#人材育成
2024/09/04

やる気のない社員とは?特徴や原因と対応方法と放置することの悪影響について解説

目次

やる気のない社員とは、「行動するための意欲やエネルギーがない状態」で、「否定的な発言や消極的な態度」「失敗から学ぶ姿勢が無い」「仕事がいい加減で最小限のことだけをしようとする」などの特徴があげられます。

やる気のない社員は、周囲の士気を落としかねず、成果も小さいことが多いため、企業にとっては早急に対処したい従業員であることは間違いありません。

この記事では、やる気のない社員の特徴や、やる気のない社員が及ぼす悪影響、やる気のない社員がやる気をなくす原因と放置すべきか、やる気のない社員への対応方法について解説します。

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やる気のない社員とは

そもそも「やる気がある」「やる気がない」というのは、どのように判断すれば良いのでしょうか。

やる気とは、「物事を行おうとする気持ちと欲求」や「進んで物事を成し遂げようとする気持ち」を指します。

つまり、やる気がある状態とは「行動するための意欲やエネルギーがある状態」で、反対にやる気がない状態とは、「行動するための意欲やエネルギーがない状態」を指します。

やる気のない社員の特徴

やる気のない社員にはどのような思考や行動の特徴があるのか、やる気のない社員の特徴について確認してみましょう。

やる気のない社員の特徴

  • 否定的な発言や消極的な態度が見受けられる

  • 失敗から学ぶ姿勢が無い

  • 仕事がいい加減で最小限のことだけをしようとする

否定的な発言や消極的な態度が見受けられる

やる気のない社員の特徴として、「否定的な発言や消極的な態度が見受けられる」という点があげられます。

ネガティブ思考で、会社や制度のことについて不満を漏らすことが多く、現在の環境に無い物を要求する、業務を遂行する前にできないことに焦点を当ててできない理由を探す、ミスをした際に言い訳が率先し、改善のための行動が取れないなど、消極的で否定点な態度が見られます。

失敗から学ぶ姿勢が無い

やる気のない社員の特徴として、「失敗から学ぶ姿勢が無い」という点があげられます。

失敗した際に環境や周囲の人間に責任を転嫁する「他責思考」の傾向があり、失敗した原因について自分で考えて改善を起こすことがありません。

また、着目するべき点は、他責思考であるか自責思考であるかということよりも、失敗した原因を追及して行動に起こせるかということです。

自責思考であっても、行動改善が見られなければやる気が無いと判断できるでしょう。

仕事がいい加減で最小限のことだけをしようとする

やる気のない社員の特徴として、「仕事がいい加減で最小限のことだけをしようとする」という点があげられます。

組織内でやる気があるとみなされるのは、チームや組織のために率先して行動を起こす従業員であることが多いです。

対して、やる気のない従業員は、「仕事への姿勢が受け身である」「組織への貢献意欲がない」という2点が原因で、組織の利益最大化のための行動を起こそうとしないため、最小限の仕事をこなし業務もいい加減になりがちです。

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やる気のない社員は放置すべきか

成果を出さずやる気のない社員と見なされる人材は、どの組織にも共通して一定数存在すると言われ、「262の法則」と呼ばれる法則で説明されています。

262の法則とは、どの組織でも「優秀な人材2割」「普通の人材6割」「貢献度の低い人材2割」で、人材の比率が構成されるという法則で、組織だけでなくスポーツチームにも当てはまる法則です。

企業において貢献度の低い人材2割は、多くの場合、なんとなく企業に所属していたり、適性がなく成果が小さかったりする人材を指し、やる気のない社員と判断される従業員も、貢献度の低い人材2割に分類されます。

262の法則に基づくと、組織内にやる気のない社員が一定数いることは避けられず仕方ないように思われるため、「やる気のない社員は放っておくのが得策である」という考え方もあるかもしれません。

