テレワーク導入の課題や方法とは?導入目的を明確にして費用を準備しよう
- テレワーク導入の目的と課題
- テレワークを導入する目的
- テレワーク導入で得られる効果
- 生産性の向上
- 固定費の削減
- 優秀な労働力の確保
- テレワーク 導入で生じる課題
- テレワークの導入方法
- テレワーク導入にかかる費用
- 情報通信機器・通信費など
- ビジネスツール
- テレワーク導入にあたって準備すること(労務管理・設備投資)
- テレワーク導入のタイミング
- テレワーク導入のガイドライン
- テレワーク導入に成功した企業事例
- テレワークを導入しない企業とは
- 導入事例1 株式会社みずほ銀行「3年で2,000名を超える従業員が経験」
- 導入事例2 サッポロビール株式会社「業務のやり方・あり方を見直すための改革」
- テレワーク導入にあたって役立つツールや制度を紹
- 整えるべき制度
- ツール1 Web会議ツール
- ツール2 ファイル共有ツール
- ツール3 チャットツール
- テレワークを定着させるには
- 【まとめ】テレワークでも効果的な労務管理や人事評価をするには
テレワーク導入が拡大しています。生産性向上や優秀な人材確保の施策として、成果を出す企業も増えました。しかし具体的な導入方法が分からないという方も多いようです。
今回はテレワーク導入の課題と方法や費用を解説し、課題解決のツールまでご紹介します。
テレワーク導入の目的と課題
テレワーク導入を進めるには導入の目的と課題を先に確認し、自社への導入が費用対効果も含め適切か判断することが大事です。
現在テレワーク導入の企業割合は、大企業で53.7%、中小企業で23.6%(※1)との調査結果がでいます。
同じ調査基準でないため一概に比較はできませんが、総務省の発表数字20.2%(※2)と比べると大幅に増加しています。検討中の企業も含めるとかなりの割合になると思われます。
しかし安易に取り組むと失敗する例もあるようです。実際に、アメリカのIBMやYahoo!など在宅勤務を導入し、撤回している企業があります。
ここでは、テレワークを導入する目的や効果、課題についてご紹介します。
(※1)株式会社東京商工リサーチ:「第14回新型コロナウイルスに関するアンケート調査」より
(※2)総務省:「令和元年通信利用動向調査の結果」(令和2年5月)より
テレワークを導入する目的
総務省の発表資料によると、テレワークを導入する目的の一番は「業務の効率性(生産性)の向上」にあります。
以前テレワークは福利厚生の一環という認識が多かったようですが、「働き方改革による生産性の向上」を目的として戦略的に導入する企業が増えています。
1位 業務の効率性(生産性)の向上
2位 勤務者のワークライフバランスの向上
3位 勤務者の移動時間の短縮・混雑回避
4位 障害者、高齢者、介護・育児中の社員などへの対応
5位 非常時(地震、台風、大雪、新型インフルエンザなど)の事業継続に備えて
6位 人材の雇用確保・流出の防止
(※引用)総務省:「令和元年通信利用動向調査の結果」(令和2年5月)より
テレワーク導入で得られる効果
テレワーク導入で得られる直接的な効果は主に以下の3つです。
- 生産性の向上
- 固定費の削減
- 優秀な労働力の確保
それぞれを詳しくみていきます。
生産性の向上
テレワークのメリットとしては、オフィスへの通勤時間や満員電車のストレスが減り、さらに自宅に限らず好きな場所で仕事ができるため、従業員の生産性向上が一番に挙げられます。
総務省によると調査対象企業のうち「非常に効果があった」、「ある程度効果があった」と回答した企業の割合は87.2%以上(※3)となっており、かなりの企業がその効果を感じています。
(※3)総務省:「令和元年通信利用動向調査の結果」(令和2年5月)より
詳しくは、「テレワークの課題まとめ!コミュニケーションの課題から解決策まで」をお読みください。
固定費の削減
交通費・家賃・光熱費などの企業側の負担が減ることも大きなメリットです。従業員全員分のオフィススペースが必要なくなり、オフィスを縮小する企業もでてきています。
また本社自体を家賃の安い場所へ移転する企業もでてきました。有名な例では、株式会社パソナグループの本社機能一部の淡路島への移転でしょう。同社では2024年までに本社勤務の全社員1,800人のうち1,200人を異動させると発表しています。
株式会社パソナグループのように本社の地方移転で、本社で働く従業員も引っ越すことになります。これにともない働く従業員自身の家賃削減も見込まれます。
顔をあわせないと話せないという固定観念も崩れ、会議のたびに移動したり、出張したりする交通費の削減にもつながります。特に全国や海外支社のある企業では大幅なコストダウンにつながっています。
優秀な労働力の確保
テレワーク導入の3つ目の効果は「優秀な労働力の確保」です。
テレワークには介護や育児中の従業員へのフレキシブルな対応による、優秀な人材の流出を止める効果があります。
また通勤を気にしなくていいというのは、時間のロスやストレス減による従業員のモチベーションの向上だけでなく、場所を選ばず優秀な人材採用へのつながります。
