#人材管理
2024/08/21

タレントマネジメント導入のメリットとデメリットを解説

目次

タレントマネジメントを社内に導入するにあたって、どのようなメリットとデメリットが想定されるでしょうか。

タレントマネジメントの運用を成功させるためには、あらかじめメリットとデメリットをしっかりと把握しておくことが大切です。

今回は、タレントマネジメントとタレントマネジメントシステムの基本に触れながら、導入メリットとデメリットについて確認してみましょう。

タレントマネジメントの目的とは?

タレントマネジメントは、従業員のもつ能力を効率的に発揮するために、人材におけるさまざまな観点でマネジメントすることを指し、主な導入目的としては、適切な人材配置があげられます。

その他にも、従業員のもつ才能や素質を引き出したり、事業におけるリーダー候補の輩出、優秀人材の採用と流出を防ぐ目的でタレントマネジメントを実施する企業もあります。

タレントマネジメントが注目される背景には、人材がもつ価値観の多様化や、労働市場の変化などがあげられます。

働き方改革や、ひとりひとりの働きがいを優先する考えが浸透しているため、従業員1人1人に目を向ける、タレントマネジメントが注目されています。

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【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントのメリットについて確認してみましょう。

タレントマネジメントには、主に5つのメリットがあげられます。

  • 人材とチームの能力向上

  • 人材育成の活性化

  • 人材代謝の促進

  • 明確な採用基準の確立

  • エンゲージメントの向上

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

タレントマネジメントのメリット1:人材とチームの能力向上

タレントマネジメントのメリット1つ目は「人材とチームの能力向上」です。

タレントマネジメントによって、従業員のデータを把握することができるようになることで、従業員ひとりひとりの、「今後伸ばしていくべき能力」や、「足りていないスキルを埋めるために必要なこと」を明確にすることができるでしょう。

このように、タレントマネジメントは従業員ひとりひとりのすべき施策を明確にできるため、人材単位の能力向上と、チーム全体の能力向上が期待できます。

そして能力の向上を通じ、新たな事業の立ち上げにつながる可能性もあるでしょう。

タレントマネジメントは、従業員だけでなく企業目線でのメリットも期待できる施策といえます。

タレントマネジメントのメリット2:人材育成の活性化

タレントマネジメントのメリット2つ目は「人材育成の活性化」です。

企業を動かす重要な財産である人材を、より効率的に育成できるのがタレントマネジメントのメリットです。

タレントマネジメントは、従業員の能力や適性を可視化できるため、従業員ひとりひとりに合わせた人材育成や、より実践に基づいた育成が可能になります。

また、育成データの蓄積により、引き継ぎや新たな育成プランの立案がしやすくなるのもメリットです。

タレントマネジメントのメリット3:人材代謝の促進

タレントマネジメントのメリット3つ目は「人材代謝の促進」です。

ここでいう「代謝」とは、人材の流動のことで、優秀な人材を確保しつつ、自社に適していない人材を整理することをさします。

タレントマネジメントを実施することで、自社に適した人材の確保と整理がより正確に行えるでしょう。人材のもつスキルや経験が重要視される市場へと変化したなか、人材の代謝の促進は重要な観点といえます。

タレントマネジメントのメリット4:明確な採用基準の立案

タレントマネジメントのメリット4つ目は「明確な採用基準の立案」です。

タレントマネジメントには、自社の採用基準を確立する効果も期待できます。

人材代謝により明確になった、自社に適した人材の活動や成果をベースに、採用基準を立案

したり、自社に適性のない人材の特徴を把握して、採用基準を見直す際にも役立つでしょう。

タレントマネジメントのメリット5:エンゲージメントの向上

タレントマネジメントのメリット5つ目は「エンゲージメントの向上」です。

タレントマネジメントによって、従業員ひとりひとりの適材適所を実現することができます。

そのため、従業員は働きがいのあると感じられる環境で仕事ができ、業務や企業への満足感が高まりやすくなるでしょう。

このように、従業員のエンゲージメントが向上することを通して、企業は以下のメリットも得ることができるでしょう。

  • 離職率の低下

  • 定着率の向上

  • ワークライフバランスの実現

特に、働き方改革や、リモートワークなどの就業形態の多様化によって、適材適所の人材配置や、在宅でも、適切な評価ができるタレントマネジメントによって、エンゲージメントの向上を図ることが大切になってきています。

