ステークホルダーとは?意味や語源と例やマネジメント方法について簡単に解説
- ステークホルダーとは
- ステークホルダーの例
- 株主や投資家
- 従業員
- 関連会社
- 金融機関などの債権者
- 顧客や取引先
- 地域社会
- その他
- ステークホルダーの分類
- 直接的ステークホルダー
- 間接的ステークホルダー
- ステークホルダーとの関係が重要な理由
- 事業の持続や成長に影響する
- リスクマネジメントやリスク回避に有効
- 信頼やよい評判を構築できる
- 持続可能な経営を行える
- ステークホルダーとの良好な関係性を維持する方法
- ステークホルダーマネジメントとは
- ステークホルダーマネジメントの方法
- 経営を支えるステークホルダーと積極的な関わりを
ステークホルダーとは、企業経営やプロジェクト遂行において、直接的または間接的に影響を与えるもしくは受ける「利害関係者」のことを指し、企業活動において影響を受ける全ての人がステークホルダーであると言えます。
この記事では、ステークホルダーの日本語での意味や英語の語源、従業員や株主などステークホルダーの例、ステークホルダーマネジメントや、ステークホルダーエンゲージメントについて簡単に解説します。
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ステークホルダーとは
ステークホルダーとは、企業経営やプロジェクト遂行において、直接的または間接的に影響を与えるもしくは受ける「利害関係者」のことを指します。
ステークホルダーは利害関係者という言葉から、融資や資金などの金銭的な関係者のみが該当すると考えられがちですが、金銭とは関係なく企業活動において影響を受ける全ての人がステークホルダーであると言えます。
ステークホルダーという言葉は、英語の「stakeholder」が由来で、「stake(掛け金の意味)」と「holder(保有者の意味)」から構成されています。
1984年に哲学者のR・エドワード・フリーマン氏が著書「Strategic Management-Strategic Management」の中で使用したことが、ステークホルダーという言葉が広く使われるきっかけになったと言われています。
従来、企業経営における目標は「株主の利益を最大化することである」と考えられてきました。
その後、社会全体の認識が変化し、株主の他に自社の従業員や地域社会なども、企業にとって重要な利害関係者であるという認識が広まり、現在では「株主のみではなく全ての利害関係者にとっての利益最大化を目指すべきである」という考え方が広く浸透しています。
(参考)Cambridge Core「Strategic Management-Strategic Management」
ステークホルダーの例
ステークホルダーは、経営の影響を受ける存在であることから、企業はステークホルダーの意見に耳を傾けながら経営を行うことが求められます。
ステークホルダーには具体的にどのようなものがあるのか、ステークホルダーの例を大きく7つに分けて確認してみましょう。
ステークホルダーの例
- 株主や投資家
- 従業員
- 関連会社
- 金融機関などの債権者
- 顧客や取引先
- 地域社会
- その他
株主や投資家
株主は経営の構造上、実質的な会社の所有者であると言えます。
また、自社へ資金を提供している投資家も、経営を支える重要なステークホルダーです。
株主や投資家のステークホルダーとしての役割は、企業への資本の提供や、企業の運営や業績を監視することです。
特に株主については、株主総会に参加するなど、経営上の重要な決定を下す場に関わることがあります。
従業員
自社の事業運営に欠かせない従業員も、重要なステークホルダーであると言えます。
従業員のステークホルダーとしての役割は、担当する業務の遂行によって、企業の目標達成に貢献することです。
企業には、重要なステークホルダーである従業員が働きやすいと感じられる環境づくりに努め、モチベーションを維持できるような取り組みを行うことが求められます。
関連会社
企業にとっては、資本の面などでつながりを持つ関連会社も重要なステークホルダーであると言えます。
法人としては別であっても、グループ内の関連会社の業績は自社にも影響を及ぼします。
関連会社の1つが業績を悪化させると、グループ全体の業績が低下することにもつながります。
関連会社の業績低下を防ぐためにも、グループ全体の親会社にはグループとしての経営戦略を立て、遂行することが求められます。
金融機関などの債権者
自社に資金を貸している金融機関などの債権者は、自社の経営状況を特に気にかけているステークホルダーであると言えます。
