#人材管理
2024/08/07

マネジメントサイクルとは?6種類のサイクルの特徴とポイント、例を解説!

目次

マネジメントサイクルとは、企業が目標達成に向けて活用できるツールです。

マネジメントサイクルには、「PDCA」「PDS」など、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。

今回は、マネジメントサイクルの意味や上手く使うためのポイントと具体例を解説します。

目標管理の手法について

マネジメントサイクルとは?

マネジメントサイクルとは?

まずはじめにマネジメントサイクルとは何か、について解説します。

マネジメントサイクルとは 

マネジメントサイクルとは、企業・組織が目的達成に向けて、業務を効率的に進めるためのシステムです。
代表的なマネジメントサイクルにPDCAサイクルがあります。目標達成に向けて、計画を立て、実行し、改善する、というような一連の流れがマネジメントサイクルであり、この流れを継続して行うことで、目標に向けて前進していきます。
これは組織のパフォ-マンスを最大化する、組織マネジメントの1つと言えます。組織マネジメントについて詳しく知りたい人は「組織マネジメントとは?知るべき種類や必須フレームワークの解説」をご覧ください。

マネジメントサイクルの歴史

PDCAやPDSなど、様々な種類があるマネジメントサイクルの起源は100年前のアメリカと言われています。
この時期アメリカでは、全土に鉄道ネットワークが開通し、鉄道会社間で激しい競争が行われていました。そのさなか、鉄道労働者の賃金が10%削減されたことをきっかけに、労働組合が立ち上がり、大規模ストライキが発生しました。ストライキによる業務進行の遅れ等に対応するため、解決策として能力給制度が採用されるなど、様々な施策や改善がなされていきました。
この一連の流れが、マネジメントサイクルの起源です。これによって、鉄道建設の生産性が向上したとされ、他の企業経営に用いられるようになります。そして、様々なサイクルへと発展したと言われています。

マネジメントサイクルの重要性

マネジメントサイクルは、市場環境の激しい状況だからこそ必要とされているシステムです。企業の置かれている環境が目まぐるしく変わっていく中、改善をせずこれまでと同じように業務を進めていては、成長どころか衰退する可能性が高まります。
日々変化する市場で成長を続けるためには、

・これまでの計画の振り返り
・計画の改善
・改善策の実行
・実行した施策の評価

などのサイクルを、如何にスピーディーに回せるかが非常に重要なのです。

代表的な6種類のマネジメントサイクル

6種類のマネジメントサイクル

マネジメントサイクルには代表的なPDCAサイクルを始め、様々なサイクルがあります。ここでは6個のマネジメントサイクルを解説します。

PDCA

1つ目が「PDCAサイクル」です。もっとも有名なマネジメントサイクルでしょう。

・Plan(計画):具体的な計画を策定する
・Do(実行):計画を実行する
・Check(評価):実行した結果を評価する
・Action(改善):評価を基にした次回策に向けた改善を行う

という4つの工程を1サイクルとするマネジメントサイクルです。最後のActionを次のPlanにつなげ、サイクルが1周するごとに計画の質を向上させ、最終的な目標達成を目指します。

▼「PDCAサイクル」についてさらに詳しく
PDCAサイクルとは?基本のやり方と時代遅れと言われる理由を解説

OODA

2つ目が「OODAループ」です。

・Observe(観察):現状を客観的に観察する
・Orient(方向づけ):観察結果をもとに方向づけを行う
・Decide(意思決定):どのような行動をするのか意思決定する
・Act(行動):意思決定した内容を行動に移す

サイクルではなく、ループと言われています。アメリカ空軍の戦術家、ジョン・ボイドが開発したビジネスサイクルです。OODAの特徴は「計画」の段階がない事です。「観察」に重きが置かれていることから、現場における臨機応変な対応に用いることに向いています。

CAPD

3つ目が「CAPDサイクル」です。

・Check(評価):現状を把握、評価する
・Action(改善):現状の評価をもとに改善案を立案する
・Plan(計画):改善案をもとに計画を立てる
・Do(実行):計画を実行する

の4工程からなるマネジメントサイクルです。PDCAサイクルの順番を入れ替えたサイクルになっています。PDCAサイクルと異なり、最初に計画を立てるのではなく、現状の評価からはじまるため、より導入しやすいのが特徴です。

PDR

4つ目が「PDRサイクル」です。

・Preparation(準備):何をするか、その目的や理由を考える
・Do(実行):目的に向かって実行する
・Review(見直し):実行して得られた結果を見直し、分析する

という3つの工程からなるサイクルです。ハーバードビジネススクールの教授リンダ・ヒルが提唱した考え方で、計画せず準備をしたら実行に移すことから、PDCAに比べ1回のスパンが短いことが特徴です。

