バリューチェーン分析とは?目的や分析方法、人材マネジメントへの活用法も解説
- バリューチェーンとは
- バリューチェーンの意味
- バリューチェーンとサプライチェーンとの違い
- バリューチェーン分析の目的
- コストが把握できる
- 自社の強み・弱みが整理できる
- 競合のバリューを分析できる
- 経営戦略や事業戦略として活用
- バリューチェーン分析方法
- バリューチェーンの洗い出し
- コスト把握
- 強み・弱み分析
- VRIO分析
- 人事におけるバリューチェーン
- 人材マネジメントバリューチェーンとは
- 人事制度見直しへの活用
- 【まとめ】人材マネジメントをカンタン・シンプルに
バリューチェーンとは
バリューチェーンとは、製品やサービスを顧客に提供する過程で、どこにどんなコストがかかり、どんな価値を生み出しているかを分析するためのフレームワークのことです。
バリューチェーンの意味
「バリュー」は価値や値打ちといった意味を持ちます。「チェーン」は鎖や連鎖という意味です。バリューチェーンは「価値の連鎖」を意味し、製品が顧客のもとに届くまでの工程で、どこに価値を生み出しているかを見る手法ということです。
バリューチェーンとサプライチェーンとの違い
バリューチェーンと似た言葉で「サプライチェーン」という言葉があります。サプライチェーンとは「供給連鎖」とも言われ、原材料から顧客に届くまでの流れを示す言葉です。
このサプライチェーンを管理し、製品の開発や製造、販売を最適化する手法をサプライチェーンマネジメントと呼びます。
バリューチェーン分析の目的
バリューチェーン分析の目的は、どの工程にコストがかかり、どの工程で高い価値が生み出されているかを分析し、経営戦略や事業戦略に活かすことを目的としています。
ここからは、バリューチェーン分析で得られる事象をご紹介します。
コストが把握できる
バリューチェーン分析によって、どの工程で、どのくらいのコストがかかっているかを把握することができます。無駄なコストが浮き彫りになるため、コスト削減を実施する際に効果的です。
たとえば、製品の配送に使っている費用を細かく分析して不要なコストがないか分析したり、どこに広告費が使われているかを把握したりと、細かく分析することで各工程にかかるコストが浮き彫りになります。
自社の強み・弱みが整理できる
各工程で提供できている価値を分析することで、自社の強みや弱みが見えてきます。その強みと弱みを整理し「どこに重点を置くか」「どこを改善していくか」など、今後の経営指針を決める一つの指標にできます。
競合のバリューを分析できる
競合のバリューチェーンを分析することで「競合の強みはどこに生まれているのか」「競合と差別化を図るところはどこなのか」がわかります。そして、その分析結果を元に、競合が次にどう動くのかを予測することができます。競合パリューを分析し、それに対して自社の強みを整理することで、今後の戦略を組み立てることが可能になります。
経営戦略や事業戦略として活用
バリューチェーン分析でコストを把握し、強み・弱みを分析することで、精度の高い情報が集まり、今後の戦略へ活用する事ができます。分析結果によっては、今後の展開を大きく左右することもあるでしょう。
バリューチェーン分析方法
バリューチェーン分析は次の手順で行います。
- バリューチェーンの洗い出し
- コスト把握
- 強み・弱み分析
- VRIO分析
それぞれ具体例を交えて解説します。
バリューチェーンの洗い出し
バリューチェーンの洗い出しとは、自社の活動をできるだけ細かく洗い出しする作業です。活動は「主活動」と「支援活動」に分けて洗い出しを行います。
主活動
主活動は、主に利益に直結する活動です。たとえば、以下のような活動をいいます。
商品企画
仕入
店舗運営
集客
販売
アフターサービス
このように商品が顧客に届くまでの工程を洗い出します。
支援活動
支援稼働は主活動をサポートする活動です。たとえば、以下のような活動をいいます。
資金調達
人材育成
インフラ
このように利益には直結しないものの、必要不可欠な活動を洗い出します。
コスト把握
洗い出しが終わったら、活動ごとにかかっているコストを表などにまとめて把握できるようにします。
たとえば
商品企画:600万円・商品企画部
販売:1,000万円・販売部
など部署ごとに年間費用などあらゆる面のコストを分析します。
コストが下げられそうなところが見えてきたら、その工程をピックアップして、さらに分析を行うという手順です。
強み・弱み分析
強み・弱みの分析とは、洗い出した活動に対して「強み」と「弱み」の意見を集める分析方法です。意見は、社内の従業員からできるだけ多くもらうことを意識しましょう。
たとえば、5人に「自社の強みと弱みを教えてください」と聞けば、5人とも別々の意見がでてくるでしょう。
これはそれぞれの見ている情報や、思っていることが違うためです。できるだけ多くの意見を聞くことで、強み・弱みが浮き彫りになり、バリューチェーン分析の精度が上がっていきます。
VRIO分析
VRIO(ヴァリオ)分析とは
価値(Value):その活動は経営目標の達成に有効か
希少性(Rareness):その活動は希少性があるか
模倣可能性(Imitability):その活動はマネされにくいか
組織(Organization):その活動が最大限に活かすことができる組織作りができているか
上記4つの視点から洗い出した活動を分析することです。
強み・弱み分析での情報を加味したうえでVRIO分析を行うことで、改善する項目の優先順位を明らかにできます。
人事におけるバリューチェーン
人事戦略においてもバリューチェーンの手法が活用できます。実際に慶應義塾大学大学院準教授の小杉俊哉氏によって提示された「人材マネジメントバリューチェーン」と呼ばれる手法です。
人材マネジメントバリューチェーンとは
人材マネジメントバリューチェーンとは、人材マネジメントに関する一連の価値の連鎖が、顧客や市場に向けた最終的な価値を創出して、企業に競争優位をもたらすという考え方です。
分析に使う工程は以下の通りです。
- ビジョン
- リーダーシップ
- 組織・人事戦略
- 人事制度・施策
- 従業員
このように従業員を最終工程として、人事におけるバリューチェーン分析を行っていきます。結果的に従業員の育成が市場や顧客に影響をするという考え方です。
人事制度見直しへの活用
人材マネジメントバリューチェーンは、人事制度の見直しにも活用が可能です。
そもそも人事制度は、ビジョンを実現するための組織のあり方や、人物像を明確にすることで、自社に合った人事制度が構築できます。人材マネジメントバリューチェーンに連なるすべての要素を見直し、その方向性を揃えれば、自社に適した人事制度が構築しやすくなります。そして最後に位置する従業員のモチベーションアップやスキルアップに繋がっていくということです。
【まとめ】人材マネジメントをカンタン・シンプルに
バリューチェーン分析は自社がどこに価値提供されているかを分析することで、自社の強みと弱みを明らかにする手法です。
人事マネジメントにおいてもバリューチェーンを活用することで人事評価の改善にも役立ちます。人材マネジメントバリューチェーンを用いて従業員の育成・評価を見直してみてはいかがでしょうか。
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