#人材育成
2024/08/14

ジョブローテーションのメリット・デメリットを人事視点から解説

目次

ジェネラリスト人材の育成によく利用される「ジョブローテーション」。

しかし、メリット・デメリットを深く理解している人は少ないと感じます。

ジョブローテーションと自社の状況と適切に紐づけた人事異動を実施すれば、より効率的な人材育成・教育ができるでしょう。

今回は、会社・人事側と社員スタッフ側の両サイドから見たジョブローテーションのメリット・デメリットについて、人事が解説します。

ジョブローテーションの概要・事例などの詳細は「ジョブローテーションの基本! 効果や仕組みを現役人事が解説」を参照してください。

ジョブローテーションの会社・人事側のメリット

社員スタッフの教育・成長のためにさまざまな配置転換・ジョブローテーションを行うことで、会社・人事側にどんなメリットがあるのかチェックしましょう。

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風通しが良い会社作りができる

部署の垣根を超えた人事異動が定期的に行われるため、社員スタッフの交流活性化が期待できます。同じプロジェクトを担当したとしても、交流がない社員スタッフ同士だと、自分の意見を発信しにくい・窮屈さを感じてしまう恐れがあります。

しかし、ジョブローテーションによる人脈形成・人間関係の構築により、風通しが良い会社作りができるのです。

社員スタッフのモチベーションアップにつながる

多様な業務を経験することで、良い刺激になりモチベーションアップに繋がります。話した事がない社員スタッフ同士が、同じプロジェクトを担当すれば人間関係の構築に時間がかかってしまいますが、ジョブローテーションで関係した社員スタッフが斡旋すれば、業務がスムーズ行えます。

このように、モチベーションアップに繋がれば、企業成長・売上アップと副次効果も期待できます。

ジェネラリスト人材の育成ができる

部署の垣根を超えた異動により、部署独自の問題点・悩みを深く理解することができます。将来の管理職や経営層になった時、部署と部署を連携し企業全体の流れを読んだマネジメントができます。

また、ジョブローテーションでは、様々な職種を経験した社員スタッフが在籍しているため、繁忙期には業務を手分けして取り組めたり、ほかの社員スタッフが突然の休職・退職になってしまっても、柔軟な配置転換が可能です。

間口を広げた採用活動ができる

採用活動をする求職者の中には、「様々な職種を経験し、ジェネラリスト人材になりたい」という人もいます。このような求職者にはジョブローテーションは、採用活動時の大きなアピールポイントになります

会社側としても、風通しが良い会社作りや社内の活性化効果もあるため、採用活動はもちろん企業PRなど社外に向けても印象アップが期待できます。

次に社員スタッフ側には具体的にどのようなメリットがあるのか、次章で詳しく紹介します。

ジョブローテーション社員スタッフ側のメリット

社員スタッフ側にどのようなメリットがあるのか、解説します。

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様々な職種・経験ができる

就職活動時には、未経験職種・業種では転職が難しいと言われます。

しかし、ジョブローテーションであれば、未経験職種であってもチャレンジできるチャンスです。未経験・経験問わず様々な職種に触れることで多角的な視点・経験が身につき、部署・会社全体を俯瞰した業務ができるでしょう。また、定期的に人事異動があるためマンネリ化にならず、新しい学びや発想・スキルアップに繋がります。

自分の適性を見極められる

多様な職種から業務を経験することで、自分に合った適性を見つけることができます。ジョブローテーションで様々な職種を経験した結果、特定のスペシャリストになると決める人も珍しくありません。ジョブローテーションは、自分の将来のキャリアプランに悩んでいる人の方向性をサポートしてくれます。

部署を超えた人脈づくりができる

部署を問わない人脈づくりができるため仕事調整力・連携力など、業務をスムーズに行う力が身につきます。部署を超えて仲が良い社員スタッフがいることは、異動時に悩みができた時など相談相手にもなるため、心強く感じるでしょう。

ジョブローテーション会社・人事側のデメリット

メリットがたくさんあるジョブローテーションですが、逆にどんなデメリットがあるのか、確認しましょう。

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フォローアップ業務が増える

ジョブローテーションにより社員スタッフは、新しい業務・部署を担当することになります。そのため業務・環境に慣れるまでの引継ぎ・メンタル面のサポートなど、フォローアップ業務は欠かせません。

また、社員スタッフのジョブローテーション先では、慣れない業務のために生産性が低下する事例がよくあります。そのため人事側は、労働時間の管理・ハラスメントが横行していないかなど、チェックが必要です。

ジョブローテーション先では、ベテラン社員やメンターの設置など、一定期間のフォローアップ対策が重要になります。

教育コストが高くなる

定期的に人事異動が発生する為、引継ぎ・フォローアップの人件費など教育コストが高くなります。その他に、教育にかかる時間・転勤・転居・ツールの設定など、別の費用も発生する場合もあります。

