#人材管理
2024/08/22

従業員エンゲージメントを測定する目的やメリットを解説

目次

従業員エンゲージメントは、従業員と企業間の愛着や結びつきの強さを示すもので、近年では企業のKPIに設定されるなど、注目されている指標です。

この記事では、従業員エンゲージメント測定の目的やメリット、測定時の留意点などについて説明します。

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従業員エンゲージメントをKPIに設定する理由

従業員エンゲージメントは、従業員が自社に対してどれほど愛着を持ち、貢献したいという気持ちを持っているかを示す指標です。

「エンゲージメント(engagement)」という単語には、「約束」「つながり」といった意味があります。

従業員エンゲージメントは、企業と従業員間の結びつきの強さを表すものであると言えるのです。そのため、従業員エンゲージメントを企業やグループ全体のKPIとして設定する企業が増えてきたのです。

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従業員エンゲージメントがKPIとして重視される理由

従業員エンゲージメントの数値を自社やグループ全体のKPIとしている企業があります。

KPIとは、「Key Goal Indicators」を省略したもので「重要目標達成指数」と訳されます。企業にとってKPIは事業運営において、最終的に目指す目標と言えます。

最終目標であるKPIとして設定されていることからも、従業員エンゲージメントが企業の継続的な成長において重要な指標であることが分かります。

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従業員エクスペリエンスの可視化をサポートし、自社における課題の分析や必要な施策を決めるのにも役立ちます。

さらに、従業員エンゲージメントが企業やグループ全体のKPIとして重視されている4つの理由について確認してみましょう。

  • 業績の向上

  • 離職率の低下

  • 採用力の強化

  • 従業員のモチベーション維持

業績の向上

従業員エンゲージメントが高いということは、従業員が自社に貢献したいという気持ちを強く持っていることを指します。

自社に貢献したいと考える従業員は、業務に対して自然と積極的になり、自主的に行動することが増えるでしょう。

従業員ひとりひとりが高い自主性を持つようになれば、部署や企業全体の士気が高まると考えられます。そうなれば、生産性が高まると同時に、質の良いサービスや商品が生まれやすくなるでしょう。

結果的に企業としての利益が増え、業績が向上していくと考えられます。

離職率の低下

近年では、少子高齢化により労働力人口が減少していると言われています。
さらに、能力の高い優秀な人材が、より良い報酬や職場環境を求めて転職していくこともあるでしょう。

そのような観点からも、従業員エンゲージメントが注目されています。

従業員エンゲージメントが高いということは、従業員は自社に対して強い誇りや愛着を持っている状態と言えます。そうなれば、必然的に離職する人が少なくなると考えられます。

従業員エンゲージメントを高めることは、従業員の離職を防ぎ、優秀な人材を自社に留めることに有効に働くと言えます。

採用力の強化

従業員エンゲージメントが高い企業の従業員は、自社に対する誇りや、業務における強い向上心を持っています。

そのような従業員が多い企業は、求職者にとって非常に魅力的に映るでしょう。従業員の自社への帰属意識が高い企業は、自然と企業イメージも良くなります。

その結果、多くの求職者が集まり、優秀な人材を得やすくなるでしょう。

このように、従業員エンゲージメントが高まることは自社内だけではなく外部へも影響します。結果として、自社の採用力の強化に繋がっていくのです。

従業員のモチベーション維持

従業員エンゲージメントを測定することは、従業員のモチベーション維持にも役立ちます。
たとえ懸命に日々の業務に励んだとしても、それを評価してもらえなければ、従業員のモチベーションは低下してしまいます。

従業員エンゲージメントの測定は、そのような従業員の日々の仕事ぶりを適切に評価する仕組みのひとつです。

従業員エンゲージメントの測定により、仕事に対する姿勢を正しく評価することで、従業員ひとりひとりがモチベーションを保ちやすくなるでしょう。

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従業員エンゲージメントの測定方法

実際に従業員エンゲージメントを測定するには、どのような方法があるのでしょうか。
自社で一から計画・実施して計測する方法と、外部サービスを活用し、委託して計測する方法について説明します。

