VUCAとは?意味や読み方と時代に求められるスキルを解説
- VUCA(ブーカ)とは
- 変動性(Volatility)
- 不確実性(Uncertainty)
- 複雑性(Complexity)
- 曖昧性(Ambiguity)
- VUCAは軍事用語が語源
- VUCA時代における政府の動き
- VUCA時代にリーダーへ求められるスキル
- リーダーシップ
- 迅速な判断力と行動力
- 多様な価値観を受け入れる柔軟性
- VUCA時代に企業や組織に求められていること
- ビジョンを明確にする
- 常に情報収集と分析を行う
- 主体性の高い人材を育成
- VUCA時代に有効なOODA(ウーダ)ループ
- OODA(ウーダ)ループとは
- OODA(ウーダ)ループとPDCAサイクルの違い
- VUCA時代に対応する組織づくりと人材教育
現代では、感染症や災害、AI技術の進化など、予測不能な変化が続いています。
こういった予測不能な出来事が頻繁に起こる現代はVUCA時代と呼ばれ、企業は変化に取り残されないために、組織のあり方や従業員のスキルの見直しが求められています。
今回はVUCAの意味と、企業が生き抜くために必要な要素について解説します。
従業員のスキルの見直しをするために
VUCA(ブーカ)とは
VUCA(ブーカ)とは、「Volatility (ヴォラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アンビギュイティ:曖昧性)」の4つの単語の頭文字をとった造語で、社会やビジネスにとって予測不能な出来事が多く、将来の予測が困難な状態を指します。
変動性(Volatility)
変動性(Volatility)は、AI技術の急速な発展や、Z世代を代表とする人々の考え方の多様化などによって、社会の仕組みや価値観が変わることを指します。
新型コロナウイルス感染症の拡大などがその一例です。
変動性により、競合よりも迅速かつ適切に対応することで先行優位を確保できる企業が生まれます。
現代社会における短期的な変動は、テクノロジーの進歩や社会の価値観、顧客ニーズの変化によってさらに促進されるため、将来の予測が難しくなり、不安要素となります。
変動性(Volatility)の事例
スマートフォンの普及
新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの普及 など
不確実性(Uncertainty)
不確実性(Uncertainty)は、予測が困難で将来の見通しが不透明な状況を指します。
先の見通せない不確実な状況下では、正しい情報を収集することも難しく、企業や個人は事態の明確さや確信を得ることが難しいため、将来を予測することがより困難になります。
しかし、不確実性に対処する企業は、仮説に基づいて製品を提供し、市場のニーズや状況の変化に柔軟に対応してきました。
また、日本の雇用制度の変化や組織の評価基準の変化などの不確実な要素も考慮する必要があります。
不確実性(Uncertainty)の事例
地球温暖化による気候変動
少子高齢化に伴う高齢者の活躍 など
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複雑性(Complexity)
複雑性(Complexity)は、事業や活動、人と組織の関係性、資源などが複雑に絡み合っている状態を意味します。
SNSの普及による情報過多や価値観の多様性、そしてグローバル人材の増加がその例です。
例えば、海外展開では異なる文化や慣習を柔軟に受け入れながら、適切な判断を迫られます。
VUCAにおける複雑性は、市場動向や消費者ニーズも含みます。
ビジネスでは企業が複雑性を理解し、解決策を提供することが、市場で成功する要因となります。
また、経済のグローバル化に伴い、ビジネスはより複雑になりました。
国内と海外では習慣やルールが異なり、国内で成功した例が海外では通用しないこともあります。
法律や文化の違いがビジネスの複雑さを増し、国際市場での競争が一層激しさを増しています。
複雑性(Complexity)の事例
キャッシュレス化の浸透度合い
一般の人による配車サービス「Uber」 など
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曖昧性(Ambiguity)
曖昧性(Ambiguity)は、1つの事象に対して複数の解釈があり、明確な答えがない状態を意味します。
VUCAにおける曖昧性は、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)が交錯し、因果関係が不明確で予測できない状況を指します。