引継ぎのフォローアップ業務は、あらかじめマニュアル作成する・異動先の範囲と予算額を決めておくと教育コストを抑えることができるでしょう。

また、社員スタッフがこれまで受けてきた人事評価・目標管理などを異動先の上長に引き継ぐことでその人がどのような人柄、意識で仕事に取り組んできてたかを把握することができ、スムーズな教育へと移行することができます。

■スムーズな人事評価・目標管理の引継ぎのために「人事評価システムを使うべき3つの理由」

 スキルの蓄積が難しい

一定期間で人事異動が発生するため、スキルの蓄積や専門性を深める事が難しくなります。そのため、ジェネラリスト人材ではなくスペシャリスト人材を目指す社員スタッフであれば、不満を積もらしモチベーションダウン・退職のリスクも避けられません。

専門性の高い職種・顧客との繋がりが深い職種(営業など)は、お客様や取引先との信頼関係に直結するため、競合に遅れを取る可能性もあるでしょう。

退職のリスク

ジョブローテーションは、入社したら定年まで長く働くことを前提とした教育方法です。将来会社で活躍する人材を育てるために、じっくりお金・時間・教育をかけているので退職となれば、すべて無駄になるかも知れません。もし、退職となれば異動先部署のモチベーションダウンにも繋がります。

ジョブローテーション社員スタッフ側のデメリット

様々な職種を経験できるジョブローテーションですが、社員スタッフ側にどんなデメリットがあるのか、解説していきます。

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部署・職種によってモチベーションが下がるリスク

社員スタッフによっては、「今まで積み上げてきたスキルがあるのに、異動先でまた0からスタートしないと」という声も珍しくありません。

新しい異動先の仕事内容・人間関係が合わなければ、生産性の低下・混乱が発生する可能性も考えられます。 異動前後はとくに、異動先・社員スタッフのケアに注意しましょう

専門的なスキルがつきにくい

ジョブローテーションは定期的な業務変更により、専門スキルを深める事ができないため、「広く浅い経験」になりがちです。スペシャリスト人材を目指す社員スタッフだと、不満を募らせる要因になります。

不満はモチベーション低下・職場環境の悪化・離職のリスクがあるため、何としても回避しなければなりません。

専門的なスキルがつきにくいジョブローテーションに対して、社員スタッフがどのように思っているか、希望するキャリアプランはあるのかなど、事前に確認をする必要があります。

期間が短いと重要な仕事を任せてもらいにくい

ジョブローテーションの実施期間は、企業・職種によって様々ですが、短期間で6カ月以内、長期間だと2~3年と言われています。短期間であれば「すぐに異動するから」と重要なプロジェクトを任せてもらえず、マニュアル通りだけの仕事を振る事例もあります。そのため異動先・人事側は、社員スタッフがスキルアップに繋がる業務を担当できているのか、管理・共有のもと、フォローアップをしなければなりません。

ジョブローテーションを成功させるには?

ジョブローテーションを成功させるポイント三つを紹介します。

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適性を見極めて、断る決断も必要

ジョブローテーションを実施する前に、該当社員スタッフ・異動先との綿密なコミュニケーションが重要になります。

以下の点があればジョブローテーションの実施を断ると良いでしょう。

  • 社員スタッフが特定の職種を強く希望する

  • 教育環境が整っていない

  • SEなど極めて専門性が高い職種

ジョブローテーションは、多様な視点をもった人材を育成する目的です。どれか一つでも欠けてしまったら、中途半端な結果になってしまうのでジョブローテーションはするべきではありません。

ジョブローテーションのゴール地点を共有させる

目的がないジョブローテーションは、中途半端な結果に終わります。「いつまでに、どんな目的で、なにを担当するのか」を過程とともにゴールを明確に決めてください。

社員スタッフ・現場・人事側とゴール地点を共有することで、多角的な視点から教育・フォローアップができるでしょう。

アンケートを実施し、社員スタッフの意見を取り入れる

今は「転職が当たり前」の時代に変化しつつあります。企業・社員スタッフによっては、専門的スキルを高めたい・別の教育方法を取り入れて欲しいと思っているかも知れません。

定年まで長く雇用する事を前提としたジョブローテーションは、人事主導で実施する事が多いため独善的にならないよう注意が必要です。定期的にアンケートを実施し、社員スタッフの意見を取り入れましょう。

まとめ

ジョブローテーションのメリット・デメリットを詳しく紹介しました。メリットとしては、企業・人事側には社員スタッフのモチベーションアップ・ジェネラリスト人材育成の効果。社員スタッフ側には、多様な職種にチャレンジできる・適性を見極めるチャンスがあります。

一方デメリットとして、企業・人事側には、社員スタッフが退職した時に損失が大きい・教育コストが高い点があげられます。社員スタッフ側には、専門性を深めにくい・合わない部署・職種だとモチベーション低下の恐れがあります。

しかし、ジョブローテーションを正しく理解しフォローアップを行えば、社員スタッフと企業がともに成長できるでしょう。

ぜひ自社の状況と照らし合わせて導入を検討してみてください。

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HR大学編集部
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