#人材採用
2024/07/29

採用戦略とは?戦略の立て方やフレームワークと中小企業・スタートアップ・新卒採用でのポイントを解説

目次

採用戦略とは、企業が自社の求める人材を採用するために立てる戦略のことで、「いつ、どのような施策で、どのような人材を採用するのか」という採用活動の軸を決定することを指します。

採用戦略は、企業において重要な経営資源の1つである「人」を、継続的にかつ優秀な人材を確保するために必要なもので、企業の採用難や人材不足を乗り越えるために必要不可欠です。

この記事では、採用戦略が必要な理由、採用戦略を立てるメリット、採用戦略の立て方、新卒採用戦略と中途採用戦略や大企業と中小企業とスタートアップ企業など企業規模や職種別での採用戦略の考え方、採用戦略のフレームワークについて解説します。

採用戦略に必要な人材データを一元管理

採用戦略とは

採用戦略とは、企業が自社の求める人材を採用するために立てる戦略のことで、「いつ、どのような施策で、どのような人材を採用するのか」という採用活動の軸を決定することを指します。

採用戦略は、企業において重要な経営資源の1つである「人」を、継続的にかつ優秀な人材を確保するために必要なものです。

また採用戦略は、人材が不足した時に採用戦略を立てるような短期的な計画ではなく、5年10年を見据えた経営戦略に基づいた長期的な視点を持つことが大切です。

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採用戦略が必要な理由

採用戦略は、採用チームだけでなく、組織全体が「採用の軸」であるという共通認識を作り出すのに必要です。

企業の成長にもっとも大切なのは「人材」ですが、日本では少子高齢化による労働人口の減少が深刻化しています。

厚生労働省の「人材開発政策の現状と課題、今後の見通しについて」での人口推移のデータによると、2018年に総人口12,644万人、高齢化率28.1%だったのに対して、2065年には総人口9,000万人、高齢化率38%台の水準になると言われています。

今後さらに人材の採用は難しくなるため、いかに必要な人材を雇用し、定着させるかが重要な経営課題の1つだと言えます。

そして、労働人口の減少が深刻化している厳しい状況の中だからこそ、採用活動は組織全体を巻き込んだ取り組みが求められています。

具体的に「いつ、どのような施策で、どのような人材を採用するのか」といった採用の軸と、共通認識が必要になります。

逆に、採用戦略がなく「とりあえず求人広告を出せば良い」「採用に向けてPR活動をしよう」というような、場当たり的な採用活動を続けていると、組織全体が目指すべき採用の考え方が定まらなくなってしまい、「企業がどのような人材を求めているのかが良く分からない」「採用できても入社後のミスマッチで早期離職が増える」といった状況が発生してしまうため、組織全体で採用に関わる軸を作る採用戦略が必要です。

(参考)厚生労働省「人材開発政策の現状と課題、今後の見通しについて

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採用戦略を立てるメリット

採用戦略を立てるメリットについて確認してみましょう。

採用戦略を立てるメリット

  • 組織力の強化

  • 採用活動の効率化

  • 組織全体での採用課題への意識の高まり

組織力の強化

採用戦略を立てるメリットとして、「組織力の強化」があげられます。

採用戦略のもと、優秀な人材を確保するためには、企業全体で「そもそもどのような人材が欲しいのか?」「人材採用により解決したい課題は何か」という自社の状況や、採用戦略を把握し、価値観を共有することが必要になります。

また採用戦略を立てることで、従業員の採用や育成に対する意識が高まり、組織力の強化につながります。

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採用活動の効率化

採用戦略を立てるメリットとして、「採用活動の効率化」があげられます。

採用戦略を立てることで、自社の状況が明確になり、最適な採用方法やターゲット設定ができるため、採用コストの削減や最適化が可能になり、採用活動の効率化が望めます。

また採用戦略によって、「自社が求める人物像」が明確になることで、マッチングの精度が高まり、採用のミスマッチや早期退職を防ぐことができます。

組織全体での採用課題への意識の高まり

採用戦略を立てるメリットとして、「組織全体での採用課題への意識の高まり」があげられます。

採用戦略を立てることで、欲しい人材のイメージが具体的になり、実施するべき施策も見えてきます。

実施した施策から、応募してきた人材の人数や経歴、年齢や性別、書類選考通過率、採用できた人数など、あらゆるデータを分析します。

さらに分析結果から、「この採用施策だと〇〇な人材からの応募が多い」「どの採用施策が最適なのか」などの採用課題が明確になり、採用活動の効率化にもつながります。

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採用戦略の変化

新型コロナウィルス感染症拡大以降、採用戦略も大きく変化しています。

従来の「対面式」の採用活動から一変し、リモートワークを始め、オンライン面接やZOOMによる会社説明会などの、「オンライン」での採用手法が主流になりました。

エン・ジャパンの「454社に聞く!『オンライン面接』実態調査」によると、オンライン面接の方針について、半数以上の企業がオンライン面接の活用や継続に前向きだと分かりました。

