ナレッジマネジメントとは?目的や手法と成功事例をわかりやすく解説
- ナレッジマネジメントとは
- ナレッジマネジメントのナレッジとは
- ナレッジマネジメントに必要なノウハウとは
- ナレッジマネジメントが注目される背景
- 人材の流動化とドメインナレッジ
- 事業のグローバル化と人材の多様化
- クラウドデータベースの進化
- ナレッジマネジメントの手順
- ナレッジの蓄積
- ノウハウの蓄積
- マニュアル化
- 社内展開
- ナレッジマネジメントのメリット
- 社内情報をいつでも入手することができる
- 社内情報のセンターファイル化ができる
- 部門を超えた情報の共有ができる
- ナレッジマネジメントのデメリット
- 継続した管理が必要
- 運用コストがかかる
- ナレッジマネジメント導入の成功事例と失敗事例
- ナレッジマネジメントの成功事例:改善事例を共有し生産性をあげた企業
- ナレッジマネジメントの成功事例:看護や研修やコンサル現場での効果
- ナレッジマネジメントの失敗事例
- ナレッジマネジメントの書籍
- ナレッジ・マネジメント5つの方法 : 課題解決のための「知」の共有
- 知識経営のすすめ-ナレッジマネジメントとその時代
- ナレッジマネジメントの傾向
- ナレッジマネジメントは人材の流動性の激しい現代だからこそ必要
ナレッジマネジメントとは、従業員が持つ「知識」や「ノウハウ」を、社内全体に共有し活用することで、「生産性の向上」「技術革新」「新規事業開発」「事業改善」「人材育成の効率化」などを図る経営手法です。
情報が企業の成長を左右する時代には、ナレッジマネジメントを活用し、情報やノウハウをデータベース管理し、社内で共有する仕組みが必要です。
この記事では、ナレッジマネジメントの意味や目的、ナレッジマネジメントの手法や管理方法、導入事例について解説します。
従業員のスキルやノウハウなどのデータの一元管理に
ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、従業員が持つ「知識」や「ノウハウ」を、社内全体に共有し活用することで、「生産性の向上」「技術革新」「新規事業開発」「事業改善」「人材育成の効率化」などを図る経営手法です。
ナレッジマネジメントは、英語で「Knowledge Management」と表記され、頭文字を取って「KM」と呼ばれることもあります。
ナレッジマネジメントを実施し、社内全体で情報やノウハウをデータベース管理し共有することで、知的資産を有効活用し、企業の競争力や企業価値の向上が可能になります。
▼「生産性」についてさらに詳しく
生産性とは?意味や向上させる方法と高めるための施策事例を解説
ナレッジマネジメントのナレッジとは
ナレッジとは、英語で「knowledge」と表記され、「知識」「情報」を意味します。
例えば、月別の入退社者一覧や過去の評価履歴などもナレッジの1つです。
さらに、商談記録や人事面談記録などの実際に起こったことや経験もナレッジに含まれます。
▼「ナレッジ」についてさらに詳しく
ナレッジとは?ノウハウとの違いやマネジメントへの活用方法を解説
ナレッジマネジメントに必要なノウハウとは
従業員が突然退社してしまい、「あの業務はどうやっていたのか」という問題が発生する場合がありますが、この「どうやって」や「どのようにして」がノウハウ(know-how)にあたります。
「know」は「知る」「理解する」という意味で、「how」は「やり方」「方法」という意味です。
ノウハウは、業務そのものであり、将来に価値を生む情報です。
ナレッジマネジメントとは、ナレッジ(過去の知識)と、ノウハウ(将来の知恵)を融合させる仕組みです。
ナレッジマネジメントが注目される背景
ナレッジマネジメントが注目されている背景について確認してみましょう。
ナレッジマネジメントが注目される背景
- 人材の流動化とドメインナレッジ
- 事業のグローバル化と人材の多様化
- クラウドデータベースの進化
人材の流動化とドメインナレッジ
終身雇用制度が崩壊し、専門的な知識を持った従業員の入れ替わりが激しくなりました。
例えば、人事評価と教育を担当してきた社員が、やっと一人前になったという時に転職してしまうなどです。
そのため、専門的な知識である「ドメインナレッジ」を社内に財産として蓄積して保管することが求められるようになりました。
事業のグローバル化と人材の多様化
1990年代に、一橋大学の野中郁次郎氏と竹内弘高氏らが提唱した、ナレッジマネジメントの核となるフレームワークである「SECI(セキ)モデル」によって、ナレッジマネジメントが注目されました。
SECIモデルとは、個人が持つ知識や経験などの「暗黙知」を組織全体で共有する「形式知」としていくためのフレームワークです。
SECIとは暗黙知から形式知へ、そして形式知から暗黙知へと変換するための4つの循環するプロセスである「共同化 (Socialization)」「表出化 (Externalization)」「連結化(Combination)」「内面化(Internalization)」 の頭文字を取ったものです。
