組織診断とは?目的や種類と組織改革のための具体的な手法を解説
- 組織診断とは
- 組織診断が求められる背景
- 人材の流動性
- データの重視傾向
- 働き方の変化
- 組織診断の目的
- 組織診断の種類
- 従業員満足度調査
- エンゲージメントサーベイ(エンゲージメント調査)
- ストレスチェック
- 組織診断の頻度
- センサス
- パルス
- 組織診断のサービスタイプ
- パッケージ型
- オーダーメイド型
- 組織診断での注意点
- 企業全体の理解を得る
- 企業の望ましい状態を決める
- フィードバックを行う
- 組織診断の結果から組織改革が必要な場合
- 組織の問題解決に必要なフレームワーク「7S」とは
- 7Sの種類
- 7Sの注意点
- 組織診断の成功のカギは目的と企業のあるべき姿を明確にすること
組織診断とは、組織の状態を測定することで、組織の問題点や課題を解決するために、従業員のモチベーションやエンゲージメントなどの、組織状況を把握するために実施されます。
また組織診断は、企業の状態や問題点を浮き彫りにし、組織を望ましい状態へとマネジメントするために行われます。
組織診断には、従業員満足度調査やストレスチェックなど、さまざま種類がありますが、企業の状態を把握し、実施の目的を明確にしたうえで自社に適切な調査方法を選定し、調査を行い、調査結果と自社の目指す姿とのギャップを把握し、ギャップを埋めるための施策を行うことが大切です。
この記事では、組織診断が求められる背景、組織診断の目的、組織診断サーベイツールの種類、組織診断の頻度やサービスタイプ、組織診断での注意点について解説します。
組織診断サーベイで組織の課題を可視化
組織診断とは
組織診断とは、企業内の従業員を対象とした調査のことで、「組織サーベイ」とも呼ばれます。
組織サーベイの「サーベイ(Survey)」は、日本語で「調査」や「測定」と訳します。
組織サーベイは、組織の状態を測定するためのツールで、組織の問題点や課題を解決するために、従業員のモチベーションやエンゲージメントなどの、組織状況を把握するために実施されます。
一般的に組織診断は、全従業員を対象としたアンケート調査の形式をとり、企業のあるべき姿と現状とのギャップを測定するために実施します。
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組織診断が求められる背景
組織診断は企業の状態や問題点を浮き彫りにし、組織を望ましい状態へとマネジメントするために行われます。
組織診断を行う企業が増加している背景について確認してみましょう。
組織診断が求められる背景
人材の流動性
データの重視傾向
働き方の変化
人材の流動性
組織診断が求められる背景として、「人材の流動性」があげられます。
労働市場では人材の流動性が高まっているため、企業は優秀な人材の流出を防ぐために、従業員のエンゲージメントを向上させ、企業に愛着を持って仕事を続けてもらえるような対策を実施することが必要になっています。
従業員に対して、適切な対策を実施するためにも、組織診断を実施し、企業が抱える問題点を具体的に把握する必要があります。
データの重視傾向
組織診断が求められる背景として、「データの重視傾向」があげられます。
従来は、人材や組織の状態に問題がないかを判断する際、経験や雰囲気、そして勘に頼っていた場面があったかもしれません。
個人の主観や経験での判断が適切である場合もありますが、データが重視される今、組織の状態を定量的に分析し、問題点を具体的に把握することが求められています。
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働き方の変化
組織診断が求められる背景として、「働き方の変化」があげられます。
働き方改革やリモートワークの浸透、ワークライフバランスの推進など、働く環境が著しく変化し、従来の組織の働きでは企業の目的を達成できなくなる可能性があるため、組織診断を通して組織の課題を把握する必要があります。
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組織診断の目的
組織診断の目的は企業の状態を「可視化」することです。
組織診断を行うにあたって、可視化した課題や問題点をどのように扱って行くのかを、定めておくことが大切です。
例えば、企業が「総合的に人事面での問題を把握しておきたい」場合は、情報を幅広く取得する必要があります。
一方で、「新しい人事制度を導入した際に、どのような変化があるかなどを仮説検証したい」場合には、細かな検証が必要になるため、情報を絞って取得する必要があります。
また、組織診断の目的は企業の状況や問題を可視化することですが、具体的には、「経営者や人事が意思決定の材料とする」「組織診断を行い、組織を変革するための材料とする」「特定の課題についてより理解できるようにする」というような目的があげられます。
組織診断の目的を明確にすることで、組織診断後のイメージも付きやすくなります。
組織診断の種類
組織診断にはどのような種類があるのか、主な3つの組織診断について確認してみましょう。
従業員満足度調査
従業員の満足度調査とは、従来行われている組織診断の手法で、主に、従業員が会社で働く際に何が不足しているかを調査します。
例えば、「働くためにこれがあると嬉しい」または「これが無いと困る」と思うような、福利厚生、給与、休日、制度などです。
従業員満足度の調査を実施し、従業員の働く環境を整備することで、従業員満足度は上昇します。
ですが、生産性は必ずしも上がるわけではありません。
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エンゲージメントサーベイ(エンゲージメント調査)
