#人材育成
2024/08/14

レジリエンスとは?意味や高める方法とビジネスでのメリットについて簡単に解説

目次

レジリエンスは、「回復力」や「立ち直る力」といった意味を持つ言葉で、ストレス社会やコロナ禍など、環境が大きく変わる現代においてとても重要な能力のひとつです。

従業員のレジリエンスを向上させることで、パフォーマンスの向上や精神的疾患による離職や休業を予防する効果が期待されています。

個人のレジリエンスと組織のレジリエンスの両方を向上させるためにも、小さな成功体験を積み上げ、それを共有して自己効力感と自尊感情を向上させるような仕組みづくりが大切です。

この記事では、レジリエンスの意味や高める方法とメリット、レジリエンスが高い人の特徴について簡単に解説します。

レジリエンス向上のための「ストレスチェック」の実施

レジリエンスとは

レジリエンス(Resilience)とは、「回復力」や「立ち直る力」といった意味を持つ言葉です。

近年、ビジネスシーンにおいても、逆境や困難に対して「立ち直る力」や「柔軟に適応する力」が求められるようになり、レジリエンスが重要視されるようになってきています。

レジリエンスが求められるようになった背景

レジリエンスが求められるようになった背景には、ストレス社会やコロナ禍が大きく関係しています。

現在の日本は、ストレス社会と呼ばれるようになり、ストレスが原因で精神的、身体的な問題を抱えて会社を休職したり退職を余儀なくされる人が少なくありません。

そのため、休職や退職から立ち直る力として、レジリエンスが注目されるようになりました。

また、コロナ禍などで著しく社会状況が変化する世の中でも、従業員ひとりひとりが柔軟に適応する能力を備えることで、乗り越えていけると考えられています。

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行や経済不安定など、先の見通せない状況はまだまだ続く見通しとなっています。

そのため、こうした時代を生き抜くためにも、従業員のレジリエンスを高めることが大切になります。

▼「休職」についてさらに詳しく
休職とは?休職に必要な診断書や休職中の給与や賞与について解説します

レジリエンスとストレス耐性との違い

レジリエンスを「困難や逆境に対応する力」と聞いて、ストレス耐性と意味が混同してしまうことがあるかもしれません。

しかし、ストレス耐性とは、「その人がどれほどのストレスに耐えられるか」を表す言葉で、ストレスをため込む器の大きさを意味します。

つまり、ストレス耐性が高い人とは、ストレスをため込む器が大きい人のことです。

ストレス耐性は、レジリエンスを構成する要素のひとつであり、ストレス耐性を高めることでレジリエンスを高めることにつながります。

▼「ストレス耐性」についてさらに詳しく
ストレス耐性を高める3つの方法!低い人の特徴と面接で見極める方法

レジリエンスとメンタルヘルスとの違い

メンタルヘルスとは、「心の健康」を意味する言葉なので、メンタルヘルスを保てる人が、レジリエンスが高い人と考えてしまうかもしれません。

しかし、メンタルヘルスは精神的な負担を減らしたり、精神的な疾患にならないために予防したりすることを指す言葉です。

そのため「直面した困難や逆境に適応する力」や「回復する力」を指すレジリエンスとは性質が異なります。

ですが、レジリエンスとメンタルヘルスの性質は異なるものの、全く無関係というわけではありません。

レジリエンスを高める事によって、結果的にメンタルヘルスを保つことにもつながります。

レジリエンスが重要視されるようになった背景

レジリエンスが重要視されるようになった背景について確認してみましょう。

レジリエンスが重要視されるようになった背景

  • ダイバーシティーに対応するため

  • 環境の変化に対応するため

  • ストレス社会を乗り切るため

ダイバーシティーに対応するため

近年では、顧客の多様なニーズに対応するためにD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)に取り組む企業が多く存在します。

