ピグマリオン効果とは?ハロー効果やゴーレム効果との違いや活用例とデメリットについて解説
- ピグマリオン効果とは
- ピグマリオン効果の実験
- ネズミを使ったピグマリオン効果の実験
- 教育現場でのピグマリオン効果の実験
- ピグマリオン効果と関係が深い心理行動との違い
- ピグマリオン効果とゴーレム効果との違い
- ピグマリオン効果とハロー効果との違い
- ピグマリオン効果とホーソン効果との違い
- ピグマリオン効果をマネジメントで活用する方法
- 裁量権を与える
- 言葉で期待を伝える
- 実現可能なノルマを課す
- 褒めてやる気を引き出す
- ピグマリオン効果の注意点
- 過剰な命令や要求をしない
- 必要以上に褒めない
- チャレンジする機会を沢山与える
- ピグマリオン効果を人事評価にいかすポイント
- ピグマリオン効果を取り入れて部下のモチベーションアップを実現する方法
ピグマリオン効果は、他者からの期待を受けることで成果が上がるという効果で、部下のモチベーションアップに有効です。
適切なタイミングで期待の言葉をかけることで、部下のパフォーマンスはぐんぐん伸びるでしょう。
ただし、ただ褒めたり激励するだけでは不十分で、逆効果になってしまう場合もあります。
ピグマリオン効果を最大限に活用するためには、部下が成果を出したら「人事評価」という形で報いる必要があります。
この記事では、ピグマリオン効果とは意味や由来、ハロー効果やゴーレム効果やホーソン効果との違い、ピグマリオン効果の実験、ピグマリオン効果をマネジメントや人材育成に取り入れる方法、ピグマリオン効果の効果とデメリットについて具体例をあげて解説します。
ピグマリオン効果を最大限に活用するための人事評価
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果は、他者からの期待を受けることで学習や作業の成績や成果が上がるという効果を指し、教師期待効果やローゼンタール効果とも呼ばれます。
ピグマリオン効果は、アメリカの教育心理学者である、ロバート・ローゼンタール氏がランダムに生徒を選んで実験をしたところ、教師の期待を感じた生徒は、そうでなかった生徒に比べて点数が良かったということから始まりました。
このようにピグマリオン効果は、周囲の期待と本人の成果が強く結びついているという特徴があります。
そのためビジネスの世界でも、ピグマリオン効果を部下の指導に役立てようという動きがあります。
ピグマリオン効果の実験
ピグマリオン効果の代表的な実験として、2つの実験について確認してみましょう。
ネズミを使ったピグマリオン効果の実験
ピグマリオン効果の実験として代表的な実験に「ネズミを使った実験」があります。
ネズミを使った実験は、ネズミを迷路に入れて脱出させる実験で、「訓練が行き届いているネズミ」と「動きが遅く鈍くさいネズミ」の2種類のネズミを用意し、被験者の学生に実験内容を伝えました。
結果として「訓練が行き届いているネズミ」は丁寧に扱われ、一方で「動きが遅く鈍くさいネズミ」は雑に扱われたそうです。
この実験から、事前の期待値によって人の行動は変わるという仮説が立てられました。
教育現場でのピグマリオン効果の実験
ピグマリオン効果の実験として代表的な実験に「教育現場での実験」があります。
教育現場での実験として、1964年にサンフランシスコの小学校で、知能テストが実施されました。
知能テストについて、担任には「これから成績が上がる生徒を見つけるためのテスト」と伝え、それを受けて担任も生徒に「テストを受けることで生徒自身の成績アップの可能性を見出すということ」を伝えたそうです。
その結果、生徒の成績は向上していきました。
生徒の成績が改善した影響として、担任の先生が「期待のまなざしを向けたこと」や、「期待の言葉をかけたこと」が影響していると考察されています。
このように、指導者の期待は生徒のパフォーマンスに大きく影響しているとの声が強くなりました。
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ピグマリオン効果と関係が深い心理行動との違い
人材育成において、ピグマリオン効果だけが影響してるわけではありません。
ピグマリオン効果と関係が深い心理行動として「ゴーレム効果」「ハロー効果」「ホーソン効果」について、ピグマリオン効果との違いとあわせて確認してみましょう。
ピグマリオン効果とゴーレム効果との違い
ゴーレム効果とは、周囲からの期待を得られないとパフォーマンスが落ちてしまうという現象を指します。
例えば、悪いイメージを持ったまま人と接すると本当にその人との関係性が悪くなってしまったり、生徒に対して成績が悪い生徒とレッテルを貼って指導をすると生徒の成績が下がってしまったりすることなどがあげられます。
ゴーレムとは、ユダヤ教に登場する泥人間のことで、ゴーレムは魔法使いの呪文で自由に動きますが、額に刻まれた文字を取ってしまうと土に戻ってしまう巨人のことです。
このように、他人の影響1つで自分の能力が奪われてしまうことから、ゴーレム効果と名づけられました。
ゴーレム効果は、ピグマリオン効果と正反対の現象といっていいでしょう。
ピグマリオン効果とハロー効果との違い
ハロー効果とは、1つの突出した特徴や能力の影響で他の評価も変わってしまうという現象です。
例えば、学生時代に成績トップの人がコミュニケーションやスポーツまで優れているように見えるといったものです。