エンゲージメントサーベイとは、従業員がいかに企業に対して愛着を持っているかの調査を指します。
主に、組織風土、上司のマネジメントなどを主軸に調査をします。
エンゲージメントサーベイでは、率直な意見を求めたほうが課題が明確になるため、言いにくい意見を率直に回収するために、匿名での調査を実施し個人の特定は避けたほうが良いでしょう。
個人の問題点は課題として見つけにくいですが、生産性の向上に寄与する課題を発見することができます。
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ストレスチェック
ストレスチェックとは、従業員の心理的な負担を把握するアンケートです。
常時50名以上の従業員を有する事業所では年1回、ストレスチェックを実施することが、厚生労働省による「労働安全衛生法」によって義務化されています。
昨今、精神障害による労災請求が増えています。
ストレスチェックはメンタル不調の予防を主な目的としますが、従業員が感じている働きにくさやストレスを把握することができます。
しかし、従業員の主観が調査対象になるため、具体的に改善の対策が組織の成果につながるかを明確にしにくい可能性があります。
(参考)厚生労働省「ストレスチェック導入マニュアル」
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組織診断の頻度
組織診断の調査頻度には、大きく分けて2つの頻度があります。
センサス
センサス(census)調査とは、周期的に行う調査を指します。
約半年から1年の期間で調査することが多く、調査の設問は50問以上で組織の課題を明確にすることが可能です。
パルス
パルス(Pulse)調査とは、短期間に行う調査を指します。
約1週間から1ヶ月程度の比較的短いスパンで行うため、設問があまりに多すぎると従業員の負担になるため、10問程度の設問にとどめると良いでしょう。
タイムリーに問題が起きている際など、変化がある時の調査に向いています。
課題の把握はセンサス調査で行い、課題の修正でパルス調査を実行すると良い結果が得られます。
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組織診断のサービスタイプ
どのような組織診断を行うか、また組織診断の頻度を定めたら、サービスを選定しましょう。
組織診断のサービスは、大きく分けて2つに分けられます。
パッケージ型
パッケージ型とは、従業員への設問が事前に作り込まれており、迅速に組織診断を実施することができます。
パッケージ型の場合、自社に合っていないサービスを選んでしまうと、課題点が見えてこないので注意が必要です。
オーダーメイド型
オーダーメイド型とは、企業の問題点を話し合いながら、設問を作り上げていくことができます。
オーダーメイド型の場合、課題が明確に把握できるため良いサービスですが、自社に合わせて作り上げる必要があるため、実施までにある程度の期間が必要です。
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組織診断での注意点
組織診断での注意点について確認してみましょう。
組織診断は闇雲に行っても望む効果を得ることができません。組織診断を順序よく進めていき、組織の課題点の把握と改善を行うようにしましょう。
組織診断での注意点
企業全体の理解を得る
企業の望ましい状態を決める
フィードバックを行う
企業全体の理解を得る
組織診断での注意点として、「企業全体の理解を得る」ことがあげられます。
組織診断の実施には企業全体の理解を得ることが必要不可欠です。また、事前に実施の目的について説明しておくことで、組織診断の効果を高めることができます。
経営層の理解を得る
組織診断の実行には、経営層の合意が重要です。経営層の合意がなければ、課題を浮き彫りにしたとしても解決に向けての行動を取れないためです。経営層の合意を得るためには、従業員満足度調査を行い課題を解決することで、離職率の改善につながる、などといった具体的な効果を説明することが大切です。
従業員の理解を得る
組織診断を実施する際、組織診断の設問に答えるだけでも、負担に感じる従業員がいるかもしれません。組織診断を負担に感じている従業員には、組織診断を行うことで自分が思っていることを企業に直接伝えることができるということや、課題を自分たちの手で解決できるチャンスであることを説明し、理解を得るようにしましょう。
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企業の望ましい状態を決める
組織診断での注意点として、「企業の望ましい状態を決める」ことがあげられます。
組織診断の具体的なプランを検討するよりも前に、どのような状態が企業として望ましいかを定める必要があります。
企業の望ましい状態を決める際には、「成果指標」と「影響指標」の2つの点に焦点をあてて考えると良いでしょう。
成果指標
成果指標とは、企業が目指したい職場の雰囲気や意識の状態を示します。組織診断を行うことを検討しているということは、現在企業が抱える課題を解決したいと考えているはずです。例えば、マネジメントに問題があると考えている場合は、どのような状態のマネジメントが理想なのかを事前に決めておく必要があります。
影響指標
影響指標とは、具体的な対応が行われた場合に、成果目標に近づく、もしくは高まる指標を指します。影響指標は社内のさまざまな人と話し合いながら設定するようにしましょう。成果目標に到達しない原因を特定する際にも、影響指標を定めておくことが大切です。
フィードバックを行う
組織診断での注意点として、「フィードバックを行う」ことがあげられます。
組織診断を行った後に、企業から何も反応がないと不満の温床になってしまいます。