しかし、やる気のないまたは成果が少ない人材が組織内に必ず2割存在するとして、貢献度の低い人材2割にアプローチして能力を底上げすることが重要です。

貢献度の低い人材2割の能力の底上げは組織力の向上にも繋がるため、無意味ではないと言えます。

また、やる気が無く手を抜いて成果を出さない従業員を放置することは、組織全体に悪影響を及ぼすため望ましくありません。

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やる気のない社員を放置することで起こる悪影響

やる気のない社員を放置することで起こる具体的な悪影響として、「組織へのやる気のなさの伝染」があり、心理学では「情動の伝染」で説明されます。

情動の伝染とは、他者の特定の感情を知覚することで、自分自身も同じ感情を経験する現象で、人は周囲の人間に影響されるということが分かっています。

例えば、「身近な人にもできるなら自分にもできるだろう」という風に考え、周囲の人がやる気を起こしたというように、やる気や活力という情動は伝染性があるため、やる気のない社員がいると影響されて、同じ様にやる気のない社員が増える可能性があります。

やる気のない社員が一定数いることで、組織全体の士気が低下するデメリットがあります。

また、一部の社員のやる気の無さが社内全体に伝染してしまっては、組織の活力が損なわれ業績にも影響が及ぶ可能性があります。

組織全体の士気が下がってしまわないように、早い段階でやる気のない社員に対して適切な対処を施すことが重要です。

やる気のない社員へ対処する際は、原因を特定し対処法するようにしましょう。

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やる気のない社員が発生する社会的手抜きが発生する要因

社会的手抜きとは、「リンゲルマン効果」とも呼ばれ、集団で何らかの課題に取り組んでいる際に、「誰かがやってくれるだろう」という心理が働き、手を抜いてしまう現象を指します。

例えば、1つの重い荷物を複数人で運ぶ際に「他の人が運んでくれているので力を出さなくても大丈夫だろう」と考える心理です。

また組織での社会的手抜きは、「個人責務が曖昧な組織構造」と「従業員が社会的意義を見出していないこと」で発生します。

社会的手抜きが発生する要因について確認してみましょう。

社会的手抜きが発生する要因

  • 責任の所在が不明である

  • 社会的意義を見出せない

責任の所在が不明である

社会的手抜きが発生する要因に、「責任の所在が不明である」ことがあげられます。

任意や立候補制などの業務が多く、個人責任の所在が曖昧な組織構造が作られている場合、業務に対して進んで責任を負おうとしない心理が働いてやる気のない社員が発生することがあります。

京都大学の「経済論義第185巻第1号」によると、社会的手抜きが発生するかしないかの組織の構造の違いは「スキマ組織」と「レンガ組織」として説明されています。

スキマ組織では、自身と他者の業務の間に誰が行っても良い業務として隙間が発生していますが、レンガ組織では役割分担が明確で個人の責務間に隙間がない状態が保たれています。

責任の所在が曖昧で社会的手抜きが起きている場合、「スキマ」ができないように組織の役割分担に関する体制の見直しを行うことで改善が図れます。

(参考)京都大学の「経済論義第185巻第1号

社会的意義を見出せない

社会的手抜きが発生する要因に、「社会的意義を見出せない」ことがあげられます。

社会的意義とは、「従業員が企業に属する意味や目的」のことを指します。

社会的意義の有無は、従業員の意識に関係する要素であるため、マネージャーや人事担当者は従業員との対話を行いながら、社会的意義が見出せない原因について把握する必要があります。

従業員が社会的意義を見出せない要因としては、「仕事に対しての成果が見えない」「目標が定まっていない」「貢献度に対して不当な評価を受けている」ことがあげられます。

それぞれの理由について確認してみましょう。

  • 仕事に対しての成果が見えない

業務の成果が見えなかったり、組織にとって影響力が小さい業務を遂行している場合、仕事の重要性を理解できません。

また、社内の業務に裁量権を持っているか、重要な業務を任せられているか、という点は仕事に対するやりがいや会社への貢献度に関係します。

従業員にやる気がない場合、業務の影響力が小さすぎることや裁量権が少ないことなどが原因であることがあります。

  • 目標が定まっていない

業務や自身のキャリアについての目標が定まっていないとゴールが見えず、業務を通じて何を得られるのかが分からなくなってしまい意義を見失ってしまう傾向にあります。

目標を把握していると、自身の業務が組織や自身の将来にどのように良い影響を与えるかを考え、エンゲージメントを高めることができるようになります。

  • 貢献度に対して不当な評価を受けている

不当な評価とは、給与の少なさや昇進できないことなどの金銭的要因と、人間関係で不当な待遇を受けることがあげられます。

人間関係での不当な待遇の具体例としては、「待遇の違い」があげられ、どれだけ業務に貢献していても他の従業員との対応が不当に違う場合、従業員の組織に貢献する意欲も薄れてしまいます。

