#人材管理
2024/08/20

早期離職の理由と問題とは?離職の原因と中途採用の定着率を上げる方法

目次

早期離職とは採用した従業員が入社後3年以内に離職してしまうことを指します。

売り手市場や、労働人口の減少や労働人口の流動化によって、人材確保が難しい中、採用コストや育成コストをかけた従業員の早期退職は企業にとって大きな痛手となります。

また、現場の従業員のモチベーションにも影響します。

この記事では、早期離職の理由や問題、早期離職につながってしまう原因をもとに、中途採用者の早期離職を防止し、定着率を上げる方法について解説します。

離職予兆分析から離職防止まで、データをもとに見える化

早期離職とは

早期離職とは、採用した従業員が入社後3年以内に離職してしまうことを指します。

売り手市場や労働人口の減少、労働人口の流動化によって、人材確保が難しい中、採用コストや育成コストをかけた従業員の早期退職は企業にとっては、大きな痛手になってしまいます。

また、従業員の早期離職は、現場の従業員にとっても、モチベーション低下につながってしまうおそれがあります。

早期離職の問題点とは

中途採用した従業員が早期離職してしまった場合、企業にとってどのような問題が発生してしまうのかを、「コスト」「企業と早期離職者」「職場」に焦点をあてて確認してみましょう。