タレントマネジメントのデメリット

タレントマネジメントのデメリットについて確認してみましょう。

タレントマネジメントには、主に3つのデメリットがあげられます。

  • 従業員の理解を得るのにコストがかかる

  • 実施目的が具体化しづらい

  • 人材情報の「収集・管理・活用」に関するネックがある

それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。

タレントマネジメントのデメリットを把握することは、タレントマネジメントを成功させるために重要な観点になります。

タレントマネジメントのデメリット1:従業員の理解を得るのにコストがかかる

タレントマネジメントのデメリット1つ目は「従業員の理解を得るのにコストがかかる」ことです。

タレントマネジメントの実施には、従業員への周知や、理解を得ることが必要不可欠です。

従業員によっては、スキルや能力をランク付けされているように感じ、居心地の悪さを覚えてしまう場合があります。

そのため、タレントマネジメントは、経営陣の独断で進めても、施策としての定着は期待できません。

あくまでも、対象となるのは従業員のため、従業員への周知と理解の重要性は、しっかり把握しておきましょう。

タレントマネジメントのデメリット2:実施目的が具体化しづらい

タレントマネジメントのデメリット2つ目は「実施目的が具体化しづらい」ことです。

タレントマネジメントに対して、漠然としたイメージしか持てていない従業員も多いため、タレントマネジメントを実施することによって得られる具体的な成果や、自分がすべきことを明確にできなければ、施策としての浸透は期待できません。

また、実施目的が明確になっていない場合、タレントマネジメントの導入そのものが目的化してしまう場合もあります。

なぜ、タレントマネジメントを実施するのか、目的を具体化したうえで進めることを忘れないよう注意しましょう。

タレントマネジメントのデメリット3:人材情報の「収集・管理・活用」に関するネックがある

タレントマネジメントのデメリット3つ目は「人材情報の『収集・管理・活用』に関するネックがある」ことです。

タレントマネジメントと、人材情報は非常に密接な関係があります。

しかし、人材情報の「収集・管理・活用」には、ネックが多いのも事実です。

例えば、人材情報を適切かつ確実に吸い上げる手段や時間を確保できない場合があります。また、情報を収集できても、管理体制を構築できず、社内でうまく情報管理ができないケースや、集めた人材情報を活用しきれないケースも少なくありません。

情報を基にした課題を可視化しきれず、ただ情報を収集しただけになってしまう場合や、課題や対策の可視化に時間がかかってしまうこともあります。

このようにタレントマネジメントには、人材情報に関するネックがある点も注意しておかなければなりません。

タレントマネジメントシステムの導入目的とは?