さらに育児や介護でも辞めなくて済む会社作りに取り組んでいる姿勢や、新しいテレワークを積極的に取り入れている姿は求職者にとって魅力的です。今後採用面でも有利に働くでしょう。
優秀な人材の流出を止めることができると、新たに採用するコストや教育コストなどの見えない費用削減にもつながります。
テレワーク 導入で生じる課題
良い面が多いテレワークですが、以下の課題も伴います。
情報のセキュリティ問題
情報通信システムの導入コスト
パソコンなどの機器設備への投資
労務管理方法の見直し
在宅勤務時の環境整備
通信環境や光熱費の経費負担の曖昧さ
従業員同士のコミュニケーション量の低下
課題をクリアする一番の方法は、成功例に学び正しくツールを使いこなすことにあります。
積極的にテレワーク導入の成功例を学びにいく、成功事例の企業へ訪問してみるなど生の声を集めるのがおすすめです。
テレワークの導入方法
テレワークの具体的な導入方法や、事前に準備・確認すべき項目を解説します。
テレワーク導入にかかる費用
テレワークを導入するにあたり、さまざまな費用が発生します。
企業負担か個人負担かも含め、事前に取り決めておくことが大事です。テレワーク導入で考えられる費用を解説します。
情報通信機器・通信費など
情報通信機器はテレワークに必須ですが、通常企業が負担することが多いようです。
テレワークで使用するパソコンを会社のものを持ち帰らせるのか、新たに支給するのか、それとも私用のものを使うかで大きく費用がかわります。
またコスト面だけでなく、セキュリティの面も含め検討が必要です。
情報通信機器や、通信費などは下記の3つの項目を準備、確認しておきましょう。
パソコン、タブレット端末
携帯電話、スマートフォン
通信回線・通信費
ビジネスツール
テレワーク導入前の不安の声で多いのが「コミュニケーション」と「勤怠管理」です。無料で使えるビジネスツールもでているため、ツールを導入することで事前に不安を払拭しておくことができます。
代表的なツールを下記に3つ掲載します。気になるものがあれば事前に調べておきましょう。
労務管理・人事評価管理ツール(HRBrainなど)
スケジュール・勤怠管理ツール(サイボウズなど)
コミュニケーションツール(Chatworkなど)
テレワーク導入にあたって準備すること(労務管理・設備投資)
主に労務管理と、初期に必要な設備投資について解説します。
・労務管理方法
時間管理や評価制度はツールを使い、労働災害時の申請方法や範囲なども決めておきます。
クラウド上の稟議・決済や印鑑の導入など、できるだけペーパレスで完結する仕組み作りも必要です。
<決めておくべき項目>
・時間管理の方法
・労働災害
・評価制度
・情報通信システム・インフラへの設備投資
セキュリティの問題も含め、プロを交えて考えたいのがインフラの整備です。
最近では自宅にインターネット環境がある場合が多くなっていますが、スピード面やセキュリティ対策も含め確認することが大事です。
<必要なインフラ>
・通信インフラ
・ICT環境の整備
・電話回線・携帯
・遠隔会議システム
テレワーク導入のタイミング
テレワーク導入のタイミングは特に規定や規則などがありません。しかし繁忙期や年度末を避けることを考え、逆算でスケジュール化するのがおすすめです。
また成功した企業に共通している特徴は、導入は段階的に進め、本格稼働はトライアル後となっています。
対象従業員も育児や介護対応が必要な従業員からはじめ、徐々に広げていくスタイルが、従業員の理解も得やすいようです。
テレワーク導入のガイドライン
テレワーク導入を成功に導くには、人事部だけでなくトップダウンでの強いメッセージが大事です。
人り組みが必要になるのです。
また片手間では成功しにくいため、専門の部署を作り、ガイドライン作りから発生する問題解決までノウハウを蓄積することも大事になってきます。
特に費用面に関してはトラブルになる可能性が高いため、小さなことに関しても明確な基準を作っておくことが必要です。
具体的な検討面としては、このようなものがあります。
テレワーク利用対象者の選別基準や登録方法
備品・消耗品の経費精算
通信費の負担
光熱費の負担
など
テレワーク導入に成功した企業事例
テレワークを導入しない理由と、実際にテレワーク導入に成功した事例を紹介します。
テレワークを導入しない企業とは
テレワークを導入しない企業の主な理由は以下の通りです。特に「適した仕事がない」というのが7割(※4)を超えています。
1位 テレワークに適した仕事がないから
2位 情報漏洩が心配だから
3位 業務の進行が難しいから
4位 顧客等外部対応に支障あるから
5位 社内のコミュニケーションに支障があるから
(※4)総務省:「令和元年通信利用動向調査の結果」(令和2年5月)より
導入事例1 株式会社みずほ銀行「3年で2,000名を超える従業員が経験」
株式会社みずほ銀行では、実践者のアンケートを基にテレワークを改善してきました。3年で2,000名を超える従業員が在宅勤務を経験し、今後も拡大していく方針です。
成功の秘訣は「まずは、やってみる」を掲げたことにあるそうです。2016年から従業員の「ワーク・ライフ・バランス」推進の一貫で、在宅勤務制度を導入しました。
心配されるセキュリティ面には、従業員貸与のタブレット端末に、セキュリティ性の高い「仮想デスクトップ機能」を搭載することで解決しました。