また、職場で仕事ができる人を見ると、プライベートまで良く見えるのもハロー効果の1つです。
ハロー効果は、部下の評価とも深い関係があり、評価者の思考や価値観などに影響されて、正しく評価ができない現象である「人事評価エラー」の1つでもあります。
例えば、態度が良くない部下の評価を実力より下にしてしまうケースは多々あります。
一方で、仕事の能力が決して高くない人を、気が合うというだけで昇進させてしまうということも珍しくありません。
このように、ハロー効果は人事評価において、正当な評価を妨げる側面があるといえます。
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ピグマリオン効果とホーソン効果との違い
ホーソン効果とは、周囲に注目されたときに結果を残そうとする心理のことを指します。
例えば、多数の人が参加するような大きなプレゼンの前に入念に準備をしたり、会社の役員が現場の視察に来た際にいつも以上に気合を入れて仕事をするというようなことがあげられます。
このように人は、周囲に注目されたら期待に応えようと努力することが分かっています。
ピグマリオン効果とホーソン効果との大きな違いは、期待ではなく「注目度」で行動のモチベーションが変わることです。
ピグマリオン効果は、周囲に期待されることでパフォーマンスが上がるという現象で、ホーソン効果は、周囲の注目度が成果に影響するという現象なので、注目している人が本人に期待をしているかは分かりません。
このように、どんな要因が部下のパフォーマンスに影響しているかを見極める必要があります。
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ピグマリオン効果をマネジメントで活用する方法
ピグマリオン効果は部下の指導で注目されていますが、ただ相手に期待するだけでは不十分です。
ピグマリオン効果で部下の能力を引き出す4つのコツについて確認してみましょう。
ピグマリオン効果で部下の能力を引き出すコツ
裁量権を与える
言葉で期待を伝える
実現可能なノルマを課す
褒めてやる気を引き出す
裁量権を与える
ピグマリオン効果を高めるなら、裁量権も与えるようにしましょう。
なぜなら、上司からの指示ばかりになってしまうと、モチベーションが下がってしまうからです。
また、上司のチェックが厳しすぎると「自分は信用されていないのでは」と、部下が疑問に思ってしまいます。
逆に、部下が仕事を自由に進められたら、部下のポテンシャルも引き出しやすくなります。
ピグマリオン効果を十分に発揮するなら、なるべく部下の自由に業務を行えるようにしましょう。
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言葉で期待を伝える
部下への期待は、黙っていては伝わらないため、必ず言葉で伝えるようにしましょう。
ただし、毎日のように「期待している!」と声を掛けたら、逆にプレッシャーになったり、うっとうしく思われたりしてしまうリスクがあります。
また、何に期待しているのか部下が理解できなければ、ピグマリオン効果は得られません。
期待の言葉をかける際には、タイミングと内容に注意して、「成果を出したプロセスを褒める」「部下が落ち込んでいるときにフォローする」「仕事のフィードバックをする」というようにしましょう。
期待してほしいタイミングと期待されている理由を理解できれば、部下はパフォーマンスを発揮しやすくなります。
部下に定期的にポジティブなフィードバックをする場所として、「1on1」を活用すると良いでしょう。
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実現可能なノルマを課す
ピグマリオン効果で部下のモチベーションを上げるためには、たくさんの成功体験が積めるよう、達成できそうなノルマを課すようにしましょう。
目標が高過ぎてしまうと、達成できなかった際に部下は自信を失ってしまい、いくら上司が「期待している」と声を掛けても、説得力がなくなってしまいます。
ただし、どうしても高いノルマをクリアしなければいけない際は、目標を細分化し、小さい目標をいくつもクリアしていくように目標設定することで、部下の自己肯定感や自己効力感が上がります。
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褒めてやる気を引き出す
部下のやる気を引き出す際は、褒めることも忘れないようにしましょう。
「もっとできるはずだ」「上を目指せ」と激励だけしてしまうと、部下は過度にプレッシャーを感じてしまいます。
部下が出した成果については、素直に褒めるようにしましょう。
なお褒める際には、部下の能力ではなく「行動」を賞賛することが重要です。
プロセスを評価されることで部下は、もっと仕事を良くしようと努力するからです。
一方で「頭が良いね」「コミュニケーション能力がある」など、本人の持つ能力を褒めてしまうと、現状に満足してしまう恐れがあります。
部下を褒める際は、本人の行動を評価して褒めるようにしましょう。
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ピグマリオン効果の注意点
ピグマリオン効果の注意点について確認してみましょう。
ピグマリオン効果は、部下のモチベーションを上げるうえでメリットがたくさんありますが、活用方法を間違えてしまうと部下の能力を伸ばせなくなってしまう場合もあります。
