人事は何を勉強するべき?磨くべきスキルや役立つ書籍を紹介!
- 人事の仕事とは?
- 採用領域
- 労務領域
- 育成領域
- 評価領域
- 人事に必要な能力とは?
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーションスキル
- 観察力
- 情報収集力
- 事務処理能力
- 人事に役立つ資格試験を紹介!
- 人事総務検定
- ビジネスキャリア検定
- マイナンバー実務検定
- ビジネスコンプライアンス検定
- MOS
- 社会保険労務士
- 人事の勉強に役立つ本を紹介!
- 人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。
- 図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
- 採用に強い会社は何をしているか
- ワーク・ルールズ! 君の生き方とリーダーシップを変える
- NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く
- まとめ
人事の仕事とは?
組織に所属する「ヒト」を管理し、組織を発展させることが「人事」の主な役割です。適性を見極めて採用を行ったり、採用した人材が組織で活躍できるように育成を行ったりしながら、組織内の人材最適化を図ります。組織によっては、人事と総務、人事と経理、というように複数のバックオフィス業務を兼任する場合もありますが、実は人事領域だけでもかなり多様な業務が存在します。
この記事では、「人事に興味がある」「人事を目指している」という方向けに、人事業務に携わるうえで必要なスキル、活用できる資格などについて紹介していきます。スキル・資格と実務の関連性を理解するために、まずは人事が日頃どのようなことをしているのか、知るところから始めていきましょう。
採用領域
採用業務には、採用計画の立案、会社説明会の開催、選考会の実施、内定者の初期フォローなどが含まれます。年間採用計画がすでに定まっている企業や、随時採用を行っている企業など、企業の採用活動にもさまざまなスタイルがあります。いずれの場合においても、適切な時期に適切な人材・適切なスキルがそろうように採用活動を進めていくことが基本となっています。
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労務領域
労務業務には、入社手続き、勤怠管理、給与計算、社会保険の手続き、安全衛生管理などが含まれます。給与・保険・法律といった従業員の生活に関わる部分を担うため、知識や実務経験、正確性が求められる傾向にあります。ハローワークや年金事務所、労働基準監督署への対応や、従業員と労働トラブルになった際はその対応も行うことがあります。
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育成領域
育成業務には、研修プログラムの企画運営、外部講師の選定、フォローアップなどが含まれます。新入社員であれば早く現場になじんで活躍できるように、既存社員であれば早くその部署・ポジションにふさわしいスキルを身につけられるようにするため、効果的なプログラムを策定し、従業員の成長を促します。
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評価領域
評価業務には、評価・報酬制度の構築、評価基準の設定と見直し、人材配置の検討などが含まれます。実際に評価をつけるのは、各部署のマネージャ―や部長といった役職者の場合もありますが、基準を策定したり、評価・適性状況を見て配置転換の検討を行ったりするのは人事の役割です。評価に対して意義申し立てがあった場合などは、対象者にヒアリングを行う場合もあります。
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人事に必要な能力とは?
人事の業務は前述の通り多岐に渡り、必要となる能力もさまざまです。ここでは、人事業務に携わるうえで重要な能力について紹介していきます。必ずしもすべての能力がハイレベルにそろっている必要はありませんが、これらの能力をブラッシュアップしていけば、人事担当者としての活躍が期待できるでしょう。人事を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
コミュニケーション能力
人事はその名の通り、「ヒト」に関わるあらゆる業務に携わります。従業員だけでなく、求職者や外部講師など、社外の人と関わる機会も多いため、はじめて会う人とも円滑なコミュニケーションを取ることができると良いでしょう。また、人事戦略の策定に関わるようになってくると、経営層とのコミュニケーションも発生します。新入社員や一般社員だけでなく幅広い層の社員と対話できる能力も必要になるでしょう。
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プレゼンテーションスキル
会社説明会や、研修プログラムの実施など、人事担当者は多くの人の前で分かりやすく話を展開させなければいけないシーンが多くあります。魅力が伝わりやすいように熱意を持って話すことができたり、難しい内容でもかみ砕いて説明できるプレゼンテーションスキルがあれば活躍することができるでしょう。