オンラインを活用する事は採用戦略において、必要不可欠な要素だと言えます。

(参考)エン・ジャパン「454社に聞く!『オンライン面接』実態調査

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採用戦略の立て方

採用戦略の立て方について確認してみましょう。

採用戦略の立て方

  1. 採用ペルソナを設定する
  2. 採用計画スケジュールを立てる
  3. 採用手法を決定する
  4. 採用後のフォロー

採用ペルソナを設定する

採用戦略の立て方の1つ目は、「採用ペルソナを設定する」ことです。

どのような人材を採用したいのか、人柄や考え方といったパーソナリティや、保有資格や実務経験などのスキルや経験を決めます。

例えば「業界経験5年以上、10人以上のマネジメント経験あり。将来〇〇の仕事をしたいと考える30代」のように具体的に設定します。

しかし、求める条件が細かすぎるのは要注意です。

まずは絶対に外せない「MUST条件」と、必須ではないがあると望ましい「WANT条件」を分けて考えると良いでしょう。

採用したいターゲットがうまく決められない場合は、「組織内で活躍している従業員が自社に入社する前はどのような状態だったか?」を想定する方法がおすすめです。

実在する人物なので直接アンケートも取りやすく、将来活躍する人物像が浮かびやすくなります。

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採用計画スケジュールを立てる

採用戦略の立て方の2つ目は、「採用計画スケジュールを立てる」ことです。

採用者のペルソナが決定したら、次にスケジュールを立てます。

短期的な計画では、「いつまでにどれくらいの人員が必要なのか」「退職者や休職者がいつ出るのか」について各部署にヒアリングをします。

一方、中長期的な計画では、「いつ新規プロジェクトが始動するのか」「売上予想額」「人件費」など、必要な人員と予算をもとに、慎重にスケジュールを立てます。

採用期間の目安として、役職を持たない一般職は2ヶ月以上、幹部クラスの人材は最低でも1年以上掛かると考えると良いでしょう。

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採用手法の決定

採用戦略の立て方の3つ目は、「採用手法を決定する」ことです。

何を活用して採用活動を進めるのかを決定します。

採用手法

  • 求人広告

  • 人材紹介

  • 合同企業説明会

  • リファラル採用

  • ダイレクトリクルーティング

  • オウンドメディアリクルーティング

  • インターンシップ(新卒採用が主)

採用したい人材が、新卒か中途なのか、必要なスキルや経験など、どのような人材を求めているかによって、おすすめの採用手法が異なります。

ターゲットや採用に掛けられる予算、スケジュールに合わせて最適な採用手法を決定するようにしましょう。

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採用後のフォロー

採用戦略の立て方の4つ目は、「採用手法を決定する」ことです。

無事に採用活動が進み、新人社員が決まった後は採用後のフォローを行います。

新しい職場環境に慣れるまでストレスを感じる新人社員は多く、離職する可能性が高いからです。

フォローの内容としては、新人社員にメンターを付けてフォローアップする、入社後は1ヶ月おきに面談して不安点を聞き出す、などがあげられます。

また、上司との1対1で行う「1on1ミーティング」を実施するのも良いでしょう。

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OJTを成功に導く方法

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採用戦略の企業規模や職種別での考え方

採用戦略は、企業規模、新卒、中途採用、職種などで異なります。それぞれの採用戦略での考え方について確認してみましょう。

大手企業の採用戦略

大企業が採用戦略を成功させるためには、いかに企業と人材の採用マッチング率を上げるかが大切です。

大企業はネームバリューがあり、福利厚生も整っている企業が多いため、志望する求職者も多いです。

しかし母集団形成ができるメリットがある反面、「大企業だから応募してみた」という志望度が低い求職者も多いと言われているため、膨大な応募者の中から、志望度が高く、優秀な人材をふるい分けられるかがポイントになります。