これにより、従来の常識が通用せず、問題解決や改善策の特定が難しくなります。
変動性・不確実性・複雑性の組み合わせにより、因果関係が不透明で前例のない出来事が増加しています。
曖昧性(Ambiguity)の事例
広告がTVや新聞・雑誌だけでなく、SNSや動画サイトが主流になった
大手企業がベンチャー企業に投資する など
VUCAは軍事用語が語源
VUCAは元々、冷戦時代の軍事戦略から生まれた言葉で、1990年代に核戦争の恐れが薄れたことで、不透明な戦略に対応する言葉として使われ始めました。
またその後、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCA world」という言葉が使用されたことがきっかけで、世界的に認知されるようになり、2010年代には急激な世界情勢の変化を表すビジネス用語としても利用されるようになりました。
近年、感染症の流行や自然災害、技術の進化による産業構造の変化など、世界は大きな変化を遂げています。
このような状況下で、日本企業も組織のあり方や働き方に変化を迫られ、不確実さや複雑さ、曖昧さが経済や組織に影響を与える「VUCA時代」が到来しています。
VUCA時代における政府の動き
VUCA時代に政府は、経済産業省を中心にデジタル化やイノベーションを進めています。
2019年には経済産業省が「人材競争力強化のための9つの提言」を発表し、VUCAの概念が広まりました。
また、文部科学省は未来の労働力を育成するために教育改革に取り組んでいます。
高度な技術や知識を持つ人材の育成に焦点を当て、STEM教育やキャリア教育の充実が重視されています。
さらに、「OECD Education 2030」の枠組みに基づき、日本の教育システムを再構築し、生徒の能力や意欲の向上を図っています。
これにより、将来のグローバル競争に対応するための人材育成が期待されています。
経済産業省と文部科学省の連携を通じて、政府はVUCA時代に適応し、国の持続的な発展を目指しています。
(参考)経済産業省「人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~」
VUCA時代にリーダーへ求められるスキル
VUCA時代は市場環境の変化が多発するため、組織はメンバーによる自律的な行動が求められていきます。
そんな時代に合った組織を構築するためには、求められるスキルを正しく理解することが大切です。
ここではVUCA時代のリーダーに求められるスキルを解説します。
VUCA時代にリーダーへ求められるスキル
リーダーシップ
迅速な判断力と行動力
多様な価値観を受け入れる柔軟性
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リーダーシップ
VUCA環境において、未来の見通しは難しく、組織やチームの目標達成が困難になります。
そのような状況において、組織の方向性を示し、明確なビジョンや目標を提供することで、メンバーの行動や意思決定を促進するため、リーダーシップは極めて重要です。
さらに、リーダーはメンバーのモチベーションを維持し、能力を発揮できるようサポートすることも必要です。
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迅速な判断力と行動力
VUCA時代においては、市場環境の変化が頻繁に起こるため、迅速な意思決定が不可欠となります。
時間をかけると、ビジネスチャンスを逃すばかりでなく、機会損失を生む可能性もあります。
限られた時間の中で最適な判断を速やかに下すためには、不確実な状況にあっても冷静に分析し、問題の原因を把握し、解決策を導き出す能力が求められます。
瞬時の客観的な分析と迅速な判断が要求されるため、常に市場動向を注視し、シミュレーションを繰り返すことが重要です。
多様な価値観を受け入れる柔軟性
VUCA時代では、異なる価値観を受け入れることが重要です。
1つの価値観に固執していては、変化に適応し、不確実な未来に新たな考えを見つけ出すことが難しくなります。
コミュニケーションを通じて、多様な意見に耳を傾け、誤解やトラブルを避けるために丁寧で明確な対話が必要です。
日々、チームや顧客とのコミュニケーションを密に取り、問題が発生した際にも迅速に対処することが重要です。
VUCA時代に企業や組織に求められていること
VUCA時代と向き合っていくためには、組織の強化が欠かせません。
変化に対応できる組織づくりを行うには、何が必要なのでしょうか。
ここからはVUCA時代に企業や組織にもとめられることを解説します。
VUCA時代に企業や組織に求められていること
ビジョンを明確にする
常に情報収集と分析を行う
主体性の高い人材を育成
