMSで研修履歴を管理するなど、組織的な後継管理の実現が可能です。

LMSとタレントマネジメントシステムの双方がクラウド型であれば、自動連携が実現できますが、片方が自社のサーバーで運用しているようなオンプレミスの場合は、CSVデータで出力したデータを取り込むという作業が発生します。

自社の環境に合わせて、タレントマネジメントにLMSを活用し、人事戦略に活かしましょう。

LMSによるeラーニング研修の効果測定・評価のコツ

効果測定、評価のコツ

eラーニング研修の効果測定と評価をLMSで活用するには、LMSのテスト機能やアンケート機能といった機能を利用します。ここでは、効果測定・評価の考え方として「カークパトリックモデル」と「インストラクショナルデザイン」を解説するとともに、eラーニング研修の効果測定と評価のコツを説明します。

カークパトリックモデル

1959年にアメリカのカークパトリック氏が考案した教育の評価法モデル。教育評価は、教育プログラムの改善、品質、効率向上のために重要であり、カークパトリックモデルの4段階評価法が定着しています。4段階評価方法は次のとおりです。

レベル1:Reaction(反応)受講者の満足度
レベル2:Learning(学習)受講者の知識向上の度合い
レベル3:Behavior(行動)研修内容の実務への活用度合い
レベル4:Results(業績)業績への寄与度

カークパトリックモデルを詳しく知りたい方は、「カークパトリックの4段階評価法とは?概念から具体的な研修効果測定方法までを徹底解説」をご参考ください。

インストラクショナルデザイン

eラーニングの導入計画・コンテンツ開発における教育の設計手法。元々はアメリカで兵士教育のコース設計のために開発されましたが、その後、アメリカの企業における教育する手法として普及しました。学習効率向上を目的としたシステム工学的な手法であり、以下のようなステップで導入します。

ステップ1:分析 業務や受講者の分析
ステップ2:設計 目標設定、学習内容や提供方法・手段の決定
ステップ3:開発 コンテンツの作成
ステップ4:提供、実施 コンテンツの配布、学習実施
ステップ5:評価 学習の効果測定・評価
ステップ6:改善 評価に基づく改善

インストラクショナルデザインを詳しく知りたい方は、「インストラクショナルデザインとは?これからの研修設計に必須のキーワード」をご参考ください。

eラーニング研修の効果測定と評価のコツ

eラーニング研修の効果測定・評価は、LMSによって効率的に行うことが可能です。ここでは、カークパトリックモデルを用いた効果測定と評価のコツを解説します。

レベル1(反応)のLMS対応

レベル1(反応)は、受講者の満足度を図るため、LMSのアンケート機能を活用します。LMSのアンケート機能は、eラーニング受講後に受講者に自動的にアンケートを実施する仕組みとなっており、収集したアンケートは、自動的に集計されます。

LMSでは、設問をプルダウンやラジオボタン、チェックボックス、自由記述形式など、アンケート項目に応じて適切な設問形式でアンケートを作成することが可能です。

満足度が高い内容は継続し、満足度の低い内容は改善をすることを目的にアンケートを実施しますので、満足度の低い場合の設問の作り方は工夫が必要です。

満足度が低い場合の理由をすぐに自由記入項目として設定するのではなく、統計を取りやすいようにしましょう。

満足度が低い場合の想定できる理由を予め選択肢としてチェックボックス形式などで設定し、選択肢として「その他」を設け、その他を選択した場合に自由記入項目に記載をさせるようにすることで、アンケートを集計したときに理由も集計できます。

【アンケート例】
・本テーマのeラーニング研修は満足しましたか?(いずれか1つ)
○十分満足 ○満足 ○普通 ○不満足

・「不満足」と回答した方は理由を教えてください。(複数選択可)
□自分の業務に関係がないから
□すでに知っている内容だから
□eラーニングの環境ではわかりずらい
□その他
「その他」と回答した方は内容を自由記入欄に記載してください。

レベル2(学習)のLMS対応

レベル2(学習)は、受講者の知識向上の度合いを図るため、LMSのテスト機能を活用します。

LMSのテスト機能は、eラーニング研修コンテンツに確認テストの実施が組み込まれているものがあり、自社で合格点数を設定できるサービスもあります。合格点に達するまで繰り返しeラーニング研修を受講し、テストを実施をするというサイクルになっている仕組みであれば、eラーニング研修の修了者は合格点に達していますので、修了者の人数が効果測定の評価項目となります。

自社でテストを作成するツールを備えているLMSもありますので、自社独自のテストを実施する場合は、テスト作成機能があるLMSを検討しましょう。
eラーニングに資格試験学習のコンテンツがある場合は、コンテンツの受講者と資格取得者の相関関係を集計することも有用です。