▽プレゼンテーション能力に関して、さらに詳しく知りたい方はこちらもご確認ください。
プレゼンテーションが得意になる!構成から話し方まで解説します
観察力
多くの応募者の中から採用者を選出したり、業務適性を見極めて人材配置を検討したりするためには、鋭い観察眼が必要になります。また、社内で人間関係や労働環境に関する問題が起きていないか、その火種となるものはないかなど、隅々まで気を配る必要もあります。人や環境の変化に気づく力や、噂などに流されず、自分の目で見た情報から的確な分析を行える力が必要です。
情報収集力
副業解禁といった働き方の多様化やテレワークの増加など、近年人事まわりのトレンドはめまぐるしく変化しています。労働人口が年々減少していく中で、これらの変化に臨機応変な対応をしていくことが、より優秀な人材の確保にもつながるため、情報感度の高さはとても重要です。自らの手で情報を取りに行く好奇心や、「あたりまえ」に囚われない広い視野を持っていると、人事戦略や魅力的な組織づくりに貢献することができるでしょう。
事務処理能力
人事にも、人事戦略のプレゼン資料、会社説明会の資料、研修資料など、期日までに見やすいレイアウトで資料を作成しなければいけない機会はたくさんあります。また、給与計算や社会保険手続きのように、ミスなくデータ入力を行ったり、書類に記入したりしなければいけないシーンも多くあります。あらかじめスムーズなパソコン操作を行えるようにしておくと配属後の負担を大きく軽減することにつながります。
人事に役立つ資格試験を紹介!
人事領域の勉強を進めていくうえで「目標が見えた方が継続しやすい」という場合は、資格の取得を目指すのもひとつの手です。ここでは、人事業務に携わるうえで役立つ資格試験を6つ紹介したいと思います。実務経験なしで応募を検討している場合や、今もっている知識を深めたい場合には、ぜひ受験を検討してみてください。
人事総務検定
人事総務検定とは、人事に関する知識を深めたり、実務能力を高めたりするための資格試験です。3級は「一般社員レベル」、2級は「主任レベル」、1級は「課長レベル」の知識が出題範囲となっているため、学びたいレベルに合わせて学習・受験することが可能です。また、社会保険労務士の試験と重複する箇所も多いため、「いずれは社会保険労務士の資格取得を目指している」という場合は、基礎を固める足がかりにもなるでしょう。
ビジネスキャリア検定
ビジネスキャリア検定とは、厚生労働省が定めている「職業能力評価基準」に準拠した資格試験で、「自社の人事体制が整っていないので、一般的な人事のやり方を知りたい」という場合におすすめです。3級・2級は、人事・人材開発分野と労務管理分野で試験が分かれているため、それぞれ自分が目指している領域を選択して受験する必要があります。1級では全ての領域が出題範囲となるため、より包括的な知識や実務能力を身につけてから受験すると良いでしょう。
マイナンバー実務検定
マイナンバー実務検定とは、マイナンバーを正しく取り扱うための知識を身につけることを目的とした試験です。3級は日常生活で活用できるレベル、2級はビジネスパーソンとして適切に取り扱えるレベル、1級では高度な法知識を理解したうえで、行政機関や金融機関といった特殊な取扱いにも対応できるレベルとされています。そのため、人事担当者としての取得を目指すのであれば、2級以上の取得を目指すのがおすすめです。将来的にマイナンバーは、年金手続きや各種手当の受給手続きといった、あらゆるシーンでの活用が予測されるため、人事担当者として理解を深めておいて損はないでしょう。
ビジネスコンプライアンス検定
ビジネスコンプライアンス検定とは、法的な知識を身につけ、健全な価値判断基準を高めることで、社会的な要請に適応していくことを目的とした資格試験です。試験は「BASIC」「初級」「上級」と分かれており、人事以外の一般社員であれば「BASIC」、人事の一般社員や各部署のリーダーであれば「初級」、人事の役職者や経営幹部、経営者であれば「上級」が妥当なレベルになります。年々、コンプライアンスに対する意識は高まってきており、不用意な言動によって企業全体の社会的信用を失墜させるケースも後をたたないため、検定を通して理解を深めておくのも良いでしょう。
MOS
MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)とは、ワード・エクセル・パワーポイントといった、オフィスソフトの活用スキルを証明することができる資格試験です。人事に限らずさまざまな分野で役立ち、世界的に行われている試験でもあるため、認知度が高く受験者も多い資格となっています。ワード・エクセル・アクセスは「一般レベル」と「上級レベル」に試験が分かれていますが、実務で活用できるレベルを目指す場合には、データの取り込みや分析が試験範囲に含まれる「上級レベル」がおすすめです。
社会保険労務士
社会保険労務士試験とは、労働法や社会保険のスペシャリストである「社会保険労務士」になるための資格が得られる国家試験です。受験するためには、「学歴」「実務経験」「所定試験の合格」といった条件をそろえる必要があるため、誰でも受験できるわけではありませんが、労務分野でキャリア形成を目指している場合は、資格を得ることでかなり業務の幅を広げることができるでしょう。実務未経験の場合は、まず組織の中で関連業務の経験を積むところから始めてみましょう。
人事の勉強に役立つ本を紹介!