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自社で計測する方法

自社で従業員エンゲージメントを測定する場合は、実施時期の決定、紙やメールなどの実施ツールの選定、設定する質問や評価指標などの設計を全て自社内で行います。

従業員エンゲージメントの測定に必要な項目を確認してみましょう。

  • 従業員エンゲージメント測定の目的の把握

  • 調査対象の設定

  • 実施方法の決定

  • 従業員エンゲージメント測定の意図の従業員への説明

  • 従業員エンゲージメント測定の実施

  • 測定によって得られた結果の分析

  • 分析によって見えた課題解決のための施策決定

自社で一から従業員エンゲージメント調査を準備する際は、自社の課題や特性に合わせたアンケートの設問を自由に設定できるため、カスタマイズ性は高いものになります。

しかし、準備や実行にかける時間や工数は多くなるでしょう。

外部サービスに委託して計測する方法

従業員エンゲージメントの測定は、外部サービスに委託して行うことも可能です。

従業員エンゲージメントの測定に精通したサービスに委託する場合、以下のような点を詳細まで説明してもらえるでしょう。

  • 設定できる設問にどのようなものがあるのか

  • どの設問がどのような指標に繋がるのか

  • 指標がどのくらいであればエンゲージメントが高い・低いとみなせるのか

計画・実施・分析にかかる時間・工数を省くことができる点が、外部サービスに委託する最大のメリットと言えます。
デメリットとしては、委託費用がかかることに注意が必要です。

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従業員エンゲージメント測定で用いられる指標

従業員エンゲージメント測定の中で用いられる指標には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

従業員エンゲージメント測定で代表的な3つの指標について説明します。

エンゲージメント総合指標

「エンゲージメント総合指標」は、従業員から企業に対する評価を指すものです。
「エンゲージメント総合指標」の具体的な評価内容について確認してみましょう。

  • eNPS(employee Net Promoter Score):自社を知人・友人に勧めたいと思う度合い

  • 総合満足度:自社に対する満足度

  • 継続勤務意向:自社で今後も働き続けたいと思う度合い

「エンゲージメント総合指標を問う設問の例」についても確認してみましょう。

  • 友人や知人、親族に自社を勧めたいですか?

  • この一年間に、仕事をする上で学んだり成長したりする機会を持てましたか?

  • 職場に自分を気遣ってくれる上司や同僚はいますか?

これらの設問から、従業員の企業に対する「総合満足度」や「期待度」が測定できるでしょう。

エンゲージメントドライバー指標

「エンゲージメントドライバー指標」の3つの要素について確認してみましょう。

「エンゲージメントドライバー指標」は、従業員エンゲージメントを最終的に判断するのに使用される指標であると言えます。

  • 組織ドライバー:人間関係、職場環境などの、企業と従業員との状態

  • 職務ドライバー:職務の満足度や難易度、当事者意識に関すること

  • 個人ドライバー:個人の資質が業務に及ぼす影響

「エンゲージメントドライバー指標を問う説明の例」についても確認してみましょう。

  • 仕事において自分の意見が考慮されているように思いますか?

  • 組織全体の戦略目標を理解していますか?

  • 直近の一週間で、良い仕事をしたと褒められたり、認められたりしましたか?

これらの設問からは、従業員自身が企業に対して貢献できていると感じているかどうかを測ることができるでしょう。

従業員エンゲージメントを高める要素

従業員エンゲージメントを測定した結果、想定よりも各指標の数値が低い場合もあるでしょう。このような場合には、従業員のモチベーションや企業の業績向上のために、適切な施策を講じる必要があります。

では、従業員エンゲージメントを高めるためには、どのような要素があるのでしょうか。
従業員エンゲージメントを高めるための3つの要素について確認してみましょう。

理解度

「理解度」とは、企業が定める方針や考え方を理解し、支持できるかどうかを指します。
企業にはそれぞれ、将来のビジョンや今後の事業成長を見据えた戦略があります。そのような企業の考え方と、従業員の方向性が一致しているかどうかが理解度であると言えます。

企業が今後どのような方針に基づき事業を運営し、その上で成長していこうとしているのかということは、従業員には伝わりづらいものです。理解度を高めるために、企業はまず確固とした理念に基づいた経営戦略を定める必要があります。

そして、その経営戦略や企業が目指す姿について従業員に十分に説明を行うことで、従業員の理解度が高まっていくでしょう。

また、掲げている企業理念が時代に合っているかどうかを見直したり、その理念を浸透させるために社内報を作成・配布することも有効です。

従業員エンゲージメントを企業におけるKPIとする際は特に、従業員エンゲージメント向上のための取り組みを充実させ、その取り組みの内容を従業員ひとりひとりに知ってもらうことが大切です。

共感度

「共感度」とは、従業員が自社や部署、同僚などの仲間に対して、どれほどの愛着や帰属意識を抱いているかを指します。共感度が高ければ高いほど、共に働く仲間や企業に対して貢献したいという気持ちが強いと言えるでしょう。