自社の経営状況の悪化は、貸している資金を回収できないおそれがあるため、債権者にとっては重大な問題です。
債権者のステークホルダーとしての役割は、融資した資金を回収できるように企業の経営を監視し、必要に応じて助言をすることであると言えます。
顧客や取引先
顧客や取引先も、自社にとって重要なステークホルダーであると言えます。
顧客のステークホルダーとしての役割は、商品やサービスの購入によって企業に利益をもたらすことと、消費行動を通じて商品やサービスの開発や改善の施策に影響を与えることであると言えます。
また、取引先の役割は業種によって異なるものの、契約に沿って商品やサービスを納品したり完成した製品を消費者に届けることによって、安定的な商品やサービスの提供に貢献することです。
顧客は自社の商品やサービスを購入すること、取引先は互いに商品やサービスの受発注をし合うことなどから、それぞれが自社の売上に大きく影響する存在と言えます。
顧客や取引先は、自社売上を左右する存在であるからこそ、顧客や取引先からの信用は自社の業績に直結するものであると言うことを意識することが重要です。
地域社会
自社の商品やサービスが購入や消費されている地域社会も、直接的ではないものの企業にとってのステークホルダーであると考えられるようになっています。
地域社会がステークホルダーであると認識されるようになったのは、「CSR(Corporate Social Responsibility)」の概念が広まったことによると考えられます。
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、「企業の社会的責任」と訳され、企業が社会の一員として果たすべき責任のことを指します。
厚生労働省は、企業の社会的責任(CSR)について「CSRとは、企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方です。」と定義しています。
自社の商品やサービスを購入し、消費している地域社会に対して、企業がどのような責任を持つべきか、という考え方が重要になってきているのです。
(引用)厚生労働省「労働政策全般:CSR(企業の社会的責任)」
その他
企業には、他にもさまざまなステークホルダーがいます。
例えば、各種の行政機関もその1つで、従業員を雇用している企業にとって、厚生労働省や労働基準監督署もステークホルダーであると言えます。
銀行などの金融機関にとっては金融庁、建設関連の企業にとっては国土交通省など、業種によって関わる行政機関は異なります。
また、その他のステークホルダーとして、利益団体もあげられます。
利益団体とは、目標を達成するために社会や政治において活動をする団体を指します。
よく知られる利益団体には、日本経済団体連合会(経団連)や日本医師会などがあり、規模が大きい企業であるほど、利益団体からの影響を受けやすくなると考えられます。
ステークホルダーの分類
ステークホルダーには、特性によって「直接的ステークホルダー」と「間接的ステークホルダー」の2種類に分けられます。ステークホルダーの分類について確認してみましょう。
ステークホルダーの分類
直接的ステークホルダー
間接的ステークホルダー
直接的ステークホルダー
直接的ステークホルダーとは、お互いに直接的な影響を与え合うステークホルダーを指します。
直接的ステークホルダーの例
株主・投資家
従業員
金融機関などの債権者
顧客・取引先
直接的ステークホルダーは、企業の活動内容や規模に直接的に影響を及ぼしたり、企業の業績から直接的に影響を受けたりする存在です。
間接的ステークホルダー
間接的ステークホルダーとは、直接的ステークホルダーとは反対に、お互いに直接的な影響を与え合わないステークホルダーを指します。
間接的ステークホルダーの例
地域社会
行政機関
利益団体
間接的ステークホルダーは、企業に直接的に影響を及ぼしたり、企業から直接的に影響を受けたりすることはないものの、間接的に影響し合う存在です。
ステークホルダーとの関係が重要な理由
ステークホルダーには、影響が直接的なものと間接的なものがあり、種類もさまざまです。
しかし、どのステークホルダーも自社を経営するうえで重要な存在である点は共通しています。
企業にとって、なぜステークホルダーとの関係が重要なのか、ステークホルダーとの関係が重要な理由について4点に分けて確認してみましょう。
ステークホルダーとの関係が重要な理由
- 事業の持続や成長に影響する
- リスクマネジメントやリスク回避に有効
- 信頼やよい評判を構築できる