人事の知識を深めたいけど試験はあまり気が乗らない・・・という場合は、人事関連の本を読むことでも知識を身につけることが可能です。わかりやすく図解されている本や、誰もが知っている有名企業の戦略が綴られている本など、人事の勉強に役立つ本はたくさんあります。ここでは、人事分野の学習やスキル習得にピッタリな本を5冊紹介したいと思います。本を読むことで、さまざまな組織の考え方に触れることができるため、興味があればぜひ読んでみてください。
人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。
『人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。』は、人事分野の基礎的な知識や、日常業務、大事にすべき価値観やマインドが丁寧にかかれており、「人事の赤本」とも呼ばれています。網羅的な内容になっているため、これから人事担当者として経験を重ねる方や、自分の担当業務以外の人事業務も知りたい、という方にはおすすめの一冊です。同シリーズで、入門編とステップアップ編も出版されているため、併せて読んでみても良いでしょう。
図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
『図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ』は、人材マネジメントにおける基礎知識を広く体系的に学びたい場合におすすめです。100ツボ全部をおさえても良し、気になるツボだけおさえても良しというように、各チャプターがわかりやすく整理された状態でまとめられています。また、ポイントになるところや、文章だけでは理解しづらいところは図解して表現されているため、ストレスなく読み進めることができるでしょう。実在する企業の実践例についても掲載されているため、理論だけで終わらず現実も知ることができる点がおすすめです。
▽この書籍の著者である坪谷邦生氏にご登壇いただいた際のイベントレポートはこちら!
採用に強い会社は何をしているか
『採用に強い会社は何をしているか』は、実際の企業事例を挙げながら「採用活動を成功させるためにはどうしたらいいのか」について学習することができる本になっています。採用活動の原理原則について52社の実例を交えながら書かれているため、イメージがしやすく、知識をしっかりと身につけることができます。採用活動の教科書としても使えるような内容になっているため、採用活動で思うような成果が得られない方や、採用活動にはじめて携わる方におすすめです。
ワーク・ルールズ! 君の生き方とリーダーシップを変える
『ワーク・ルールズ! 君の生き方とリーダーシップを変える』は、Googleの元人事担当上級副社長ラズロ・ボック氏による著書で、自身がGoogleでつくりあげた人事制度・体制について詳しく綴られています。従業員がワクワクできる組織とはどんな組織なのか、人事に関する不満を減らすために何をすべきなのかなど、人事共通の悩みに対するヒントが多く掲載されています。特に、人事制度の権限を持つ役職者にはおすすめの一冊です。「最高の職場」と称されるGoogleがいかにしてつくりあげられたのか、興味がある人はぜひ読んでみてください。
NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く
『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』は、NETFLIXを躍進させた企業文化や人事制度について書かれた本で、著者はNETFLIXの元最高人事責任者マッコード・パティ氏です。内容はかなり奇抜ですが、これまでの常識にはとらわれない人事戦略の発想に触れることができる一冊です。スタートアップでこれから人事制度をつくっていくという方、組織体制の改革に取り組む方にはおすすめです。
まとめ
人事分野の勉強手段として資格試験や本の紹介をしてきましたが、机上の空論だけでは上手くいかないこともたくさんあります。外側から理解するのと、内側で実際に体感するのとでは大きく異なるため、人事を目指している場合は、早めに実務環境に飛び込んでみることをおすすめします。また、身近な人事関係者に直接話を聞いてみるのもよいでしょう。理論ではないリアルな本音を聞くことができるかもしれません。
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