ビジョンを明確にする
VUCA時代は、将来を予測することが困難ながらも、変化していく環境へと適用しなければなりません。
そのため、ビジョンを持っていないと一貫した対応ができず、一時しのぎの状態になってしまいます。
個人と企業のそれぞれで、出すべき成果をビジョンとして設定しましょう。
常に情報収集と分析を行う
変化の激しいVUCA時代に対応するためには、常に情報収集が必要です。
しかし、インターネット上では信頼性の低い情報も多く、情報源を見極めることが重要です。
さらに、将来を予測する際にも、柔軟性を持って予測を変化させていく必要があります。
VUCA時代では、最新の技術や市場動向を把握し、国内外の情報にアンテナを張ることが不可欠です。
また、消費者ニーズを分析し、自社のビジネスに活かせるアイデアを見つけ出すことが重要です。
主体性の高い人材を育成
ビジネス環境の急激な変化に対応するためには、従業員が自発的に行動し、解決策を見つけられる主体性が重要です。
そのため、ロジカルシンキング研修を通じて論理的思考やコミュニケーション能力を養い、VUCA時代に適した経営戦略に沿った人材育成が求められます。
VUCA時代に有効なOODA(ウーダ)ループ
VUCA時代では、市場環境の変化に合わせて迅速に最適な意思決定を行う必要があります。
それを実現する手法として、OODA(ウーダ)ループが注目されています。
ここではOODA(ウーダ)ループについて解説します。
OODA(ウーダ)ループとは
OODA(ウーダ)とは、「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(決定)」「Act(行動)」の4つの頭文字をとった言葉です。
それぞれのフェーズでの具体的な行動は以下の通りです。
Observe(観察)
まず、計画に固執せず、業界の状況や競合の動向、自社内の状態など、今後の行動に関わる状況を観察・把握します。
Orient(状況判断)
収集した情報からデータの分析を行い、今後どう動くべきかを判断します。
Decide(決定)
現状に対する判断ができたら、それに沿って具体的な行動計画を決めます。
Act(行動)
行動計画に基づいて実行します。
行動した結果を観察し、また最初のObserve(観察)へと戻ります。
OODA(ウーダ)ループとPDCAサイクルの違い
OODA(ウーダ)ループは、意思決定から実行までの時間を短縮し、リアルタイムで状況に素早く対応するためのモデルです。
一方、PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「 Do(実行)」「 Check(評価)」「 Act(改善)」の4つの段階からなり、問題解決やプロセス改善を目指すサイクルです。
VUCA時代では、環境が連続的に変化するため、失敗を避けつつも迅速かつ柔軟に対応することが必要です。
このため、組織ではOODA(ウーダ)ループ思考が採用され、判断と行動の遅れが少なくなっています。
▼「PDCAサイクル」についてさらに詳しく
PDCAサイクルとは?基本のやり方と時代遅れと言われる理由を解説
VUCA時代に対応する組織づくりと人材教育
VUCA時代における組織づくりと人材教育では、急速な変化に柔軟に対応する必要があります。
組織は柔軟性と適応性を重視した構造を採用し、リーダーシップの変革が求められます。
また、人材教育では創造性や柔軟性を重視したプログラムを展開し、従来の枠組みにとらわれないアプローチを取ることが重要です。
このようなアプローチを通じて、組織は変化に対応し、持続的な成功を収めることができます。
組織変化に対応するためには、人材データを一元管理し、分析・活用することで、組織全体の人材の能力を最大限に活用することが企業の発展には不可欠です。
「HRBrain タレントマネジメント」は従業員ひとりひとりのスキルや評価記録などさまざまなデータを一元管理し可視化することが可能です。
また、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、研修などの育成履歴や、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、1on1やフィードバックなどの面談履歴などを一元管理します。
HRBrain タレントマネジメントの特徴
検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現
運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで
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