#人材管理
2024/09/05

ハーズバーグの二要因理論とは?衛生要因と動機付け要因やマネジメントでの活用事例をわかりやすく解説

目次

ハーズバーグの二要因理論では、人間の仕事での満足度は、特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるのではなく、満足と不満足に関わる要因は別であり、「衛生要因」と「動機付け要因」の2つで成り立つとされています。

仕事への満足度を構成する二要因理論について、管理者がしっかりと理解しマネジメントを行うことは、従業員満足度の向上や離職防止につながる効果があります。

この記事では、ハーズバーグの二要因理論の衛生要因と動機付け要因や、ハーズバーグの二要因理論の具体例、ハーズバーグの二要因理論を組織やマネジメントで活かす方法について、わかりやすく解説します。

二要因理論を活用したマネジメントの実施をサポート

ハーズバーグの二要因理論とは

ハーズバーグの二要因理論とは、アメリカの臨床心理学者である、フレデリック・ハーズバーグ氏によって提唱された、満足と不満足を引き起こす要因についての理論です。

ハーズバーグの二要因理論では、人間の仕事での満足度は、特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるのではなく、満足と不満足に関わる要因は別であり、「衛生要因」と「動機付け要因」の2つで成り立つとされています。

ハーズバーグの二要因理論のハーズバーグとは

ハーズバーグの二要因理論を提唱した、フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg)氏は、1923年生まれのアメリカのウィスコンシン州出身の臨床心理学者です。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学で心理学の教授を、ユタ大学で経営学の教授を歴任しました。

ハーズバーグ氏は、「モチベーションの性質」と「人をやる気にさせる効果的な方法」について研究し、彼の思想は現代にも影響を与えています。

産業化が進んだ19世紀は、「生産性」を上げることに関心が寄せられていました。

ハーズバーグ氏は、個人の生産効率を最大化するためには、仕事に対するモチベーションが関係していると考え、興味を持ったことが研究の始まりと言われています。

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ハーズバーグの二要因理論の衛生要因

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因とは、「不満足要因」とも呼ばれ、「整備されていないと従業員が不満に感じる」ものでありながら、「たとえ整備されても満足につながるとは限らない」もののことで、「単に不満を予防するだけの要素」を指します。

具体的な衛生要因には、「給与」「福利厚生」「経営理念や経営方針」「同僚との関係」「上司との関係」の5つがあげられます。

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因

  1. 給与
  2. 福利厚生
  3. 経営理念と経営方針
  4. 同僚との関係
  5. 上司との関係

また衛生要因を、アメリカの心理学者である、アブラハム・マズロー氏が唱えた「マズローの欲求段階説」に置き換えると、「生理的欲求」「安全・安定欲求」「社会的欲求の一部」を満たす要素になります。

給与

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因の1つ目は、「給与」です。

給与は、業務内容に見合ったものでなければいけません。

仮に、責任と権限が大きいのに給与が低いと、従業員のモチベーションは下がってしまいます。

しかし、「黒字化させるために人件費をおさえたい」「内部留保を増やしていかないと経営が不安」「年功序列の文化から抜け出せていないために中堅や若手の給与を上げられない」などが原因で、従業員の給与を押さえなくてはならない企業があるのも事実です。

会社への貢献に対して見合うだけの給与がもらえないことは、衛生要因を解消できない要因のひとつとしてあげられます。

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福利厚生

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因の2つ目は、「福利厚生」です。

企業は、従業員が「働きたい」と思う職場環境でなければいけません。

従業員が働きたいと思う職場環境の指標の1つが福利厚生の充実です。

サービス残業や休日出勤が当たり前だったり、有給休暇が取りづらい職場環境では、従業員は「働かされている」と感じてしまい、モチベーションが低下してしまいます。従業員満足度を上げ従業員のモチベーションを高めるために、「有給休暇取得の奨励」「資格取得の支援」「各種サービスの割引」「社員食堂の充実」など、福利厚生を充実させる取り組みをしている企業も増えています。