また、仲間と助け合いたい、コミュニケーションを取りたいという気持ちが強いことであるとも言えるため、社内の活性化に繋がると考えられます。

自社に対して共感でき、好きと思えるかどうかは、従業員エンゲージメントの結果に大きく影響するものです。

従業員エンゲージメントをKPIに設定する場合は、この共感度を高める施策に重点を置くと有効に働くでしょう。

行動意欲

「行動意欲」とは、求められている以上のことを企業のために自分からやろうと考える気持ちを指します。例えば、一生懸命に仕事をしても周囲がそれを見ておらず、正しく評価されていない状態では、企業の役に立ちたいという気持ちは育たないでしょう。

行動意欲を高めるためには、従業員ひとりひとりの成果を認め、適切な評価をすることが重要です。

具体的には、社内の評価制度を充実させたり、上司との1on1ミーティングなどの施策を行ったりすることが有効です。

成果を十分に認められた上で、自身が必要とされていると感じられることが行動意欲を高めることに繋がっていくでしょう。

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従業員エンゲージメントの測定を実施する際の注意点

従業員エンゲージメントを測定する際に、どのような点に注意して、従業員エンゲージメントの測定を実施すれば良いのでしょうか。

調査目的の説明、迅速な集計・分析、アンケートの頻度・設問数の3点に分けて説明します。

調査目的の説明

従業員エンゲージメントを測定する際は、その目的を従業員に対して十分に説明することが大切です。

従業員は多忙な業務時間を割いて従業員エンゲージメントの調査に回答することになります。何のために行われ、その結果が何に役立つのかが分からない調査に対しては、なかなか回答が集まらない場合もあるでしょう。

だからこそ、調査結果から企業が抱える課題を明らかにし、その改善施策を行うための調査であるということを十分に伝える必要があります。

また、アンケートの実施・分析後は、調査の結果や今後企業が改善に取り組もうとしている点を従業員に共有しましょう。

従業員エンゲージメント調査は、改善施策を実施しながら継続的に繰り返し行っていくことが重要です。今後の調査がスムーズに進み、十分な回答を得られるものになるためにも、従業員へのフィードバックを丁寧に行うことが大切です。

集計から分析までをすばやく行う

アンケートの結果が集まったら、その集計や分析は間を置かずにスピーディーに行いましょう。

従業員は日々多くの業務やプロジェクトに携わっているため、企業に対する思いもその時々で変わっていくものです。

だからこそ、従業員エンゲージメントの調査後は、その時点での従業員の思いを汲み取り、適切な改善施策を行うことが重要です。

また、継続的に従業員エンゲージメント調査を実施している場合は、その時々の調査結果と過去の調査結果とを比較しましょう。

調査結果の数値に著しい変化があった従業員に対して、面談などのフォローを実施することも有効です。

アンケートの頻度と設問数を適切に

従業員エンゲージメントの調査は、一回のみの実施では従業員に対して大きなインパクトを残しません。

実施する回数と時期をあらかじめ定めて定点観測し、その結果を人事での施策に落とし込んでいくことが重要です。

従業員エンゲージメントの調査は、従業員ひとりひとりの業務時間を割いて行うものです。
調査を定期的に行う以上、限られた業務時間の中で調査への負担が最低限に抑えられるよう、アンケートの頻度が多すぎないよう注意しましょう。

また、アンケートの設問数についても同様です。設問が多すぎて従業員の業務に支障をきたすことのないよう、回答に要する時間から逆算し、適切な設問数を設定するよう留意しましょう。

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「従業員エンゲージメントの測定」まとめ

従業員エンゲージメントは、従業員のモチベーションや生産性の向上に繋がるなど、企業の運営において重要なものです。

自社で実施する場合も、外部のサービスに委託する場合も、自社が目指すビジョンを見据えたアンケートの設計や設問の設定を行いましょう。

従業員エンゲージメントそのものをKPIとする場合も、他に重視したいKPIを設定する場合も、従業員エンゲージメントの調査結果を活かし、各KPIを高めていける改善施策を策定・実行していくことが大切です。

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株式会社HRBrain 吉田 達揮
吉田 達揮
  • 株式会社HRBrain 執行役員

  • ビジネス統括本部 本部長

  • 人的資本TIMES編集長

新卒で東証プライム 総合人材サービス企業に入社。2020年HRBrainに入社。
人事制度コンサルティング部門の立ち上げから大手企業向けのクラウド営業に従事。
また社内タレントマネジメントのユニットの立ち上げと運営を担当。
以後、事業企画にてゼネラルマネージャーとして全社戦略の策定・推進を担当。
その後、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供しているEX事業本部を管掌。
2022年4月に執行役員へ就任。2023年4月よりビジネス統括本部の本部長として全体を統括。「人的資本TIMES」の編集長も兼務。

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