- 持続可能な経営を行える
事業の持続や成長に影響する
ステークホルダーとの関係が重要な理由の1つ目として、「事業の持続や成長に影響する」ことがあげられます。
ステークホルダーとの関係性は、企業が事業を維持し、成長させていくうえで大きな影響を及ぼします。
例えば、多くの顧客が自社の商品やサービスを支持し購入し続けてくれることは、安定的に事業を継続できることにつながります。
また、自社商品やサービスの需要を保ち、安定した経営ができると、従業員がモチベーションを維持しやすくなるでしょう。
さらに、従業員がモチベーションが高い状態で働くことができると生産性が向上することから、利益の最大化につながると考えられます。
投資の面でも、株主や投資家と自社とが良い関係を維持することができると、資金面や経営面で手厚いサポートを受けられることが期待できます。
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リスクマネジメントやリスク回避に有効
ステークホルダーとの関係が重要な理由の2つ目として、「リスクマネジメントやリスク回避に有効」であることがあげられます。
ステークホルダーと良い関係を維持することは、業績面だけではなく、リスク管理や回避にも有効です。
社会全体の変化が激しい現代において、経営に関するリスクを自社の目線だけで全て洗い出し、対応することは難しいものです。
株主や顧客、従業員や地域社会などのステークホルダーと密に連携できていることは、自社の目線のみでは気付けていなかったリスクを認識し、早期に対応ができることが期待できます。
▼「リスクマネジメント」についてさらに詳しく
リスクマネジメントとは?企業事例とリスク対策のプロセスを簡単に解説
信頼やよい評判を構築できる
ステークホルダーとの関係が重要な理由の3つ目として、「信頼やよい評判を構築できる」ことがあげられます。
ステークホルダーと良好な関係を築くことは、自社の信頼や評判の向上につながります。
株主や顧客から信頼を得られることは、自社の企業価値の向上や顧客の定着率の上昇につながります。
また、競争が激化する市場の中で、自社の優位性が高まることも期待できます。
ステークホルダーとのコミュニケーションでは、企業は全てのステークホルダーに対して平等に対応することが重要です。
企業が特定のステークホルダーのみと深い関係を構築しようとすると、他のステークホルダーの信頼を失うことになりかねません。
企業は、どのステークホルダーとも均等にコミュニケーションを取り、中立的な関係性を維持できるよう努めることが大切です。
持続可能な経営を行える
ステークホルダーとの関係が重要な理由の4つ目として、「持続可能な経営を行える」ことがあげられます。
近年、持続可能性という考え方が広く浸透しています。
持続可能性の土台となる考え方は、「SDGs(Sustainable Development Goals)」にあります。
SDGsは、国連に加盟する全ての国が2030年までに達成することを目指す「共通目標」のことを指します。
SDGsの目標の中で企業に関係が深いものとして、「持続可能なエネルギーの選択や環境保護」があります。
今後、企業が長期的に消費者をはじめとする社会全体から支持を得るためには、エネルギーや環境保護などの分野で、持続可能な経営への取り組みを行うことが重要と言えるため、持続可能な経営の観点からも、ステークホルダーとの関係性が大切です。
ステークホルダーと良好な関係を構築し、連携することで、社会全体や環境分野の課題に共に取り組むことができるでしょう。
同時に、環境や社会に対する責任を持っている企業として、ステークホルダーの期待に応えることもできると考えられます。
(参考)日本SDGs協会「SDGs」
▼「SDGs」についてさらに詳しく
SDGsとは?人事が知るべき基礎知識や取り組みを簡単に解説
ステークホルダーとの良好な関係性を維持する方法
ステークホルダーと良好な関係を構築することは、自社の事業成長や持続可能な経営の観点から非常に重要です。
ステークホルダーと良好な関係を維持し続けるためには、どのような点に留意するとよいのか、ステークホルダーとの関係性維持のポイントについて、「テークホルダーマネジメント」の観点から確認してみましょう。
ステークホルダーマネジメントとは
ステークホルダーマネジメントとは、自社にとっての利害関係者であるステークホルダーを計画的に管理することを指します。
ステークホルダーマネジメントの主な目的は、各ステークホルダーとコミュニケーションを取り、それぞれのニーズを把握することにあります。