衛生要因を解消させる方法として、福利厚生の充実は企業にとって優先事項と言えます。

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経営理念と経営方針

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因の3つ目は、「経営理念と経営方針」です。

経営者が掲げる「経営理念」や「経営方針」が分かりにくければ、従業員は仕事の目的や意味が見い出せなくなってしまい、モチベーションが低下してしまいます。

経営理念や経営方針を従業員に浸透させるためには、「従業員が理念を自分ごと化できている」「経営理念の意図がチーム内で言語化できている」「従業員の定着率が高く長期にわたって活躍している人が多い」という点に着目する必要があります。

経営理念や経営方針が曖昧な企業は、従業員に対して働く意義や目的を明確にできず、優秀な人材の流出につながってしまいます。

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同僚との関係

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因の4つ目は、「同僚との関係」です。

組織で仕事する以上、お互いの足りない部分を補完し尊重し合うような関係づくりが欠かせません。

同僚との関係が円滑でないと、「自分ばかり損している」「周囲は理解してくれない」などの不満を抱いてしまい、モチベーションが低下してしまいます。

職場で同僚との関係を円滑にするためには、「相手のプライベートの深い部分に踏み込むようなことはなるべく避ける」「悩みを1人で抱え込まず周囲に相談する」など、配慮するようにしましょう。

同僚との関係にストレスを感じない職場にすることは、衛生要因の除外に大きな役割を果たします。

上司との関係

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因の5つ目は、「上司との関係」です。

自分を評価する立場の上司との関係が悪ければ、仕事はますますやりにくくなってしまい、モチベーションが低下してしまいます。

上司は個人的感情で、部下を評価したり、指導したりせず、あくまで会社のビジョン実現に向かうための評価や指導を行うようにしましょう。

また、上司と部下との間でお互いに尊重し合う気持ちを持つようにしましょう。

上司との関係を改善することは、「仕事がスムーズに進み結果として自分の評価が高まる」「上司との信頼関係が深まりキャリア形成するうえで上司との関係性を生かせるようになる」「仕事のスキルを磨きつつ仕事の幅が広がる」などの効果を生み出します。

従業員にとって自分を評価する権限を持つ上司との関係改善は、衛生要因を取り除くための大切なポイントになります。

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ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因とは、「促進要因」と呼ばれ、「ないからと言ってすぐに不満が出るものではない」ものでありながら、「あればあるほど仕事のモチベーションが高まるもの」で、「仕事の満足度に関わる要素」を指します。

具体的な動機付け要因には、「達成すること」「承認されること」「仕事そのものへの興味」「責任と権限」「昇進や成長」の5つがあげられます。

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因

  1. 達成すること
  2. 承認されること
  3. 仕事そのものへの興味
  4. 責任と権限
  5. 昇進や成長

また、動機付け要因を「マズローの欲求段階説」に置き換えると、「自己実現欲求」「尊厳欲求」「社会的欲求の一部」を満たす要素になります。

達成すること

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因の1つ目は、「達成すること」です。

達成感を得ると、従業員のモチベーション向上につながります。

達成感を得るためには、目標設定が必要になりますが、目標設定で大切なのが従業員の目標と会社の目標とがリンクし、従業員が共感できるものにすることです。

ノルマのように会社から一方的に与えられた目標では、従業員のモチベーションは高まりません。

適切な目標設定をするためには、「可能な限り目標を定量化する」「努力すれば達成可能なものにする」「チームに貢献する実感が持てる目標にする」「目標達成の期限を明確にする」という点に注意しましょう。