PDS

5つ目が「PDSサイクル」です。

・Plan(計画):目標に向けて計画を立てる
・Do(実行):計画を実行する
・See(評価・見直し):実行結果を検証する

の3つの工程から成ります。PDCAのうち、CheckとActionがSeeに集約されており、より短期的な目標や小規模業務に適しています。

STPD

6つ目が「STPDサイクル」です。

・See(現状把握):現状を把握する
・Think(分析):現状を分析する
・Plan(計画):分析をもとに計画する
・Do(実行):計画を実行する

という4つの工程から成ります。PDCAに比べ、計画までに現状把握と分析の工程があることが特徴です。より緻密な計画を立てる必要がある業務に適しています。

マネジメントサイクルの課題とポイント

マネジメントサイクルの課題とポイント

マネジメントサイクルをうまく活用し、運用していく上でどのようなポイントが課題となるのでしょうか。その課題と対策を併せて解説します。

マネジメントサイクルの課題

マネジメントサイクルの課題は、各サイクルによって異なるため、ここではもっとも代表的であるPDCAサイクルを例にとって解説します。
前述のとおり、PDCAサイクルはPlan・Do・Check・Actionの4つの工程から成ります。PDCAサイクルがうまく回らないという課題は、どこかの工程で問題が起きているためです。工程ごとに起きうる問題を紹介します。

・Plan(計画)における問題
Planにおいては、

・計画が現実的ではない
・計画を立てる前提となる仮説が正しくない

といった問題が考えられます。

・Do(実行)における問題
Doにおいては、

・具体的な行動策がない
・実行担当者のマネジメントができていない

などの問題が発生する可能性があります。

・Check(評価)における問題
Checkにおいては、「評価基準があいまい」といった問題があるでしょう。
明確な評価基準がなく、

・担当者によって評価が変わる
・正しく評価できない

といった問題が起き、次のActionで正しい判断ができなくなります。

・Action(改善)における問題
Actionにおいては、PDCで起きた問題の結果、「正しい改善策を立てることができない」という問題が考えられます。
また、改善策が見出せない結果、次のPlan(計画)に移ることができずPDCAサイクルが回らなくなる事も考えられます。

うまくサイクルを回すためのポイント

先ほど紹介したPDCAサイクルの問題を解決するためのポイントを解説します。

・目標を明確にする
まずは、何のためにPDCAサイクルを回すのか、目標を明確にしましょう。目標が明確でないと計画も曖昧なものになりかねません。

・具体的かつ定量的に進める
次に、計画や評価基準を具体的かつ定量的に決めていきましょう。曖昧なままだと、実行中に迷いが生じたり、方向がぶれたりする可能性があります。
また、評価基準が客観的なものでないと、担当者によって評価が変わってしまい正しい評価ができなくなります。

・経過を記録する
次に、計画から改善まで、PDCAの経過を記録していきましょう。記録した経過が正しい評価を可能にし、有効な改善策を立てることにつながります。

・上手くいかなかった原因を探る
最後に、もしPDCAサイクルが上手くいかなかった場合、その原因が何だったのか探りましょう。原因を特定することで、次のPDCAサイクルの改善につながります。

マネジメントサイクルの具体例と企業事例

マネジメントサイクルの具体例と企業事例

実際に企業においてどのようにマネジメントサイクルを用いているのでしょうか。マネジメントサイクルが活用できる場面の具体例と実際の企業事例を紹介します。

マネジメントサイクルを用いる場面の具体例

マネジメントサイクルはあらゆる場で活用することができます。例えば、

・営業目標を達成したい
・WEBサイトのPV数を増やし、WEBサイト経由の受注を増やしたい
・新卒採用応募者数を増やし、目標の人材を採用したい

というように、職種や業種を問わずマネジメントサイクルを用いることが可能です。

企業事例1:株式会社良品計画

無印良品を経営する株式会社良品計画は、2001年に競合他社の出現等により30億円以上の巨額の赤字になりました。そのタイミングで社長に就任した松井忠三は、立て直しのためにPDCAサイクルを導入します。
PDCAサイクルを用いて、

・紙の削減
・会議時間の短縮
・店舗運営マニュアルの作成
・マニュアルを定期更新する仕組みの構築

等を行い、業績回復を果たしました。

企業事例2:トヨタ自動車株式会社

「カイゼン」で有名なトヨタ自動車株式会社は、マネジメントサイクルを有効活用している会社です。トヨタのPDCAにはAの続きとしてF(Follow)があります。Feedbackとも解釈されるFがあることによって、PDCAの精度が上がり高い成果を継続できるとしています。具体的な取り組みとして、

・PDCAを行う意味に関心を持ち続ける
・PDCAについて議論する
・PDCAの成果が出た時ほどその先を意識する

が挙げられます。PDCAサイクルを客観的な立場から振り返ることによって、サイクルを回す目的を見失わず、成果に向けて行動をし続けることができます。

マネジメントサイクルで「目標達成」や「人材育成」を実現する方法

目標達成に向けた取組みであるマネジメントサイクルは使いこなすことで、効率よく目標に向けて進むことができ、「目標達成」へと向かうことができます。

また、マネジメントサイクルは、業務進行だけでなく、人材育成にも使える考え方です。

マネジメントサイクルで「目標達成」や「人材育成」を実現する方法について確認してみましょう。

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HR大学編集部
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