D&Iに取り組む企業は、性別や国籍、信仰する宗教、障害の有無など異なるバックグラウンドを持つ人材を採用し、今までになかった価値観や考え方を取り入れています。

ですが、異なる価値観や考え方を受け入れることは容易なことではありません。

企業がD&Iに取り組むことで、従業員がストレスを感じてしまったり、従業員同士の衝突が発生してしまう場合もあります。

このようなことを避けるためにも、従業員は自身の意見を押し通すだけではなく、異なる意見を受け入れる能力を身に付けることが必要になります。

そのため、「異なる意見を受け入れる能力」や「お互いを尊重し合う考え方」を身に付けるためにカギとなる、従業員のレジリエンスの向上が重要視されるようになりました。

環境の変化に対応するため

コロナ禍による環境の変化やテクノロジーの変化など、企業を取り巻く環境は常に大きく変化しています。

変化の中で、企業が生き抜いて行くためには、現状を維持する能力だけではなく、環境の変化に対応し、さらに成長できる能力が求められます。

この変化に対応し、成長する組織をつくるためにも組織と従業員ひとりひとりに高いレジリエンスが求められます。

ストレス社会を乗り切るため

現代の日本は、ストレス社会と呼ばれています。

ストレスは困難や逆境に直面した際に抱えることが多く、環境の変化が著しい現代ではさらにストレスを感じやすい状況となっています。

こうしたストレス社会においても、優秀な人材を確保し、企業として成長して行くために、従業員のレジリエンスを向上させることが重要です。

レジリエンスが高い人は、困難や逆境に直面しても「自分の成長につなげられる」とポジティブに考えられる傾向にあります。

従業員を逆境に強く、自身の成長につなげられる人材に育成させるためにも、従業員レジリエンスの向上が求められます。

レジリエンスを高めることで得られる効果

従業員のレジリエンスを高めることで得られる効果について確認してみましょう。

レジリエンスを高めることで得られる効果

  • パフォーマンスが向上する

  • ストレス対処が可能になる

  • 問題解決能力が向上する

パフォーマンスが向上する

従業員のレジリエンスを高めることで、日々の業務の「パフォーマンスが向上する」ことが期待できます。

レジリエンスが高い従業員は、困難や逆境に直面した際に、「これも自分の成長につながること」とポジティブに物事を捉える傾向にあります。

日々の業務パフォーマンスを向上させるためには、ポジティブ思考が重要で、前向きな考え方は自らを鼓舞し、活発に活動するための原動力になります。

また、困難や逆境に直面していない段階でも、「プロジェクトが失敗して悪い方向に進んでしまうかもしれない」などと恐れて消極的になってしまう場合がありますが、レジリエンスが高い従業員は、「自分ならできる」という「自己効力感」が高く、もし困難や逆境に直面したとしても上手に対応するため、失敗を恐れたり消極的な行動を取ることは少ないです。

そのため、レジリエンスが高い従業員は日々の業務パフォーマンスが向上し、生産性の高い従業員に成長することができます。

▼「自己効力感」についてさらに詳しく
自己効力感とは?高めるための4つの方法と自己肯定感との違いを簡単に解説

ストレス対処が可能になる

従業員のレジリエンスを高めることで、「ストレス対処が可能になる」ことが期待できます。

レジリエンスが高い従業員は、ストレスを感じた場合でもすぐにポジティブ思考に切り替えることができ、困難や逆境に直面しても自ら対処することができます。

そのため、ストレス社会の中でも活躍できる、優秀な人材を確保するためには、従業員のレジリエンスを向上させることが大きなカギとなります。

また、ストレスを自分で対処できる人材は、ストレスからくる精神的な疾患を予防でき、ストレスで会社を辞める可能性も低くなります。

問題解決能力が向上する

従業員のレジリエンスを高めることで、「問題解決能力が向上する」ため、難しい業務や大きな負荷がかかる業務でも淡々とこなせる人材へと従業員を成長させることができます。

レジリエンスが高い従業員の場合、仮に自身の業務がうまくいかなかったとしても「今回は周りの人とコミュニケーションがうまく取れなかったからうまくいかなかった」などと論理的に原因を把握することができます。

また、こうした論理的思考を日々の業務を行う際にも発揮することで、新しい仕事をする際にも「どうしたら良い結果に結びつくか」を道筋立てて考え、取り組むことができるようになります。