タレントマネジメントシステムは、タレントマネジメントの実施をサポートし、より確実にタレントマネジメントを導入するために用いられるツールです。

タレントマネジメントシステムでは、主に以下のことを実施することができます。

  • スキル検索

  • プロフィール検索

  • レポート

  • 分析

  • コンピテンシー管理

  • 育成計画

  • 目標管理

  • 後継者管理

人的リソースを確保して上記を実施することが難しい場合は、タレントマネジメントシステムの導入を検討してください。

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タレントマネジメントシステム導入のメリット

タレントマネジメントシステムを導入することのメリットについて確認してみましょう。

タレントマネジメントシステムには、主に4つのメリットがあげられます。

  • 人材データを効率的に把握できる

  • 人材配置を最適化できる

  • 人材育成をより計画的に進められる

  • 人材発掘につながる

それぞれの項目について、詳しく解説します。

タレントマネジメントシステム導入のメリット1:人材データを効率的に把握できる

タレントマネジメントシステムのメリット1つ目は「人材データを効率的に把握できる」ことです。

企業に在籍する人材のデータを、より確実に可視化し、把握できるのがタレントマネジメントシステムのメリットです。

また、人材データの収集や管理など、タレントマネジメントにおけるデメリットを解消することもできます。

また、「アンケート機能」が備わっているため、企業にとって有益な情報を従業員から回収できるのもメリットです。

タレントマネジメントシステム導入のメリット2:人材配置を最適化できる

タレントマネジメントシステムのメリット2つ目は「人材配置を最適化できる」ことです。

タレントマネジメントシステムの多くには、スキルやプロフィールを検索できる「検索機能」が実装されています。

これにより、経営戦略やプロジェクトに応じて適した人材を選出し、配置することが可能です。

また、従業員の能力や経歴を把握し、現在取り組んでいる業務とのマッチ度を図ることができます。

このように、人の目だけでは把握しきれない人材の能力や魅力を、ツールを通じて理解することができるでしょう。

タレントマネジメントシステム導入のメリット3:人材育成をより計画的に進められる

タレントマネジメントシステムのメリット3つ目は「人材育成をより計画的に進められる」ことです。

タレントマネジメントシステムに実装されている「育成計画機能」で、より客観的かつ確実性のある育成計画を立案できます。ツールで可視化することで、従業員の成長を効率的に促すことが可能です。

また、後継者管理機能により、プロジェクトリーダーにふさわしい人材を輩出できます。

企業としての核を担う戦略を、適性のある人材に任せられるのは企業にとっても大きなメリットです。

タレントマネジメントシステム導入のメリット4:人材発掘につながる

タレントマネジメントシステムのメリット4つ目は「人材発掘につながる」ことです。

タレントマネジメントシステムには、人材がもつ潜在スキルを発掘する効果があります。

配置により活かしきれていなかった才能の発掘にもつながるため、適材適所の実現にも貢献します。

タレントマネジメントシステムで、従業員自身が気づけていない自分の能力に気付けるのもメリットです。

また、「人材の配置」や「人材育成の最適化」のためにも、タレントマネジメントシステムを通じての人材発掘は着目しておくべき観点です。

タレントマネジメントシステム導入のデメリット

タレントマネジメントシステムを導入することのメリットについて確認してみましょう。

タレントマネジメントシステムの導入や、運用開始までに時間やコストがかかってしまったり、導入をしても、運用しきれないままでいる企業も少なくありません。

タレントマネジメントシステムを成功させるために必要な観点なので、ぜひ参考にしてください。

タレントマネジメントシステムには、主に3つのデメリットがあげられます。

  • 導入にコストがかかる

  • 運用までに時間がかかる

  • うまく運用しきれない場合がある

タレントマネジメントシステム導入のデメリット1:導入にコストがかかる

タレントマネジメントシステムのデメリット1つ目は「導入にコストがかかる」ことです。

タレントマネジメントシステムは、導入におけるさまざまなコストが発生します。
システムを購入する際に発生する初期費用はもちろん、月額費用などのランニングコストも該当します。

予算によってはシステムの導入費用により影響を受ける企業も多いでしょう。

しかし、タレントマネジメントを実施するうえでは、システムの導入は必須と考える企業も少なくありません。

人的リソースだけでタレントマネジメントを実施しようとしても、計画倒れになってしまう可能性があるためです。タレントマネジメントの実施を検討しているのであれば、やはりシステムの導入は欠かせません。

費用がネックになっている場合は、初期費用を抑えられるクラウド型がおすすめです。

社内にサーバーを設置するオンプレミス型もありますが、こちらはクラウド型と比べて初期費用が高めです。

クラウド型も月額費用はかかりますが、最新の機能を活用できるメリットがあります。

タレントマネジメントシステム導入のデメリット2:運用までに時間がかかる

タレントマネジメントシステムのデメリット2つ目は「運用までに時間がかかる」ことです。

タレントマネジメントシステムは、導入しただけで終わりではありません。

導入後は、人材情報の入力や登録などの作業が発生します。

人材情報を手作業で入力するのは、非常に時間がかかるため、決してよい手段とはいえません。

タレントマネジメントシステムを導入する際は、従業員が自分で情報を入力できるものや、従業員から集めたアンケートをそのまま反映させられるシステムを選ぶのもおすすめです。

