#労務管理
2024/08/09

組織文化の国内外の事例と重要性を紹介

目次

組織文化とは?

組織文化とは

それぞれの企業には固有の組織文化があります。普段はなかなか目を向けることがないかもしれません。組織文化とはどのようなものなのでしょうか。

組織文化の定義 

組織文化は組織にある「共有化された規範、認識、信念」と定義されています。より詳細には、組織文化研究の第一人者である経営学者のエドガー・シャインによって組織文化は3つのレベルに定義されています。

1.人工物
組織図、制度、規程など目に見える組織構造および手順

2.標ぼうされている価値観
理念、戦略、目標などの価値観

3.背後に潜む基本的仮定
暗黙の了解、組織メンバーの意識・思考の方向性

このように、組織文化は単に「共通の価値観」ではなく、組織に定着している人工物、価値観、暗黙の了解などの基本的過程から構成されます。

組織風土との違い

組織文化とよく混同されやすい概念として組織風土があります。組織風土は、組織文化のうち、特に暗黙の了解や組織で明文化されていない価値観を意味することが多いでしょう。

組織文化が組織の内面的な部分全体を意味するのに対して、組織風土は潜在的で見えない部分を意味しています。

組織文化の重要性

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組織文化は、企業の業績を左右するほど重要な概念です。しかし、なかなかその重要性は理解されていません。組織文化は企業にとって、どのような点で重要なのでしょうか。

提供価値に対する同じ認識を持てる

社員が統一された組織文化を共有すると、会社の提供価値に対して同じ認識を持つことができます。

例えばメーカーであれば、近年は単に商品を提供するだけではなく、顧客の課題解決に取り組み、アフターサービスまで提供するソリューション営業が主流です。しかし「顧客の課題解決」という組織文化がなければ、単に商品を売るだけのメーカーになってしまうでしょう。

つまり組織文化は、その企業の提供価値の統一性を左右する重要な概念だと言えます。

共通の価値観やコミュニケーション方法を持てる

国に文化があるように、組織文化があると、従業員が共通の価値観を持つことができます。

国に例えると、日本人は日本の文化を共有しています。そのため、日本に関することであれば、わざわざ説明しなくても少しのコミュニケーションで理解しあうことができます。使う言葉も朝は「おはよう」、夜は「こんばんは」で通じ合えるのです。

同じように企業も共通の価値観を共有することで、コミュニケーションを簡素化できます。

例えばある企業では挨拶として「お疲れ様です」という言葉を廃止しました。それにより、メールの書き出しで「おつかれさまです」を使うことがなくなり、コミュニケーションの効率が上がりました。

このように、組織文化が浸透することで、コミュニケーションの方法を変えることができるのです。

有名な国内の組織文化事例4選

有名な国内の組織文化事例4選

実際の有名企業の組織文化事例を見てみましょう。どれも一度は耳にしたことのあるものばかりかもしれません。

株式会社リクルート

株式会社リクルートは起業家を輩出する会社として有名です。創業者である江副浩正氏によってつくられた「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という旧・社訓は現在でもその文化を現しています。

リクルートでは社員全員が圧倒的な当事者意識を持ち、新しいことにどんどんチャレンジしていきます。実際に「NEW RING」という、社員であれば誰もが提案できる新規事業コンテストが社内で開かれています。それにより採用広告事業だけではなく、現在は旅行事業からウェディング、デジタルまで幅広い事業を手掛けています。

また、若い優秀な人材を早期抜擢することで、「若い人が活躍できる会社」という文化が形成されています。

本田技研工業株式会社

本田技研工業株式会社ホンダ)は理念経営を実践する会社として有名です。自立、平等、信頼からなる「人間尊重」、売る喜び、買う喜び、創る喜びという「3つの喜び」からなる基本理念をもとに組織文化が形成されています。

特に注目したいのが、ホンダは実は「クルマの会社」だけではないという点です。

ホンダといえば自動車やバイクを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には「人間尊重」という人の生活を豊かにしたいという文化から、生活を便利にする製品やサービスを提供しています。

例えば、ホンダ製品には小型発電機やロボット、飛行機まで幅広いラインナップがあります。

このように、ホンダは強く浸透する理念があることで単なる「自動車の会社」を超えた事業を行っているのです。

株式会社キーエンス

株式会社キーエンスは最もシンプルでわかりやすい組織文化の事例の一つです。

キーエンスといえば、新卒社員でも年収1,000万円が達成可能なほど、高業績かつ好待遇の会社です。

その秘密は組織文化にあります。キーエンスの理念の一つに「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」という言葉があります。

