#労務管理
2024/08/15

【実践編】職務分掌の作成から活用法を具体例をもとに徹底解説

目次

職務分掌とは

職務分掌とは

職務分掌の意味、作り方など基本をおさらいしましょう。

そもそも職務分掌とは

職務毎の業務内容や権限を明確化させる制度である職務分掌。業務を担当する部署やチーム、担当者の仕事内容を明確にすると、組織運営の円滑化や人材育成の効率化が期待できるのです。
職務分掌で定めた内容を就業規則のように「職務分掌規定」として文章化し、社内に公表する企業が多いのも特徴です。

職務分掌について、メリット/デメリットなどさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
関連記事:職務分掌とは?メリット/デメリット・作成方法と注意点まで徹底解説

職務分掌の作り方

職務分掌は以下の手順に沿って作ります。

  • STEP1:職務分掌を作る目的を定める

  • STEP2:組織図をもとに組織全体の部署/職務を確認する

  • STEP3:事業責任者にヒアリングし、たたきを作成する

  • STEP4:経営陣や一般社員を巻き込んでチェックをする

職務分掌を有効活用する上で一番大事なのは、まず初めに職務分掌を作成する目的を定めることです。

まず職務分掌が必要になった経緯や、職務を明確化することで、どんな課題を解決したいのかがあるはずです。

例えば、業務の重複とムダをなくすのが目的だとします。部署の責任者に業務内容を聞くより、直接業務の担当者にヒアリングした方が細かい部分を把握できるので、業務の重複が発覚しやすいでしょう。

職務分掌の作り方は上記のような手順ですが、「職務分掌を作っただけでおしまい」を避けるためにも、目的に沿って作成しましょう。

職務分掌がないなら誰が作るべき?

職務分掌は大企業のように従業員数が多い会社を中心に人気が集まっています。

一方、自社に職務分掌がない会社は、中小企業やベンチャー企業に多く見られます。また若い会社も多いので、イレギュラーな業務が多く、事業の軌道修正のために職務の変更が発生しやすいためです。

職務分掌を作成する人として最適なのは、人事部の管理職以上が良いでしょう。職務分掌は各職務の役割や権限を取りまとめるものなので、従業員を管理する人が適任です。

職務分掌の作成段階におけるポイント

職務分掌の作成段階におけるポイント

職務分掌を作成するには経営層から一般社員と、視点を分けて考えることが大切です。

  • ポイント1:組織図を作成する

職務分掌の作成には、部署・職務単位まで細分化した組織図が必要です。
すでに組織図がある企業なら、その組織図に「事業所(支店)」「部署」「チーム」など組織単位が別れていること、職務別に細分化されてあるかを確認してください。
職務別に区切られている組織図であれば、その組織図をもとに職務分掌を作成します。
職務分掌を作成する際、もし組織図がなければチェックがしにくいので、この機会に作成するのがベストです。

  • ポイント2:詳細な権限を決める

権限の振り分けをする際は曖昧な内容ではなく、実務レベルまで詳細に規定するのが重要です。
例えば、部署内の横領や不正防止に効果的な権限の振り分けモデルを考えてみましょう。
請求書や契約書の作成者と稟議決裁者が1人だけで承認がされてしまうと、チェックできる人間がいないため、不正リスクが高くなります。
経理部には請求書の作成。法務部には契約書の内容。会計部門には銀行への振り込みなど、部署が異なる別の担当者に権限を振り分けた方が不正防止に効果的です。

  • ポイント3:社内でヒアリングをする

職務分掌は従業員へアンケート・ヒアリング形式で職務内容をまとめる方法が一般的です。
しかし社内アンケートでとった職務内容が曖昧であるほど、業務の押し付け合いや責任逃れの言い訳になるリスクが高まります。
例えば、オフィスで使う備品の発注業務は庶務ではなく、経理部や営業部と言った管理部門全体で行うとします。万が一、発注ミスが起きた場合、誰の責任か曖昧になってしまうでしょう。
この機会にどの職務の担当者が具体的にどんな仕事を担当するのかを決めておくのがベストです。すれ違いが起きないよう、直接ヒアリングをしてすり合わせをおこなうと良いでしょう。