また、タレントマネジメントシステムの導入にあたり、企業方針を大きく変えることもあるため、企業ルールの改訂が求められることもあります。

場合によっては、0から新しいルールを作る必要性も出てくるため、運用開始までに時間がかかるかもしれません。

ルールが変わることで従業員の企業に対する思いや、モチベーションが変化するリスクもあります。

タレントマネジメントシステム導入のデメリット3:うまく運用しきれない場合がある

タレントマネジメントシステムのデメリット3つ目は「うまく運用しきれない場合がある」ことです。

時間と費用をかけてタレントマネジメントシステムを導入しても、効果的に運用できていなければ意味がありません。

従業員や管理職のスケジュールを、圧迫してしまうケースもあります。

タレントマネジメントシステムの導入で、かえって業務負荷が増えてしまっては本末転倒です。

情報の収集・共有・活用がうまく実施できていない企業も多いでしょう。

また、導入したシステムを担当者が使いこなせない場合もあります。

従業員はもちろん、企業全体でシステムを使えるようにならなければ、タレントマネジメントの導入には至らないでしょう。

タレントマネジメントシステムを効率的かつ確実に運用するためには、あらかじめ導入後に目を向けておくことが大切です。

タレントマネジメントシステムのようなツールに強い人材の育成に力を入れたり、採用を進めたりしましょう。

また、導入後にアフターサポートが利用できるシステムを導入するようにしましょう。

タレントマネジメントシステム導入事例

タレントマネジメントシステムの導入事例について確認してみましょう。

タレントマネジメントシステム導入事例:株式会社東京インテリア家具

株式会社東京インテリア家具は、家具やインテリア用品の開発・販売を通じて、豊かな住まいづくりのサポートや、「日本の住環境向上」の提案などを行っています。

評価や配置転換の時期になると、必要な情報を探し出すのに苦労しており、人材抜擢などの重要度の高い人事業務にかける時間が少なくなっていたことに、課題を感じていました。

課題

  • 従業員データを紙やエクセルで管理しており、情報を探して取りまとめることに時間がかかっていた

  • 経験や勘、マンパワーではなく、事実データをもとにした戦略人事実現のために、人事データベースの確立が急務だった

課題解決のカギ

  • 散らばっていたデータをシステム上で一元管理、端末さえあれば即時に人材データを活用できる環境に

システムの担当によるサポートが手厚いタレントマネジメントシステム「HRBrain」を導入。

以前は、オフィスの中で該当書類を探すところから始めていた社員情報管理でしたが、散らばっていた情報を「HRBrain」に集約したことで、端末さえあれば即時に人材データを活用できる環境になりました。

タレントマネジメント導入効果

  • 人材情報が可視化され、組織開発や配置転換計画利用できる戦略人事の土壌が整ってきた

  • 人材データ環境の整備が進み、「女性活躍推進」の一環として、女性の管理職登用の一歩を踏み出せた

  • 店舗別・年代別の管理や店舗ごとの人件費の確認など、社員情報管理が格段に効率化した

導入システム
HRBrain タレントマネジメント

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導入事例
戦略人事の第一歩として、女性管理職の抜擢。東京インテリア家具の取り組みと変化とは
株式会社東京インテリア家具 | 導入事例

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タレントマネジメントには、人材育成や配置、チーム全体のレベルアップなどさまざまな効果が期待できます。

さらに、タレントマネジメントシステムを導入して、タレントマネジメントを実施することで、より効率的なタレントマネジメントを実現することができるでしょう。

ただし、従業員の理解を得るのにコストがかかることや、実施目的の具体化や人材情報の管理が困難なことや、システム導入にかかる費用や、運用に関するネックがあることも覚えておきましょう。

タレントマネジメントシステムの基本的な機能と活用のメリットと合わせて、実際にタレントマネジメントシステムを導入した際の、活用ステップや導入後の効果について、しっかりと把握し、自社のタレントマネジメントを成功させましょう。

株式会社HRBrain 中野 太朗
中野 太朗
  • ISO30414リードコンサルタント/アセッサー

  • ビジネス統括本部 エンタープライズセールス

新卒で大手総合人材サービス会社にて新卒採用のコンサルティング営業に従事し、スタートアップ〜ナショナルクライアントまで数百社を担当。2023年にHRBrainに入社。上場企業中心に組織診断サーベイ、タレントマネジメント等を提案。

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