早期退職によるコスト損失

中途採用は新卒採用とは違い、期の途中で企業が採用を行います。

中途採用は、「欠員」や、事業拡大による「増員」や「増強」で、採用コストよりも「人材の充足」に重点がおかれます。

そのため、コストをかけて採用した人材が早期離職してしまった場合、企業が受ける損失は大きくなります。

中途採用でのコスト

  • 採用にかける募集費や人材紹介手数料

  • 募集から面接、内定にかけた準備コスト

  • 面接官の時間的なコスト

これらの費用や時間が無駄になってしまいます。

また、人材の補充や増強が遅れてしまうことからの、事業的な損失が発生してしまいます。

欠員による人員採用に時間が掛かった場合、引継ぎの時間がなくなることから、既存の従業員へ仕事を割り振るなどします。

それによって、従業員の時間外残業が増えたりするという点でも損失が発生してしまいます。

早期退職による企業と従業員へのリスク

早期退職によるリスクについて、「企業側が受けるリスク」と、「早期退職をする従業員が受けるリスク」について確認しましょう。

早期退職による企業が受けるリスク

企業にとって「即戦力」として活躍してほしいと思って採用した人材でも、必ずそうなるかというと違います。

また、「即戦力」として活躍している従業員が、会社に定着してくれるか、早期離職しないかといった課題があります。

キャリアに対して上昇志向をもっている人材は、「仕事が自分の思ったものと違う」といった理由で早期離職してしまう場合があります。

また、複数回転職していて、離職癖をもっている場合もあります。

そのため、採用時に、どれだけ本人のやりたいことや希望する働き方を見極められるかが、早期離職のリスク回避には重要になります。

早期退職をする従業員が受けるリスク

一方で、転職者にもリスクがあります。

人材紹介会社エン・ジャパンの調査である、第67回アンケート集計結果「『転職のリスク』について」では、約95%が転職にあたってのリスクがあると回答しています。

転職にあたってのリスク

  • 思っていた仕事内容と違う

  • 転職先がすぐに見つからない

  • 人間関係がうまく築けない

  • 会社・社風に馴染めない

  • 給与が上がらない

  • 自分の経験・スキルが通用しない

  • 働き方の融通が利かない

  • 勤務時間が長くあんる

  • 失敗したらキャリアに傷がつく

  • 昇進・昇格しない

  • 仕事を通じた成長がない

参考)「転職のリスク」について

企業側は転職者がこのようなリスクを抱えて、転職活動をしているということを知ったうえで、早期離職を防止し、定着率を上げる工夫をする必要があります。

早期離職が職場に与える影響

早期離職は、企業と早期離職者だけでなく、職場や現場の従業員にも大きな影響を与えます。

新しく入社したメンバーへの引き継ぎや教育を行って、これからという段階での早期離職は、職場に非常にダメージを与えます。

改めて、採用を待たなければならないことや、採用までの間どのように仕事を回していくのかという不安が生まれ、モチベーションの低下にもつながります。

そのため、早期離職を防止し、定着率を上げていくことは、職場全体の問題として取り組むべき重要なことだといえます。

早期離職の原因とは

中途採用社が早期離職してしまう理由にはそのようなものがあるのでしょうか。

早期離職の理由と、その原因について確認しましょう。

早期離職の原因を知ることで、早期離職の防止策の検討へとつなげましょう。

早期離職の原因:中途採用者が活躍できない

中途採用者が早期離職してしまう原因に、「活躍できる職場でなかった」ということがあげられます。

入社後、中途採用者が活躍できない理由には、「採用時の問題」と「採用後の問題」の2つが考えられます。

採用時の問題

採用時に、転職者の転職の理由と、会社の事情との掘り下げ方が不十分である場合があります。

転職者は、口にしにくい転職理由を必ずもっているものです。

採用面接では、これを言ったら採用してもらえないのではないかなどと思い、なかなか正直な転職理由を口にしないものです。

例えば、「上司との相性が悪かった」などの理由であった場合、転職先の上司が同じタイプだとしたら、早期離職は避けられません。

採用面接で、いかに本音を聞き出せるかが早期離職防止につながります。

採用後の問題

採用後の、教育の実施が不十分である場合があります。

中途採用で、即戦力として期待すればするほど、すぐに仕事を任せてしまい、放置してしまう傾向があります。

しかし、前職で活躍していたのは、その前職での環境下での話です。

新しい環境での社内ネットワークの構築に失敗してしまうと、即戦力として活躍はできません。

早期離職の原因:中途採用者の前職の離職理由

実際に、早期離職をした原因はどのようなものだったのか。

厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」から、中途採用者の「前職の離職理由」について確認してみましょう。

中途採用者の前職での離職理由を知ることで、事前に早期離職を防ぐことができるかもしれません。

中途採用者の前職の離職理由

「その他個人的理由」という回答をのぞいた離職理由は、男女別に下記のようになっています。

中途採用者の前職の離職理由:男性

  • 職場の人間関係が好ましくなかった:8.1%

  • 労働時間、休日等の労働条件が悪かった:8.0%

  • 給料等収入が少なかった:7.7%

  • 会社の将来が不安だった:6.3%

  • 仕事の内容に興味を持てなかった:5.0%

  • 能力・個性・資格を生かせなかった:4.3%

中途採用者の前職の離職理由:女性

  • 労働時間、休日等の労働条件が悪かった:10.1%

  • 職場の人間関係が好ましくなかった:9.6%

  • 給料等収入が少なかった:7.1%

  • 能力・個性・資格を生かせなかった:4.8%

  • 会社の将来が不安だった:4.5%

  • 仕事の内容に興味を持てなかった:3.8%

男女ともに「職場の人間関係が好ましくなかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「給料等収入が少なかった」という転職理由をあげている割合が多かったことがわかります。

参考)厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況

▼「離職理由」についてさらに詳しく
離職の原因TOP3!特に気をつけたい若者・新卒の離職理由も詳しく解説

早期離職を防止する方法

早期離職の原因に対して、すべきことについて「採用時の対策」と「採用後の対策」の2つに分けて確認しましょう。

早期離職を防止する方法:採用時の対策

早期退職を防止する対策として、「採用時」に対策が可能な早期離職の理由について確認しましょう。

  • 入社後の人間関係による早期離職

  • 仕事内容の認識の違いによる早期離職

入社後の人間関係による早期離職

  • 仕事の実力だけでなく働き方や仕事への価値観を確認する

スキルや実力があっても、働き方や仕事に対する価値観に大きな相違があると、いずれお互いにストレスを抱えることになってしまいます。

「ライフワークバランス」に対する考え方の確認は重要なポイントです。

  • 上司だけでなく複数の部下も面接に参加する

入社後に一緒に仕事をする従業員との相性も確認しましょう。
例えば、チームワークを重視する職場の場合、「ほかの従業員への気遣いをしてくれる人なのか」という点が大切になります。

仕事内容の認識の違いによる早期離職

  • 入社後の仕事内容について具体的に説明する

応募者は「自分のやりたいこととできるか」ということを踏まえて、入社するかどうかを最終決定します。

企業側は、仕事の内容を具体的に提示するようにしましょう。
応募者が「やりたいこと」と「できること」、企業側が「やってほしいこと」の3点が重なってこそ中途採用が成功します。

  • 仕事の内容だけでなく仕事の進め方についても説明する

一日の仕事の流れだけでなく、できれば月や年単位での仕事の進め方も説明します。
コミットした仕事のアウトプットのサイクルを提示することがポイントです。

早期離職を防止する方法:採用後の対策

早期退職を防止する対策として、「採用後」に対策が可能な早期離職の理由について確認しましょう。

  • 入社後のから半年での早期離職

入社後のから半年での早期離職

  • 会社生活に慣れるようサポートする

会社生活には、勤怠の申請方法などの「形式知」や、ごみの出し方などのちょっとした「暗黙知」があります。
新規入社者にとっては、こうした小さなストレスの積み重ねがやがて大きな不安や不満につながってしまうため、仕事の仕方だけでなく、会社生活に慣れるようサポートをしましょう。

  • 積極的に人的交流を図れるタイプかそうでないかを見極める

新規入社者が、自分から積極的に人的交流を図れるタイプなのか、そうでないかを見極める必要があります。
人的交流を図るのが少し苦手なタイプの人を放置しすぎると、実力を出す前に会社の雰囲気に合わないと判断してしまい、早期離職につながります。
育成指導者や、相談相手を決めておいて、こまめな相談にも対応できる体制をつくりましょう。
新規入社者が、新卒や若手社員の場合は、「メンター制度」を導入するとよいでしょう。