なぜ職務分掌を作成するのかの理由や目的を、社長を含む経営陣からのアナウンスをしてもらってからだと、納得感を得やすく進めやすいです。次章で導入する際の具体的な方法について解説しているので、ぜひ参考にしてください。
社内アンケートの方法や本音を引き出すコツについては、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:【人事基礎編】社内アンケートとは?本音を引き出すコツを解説

職務分掌の使い方のポイント

職務分掌の使い方のポイント

職務分掌が作成できたら、実際に導入していきます。
ここからは職務分掌を社内全体に浸透させて、効果を発揮するために必要な考え方や、やるべきことを解説します。

導入の流れ

職務分掌を導入する企業は以下の手順を参考にしてください。

  • STEP1:まずは試験的に期間とゴールを決めて始める

  • STEP2:1で決めた内容を経営陣から社内全体にアナウンスをしてもらう

  • STEP3:定点観測を行い、理想とギャップを埋める

特に初めて職務分掌を導入する企業は、必ず社長を含む経営陣を巻き込んでください。人事部が主導となって職務分掌を執り行うにしても、事業所から一般社員レベルまで認知させるには、強力な旗振り役が必要なのです。

職務分掌の目的とこれから業務がどう変わるのか、社長号令のもと、アナウンスをしてもらいましょう。

職務分掌を浸透させる方法

職務分掌の周知には社長からのアナウンスが必須。職務分掌で規定した責任と権限を浸透させるには、ブラッシュアップが必要不可欠です。
職務分掌で規定した内容で業務を進めても、円滑に進まず指揮系統が硬直してしまうケースも珍しくありません。
職務分掌を発足してから業務の増減や人員問題が出てくると予想されるので、コンセンサスを取りつつ、ギャップ差を埋めてください。
この時のヒアリング対象は、各部署の管理職だけではなく一般社員の意見を聞くのがポイントです。
まずは試験的に職務分掌を進める事を前提に、目安として職務分掌の浸透までに3カ月の期間を想定すると良いでしょう。

人材育成における職務分掌の活用事例

人材育成における職務分掌の活用事例

職務分掌が人材育成にどう活用できるのか、具体的な事例を2つご紹介します。

事例1:従業員の業務効率とモチベーションアップ

職務分掌を導入したことにより、従業員の業務効率やモチベーションアップに改善した事例をご紹介します。

事例の企業は、従業員数500人以上のメーカー業です。職務分掌は自分の職務が明確になるため、やるべきことに集中して取り組めるようになりました。また、評価者側からも「どんな目標を設定すると良いか」と具体的な育成プランを立てやすくなるので、指示もスムーズになりました。
目標管理については 「OKR、目標の設定はできたけど、実際の流れは?1週間の運用例」と 「相対評価と絶対評価の比較。両者の特徴と人事に求められること」で詳しく解説しているのでご確認ください。

また、目標管理の基本であるOKRを網羅的に学びたい方のために 「OKR入門書」をご用意いたしました。ぜひご活用ください。

事例2:コミュニケーションの活性化

従業員間のコミュニケーション活性化に繋がった事例をご紹介します。
事例の企業は、従業員数300人以上のサービス業です。事業が急成長するに伴い必要な業務量が増えたため、職務分掌を作成し業務の可視化と重複防止を目指していました。

作成した職務分掌には、求められる職務の行動が例示的で分かりやすく記載されていました。その職務分掌をもとに部下が自己採点をおこない、上司がチェックする形にすることで、コミュニケーションツールとしても活用されるようになりました。

【まとめ】職務分掌による人材育成をカンタン・シンプルに

職務分掌の作成から活用方法までを解説しました。
職務分掌を作成する際は、経営陣や各部署、一般社員とあらゆる人員との協力が必要不可欠です。
上手く活用すれば、人材育成や組織の健全化と良い効果も期待できます。
しかし独善的に作成したり、ヒアリングや定点観測を曖昧に進めたりすると、逆効果になるため注意してください。

職務分掌の実施前後は特に、従業員の状態を把握すると良いでしょう。

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「職務分掌をスムーズに実行するため、各部署と人材をリンクした管理がしたい」
「職務分掌の実行後、従業員の適性や評価、目標管理を適切に管理したい」
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HR大学編集部
HR大学 編集部

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