この言葉を全社員が徹底的に実践しているため、本当に最小の効率で最大の成果をあげることができています。

実際に営業の部署では、外出する際に、オフィスから一番遠い場所からアポイントをとり、終業時間に近くなるほど、オフィスに近い場所のアポイントになるように調整します。こうすることで、オフィスに帰りながらアポイントをこなすことができるのです。

こうした細かな「最小の効率で最大の成果」の取り組みがキーエンス社内のいたるところで行われているそうです。

キユーピー株式会社

日本を代表するマヨネーズメーカーであるキユーピー株式会社では「親を大切にする」という文化が徹底されています。

「親を大切にする」文化の象徴として、社員の親に対して、半年に一度、お中元・お歳暮として自社製品を贈る取り組みが有名です。

また、社内もとてもアットホームであるため、社員同士も家族のような暖かいつながりを重視しています。

有名な海外の組織文化事例3選

有名な海外の組織文化事例3選

海外では日本企業よりも組織文化を重視する企業がたくさんあります。その中でも代表的な例を見てみましょう。

Google LLC

Googleは強い組織文化を持つ企業として有名です。

まずGoogleは徹底的にユーザーを大切にしていることで有名です。ユーザーを何よりも大切にしているからこそ、Google検索画面はとてもシンプルで検索窓だけ配置されています。また、検索スピードも年々改良を加え、瞬時に知りたい情報を入手できるようになっています。

「普通の人」は採用しないという珍しい方針により、一見風変わりでも優秀な人材を集めることに成功しています。ちなみにGoogleでは社員を「グーグラー」と愛着をこめて呼んでいるそうです。

また社員が新しいことを思いつくための活動として、就業時間の20%を自分の好きな活動のために自由に使っていいことになっています。

世界一の検索エンジンもこうしたユニークな組織文化によって支えられているのです。

ゼネラル・エレクトリック・カンパニー

伝統的な組織文化の事例としてはGEが有名です。

GEは時代に合わせて常に変化し続けています。最近では、多角化した事業を絞り込んで特定領域に資本を集中投下する「選択と集中」というGEの戦略が有名です。

また近年では「ノーレーティング」という評価をしない新しい評価制度を取り入れました。

大企業でありながら常に変化を続けているのがGEの組織文化なのです。

GEの組織文化を支えているのがリーダー育成の仕組みです。アメリカのクロトンビルにリーダー育成の専用施設を設置し、世界中の拠点から優秀な人材を集めてリーダーを育成します。

長年におよぶリーダー育成により、優れた経営者を輩出していることでも有名です。

Netflix, Inc.

新興企業の中でも、Netflixは卓越した組織文化を形成しています。自社ホームページでは、5つの「大切にしていること」を公開しています。

  1. 社員一人ひとりの自立した意思決定を促し、尊重する
  2. 情報は、広く、オープンかつ積極的に共有する
  3. とことん率直に意見を言い合う
  4. 優れた人材でチームを構成し続ける
  5. ルールをつくらない

Netflixでは「社員一人ひとりの自立した意思決定」を尊重しているため、とにかく自由な組織文化です。成果を出していれば、どれだけ遊んでいても構いません。また上下関係がなくフラットで、優秀な人材が最大限に活躍できる環境が整っています。採用する際も「ドリームチーム」であることを重視するため、優秀な人材を高額な報酬で雇います。

一方で厳しい面もあり、パフォーマンスを発揮しない人材には速やかに退職を促し、常に優秀な人材が集まる「ドリームチーム」の状態を維持しています。

Netflixの組織文化は、優秀な人材が集まる独特な組織運営を支えているのです。

【まとめ】何かおかしいと思ったら、まずは組織文化を見直そう

組織文化は目に見えないため、つい対応がおろそかになりがちです。組織文化よりも目に見える現象への対処をしているだけでは、本当の問題解決にならないでしょう。組織文化は良い方向に働く場合もあれば、悪い方向に働く場合もあります。

もし悪い組織文化によって企業業績に影響が出ているなら、今すぐにでも組織文化を変えることに取り組みましょう。

「組織文化を変えたいが、誰に相談したらいいか分からない・・」

「もっと目標意識を高めて、メンバーに自発的に成長をして欲しい・・」

「管理作業に時間・工数が掛かりすぎる。無駄な業務に時間を割きたくない・・」

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HR大学編集部
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