さらに、「上司との期待値のズレ」も不当な待遇の1つとしてあげられ、上司が従業員の能力を過小評価して、従業員が自身の能力を十分に発揮できない場合と、反対に上司が従業員を過大評価して大幅に期待したアウトプットを求め、従業員が失敗した際に低い評価を付けてしまうことがあげられます。

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やる気のない社員の対応方法

やる気のない社員の対処法について確認してみましょう。

やる気のない社員の大きな要因は、「本人の意識の問題」と「組織の問題」に分けられます。

まずは、やる気がないと感じられる従業員と対話をし原因を探します。

対話をした結果、やる気のない社員の特徴に当てはまる従業員がいれば、個人面談を実施して、対話を通じてさらに原因を探りましょう。

本人の意識に問題がある場合

やる気のない社員の対応方法として、本人の意識に問題がある場合について確認してみましょう。

  • 自身に問題を把握させ改善するように働きかける

最終的にやる気を起こすのは従業員自身のため、従業員が自主的に問題点を把握して改善する行動が取れるようになることが重要です。

まずは、仕事に社会的意義が見出せない原因となっている要素を理解させ、原因に応じて、やる気を起こさせるような環境を整えるなどして、サポートを行い行動改善を促しましょう。

  • 能力開発を行う

従業員の能力開発を行うことは、従業員が自身の能力に見合う適切な役職に就けていなかったり、スキルを伸ばす機会が与えられていない場合に有効です。

マネージャーや人事担当者が、やる気のない社員の能力を最大限引き出すためには、従業員の要望を聞いて異動を提案したり講演会などを通して新しい能力をつける機会を与えると良いでしょう。

  • 目標を認識させる

業務に対して意義を見出すために目標設定は不可欠であると言えます。

また目標は、キャリア設計などの個人的な目標に限る必要はありません。共通した指標に向かって業務を遂行させられるという点で、組織全体として向かうビジョンを共有して共感を得ることも効果的です。

個人の目標の場合も、会社としての目標の場合も、従業員が何のために仕事をしていて、何の役立っているのかということが把握できれば、社会的意義を見出せるようになります。

また、目標を設定した後の行動指針として、「ロールモデル」を設定すると良いでしょう。

  • 責任のある仕事を任せる

従業員にあえて責任のある業務を任せることも検討してみましょう。

能力を過小評価されたり裁量権が少なかったりすると、従業員は仕事のやりがいや意義を感じられなくなってしまいます。

責任のある仕事を任せることで、従業員のやりがいを引き出せるだけでなく責任感の強化や貢献意欲の向上も図れます。

また、責任のある仕事を任せる際は、フォローを行うことが重要です。フォロー無しに責任のある仕事を任せ、失敗した際に仮に低評価を付けてしまうと従業員のやる気は削がれてしまい、パワハラだと捉えられてしまう可能性もあります。

もし失敗したとしても、従業員を立ち直らせるためのフォローを行えば、逆境を跳ね返す力である「レジリエンス」の強化にも繋がります。

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組織に問題がある場合

やる気のない社員の対応方法として、組織に問題がある場合について確認してみましょう。

組織に問題がある場合は、「給与などの金銭的評価を見直す」「職場環境の改善」「コミュニケーション活性化」など、やる気を出せる環境を整備する施策を実施しましょう。

しかし、いくら外部から働きかけても、従業員の意識が変わらず改善が見込めないままの場合は、やる気のない社員にさらに労力を費やす必要は無い場合もあります。

社内でできる取り組みとしてやる気が出る環境を提供したうえで、実際に従業員の行動改善が見られるかどうかを観察すると良いでしょう。

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やる気のない社員への対応は早急に

やる気のない社員とは、「行動するための意欲やエネルギーがない状態」で、「否定的な発言や消極的な態度」「失敗から学ぶ姿勢が無い」「仕事がいい加減で最小限のことだけをしようとする」などの特徴があげられます。

やる気のない社員は、周囲の士気を落としかねず、成果も小さいことが多いため、企業にとっては早急に対処したい、従業員であることは間違いありません。

やる気のない社員への対処法は、やる気が無くなってしまった原因を追求し、原因を解消するための働きかけや施策を、上司や人事担当者が実施する必要があります。

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HR大学編集部
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