レジリエンスが高い人の特徴

レジリエンスが高い人の特徴について確認してみましょう。

レジリエンスが高い人の特徴

  • 失敗を恐れない

  • 周囲の人と良好な人間関係が築ける

  • 楽観的でユーモアがある

失敗を恐れない

レジリエンスが高い人は、難しい課題に対しても高い解決能力を持っているため、失敗を恐れずに積極的に業務に取り組めます。

また、もし仮に仕事で失敗してしまったとしても、「この失敗は自分の成長につながる」とポジティブに受け止められるため、失敗を恐れない傾向にあります。

レジリエンスが高い人材を育成するためにも、日頃から「失敗した経験を成長につなげられる」ように上司がアドバイスできる組織風土を作るようにしましょう。

▼「組織風土」につていさらに詳しく
組織風土と組織文化の違いとは?良い組織にするためのポイントを解説

周囲の人と良好な人間関係が築ける

どんなにレジリエンスが高い人でも、すべての困難や逆境をひとりで解決できるわけではありません。

自分ひとりで解決できない問題に直面した際は、その問題の内容に詳しい人に助けを求めたり手伝ってもらったりする必要があります。

自分ひとりで解決できない問題に直面した際に、周囲人から助けてもらうには、日常的に周囲の人と良好な人間関係を築けているかが大きなカギになり、常に周囲の人と良好な人間関係を築けている人は、レジリエンスが高い傾向にあり、困った時に必要な手助けが得られます。

