#労務管理
2024/07/30

交通費の基本的な考え方とは?計算方法や注意すべき事項を解説します

目次

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交通費の基本的な考え方

交通費の基本的な考え方

交通費はどのように支給されるのでしょうか。交通費の基本的な考え方について解説します。

交通費とは

交通費は通勤や出張などにかかった費用を支給する福利厚生の一つです。支給に関しては、労働基準法などの法律に定められたものではなく、各企業の判断に委ねられます。支給にはどのようなパターンがあるのでしょうか。

全額支給
通勤にかかるすべての費用が支給されます。従業員には負担がかからないためとてもいい制度ですが、企業側の負担が大きいというデメリットがあります。

一部支給
日月単位で企業が支払う支払額の上限が決められているケースです。企業の負担は軽減されますが、上限を超えてしまうような従業員がいる場合、従業員に負担を押し付けてしまう場合もあります。

一律支給
交通ルートを計算する場合、経理処理が煩雑になるケースがあるので、日月単位で決まった金額を支給する場合もあります。一律で支給されるので、交通費が安く済むケースもあれば超過するケースもあるので、従業員にはメリット、デメリットどちらにも当てはまる場合があります。

交通費規定の作成方法

交通費規定を作成するときに盛り込むべき項目を紹介します。規定を作り、従業員に周知することで労使トラブルを回避することができます。

支給要件
距離規定を設けるなど、支給できる要件を定めます。
例えば、自宅から職場までの距離が2km以内の場合は、一般的に交通費を不支給とすることが多いです。また、最寄り駅から自宅までの距離が短い場合においても(1km以内など)支給しないと定めるケースがあります。

支給内容
交通ルートを定めます。最も合理性が担保されているルートを従業員に申請させるケースが多いです。最安のルートを申請するように規定するケースもありますが、最安のルートだと通勤時間が大幅にかかり、合理性が担保されないケースに注意が必要です。

申請手続き
新規申請手続きの方法や、交通機関の料金改定で、金額が変更になったときの申請方法などを定めます。

例外事項
有給休暇や慶弔休暇を取得した際の交通費の有無、新入社員や退職時に日割りになるかどうかなど、例外事項も設定するとトラブルが回避できるでしょう。

交通費支給の基準

交通費支給の基準

交通費規定を作成した後は支給要件や支給内容の基準を定めましょう。具体的にどのようなケースが多いのでしょうか。

交通費の計算方法

主に3つのパターンがあります。

公共交通機関のみ
自宅から勤務場所までの合理的なルートを申請させます。申請内容をチェックし問題ない場合、その区間の一ヶ月の定期代を支給するケースが多いです。頻繁に配置転換がない場合は6ヶ月分の定期代を支給するケースもあります。

自家用車等を使用した時
自家用車を使用した場合、非課税の限度額があり、限度額を基準として交通費を支給するケースが多いです。片道の通勤距離を基準とします。

  • 2km未満:全額課税

  • 2km〜10km未満:4,200円

  • 10km〜15km未満:7,100円

  • 15km〜25km未満:12,900円

  • 25km〜35km未満:18,700円

  • 35km〜45km未満:24,400円

  • 45km〜55km未満:28,000円

  • 55km以上:31,600円

1kmあたりの交通費単価を定め、1ヶ月間の自宅から職場までの距離を申告させ、交通費単価と移動距離をかけ合わせたものが非課税枠に収まるように基準を設けるのが無難です。

公共交通機関・自家用車等を併用した時
公共交通機関の合理的ルートの定期代や、自家用車等を使用した場合の交通費単価をあわせて支給するのがよいでしょう。

交通費計算の便利サイト・サービス

定期代を支給するケースは交通ルートのチェックが煩雑で管理者の手間がかかります。申請者が申請するルートが正しいかを計算するときに便利なサイトやサービスをご紹介します。

駅探 駅探とは出発地と到着地を入力することで、定期代を計算できるWebサイトです。従業員からの申請と突合することで最短、最安ルートなどの合理性を担保することができます。

駅すぱあと通勤費Web
駅すぱあと通勤費Webとは交通費の申請業務や管理業務を効率化できるクラウドサービスです。交通費の申請、管理業務は企業に在籍している人数が多ければコストがかかります。「駅すぱあと」は出発点と到着地の最適経路を提供するシステムであり、そのノウハウを活かし、交通費の申請業務や管理業務の時間を大幅に短縮し、企業や従業員の負担を軽減するサービスです。