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承認されること

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因の2つ目は、「承認されること」です。

人は誰しも、他人から承認されたい欲求を持ち合わせています。

マズローの5段階欲求説の4番目に位置する「承認欲求」は、「自分は組織にとって必要な存在であり尊敬され優秀だと認められたい欲求」のことです。

また承認されることは、「モチベーションが高まる」「成果が出やすくなる」「自己肯定感が高まる」というメリットがあります。

企業が従業員を承認する手段としては、昇進や昇給、ボーナスなどが効果的です。

しかし、承認欲求には、デメリットもあります。

承認欲求には、自分で自分を認める「自己承認欲求」と、他人から認められたいと思う「他者承認欲求」に分類されます。

他者承認欲求が強すぎると、「誰も自分を評価してくれない」「認めてくれない」と感じ、仕事へのモチベーションが著しく低下してしまいます。

また、人から嫌われたくないと思うあまり、他人から言われたことを断れなくなってしまうケースがあるので、注意が必要です。

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仕事そのものへの興味

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因の3つ目は、「仕事そのものへの興味」です。

そもそも、仕事への興味が無ければモチベーションが高まることもありません。

反対に、仕事に興味があれば、上司から指示されなくても自発的に学んだり、業務の改善をして、自然に成長するはずです。

しかし、従業員によってはどうしても仕事に興味を持てない場合もあるでしょう。

仕事に興味を持てない場合、「自己分析をして自分の業務適性を見極める」「第三者の意見を聞き気づきを得る」「小さなことでも目標設定をして仕事にやりがいを見付ける」「向き不向きを考える前にまずは仕事に取り組んでみる」ということを心掛けることで、少しでも仕事に興味が持てるようになるかもしれません。

また、管理者が部下に仕事への興味を持てるように促すためには、部下の仕事が会社の目標達成において「どんな役割」を担って、「どのように影響するのか」を理解してもらうことが大切です。

どんな仕事でも「意味のあること」と部下が考えられるようになることで、自然と仕事に興味が持てるようになるはずです。

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責任と権限

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因の4つ目は、「責任と権限」です。

責任とは、何か(誰か)を扱ったり、注意を払ったりする義務で、後に起こる、もしくは既に起きた結果に対処する任務や義務のことです。

権限とは、何かする際に有する力や権利のことです。

つまり、責任とは「やらなければいけないこと」、権限とは「与えられた権利に基づいてやっても良い、もしくは、やることが許されていること」と置きかえられます。

動機付け要因での責任と権限が増えると、プレッシャーを感じる反面、何よりも仕事へのやりがいが高まります。

エンパワーメントをして、部下に責任と権限を与えることで、「1つの仕事に対しての意思決定スピードが上がりライバル企業への競争力が高まる」「ワンランク上の仕事をすることで部下の成長速度が高まる」「失敗も含め責任を負うため次回に向けての改善を自ら考えるようになる」というメリットがあります。

部下に責任と権限を与えることは、部下の仕事に対するモチベーションを高める要素となります。

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昇進や成長

ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因の5つ目は、「昇進や成長」です。

仕事で成長を実感することは、最もモチベーションの向上につながるでしょう。

特に、仕事の報酬は「お金」ではなく「自分の成長」と考える従業員にとっては、最重要項目になります。

さらに、従業員に成長を実感させる仕組みとして、「昇進や昇給制度」「表彰制度」「資格取得制度」を効果的に実施する企業が増えています。

従業員が成長を実感できる環境づくりは、「この会社で長く働きたい」と思わせ、動機付け要因を高める役割を担うでしょう。

ハーズバーグの二要因理論とマズローの欲求段階説の比較

ハーズバーグの二要因理論とマズローの欲求段階説の比較

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因と動機付け要因との関係性

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因と動機付け要因は、それぞれ別に存在し、相反するのではなくお互い足りない部分を補完し合う関係です。

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因と動機付け要因との関係性

ハーズバーグの二要因理論の衛生要因と動機付け要因との関係性

例えば、動機付け要因を構成する「承認」や「達成」が満たされていても、給料が低かったり労働環境が劣悪だった場合、従業員は「給料を上げ働く環境を整備して欲しい」と思うはずです。

従業員の衛生要因が満たされていない状態で、動機付け要因だけを満たしても、モチベーション向上への効果は表れません。

 また、「福利厚生」や「給与」などについて従業員が満足するように改善をしても、水準は高まるばかりで、終わりが無いでしょう。

さらに、仕事に対してやりがいが見い出せなければ、「このまま今の仕事を続けていても大丈夫だろうか?」と不安に思い、いくら給料が高くてもモチベーションは上がりません。

従業員満足度を高めるには、衛生要因と動機付け要因の両方へ適切にアプローチすることが重要です。

従業員が抱える不満や不安を解消しつつ、意欲を引き出すための仕組みづくりが必要です。

従業員満足度の調査の実施方法

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ハーズバーグの二要因理論を組織に活かす方法

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かすために必要な施策について確認してみましょう。

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かす方法

  1. モチベーションマネジメントを実施する
  2. 二要因理論を可視化する

モチベーションマネジメントを実施する

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かす方法の1つ目は、「モチベーションマネジメントを実施する」ことです。