SECIモデルは一時的なブームで終わりましたが、近年のグローバル化と人材の多様化が進む中で、日本人同士は暗黙知のコミュニケーションを取る傾向がありますが、海外では通用しないという問題が発生してきました。
そこで、暗黙知を形式知として共有するナレッジマネジメントの必要性が改めて高まってきました。
(参考)「知識創造企業」(野中郁次郎・竹内弘高・著)
クラウドデータベースの進化
ナレッジマネジメントの必要性は高まるものの、データベースの構築や、専門的スキル、導入コストが大きな壁となっていました。
それを変えたのがクラウドデータベースの進化です。
クラウドとはネットワークを介してソフトウェアを利用する仕組みで、自社でデータベースを構築せずに、ベンダーが提供しているシステムを選択することで、簡単にデータベースを導入することができます。
システムの有用性と導入の簡易性を背景に、ナレッジマネジメントが注目されています。
ナレッジマネジメントの手順
ナレッジマネジメントを実施する際の手順について確認してみましょう。
ナレッジマネジメントの手順
- ナレッジの蓄積
- ノウハウの蓄積
- マニュアル化
- 社内展開
ナレッジの蓄積
ナレッジマネジメントの手順の1つ目は「ナレッジの蓄積」です。
ナレッジをデジタル化し、データベースにため、検索できるように分類タグのルールなどを決めて、蓄積していきます。
ノウハウの蓄積
ナレッジマネジメントの手順の2つ目は「ノウハウの蓄積」です。
ノウハウを可視化し言語化するプロセスです。
情報には「形式知」と「暗黙知」がありますが、ノウハウは暗黙知が大半です。
例えば、採用面談のチェックシートは形式知ですが、どう会話を進めるべきかは暗黙知です。
ノウハウを蓄積する際は、暗黙知を言語化することが大切です。
マニュアル化
ナレッジマネジメントの手順の3つ目は「マニュアル化」です。
蓄積したナレッジとノウハウを使って「手順」として確立するプロセスです。
例えば、採用面談では、ノウハウの中から良い会話のステップを選びます。
そのステップにチェック項目を追加することで、面接マニュアルを作成します。
社内展開
ナレッジマネジメントの手順の4つ目は「社内展開」です。
社内情報には、機密も含まれることから、社内展開をする際に、アクセス権限は慎重に検討するようにしましょう。
ナレッジマネジメントは、「ナレッジの蓄積」「ノウハウの蓄積」「マニュアル化」「社内展開」のプロセスでPDCAを繰り返すことで実施されます。
▼「PDCA」についてさらに詳しく
PDCAサイクルとは?基本のやり方と時代遅れと言われる理由を解説
ナレッジマネジメントのメリット
ナレッジマネジメントのメリットについて確認してみましょう。
ナレッジマネジメントのメリット
社内情報をいつでも入手することができる
社内情報のセンターファイル化ができる
部門を超えた情報の共有ができる
社内情報をいつでも入手することができる
ナレッジマネジメントのメリットは「社内情報をいつでも入手することができる」ことです。
例えば、顧客先からでも社内情報を閲覧し顧客サービスの向上につなげることができます。
ナレッジマネジメントを導入する際は、情報を誰がどのように使うかを検討しておくようにしましょう。
社内情報のセンターファイル化ができる
ナレッジマネジメントのメリットは「社内情報のセンターファイル化ができる」ことです。
「ここにある情報がオフィシャルの情報です」と宣言することで、社内情報を統一することができます。
情報の更新履歴やバージョン管理をするようにしましょう。
部門を超えた情報の共有ができる
ナレッジマネジメントのメリットは「部門を超えた情報の共有ができる」ことです。
良い事例などを全社で共有することで、新たなアイデアや価値を生み出すことができます。
広く社内で使える仕組みを作るようにしましょう。
ナレッジマネジメントのデメリット
ナレッジマネジメントのデメリットについて確認してみましょう。
ナレッジマネジメントのデメリット
継続した管理が必要
運用コストがかかる
継続した管理が必要
社内のデータが増えるにつれ、管理工数が増えていきます。
放っておくと、何が最新で正確な情報なのかが分からなくなってしまい、信ぴょう性が損なわれてしまいます。
運用コストがかかる
ナレッジマネジメントのデメリットは「運用コストがかかる」ことです。
社内でデータベースを構築してもベンダーを使用しても、運用コストがかかります。
目的にそったシステムを検討しコストとのバランスを検討しましょう。
ナレッジマネジメント導入の成功事例と失敗事例
ナレッジマネジメントの成功事例と失敗事例について確認してみましょう。
ナレッジマネジメントの成功事例:改善事例を共有し生産性をあげた企業
ダイキン工業株式会社では、90ヶ所を超える海外生産拠点で、各拠点の取組みや優れた改善事例を水平展開しています。
ダイキンのナレッジマネジメントは、「他の拠点がどのような改善活動をしているのかを知りたい」「共有してほしい」という現場の声から始まりました。