レベル3(行動)のLMS対応

eラーニング研修のタイミングとは別に、受講者に対してeラーニング研修の内容を実務に活かせているかのアンケートを実施し集計することで効果測定を行うことが可能です。このアンケートも統計を取りやすいようになるべく選択肢を準備し、集計データを作りやすくすることがポイントです。
ただし、LMS上では受講者以外の上司などの第三者に対するアンケートはできないなどの制約がありますが、第三者がLMSのユーザーであれば、LMS上で実施することも考えられます。

レベル4(業績)のLMS対応

学習効果が業績に寄与している度合いを測定しますが、例えば業績への貢献度を図る指標として、顧客満足度、労働生産性、ROI指標などがあげられます。
これらの指標とLMSで集計した研修履歴やテスト結果の相関関係を分析して効果測定を行います。ただし、業績向上の要素は研修効果以外のさまざまな要因があるため、レベル4(業績)については、自社の状況に合わせて実施の有無を検討すると良いでしょう。

人事におけるLMS選定ポイントとサービス比較まとめ

サービス比較

ここでは、LMSの選定ポイントを説明するとともに、オススメサービスを比較して紹介します。

LMSの選定ポイント

・SCORM規格
現在では、多くのLMSがeラーニングの標準規格「SCORM(Sharable Content Object Reference Model)」に準拠しています。
この規格に準拠したLMSであれば、他のベンターで作成したコンテンツの管理や配信も可能ですので、ベンダーに依存しないeラーニングの運用が可能となります。SCORM規格に準拠していないサービスの場合、リプレイス時に過去のコンテンツが利用できないため、SCORM規格に準拠しているサービスを選定することは大きなポイントです。

・クラウドサービス
自社のサーバーで運用するオンプレミスのLMSもありますが、オンプレミスはサーバーやセキュリティの構築、リプレイスなど多くの負担やコストが発生します。
自社の情報セキュリティポリシーでオンプレミスにしなければならないといった事情がなければ、他のクラウドサービスと連携が容易なクラウドサービスを選定することをお勧めします。

・他人事系サービスとの連携
人事システムや人事評価システム、タレントマネジメントシステムなど人事系サービスとの連携ができるサービスを選定することで、LMSを人事戦略に活かすことが可能です。
一般的には、相互のシステムがクラウドであれば自動連携が可能ですので、自社の状況に合わせて検討してください。

サービス比較まとめ

・CAREERSHIP(株式会社ライトワークス
【特徴】
配信・権限管理、発展性、システム連携の3つをコアパフォーマンスとしており、基本的な学習管理機能に加え、キャリアカルテ、社内SNS、カフェテリアプランのポイント管理、教材作成機能など多彩な機能を備えている。
【料金】
要問い合わせ
【他人事系サービスとの連携】
可能
【多拠点(グローバル含め)企業に便利か】
上場企業売上TOP100社の47%が導入した統合型システム。シングルサインオン対応のほか、Active Directoryとの連携ができるため、組織変更・人事異動の自動化が可能。

・Teachme Biz(株式会社スタディスト
【特徴】
基本的な学習管理機能に加え、写真や動画を用いたわかりやすいマニュアルをクラウド上で簡単に作成・共有・管理運用することが可能。
【料金】
初期費用:500千円
月額費用:スターター(50千円/月)、ベーシック(100千円/月)、エンタープライズ(300千円/月)
【他人事系サービスとの連携】
Salesforce Sales CloudなどのAPI連携が可能
【多拠点(グローバル含め)企業に便利か】
動画マニュアルを簡単に作成・共有でき、PCやタブレット、スマホなどで気軽に閲覧できるため、教育負担を大幅に削減可能。

・SLAP(株式会社クシム

【特徴】
基本的な学習管理機能に加え、Power Point、Excelで作成した資料を教材としてeラーニングコンテンツを活用できるだけでなく、簡単なインターフェースでテスト作成が可能。
【料金】
初期費用:SLAPα(30千円)、クラウド(325千円)、オンプレミス(800千円)
月額費用:講座金額4千円~、SLAPα(@550円~/ID)、クラウド(@550円~/ID)、オンプレミス(800千円)
【他人事系サービスとの連携】
要問い合わせ
【多拠点(グローバル含め)企業に便利か】
クラウドとオンプレミスの両方が用意されており、大企業でオンプレミスが必要な環境でも対応可能。タレントマネジメント機能もあり。

LMSでタレントマネジメント。人事戦略へ

LMSは、管理業務の負荷軽減にとどまらず、タレントマネジメントシステムなどへの連携により、人事戦略を実現するシステムとしても活用できます。

しかし、これを実現するには、タレントマネジメントシステムや人事評価クラウドなど外部システムと自動連携できるクラウドベースの自社にあったLMSを選定することがポイントです。

HRBrainは人事評価とタレントマネジメントを確かな成長につなげる人事評価クラウドでLMSとの連携が可能です。

HRBrainは、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化するサービスです。MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法をカンタン・シンプルに運用することができます。

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HR大学編集部
HR大学 編集部

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