フィードバックの際は、「具体的なアクションを起こす」ことと「全ての不満を解消しようと思わない」という2点に注意しましょう。
具体的なアクションを起こす
組織診断を実施して、せっかく課題が見つかったのにも関わらず改善に向かう行動を取らないと、従業員から「あの組織診断はなんだったのか」と思われてしまいます。組織診断の結果を得て、従業員に対して企業としてアクションを起こすというメッセージを発信するようにしましょう。
全ての不満を解消しようと思わない
従業員の求めていることについて全てのことを企業が取り組めるわけではありません。優先順位を付けて、「すぐに対応するもの」「未来に向けて取り組むもの」と分けて対策を考えるようにしましょう。
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組織診断サーベイの実施方法について解説
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組織診断の結果から組織改革が必要な場合
組織診断を行い課題が明確になると、組織改革が必要な場合があります。組織の問題解決に有用なマッキンゼーの「7S」について確認してみましょう。
組織の問題解決に必要なフレームワーク「7S」とは
マッキンゼーの7Sとは、大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの、ウォータマン氏とピーターズ氏が、30年以上前に組織の変革に必要な概念として提案したものです。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの研究調査で、うまく機能している企業は、「7つの要素が相関関係にある」ということが分かりました。
そして、問題解決や組織改革に効果があるフレームワークとしてマッキンゼーの7Sが提唱されました。
マッキンゼーの7Sが提唱される前は、「ハード面」と呼ばれる、戦略や組織構造などの経営者の意向で実施できる改革として主に組織改革を行っていました。
ですが、より良い問題解決方法はないかと研究を進めた結果、すぐに変化が起きにくい、「ソフト面」の改革も合わせてマネジメントするのが重要と結論付けられています。
7Sの種類
7Sの具体的な要素を、「ハード面」と「ソフト面」に分けて確認してみましょう。
ハード面
戦略(Strategy):企業理念や企業が目標達成するための取り組み
組織構造(Structure):企業の中で組織がどのように機能しているか
システム(System):給与体系や各種の管理システム
ハード面に課題がある場合は、経営者が課題解決に着手しやすく、比較的コントロールしやすい傾向にあります。
ソフト面
スタイル(Style):企業や職場の雰囲気
人材(Staff):人材の評価、育成、モチベーションなど
スキル(Skill):企業や人材の技術や技能
共通の価値観(Shared value):企業理念の浸透具合、会社が大事にしているミッションを共有しているか
ソフト面は目に見えにくいため課題が見えていても着手しにくいため、長期的に取り組む必要があります。
▼「企業理念」についてさらに詳しく
企業理念と経営理念の違いは?それらを社内に浸透させる方法について
▼「人事評価」についてさらに詳しく
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▼「人材育成」についてさらに詳しく
人材育成とは?何をやるの?基本的考え方と具体的な企画方法を解説
7Sの注意点
組織改革に有効なフレームワークの7Sですが、取り組む際には注意が必要です。7Sの注意点について確認してみましょう。
最優先課題は共通の価値観(Shared value)
7Sはそれぞれ相関関係があり、どれが欠けても企業がうまく機能しません。その中でも、共通の価値観(Shared value)は最も重要です。共通の価値観(Shared value)は他の要素に影響する中心的な要素のため、「どのような企業になりたいか」「どのような目的で従業員が集まっているか」は組織がまとまる拠り所になります。
ハード面とソフト面は平行で解決する
企業に課題が見つかった場合、問題解決に向けて効果が出やすいハード面から着手しがちですが、ソフト面も合わせて解決するようにしましょう。7Sの要素は相互に相関するためバランス良く問題を解決することが大切です。
組織診断の成功のカギは目的と企業のあるべき姿を明確にすること
組織診断とは、組織の状態を測定することで、組織の問題点や課題を解決するために、従業員のモチベーションやエンゲージメントなどの、組織状況を把握するために実施されます。
また組織診断は、企業の状態や問題点を浮き彫りにし、組織を望ましい状態へとマネジメントするために行われます。
組織診断には、従業員満足度調査やストレスチェックなど、さまざま種類がありますが、企業の状態を把握し、実施の目的を明確にしたうえで自社に適切な調査方法を選定し、調査を行い、調査結果と自社の目指す姿とのギャップを把握し、ギャップを埋めるための施策を行うことが大切です。
「HRBrain 組織診断サーベイ」では、従業員満足度やエンゲージメントの計測と集計や集計データの見える化をカンタンシンプルに実現します。
また、モチベーションやメンタル状況など、従業員ひとりひとりの分析と把握が可能です。
さらに、改善施策に直結した独自の設問設計によって、改善アクションを明確に、従業員エンゲージメントの向上を実現します。
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人的資本の情報開示にも対応したデータの収集から活用
エンゲージメント状態の定量化を実現し、人的資本の情報開示に必要な人材データの収集が可能
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