現場のニーズに応えるシステム構築がナレッジマネジメントの定着につながっています。
また、各言語への対応が壁でしたが、今では自動翻訳システムが進み各言語への対応が可能になっています。
ナレッジマネジメントの成功事例:看護や研修やコンサル現場での効果
ナレッジマネジメントは、看護や研修、コンサルティングなど経験を積むことでしかスキルを得られなかった分野でも効果を発揮しています。
例えば、看護の現場では、実際に患者に接して感じたことを記録し、実行したことやその結果を「ケース記録」としてナレッジデータベースで共有しています。
暗黙知を言語化し共有することで、業務の質の向上や若手の人材育成につなげている良い
事例です。
(参考)会津大学短期大学部産業情報学科経営情報コース「これからの病院経営~福島県立病院を事例として~」
▼「人材育成」についてさらに詳しく
人材育成とは?何をやるの?基本的考え方と具体的な企画方法を解説
経営戦略と連動した人材育成
⇒「失敗しない人材育成ハンドブック」資料ダウンロード
ナレッジマネジメントの失敗事例
ナレッジマネジメントの失敗には、ソフト面とハード面での失敗があります。
ソフト面では、ナレッジマネジメントを活用する側の従業員が目的を理解できず、ナレッジマネジメントが社内に定着しないことです。
ハード面では、データベースの操作が難しすぎる問題があります。
従業員全員がパソコンに精通しているとは限りません。
ソフト面とハード面のどちらも現場を無視したことによる設計段階での失敗が多いです。
ナレッジマネジメント成功のポイントは、設計する側と使う側のバランスをはかることだと言えます。
ナレッジマネジメントの書籍
ナレッジマネジメントについて学ぶ際におすすめの書籍について確認してみましょう。
ナレッジ・マネジメント5つの方法 : 課題解決のための「知」の共有
「ナレッジ・マネジメント5つの方法 : 課題解決のための『知』の共有」は、事例を交えながら、ナレッジをためる側と使う側の視点で説明した著書です。
「ナレッジ・マネジメント5つの方法 : 課題解決のための『知』の共有」(ナンシー・M.ディクソン・著)
知識経営のすすめ-ナレッジマネジメントとその時代
「知識経営のすすめ-ナレッジマネジメントとその時代」は、企業経営における知識とは何か、知識をどう活用すれば良いかについて、事例を交えて説明した著書です。
「知識経営のすすめ-ナレッジマネジメントとその時代」(野中郁次郎・著)
ナレッジマネジメントの傾向
最新のナレッジマネジメントの傾向について確認してみましょう。
最新のナレッジマネジメントでは、暗黙知を言語化しデジタル化する作業が重要です。
この暗黙知をAIによって簡易にデジタル化する技術、さらには、暗黙知を検索するデータマイニング技術が進化しナレッジマネジメントは誰もが簡易に使える傾向にあります。
ナレッジマネジメントは人材の流動性の激しい現代だからこそ必要
ナレッジマネジメントとは、従業員が持つ「知識」や「ノウハウ」を、社内全体に共有し活用することで、「生産性の向上」「技術革新」「新規事業開発」「事業改善」「人材育成の効率化」などを図る経営手法です。
人材の流動化や、事業のグローバル化と人材の多様化が激しい現代において、ナレッジマネジメントの重要性は改めて見直されています。
ナレッジマネジメントでの大事なポイントは、継続的な運用です。
自社に合ったクラウドシステムを導入して、「ナレッジの蓄積」「ノウハウの蓄積」「マニュアル化」「社内展開」のプロセスでPDCAを繰り返して行くようにしましょう。
「HRBrain タレントマネジメント」は、従業員のひとりひとりのスキルやノウハウ、優秀人材の成功事例の共有など、ナレッジマネジメントに必要なデータを一元管理し可視化することが可能です。
さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。
HRBrain タレントマネジメントの特徴
検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現
運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。
柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を
従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。
人材データの見える化も柔軟で簡単に
データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。
▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
タレントマネジメントシステムの課題とは? 目的・導入の課題と成功事例まで
▼「タレントマネジメント」お役立ち資料まとめ
【人事担当者必見】タレントマネジメントに関するお役立ち資料まとめ