▼「メンター制度」についてさらに詳しく
メンター制度のメリットは?運用時のステップと導入例・注意点も紹介

▼「離職防止」についてさらに詳しく
離職防止に効果的な施策9つ!離職の原因とその影響も合わせて解説

早期離職を防止し「定着率を上げる」ために人事がすべきこと

早期離職を防止して「定着率を上げる」ためには、現場の従業員だけではなく、人事が積極的に対策を行うようにすることが大切です。

早期離職を防止するために人事がすべきこと

  • 「即戦力」という言葉の意味の取り違えに注意する

  • 社内の人的ネットワーク作りのサポート

  • 前職と同じような活躍のできる環境づくり

  • 定期的な面談の実施

  • 中途入社者の目標設定

  • 人事からのコミュニケーション

「即戦力」という言葉の意味の取り違えに注意する

仕事や職場に慣れるまでの期間は必ず考慮しておきましょう。早期離職を防止するには、この慣れる期間を設定し、どのように準備するかが重要です。特に、人間関係に起因する早期離職は、この期間に有効な人間関係を築けるかどうかにかかっています。

社内の人的ネットワーク作りのサポート

入社から半年以内に、社内の人的ネットワーク作りをすることが大切です。

本来は、新規入社者が所属する部署の、育成指導者がその役割を担います。

しかし、管理職クラスの新規入社者になると、さらに広い社内での人脈作りが必要になります。

例えば、他の事業所への見学などは、人事が積極的に計画するようにしましょう。

その際は、仕事に関係する従業員との交流や、部門長との顔合わせなど、人的ネットワーク作りを中心に行います。

新規入社者が、次回からは自分ひとりで連絡をとったりできるようになれば、本人にとっても企業にとっても良い結果となります。

前職と同じような活躍のできる環境づくり

中途入社者の早期活躍を期待するならば、できるだけ前職と同じような活躍のできる環境を作りましょう。

定期的な面談の実施

人事による定期的な面談も有効です。

職場の上司や同僚には言えない悩みがないか、第三者的な立場で人事がヒアリングするようにしましょう。

もし、問題があった場合は、早期解決を図りましょう。

問題には、職場側の問題と本人側の問題があります。

職場側の問題の場合は、本人が希望するならば、職場の育成者や上司を交えて解決策を考えます。

本人側に問題がある場合は、しっかりと改善点を伝えましょう。

早期の不安や問題の把握と解決は、早期離職を防止し、定着率をあげるために重要です。

中途入社者の目標設定

中途入社者の目標設定は、入社後すぐに行うようにしましょう。

その際に重要なことは、「慣らし運転期間」を目標設定に入れることです。

例えば、最初の3カ月間の間は、会社を理解することや社内手続きの方法を理解するなどの項目を入れておきます。

このように、まずは会社に慣れることが目標であることを、評価者や育成担当者と本人との間で共有しておくことが必要です。

中途入社者が、戦力として自走するまでの期間「何に注力すればよいのか」を明確にすると、定着率が上がります。

「即戦力であっても放置しない」ということが重要なので、具体的に目標設定として共有しておきましょう。

人事からのコミュニケーション

早期離職を防止し、定着率を上げるためには、中途入社者とのコミュニケーションの取り方が重要です。

コミュニケーションとは、お互いが思っていることをキャッチボールするということです。

コミュニケーションのスタイルは人それぞれに違います。

特に新規入社者がどのようなコミュニケーションスタイルかは、周りも把握できていないため、まずは積極的にボールを投げてみることが大切です。

ボールの返し方を繰り返し観察し、お互いのキャッチボールの質を向上させていくようにしましょう。

まずは、人事からコミュニケーションを図っていきましょう。

若手の早期離職を防ぐためには

原因と対策を考える 若手の離職を防ぐためには

若手人材の早期離職は非常に重要視される課題です。

入社から3年以内で離職する若手は多く、離職率を下げるために奮闘している会社も多いかもしれません。

若手の早期離職を防ぐために、主な離職の原因や対策を考えたうえで、離職率の改善に取り組んでいる会社の事例をご紹介します。

この資料で分かること

  • 一般的な離職の原因

  • 離職防止に向けた取り組み

  • 離職防止、定着率向上の成功事例

早期離職対策は「組織診断サーベイ」の活用

「早期離職」を減らし、定着率を上げるためには、従業員の「離職予兆の分析」や「離職防止対策をデータ」をもとに実施することが大切です。

「早期離職対策」を実施したくても、「人材データの収集ができない」「離職予兆を把握できない」「従業員のコンディションチェックができない」などの課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

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HR大学編集部
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