2017年からは人事部が中心になりテレワークをトライアル開始し、参加メンバーには8週間で最低2回の在宅勤務を行うことをルールにし、合計1,000名が参加しました。
2018年には従業員の私用パソコンでも業務ができる仕組みを整備していきました。
またアンケートでは事前にあった不安が、実際に体験してみると杞憂だったことが分かったのです。
まずはやってみて体験者を増やしたことと、段階的に声を反映させて改善を行ってきたことが、従業員の導入への不安を払拭し成功へ導いたといえます。
(※参考)東京都産業労働局:「TELEWORK 活用ヒント 金融業・保険業」5.6ページ目より
導入事例2 サッポロビール株式会社「業務のやり方・あり方を見直すための改革」
サッポロビール株式会社では少子化や労働人口の減少で、今後採用が難しくなると危機感がありました。
そこで「仕事の効率化」「心身の健康」「生活の充実」という3つの目標を掲げ、働き方改革を推進し、テレワーク導入は改革運動の一環としてトライアルからはじめました。
トライアル前は主にコミュニケーションや労務管理に関して不安の声があがっていましたが、実施後は「思ったより仕事の成果があがった」「通話ツールを使うことでストレスなく仕事をすることができた」と前向きな回答が多く、2017年に本格的に導入を開始することになりました。
一番の成果は従業員の時間への意識が変化したことです。営業の外回りでも、「どのルートが最も時間が節約できるか」、残業も「本当に必要な活動は何なのか」を各自が考えるようになり着実に減少しました。
テレワーク推進でオンライン環境の整備が進むにしたがって、自己啓発も促進しています。業務に直結しない資格の支援もはじめ、営業が経理の資格を取る、TOEICの受験など新たなことに挑戦する従業員が増えています。
単身者が金曜日や月曜日にテレワークを利用することで3日間自宅にいることができるようにもなりました。
週末家族と過ごす時間が増え、全国転勤が多い企業には便利な制度だと感じているそうです。
(※参考)東京都産業労働局:「TELEWORK 活用ヒント 製造業」3.4ページ目より
テレワーク導入にあたって役立つツールや制度を紹
テレワーク導入にあたり、役立つツールや制度を紹介します。
整えるべき制度
情報通信機器関連以外で整えるべき制度は以下のようなものです。
オフィスワーク時には、明文化しなくても済んでいたものでも、オンラインになると細かいことをルール化していく必要があります。以下の2点は最低限確認しましょう。
社内ルールの明文化
労務管理・勤怠管理のクラウド化
ツール1 Web会議ツール
Web会議ツールはテレワークで必須となるツールです。Zoomはウェビナーでよく利用されていますが、昨年指摘されたセキュリティの脆弱性から、他の有料ツールや、Google meetを利用する企業が増えています。代表的なWeb会議ツールを下記にご紹介します。
<Web会議ツール>
・Zoom
・Microsoft Teams
・Google meet
・Skype Meet Now
・ Cisco Webex Meetings
ツール2 ファイル共有ツール
クラウドを利用したファイル共有ツールは、すでに利用している企業も多く導入に抵抗が少ないツールです。代表的なファイル共有ツールを下記にご紹介します。
<ファイル共有ツール>
・Dropbox
・Google Drive
・box
・One Drive
・iCloud Drive
ツール3 チャットツール
コミュニケーションの問題解決にも、チャットツールは必需品です。
分かりにくいパスワード設定やヒューマンエラーによる誤送信などに気をつけるなど、基礎的なことにおいても社内での徹底周知も行うと良いでしょう。代表的なチャットツールを下記にご紹介します。
<チャットツール>
・chatwork
・Discord
・Slack
・Microsoft Teams
・LINE WORKS
テレワークを定着させるには
テレワークを定着成功させるには、最初に目的とゴールを明確に設定することが有効です。また人事部任せにしないトップのコミットメントと、組織への働きかけがキーになってきます。
また以下の2つも大事になります。
・トライアル導入から本格導入へ
まずいきなり全社に導入するのではなく、一部へのトライアル導入でトライ・アンド・エラーを繰り返すことも必要です。そこから企業文化や風土にあった制度に整えていくといいでしょう。
・ツール導入を積極的に
テレワークの導入には先にご紹介したような各種ツールの導入が必要です。Web会議ツールやチャットツールはもちろん、労務管理や人事評価に関しても積極的にツールを使うと失敗が少なくなります。
まずは評判の良いものをリサーチし無料トライアルなどを利用して、積極的に人事部内で使ってみるといいでしょう。
【まとめ】テレワークでも効果的な労務管理や人事評価をするには
テレワークのための人事評価制度や労務管理を0から社内で作り直すのはコストも時間もかかります。
テレワークを成功させるためにも、成功事例の多いクラウド型人材管理システムの利用がおすすめです。
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