レジリエンスが高い人材を育成するためにも、社内の人間関係を良くするようなイベントを開催し、常に良好なコミュニケーションがはかれる職場づくりが重要です。

楽観的でユーモアがある

レジリエンスが高い人は、ポジティブな思考ができる傾向にあります。

必ずしも楽観的な性格がポジティブ思考につながるわけではありませんが、失敗を引きずって切り替えができないとポジティブな考えにはなれません。

たとえ失敗したとしてもすぐに切り替え、「次はうまくいく」と自分を信じられる性格の人はレジリエンスが高いと言えます。

また、失敗を恐れずに積極的に仕事をするためにも、ユーモアのある思考を持ちながら働くことが重要で、楽しんで仕事ができる人もレジリエンスが高い人と言えます。

レジリエンスが高い人材を育成するためにも、従業員の失敗を受け入れ、次の成長につなげられるような声掛けを組織的に行うようにしましょう。

レジリエンスが高い組織の特徴

レジリエンスが高い組織の特徴について確認してみましょう。

レジリエンスが高い組織の特徴

  • 問題や逆境を助け合う組織風土

  • 部署の垣根を超えたコミュニケーションが取れる

  • 他の人の失敗を許容できる

問題や逆境を助け合う組織風土

レジリエンスが高い人でも、すべての逆境や困難に対してひとりで対応できるわけではありません。

誰かが困っている際に、組織で助け合う組織風土があると、レジリエンスが高い組織と言えます。

助け合う組織風土をつくるためにも、組織内で良好なコミュニケーションが取れるような仕組み作りを始めてみましょう。

部署の垣根を超えたコミュニケーションが取れる

組織のレジリエンスを高めるためには、自部署内だけでなく、他部署の協力が得られる組織風土が大切です。

抱える案件によっては、自部署だけで解決が難しく、会社全体で取り組む必要がある場合もあり、部署の垣根を超えた関わりがあることが重要になります。

部署が異なると相談しづらい関係にならないよう、部署の垣根を超えたコミュニケーションが取れる組織風土を作るようにしましょう。

他の人の失敗を許容できる

部下が失敗した際に「何をやっているんだ」と叱ってしまうと、従業員は萎縮し、失敗を恐れてしまう傾向にあります。

レジリエンスの高い組織は、従業員の失敗をある程度許容し、次につなげるためのアドバイスができる組織です。

すべての失敗を許容するわけではなく、従業員の怠慢で失敗した場合には個別で指摘するようにしましょう。

すべての従業員が積極的に業務に絡み、失敗を恐れない組織風土をつくる必要があります。

レジリエンスを高める方法

レジリエンスを高める方法として、「個人のレジリエンスを高める方法」と「組織のレジリエンスを高める方法」をそれぞれ確認してみましょう。

個人のレジリエンスを高める方法

個人のレジリエンスを高める方法について確認してみましょう。

  • 自己効力感を高める

自己効力感とは、「自分ならやれる」「きっとうまくやれる」と自分自身を信じることを指します。

自己効力感が高い人は、困難や逆境に直面したときでも常に自分を信じ、ポジティブに物事を考えられる傾向にあります。

自己効力感を高めるためには、「成功体験の積み上げ」と「長所を把握する」ことが重要です。

成功体験の積み上げは、小さな成功でも問題なく、日常的にうまく行った経験を積み上げましょう。

例えば、「周囲の人の手伝いをして感謝してもらえた」「自分の提案が採用された」など、小さな体験をしっかりと成功だと認識し、積み上げることが重要です。

また、自身の長所を把握するためにも、「Thank youカード」や「Good Jobカード」などの従業員同士で褒め合うツールを活用し、従業員ひとりひとりのいいところを伸ばす取り組みをしてみましょう。

自身の長所に気づけた人は、長所をさらに伸ばせるように努力ができ、努力の結果成功体験を積み上げることにもつながります。

  • 自尊感情を高める

程よい自尊感情もレジリエンスを高めるために必要な要素です。

自尊感情とは、「自分は組織にとって必要な存在だ」「自分は価値のある人間だ」と感じられることを指します。

自尊感情が低い人は、自分に自信が持てなくなり、失敗を恐れてネガティブ思考になりやすい傾向にあります。

自尊感情を高めるためにも、小さなことでも自分自身を褒める習慣を従業員につけさせましょう。

また、他人と比較する癖がある人は、自分よりも優れている人を見て自尊感情をなくしてしまう恐れがあります。

人と比べる癖をなくし、自分自身を褒める習慣をつけるよう、従業員を教育しましょう。

組織のレジリエンスを高める方法

組織のレジリエンスを高める方法について確認してみましょう。

  • 従業員に小さな成功体験を経験させる

従業員ひとりひとりのレジリエンスを高めるためには成功体験を積み上げることが重要です。

従業員に小さなことでも成功体験を積み上げることを意識させながらも、会社側としても従業員が成功体験を感じられるような機会を設けるようにしましょう。

例えば、従業員同士で褒め合う仕組みを取り入れることや、社内で簡単な課題を従業員に課すと良いでしょう。

また、成功体験をしても従業員自身が「成功した」と認識していなければ意味がありません。

従業員に成功体験を認識させながら社内の取り組みを進めるようにしましょう。

  • 成功体験を社内で共有する

社内で従業員の成功体験を積み上げる取り組みをした後は、成功事例を組織内で共有するようにしましょう。

他の従業員に成功体験を共有することで、従業員自身が成功したことを再認識することができます。

また、他の人の努力を知ることで、組織内で仲間意識が増し、助け合う風土が作れることもあります。

従業員の成功体験をできるだけ短いスパンで社内周知し、レジリエンス向上をはかりましょう。

レジリエンスの向上のためのストレスチェック

レジリエンスは、「回復力」や「立ち直る力」といった意味を持つ言葉です。

レジリエンスは、ストレス社会やコロナ禍など、環境が大きく変わる現代においてとても重要な能力のひとつです。

従業員のレジリエンスを向上させることで、精神的疾患による離職や休業を予防する効果が期待されています。

個人のレジリエンスと組織のレジリエンスの両方を向上させるためにも、小さな成功体験を積み上げ、それを共有して自己効力感と自尊感情を向上させるような仕組みづくりが大切です。

レジリエンスを高めるためには、従業員ひとりひとりの「ストレス状態」をチェックすることが大切です。

「HRBrain ストレスチェック」は、1回57問の質問に回答することで「ストレスチェック」を実施し、見える化することができます。

「HRBrain ストレスチェック」でできること

  • 厚生労働省推奨の57問に対応

  • 組織のストレス状態の把握

  • 個人の結果をレーダーチャートで把握

  • 報告書の電子申請対応

「HRBrain ストレスチェック」の特徴

  • 進捗管理から面談受診の推奨などを効率化

  • 報告書の作成をカンタンに電子申請にも対応

  • 回答はスマホにも対応いつでもどこでも実施が可能


HR大学編集部
HR大学 編集部

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