ピグマリオン効果の注意点
過剰な命令や要求をしない
必要以上に褒めない
チャレンジする機会を沢山与える
過剰な命令や要求をしない
部下に期待を伝える際は、過剰な命令や要求をしないよう注意しましょう。
例えば、達成が難しいノルマを与えてしまうと、達成できなかった際に部下は自信を失くします。
仮に、ノルマを達成できたとしても負担が重くなり、継続して成果を出せなくなってしまうかもしれません。
部下のポテンシャルを見極めて、最適な指示を出すようにしましょう。
部下の能力を見極める際のポイントは、「過去の成果」「プライベート」「性格」の3つのポイントがあります。
部下がこれまでに出した成果を洗い出せば、次にどんな仕事を任せたら良いかが分かります。
プライベートに関しても、育児や健康面などでネックになっている部分がないかを把握しなければいけません。
このように、部下の状況を多角的に観察して、無理な要求をしないように注意しましょう。
必要以上に褒めない
期待の表れとして部下を褒めることは重要ですが、必要以上に褒めないように注意しましょう。
なぜなら、部下が現状に満足して努力を止めてしまう可能性があるからです。
また、人によっては、今より手を抜いて仕事をするようになってしまうかもしれません。
ピグマリオン効果を高めるためには褒めるポイントとタイミングが重要です。
褒める際には本人の能力ではなく、行動に対して褒めるように、褒めるタイミングも、成果を出した直後に絞ると良いでしょう。
チャレンジする機会を沢山与える
部下のポテンシャルを引き出すために、チャレンジの機会をたくさん設けるようにしましょう。
同じレベルの仕事をずっと任せていても、部下の成長にはつながりません。
また、すでに成果を出している業務で褒められても「自分は本当に認められているのか」と、部下は疑問に感じてしまいます。
期待通りの成果を出したら、部下にはステップアップできる仕事を任せるようにしましょう。
そうすることで、部下も成長を実感でき、モチベーションもどんどん上がるはずです。
ただし、過度なノルマは禁物です。
部下が過度なプレッシャーを感じてしまったり、成果が出なかった場合、ピグマリオン効果は期待できないでしょう。
部下のポテンシャルを見極めて、成長のチャンスを与えるようにしましょう。
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ピグマリオン効果を人事評価にいかすポイント
ピグマリオン効果を人事制度にいかすポイントは、「何をすれば評価されるのか」を明確にすることです。
なぜなら、評価基準を明確にすることで、上司の期待に説得力が出るからです。
例えば、部下が出した成果が表彰されれば、部下は上司の期待が本物だと実感できます。
一方、仕事でいくら褒められても、昇進や昇給がなければ、部下は上司の期待に対して不信を抱いてしまいます。
また、上司によって評価するポイントが異なるということも、部下の仕事に迷いが生じてしまうため、避けるべきです。
例えば、ある上司から仕事ぶりを絶賛されても、別の上司から叱責を受けたら、部下は力を発揮できません。
このように、ピグマリオン効果を最大限に活用するためには、仕事の評価基準と上司の指示に一貫性を持たせる必要があります。
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納得度の高い評価を実施する方法
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ピグマリオン効果を取り入れて部下のモチベーションアップを実現する方法
ピグマリオン効果は、他者からの期待を受けることで学習や作業の成績や成果が上がるという効果を指し、部下のモチベーションアップに有効です。
適切なタイミングで期待の言葉をかけることで、部下のパフォーマンスはぐんぐん伸びるでしょう。
ただし、ただ褒めたり激励するだけでは不十分で、逆効果になってしまう場合もあります。
ピグマリオン効果を最大限に活用するためには、部下が成果を出したら「人事評価」という形で報いる必要があります。
また、人事評価の際には、「評価基準が明確」であることや、上司による「評価の偏りやばらつき」がないことが大切です。
評価基準が明確で公平であれば、部下の評価に対する納得度が上がり、目標達成に向けたモチベーションが高くなり、パフォーマンスも向上します。
「HRBrain 人事評価」は、人事評価の実施からデータ集計までをワンストップで実現し、評価基準や評価プロセスの見える化によって、評価納得度の向上や社内コミュニケーションの改善を促進します。
HRBrain人事評価の特徴
制度や目的に合わせたテンプレートが豊富
OKR、MBOなどの「評価テンプレート」や、1on1やフィードバックなどに使用する「面談シート」が充実しています。
企業ごとのプロセスに合わせて承認フローや項目を自由に設定
評価シートやワークフローのカスタマイズが可能なため、評価制度の変更にも柔軟に対応す
ることができます。
評価の集計や調整もシステム上で完結
部署別など任意の項目で集計が可能で、評価結果の調整もシステム上で完結できます。
▼「人事制度システム」についてさらに詳しく
人事考課ソフト7選!自社にピッタリのソフトを選ぶコツを徹底伝授
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