交通費にかかる税金

交通費にかかる税金

これまで合理的なルートを突合し、支給額を決定する方法を解説しました。では、交通費を支給すると従業員は課税されるのでしょうか。ここでは交通費にかかる税金について解説します。

交通費と税

交通費は支給する法律はありません。個人が一時的に建て替えた分を会社から支給されるため、個人の所得とみなされます。しかし所得税の対象とはならず非課税です。ただし、非課税枠には上限があります。

非課税枠の上限額
公共交通機関や有料道路などを利用している従業員の交通費支給に関しての非課税枠は150,000円です。平成28年1月より従来の100,000円より引き上げられました。

上限以外の交通費で課税される場合
新幹線に乗る際、新幹線定期券は非課税枠の対象になりますが、グリーン席などを使用した場合は課税対象になる場合があります。自家用車使用時の駐車場代について支給がある場合は、課税対象となります。

交通費と社会保険料

給与に含まれて交通費は支給されますが、交通費に社会保険料はかかるのでしょうか?

交通費と社会保険料の関係
交通費は非課税枠が確保されていますが、支給された額は報酬とみなされます。健康保険料や厚生年金の保険料などの社会保険料の算定基礎となります。

まとめて交通費が支給された場合
定期代は長期間であれば割安になるため、6ヶ月分などまとめて支給するケースがあります。算定基礎は4月、5月、6月に支払われた報酬に基づき算定されますが、その期間にまとめて交通費が払われると社会保障料が上がってしまうというわけでなく、定期代を月数で割った額を報酬額に含めて計算します。

企業が従業員に交通費を支給するときに注意すること

企業が従業員に交通費を支給するときに注意すること

福利厚生の一環として交通費は重要です。企業が従業員に支給する際の注意事項を解説します。

就業規則・賃金規定

就業規則や賃金規程に支給の規定があった場合は支給の義務が発生します。就業規則は企業の状況に合わせて作成する必要があり、細かく設定したほうが労使トラブルをさけることができます。中でも注意が必要な項目を解説します。

有給休暇取得時の交通費
有給休暇の取得時は実際出勤していないため、交通費を支給するか迷うケースもあるかもしれません。判断に迷わないようにするためには、有給化取得時の交通費の有無を就業規則で定める必要があります。

交通費手当の定義を定める
企業によってケースバイケースですが、自家用車の使用を認めないケースもあります。例外的に認める場合は、どのようなケースが認められるのかということや、任意保険の写しを提出することなどの細かい規定を定める必要があるでしょう。また実費を支払うと規定に盛り込むことで、自転車や徒歩で通勤した際の交通費を支給しないと企業側が判断できます。

上限額を定める
従業員が事業所から遠くはなれた場所から通勤した際、交通費の非課税枠は決められていますが、交通費は社会保障料の計算に含まれてしまいます。社会保障料は労使折半になるので上限額を定めたほうが、企業側の負担が少なくなる可能性があります。

不正受給に注意

企業側でのルートの確認不足や、従業員のうっかりで意図せず不正受給になるケースがあります。

規定外の経路で通勤
従業員が引っ越しを行ったのに申請を忘れていて、引越し前と同じルートで通勤しているケースや、企業に通勤時間も含めた合理性のあるルートで申請しているにもかかわらず、最安ルートで通勤し、差額分を着服するケースが当たります。

懲戒処分に至るケースも
うっかりミスや軽微であるならば注意や交通費の返還などで対処されるケースもありますが、悪意を持って会社に請求を続けていた際は詐欺罪などが適応されるケースもあり、懲戒解雇処分も検討されます。ただし、懲戒解雇処分は非常に重たい処分になりますので、就業規則に基づき、処分を下す必要があります。

在宅勤務中における交通費精算

現在、テレワークが浸透してきた結果、多くの企業で交通費精算について見直されています。どのような見直しが多いのでしょうか。

定期代の期間の短縮
今まで交通費を6ヶ月分まとめて支給していたようなケースでは、テレワークに業務が切り替わった場合、そのまま交通費の支給を続けると企業の負担が大きくなります。そこで交通費を1ヶ月分に短縮するなど、支給の期間を変更する企業も増えています。

出社時の実費を精算
実際出勤した日の実費だけを支給する企業もあります。テレワークが続く場合は、交通費の代わりに情報通品費や回線費用などを会社が負担するケースもあります。

就業規則変更は必要か
交通費支給のルールが変更になった際は就業規則の変更が必要です。就業規則を変更する際は、従業員にとって不利な変更にならないよう注意する必要があります。

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HR大学編集部
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