大企業では、学歴や経験による「足切り」が一般的な方法ですが、最近では従業員が自身の友人を紹介する「リファラル採用」が注目されています。

自社の従業員の知人や友人であれば、属性や考え方が近い傾向にあるため、マッチング度が高いと言われています。

またリファラル採用では、転職サイトへの掲載料や、人材紹介への紹介料といった多額の採用コストは必要ありません。

従業員の紹介によって採用活動ができるので、長期的に見た時に採用コストの削減にもつながります。

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中小企業の採用戦略

中小企業が採用戦略を成功させるためには、自社の存在を求職者に知ってもらう事が大切です。

中小企業庁の「中小企業白書」によると、中小企業の採用活動はハローワークや知人の紹介など、アナログな方法が多いと言われています。

しかし最近の求職者は、若い世代を中心にWEBを活用した求職活動が一般的です。

まずは若い世代の利用率が高い転職サイトを活用する、自社のホームページを更新して情報を発信すると良いでしょう。

(参考)中小企業庁「中小企業白書

スタートアップ企業の採用戦略

スタートアップ企業が採用戦略を成功させるためには、採用コストを抑えつつ採用マッチング度が高い人材に直接アプローチすることが大切です。

スタートアップ企業で注目されている採用方法として、「リファラル採用」と、欲しい人材に直接アプローチできる「ダイレクトリクルーティング」があげられます。

リファラル採用やダイレクトリクルーティングは、転職サイトや人材紹介会社を利用するより低コストで確度が高い求職者にアプローチできると言われています。

新卒採用戦略

大卒の新卒採用戦略を成功させるためには、大学4年生を対象とするだけではなく、もっと早い段階での活動に取り組むようにしましょう。

近年の新卒採用の傾向として、就職活動の前倒しが顕著なため、就職意識が高い大学生なら、大学1年生の時点でインターンシップや会社説明会に参加しています。

企業側も優秀な学生を採用するために、早期に就活イベントを開催する企業が増えています。

中途採用戦略

中途採用戦略を成功させるためには、まず欲しい人材に合わせた採用媒体を選ぶことが重要です。

中途採用は新卒採用とは違い、過去に就業したスキルや経験を持っています。

転職サイトや人材紹介会社と言っても、サービス、金融、外資、医療、介護など、強みを持つ業界や職種はさまざまだからです。

採用手法には、SNSを活用するソーシャルリクルーティングや、オウンドメディアリクルーティングなど数多くありますが、中途採用を進めるにはまず、適切な採用媒体を選ぶことがおすすめです。

採用戦略に活用されるフレームワーク

採用戦略を立てる際に活用されるフレームワークについて確認してみましょう。

3C分析

採用での3C分析とは、採用市場における自社の立ち位置を分析し、採用活動の成功を目指すことです。

3C分析の3Cとは、マーケティングの基本的な考え方の「Company(自社)」「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」であり、採用戦略においても採用に置き換えて活用されています。

▼「3C分析」についてさらに詳しく
3C分析とは?実施する目的ややり方をテンプレート付きで解説

SWOT分析

SWOT分析は、経営やマーケティングの分析によく使用される分析方法ですが、採用戦略にも活用されます。

SWOT分析のSWOTとは、内部環境の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」と、外部環境の「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を指し、内部を自社、外部を競合他社や転職市場に当てはめて活用されます。

▼「SWOT分析」についてさらに詳しく
SWOT分析

ペルソナ

採用戦略でのペルソナとは、採用したい人材像を明確にしたものを指し、スキルや経験、人柄などを、1人の人物をイメージできるほど具体的にします。

ペルソナを明確化することで、どのような人材を採用したいのかの共通認識ができるため、採用のミスマッチや早期離職防止に効果が期待できます。

4C分析

4C分析とは、マーケティングの用語で「Customer Value(顧客にとっての価値)」「Cost(顧客の負担)」「Convenience(入手の容易性)」「Communication(コミュニケーション)」を表します。

採用戦略での4C分析とは、求職者が「自社に入社するメリット」「入社した時にどんなデメリットがあるのか」を採用活動に当てはめて考えます。

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採用戦略は企業の人材確保に必要不可欠

採用戦略とは、企業が自社の求める人材を採用するために立てる戦略のことで、「いつ、どのような施策で、どのような人材を採用するのか」という採用活動の軸を決定することを指します。

採用戦略を立てる事は、企業の採用難や人材不足を乗り越えるために必要不可欠です。

採用戦略では、単純に人材が退職したから募集をかけるというような短期的な計画ではなく、組織や経営戦略を巻き込んだ長期的な目線での考え方が望ましいでしょう。

「HRBrain タレントマネジメント」は、自社の優秀人材の抽出や人材データの見える化を通して、採用戦略の立案に必要な採用ペルソナの作成や、採用後のサポートや人材育成までの従業員ひとりひとりのデータを、シンプルで使いやすく見える化します。

さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

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運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

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データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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HR大学編集部
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