モチベーションマネジメントとは、従業員が高いモチベーションを保ちながら仕事に取り組めるようにする、企業の施策や管理のことです。

人手不足が顕著な現代のビジネスの現場では、新たな人材採用も大切ですが、人材の採用には、それなりのコストと時間が必要になるため、会社の資源である人材の流出防止は、より重要だと言えます。

また、従業員のモチベーションが高まることで、サービスの質や生産性が向上し、結果として企業の業績の向上が見込め、従業員満足も高まり離職率も低下するでしょう。

適切なモチベーションマネジメントをするためには、従業員ひとりひとりの価値観を理解しなければいけません。

従業員を尊重し、コミュニケーションを図りながら、何に重きを置いているかを把握します。

個々が大切にしている価値観に沿って適切に関わることで、それぞれが能力を発揮できる職場となり、従業員の定着化につながるはずです。

▼「モチベーションマネジメント」についてさらに詳しく
モチベーションマネジメントとは?モチベーションを上げる方法や施策を解説

二要因理論を可視化する

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かす方法の2つ目は、「二要因理論を可視化する」ことです。

衛生要因や動機付け要因は、業種や企業によってさまざまです。

モチベーションマネジメントを遂行するために、自社の二要因理論を明確にするようにしましょう。

一般的にはミーティングの機会をもうけて、自社の衛生要因と動機付け要因を確認します。

衛生要因を可視化するためには、「作業スペースが散らかっている」「残業が当たり前の状態」などの、組織の「モチベーション低下」につながる具体例を洗い出し、従業員や管理者は、洗い出した項目に該当しないように意識するようにします。

動機付け要因を可視化するためには、衛生要因とは反対に、「お客様から感謝される」「新しい資格を取得する」などの、組織の「モチベーション向上」につながる具体例を洗い出します。

自社の動機付け要因を具体的にすることで、特に管理者は部下に対して、動機付け要因につながる言動を取るようになります。

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例

ハーズバーグの二要因理論を活かした、7つのマネジメント事例について確認してみましょう。

人事評価制度を見直す

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の1つ目は、「人事評価制度を見直す」ことです。

働く環境を改善して衛生要因を改善しても、評価に対して納得できなければ、動機付け要因が満たされることはありません。

評価制度の見直しは、企業側にとっても「従業員のモチベーション向上」「従業員との信頼関係が生まれる」「従業員のスキル再発見につながる」などのメリットがあります。

また、厚生労働省は2020年に「職業能力評価基準」を公開しました。

能力評価基準とは、仕事に必要な知識や技術、機能に加え、成果につながる職務行動例を業種別、職種別、職務別に整理したものです。

評価基準を見直す際は、職業能力評価基準から、各業種の職業能力評価基準を参考にしてみるのも良いかもしれません。

(参考)厚生労働省「職業能力評価基準

▼「人事評価」についてさらに詳しく
人事評価とは?解決すべき9つの課題と人事評価制度のメリット5つを紹介

人事評価制度の設計や見直しに

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会社の方針に対して目線を合わせる

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の2つ目は、「会社の方針に対して目線を合わせる」ことです。

企業規模が大きくなるほど、従業員が経営トップから「方針」について直接聞く機会は少なくなってしまいます。

しかし企業規模に関わらず、経営者が従業員に対して、ビジョンや方針について直接語ることは大切です。

経営者の生の声を直接聞くことで、従業員は方針に沿って自分がやるべきことが明確になり、目標達成を意識するようになるからです。

「目線を合わせる」とは、従業員ひとりひとりが同じ方向を向いていることです。

目線がずれてしまうと、「指示待ち人間」が増えたり、誤った解釈でトラブルが増えたりしてしまい、会社の雰囲気にも影響が出てしまうでしょう。

従業員の目線を合わせるためには、「4つの理念」が必要になります。

従業員の目線を合わせる「4つの理念」

  1. 経営理念(自社は何のために存在するか)
  2. 基本方針(経営理念実現に向かっていく時の考え方や姿勢)
  3. 行動理念(経営理念実現のために社員に求める行動や考え方)
  4. 人事理念(人材に対する基本的な考え方)

4つの理念は、作成するだけでなく実践し浸透させることが、従業員の目線を合わせるために必須になります。

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従業員を賞賛する制度を取り入れる

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の3つ目は、「従業員を賞賛する制度を取り入れる」ことです。