把握できたニーズには迅速に対応することが求められますが、もし実現できないニーズがあった場合には、実現できない理由や今後の対処法について丁寧な説明を行うことが大切です。
ステークホルダーマネジメントの方法
ステークホルダーマネジメントは、「ステークホルダーを特定する」「各ステークホルダーを管理するためのマネジメント計画を立てる」「ステークホルダーエンゲージメントのための施策を実行する」という流れで行うのが一般的です。
ステークホルダーマネジメントのステップについて確認してみましょう。
ステークホルダーマネジメントのステップ
- ステークホルダーを特定する
- ステークホルダーマネジメント計画を立てる
- ステークホルダーエンゲージメントをマネジメントする
1.ステークホルダーを特定する
ステークホルダーマネジメントのステップの1つ目は、「ステークホルダーを特定する」ことです。
ステークホルダーマネジメントを行う際は、まず自社にどのようなステークホルダーがいるのかを特定するために、洗い出しを行うことから始めます。
ステークホルダーを洗い出すには、関係書類や名刺などから株主や顧客、取引先の名前や肩書きをまとめたり、従業員の情報を整理したりするなどの方法があります。
規模が大きい企業であるほど関連するステークホルダーの数が多くなるため、大規模な企業でステークホルダーを特定する際は、表や図式を使うなどして、管理しやすいような工夫をすると良いでしょう。
2.ステークホルダーマネジメント計画を立てる
ステークホルダーマネジメントのステップの2つ目は、「ステークホルダーマネジメント計画を立てる」ことです。
ステークホルダーの特定ができた後は、ステークホルダーマネジメント全体の計画を立てます。
計画を立てる際は、各ステークホルダーが自社にどの程度関心を持っているのか、自社にどの程度の影響力があるのかなどの点を考慮することが大切です。
また、ステークホルダーマネジメント計画を遂行するためには、各ステークホルダーに説明を行い、了承を得る必要があります。
計画を進めている途中もステークホルダーと密に情報共有を行い、円滑な計画の遂行を目指します。
3.ステークホルダーエンゲージメントをマネジメントする
ステークホルダーマネジメントのステップの3つ目は、「ステークホルダーエンゲージメントをマネジメントする」ことです。
ステークホルダーマネジメントでは、ステークホルダーエンゲージメントを考慮することが大切です。
ステークホルダーエンゲージメントとは、各ステークホルダーのニーズを理解し、ニーズを自社の企業活動に反映させることを指します。
ステークホルダーエンゲージメントの観点から、ステークホルダーマネジメントでは戦略的な計画の他に、日頃から積極的にステークホルダーに関わり、関係性を構築しようとする姿勢が重要です。
具体的なステークホルダーエンゲージメントの方法には、株主に対して株主説明会を開催する、顧客に向けて相談窓口を設置する、地域社会のボランティア活動に参加することなどがあげられます。
経営を支えるステークホルダーと積極的な関わりを
企業には、顧客や株主、地域社会などのさまざまなステークホルダーが存在します。
長年にわたって、安定的に企業を経営し存続させていくためには、社内外のステークホルダーの意見を取り入れながら、全方位的に良好な関係を築き続けることが大切です。
それぞれのステークホルダーと良い影響を与え合うためには、「ステークホルダーマネジメント計画」を立てるなどして、中長期的な取り組みを行うことが重要です。
ステークホルダーマネジメントを自社のリスク管理や持続可能な経営に活かすためにも、ステークホルダーエンゲージメントを意識しながら、各ステークホルダーに適した施策を行っていきましょう。
また、従業員のスキルやパフォーマンスデータを一元管理し、適材適所の人材配置を実現することで、プロジェクトごとに最適なチーム編成が可能となり、ステークホルダーの期待に応える成果を上げやすくなります。
「HRBrain タレントマネジメント」は、スキルや資格などの人材情報から、評価情報まで、すべての人材情報の一元化を実現します。
さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。
HRBrain タレントマネジメントの特徴
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運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
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