表彰制度を導入する場合は、金銭的な報酬以外での賞賛が望ましいです。

金銭的報酬についての受け止め方は、従業員によってさまざまで、全ての従業員の動機付け要因を満たすことはできません。

例えば、臨時ボーナスをもらったとしても、仕事にやりがいを見いだせない従業員は、その後もモチベーションが高まることはないでしょう。

金銭的報酬以外での賞賛は、「表彰制度」や「休暇制度」があげられます。

社内表彰制度では、「社長賞」や「年間MVP(年度を通して最も活躍した従業員)」

「新人賞(入社初年度に最も活躍した従業員)」「サンクスカード(感謝の気持ちを従業員間でカードに記入して贈り合う)」などがあげられます。

従業員を賞賛する機会を多く設けることで、働くモチベーションが高まることにつながるでしょう。

人間関係の改善につとめる

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の4つ目は、「人間関係の改善につとめる」ことです。

人間関係は企業にとっても難しい問題で、働く人のモチベーションに大きく影響するものです。

人間関係のトラブルは、「コミュニケーション不足」や「コミュニケーションエラー」から生じることが少なくないため、お互いが「話し合える場づくり」や「風通しの良い職場環境」が必要です。

人間関係の改善の施策として、「従業員へのアンケート」「社内イベントの企画」「1on1ミーティング」「メンター制度」「チャットツールなどの社内コミュニケーションツールの活用」「ジョブローテーション」「休憩スペースでの休憩の奨励」などを導入すると良いでしょう。

一度に全てを取り入れるのは難しいですが、必要なものから自社に導入してみましょう。

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▼「ジョブローテーション」についてさらに詳しく
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コミュニケーションを活性化指せる「1on1」実施方法

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ワークライフバランスを推進する

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の5つ目は、「ワークライフバランスを推進する」ことです。

従業員のプライベートな時間を充実させることは、「長時間労働」や「休日出勤」など、衛生要因の不満部分を除外するのに有効です。

1人で多くの仕事を抱え、ワークとライフのバランスが崩れてしまうと、心身に影響して離職につながってしまうケースも少なくありません。

従業員の離職は人材流出だけでなく、他の従業員の負担の増加にもつながってしまい、企業の生産性は低下し、業績が後退することもあるでしょう。

従業員それぞれのライフスタイルを尊重し、「フレックスタイム」や「テレワーク」を導入する企業も増えています。

従業員の柔軟な働き方の導入は、衛生要因を取り除く大きなポイントとなるはずです。

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再チャレンジの機会をもうける

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の6つ目は、「再チャレンジの機会をもうける」ことです。

1度の失敗でチャンスが再び訪れないような職場では、チャレンジをしようとする従業員が出てこず、イノベーションも起こりません。

再チャレンジできる職場環境にするためには、「失敗時のフォロー体制の構築」「チャレンジの失敗を許す企業風土」が必要になります。

「失敗しても大丈夫だ」と従業員の「心理的安全性」が守られている組織は、動機付け要因をマネジメントに活かす要素として大切です。

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人材育成に注力する

ハーズバーグの二要因理論を組織に活かしたマネジメント事例の7つ目は、「人材育成に注力する」ことです。

特に管理者に対して、部下を適切にマネジメントするための研修は、管理職の動機付け要因を満たすのに有効です。

管理者自身が新たな気付きを得たり、自分の役割や目的を再確認したりする機会につながるからです。

管理者に対する研修では、「具体的な行動レベルにまで落とし込んで理解する(研修後具体的に実行できるようにする)」「研修時期は配属後数か月経過してからにする(課題が明確になってから研修を受ける)」というポイントに注意しするようにしましょう。

人材育成への注力は、管理者自身の動機付け要因を満たして、組織を活性化させるはずです。

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ハーズバーグの二要因理論は従業員ひとりひとりの特徴を理解することから

ハーズバーグの二要因理論では、人間の仕事での満足度は、特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるのではなく、満足と不満足に関わる要因は別であり、「衛生要因」と「動機付け要因」の2つで成り立つとされています。

ハーズバーグの二要因理論をマネジメントの現場で活かすためには、従業員それぞれの特徴を理解することが大切です。

そのうえで、衛生要因と動機付け要因それぞれに適切にアプローチすると有効でしょう。

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HR大学編集部
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