労働生産性とは?計算方式や上げる方法についてわかりやすく解説
- 労働生産性とは
- 生産性の定義
- 労働生産性の種類
- 労働生産性の計算式
- 物的労働生産性の計算式
- 付加価値労働生産性の計算式
- 人件費の計算式
- 労働生産性の高い企業の特徴
- 労働生産性の判定方法
- 労働生産性を上げるには
- 労働生産性を向上させるメリット
- 経済産業省の「経営力向上計画」の認定
- 労働生産性の向上は労働生産性の把握から
労働生産性の向上は、働き方改革の実施や、リモートワークの普及、深刻な人材不足などの影響から、企業にとって取り組むべき大きな課題の1つとなっています。
労働生産性を上げるために、まずは自社の労働生産性がどの程度なのか、それが適正な値なのかをきちんと把握することが大切です。
この記事では、労働生産性の計算方法や種類、労働生産性が適正かどうかを判定する方法、労働生産性を上げるためのポイントについて解説します。
労働生産性向上のためのデータを一元管理
労働生産性とは
労働生産性とは、労働人数あたり、もしくは労働時間あたりの成果のことで、労働者1人あたりもしくは労働量(労働時間)に対する「産出量の割合」です。
具体的には、売り上げ・利益・付加価値などの「成果」を、従業員数・時間あたりの労働量などの「労働投入量」で割ったものを指します。
労働生産性はさらに、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」に分かれます。
▼「日本の労働生産性」についてさらに詳しく
労働生産性は日本が先進国最低?現状や理由について理解しよう
生産性の定義
公益財団法人日本生産性本部は「生産性とは、生産諸要素の有効利用の度合いである」と定義しています。
物を作るために必要な、土地や設備、原料、人的コストを「投入」と呼びます。
投入によって生まれた、物や売上のことを「産出」と呼びます。
そして、投入に対してどれほどの産出が生まれたかの割合を「生産性」と言います。
(参考)公益財団法人日本生産性本部「生産性とは | 生産性運動について」
労働生産性の種類
労働生産性には、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類があります。
労働生産性の種類
物的労働生産性:成果に対しての「生産量」や「売上金額」のこと
付加価値労働生産性:成果に対しての「付加価値」のこと
労働生産性の計算式
労働生産性の計算式として、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」それぞれの計算式について確認してみましょう。
物的労働生産性の計算式
物的労働生産性は、労働生産性のうち、作物や製品の個数や重量を成果物として考えます。
物的労働生産性=生産量÷労働者数
従業員1人あたりの労働生産性を計算する場合は、「生産量÷労働者数」という式を用います。
労働者1人あたりの労働生産性を知りたい場合は労働者の人数で割り、1時間あたりの労働生産性を求めたい場合は、労働者の人数と労働時間をかけた値で割ります。
例えば、生産されたりんごが1万個で、労働者が500人の場合、労働者1人あたりの労働生産性はりんご20個分となります。
物的労働生産性は客観的に分かりやすいため、社外に示す資料などでは、物的労働生産性の値が用いられるのが一般的です。
付加価値労働生産性の計算式
付加価値労働生産性は、労働生産性のうち、付加価値を成果物として考えます。
「付加価値」とは、粗利と同じ意味で、付加価値労働生産性を計算する場合は、「付加価値÷労働投入量」という式を用います。
付加価値労働生産性=付加価値÷労働投入量
例えば、りんご1つを作るのに100円の原価がかかったとします。
そのリンゴを200円で売ったら、差額の100円が「付加価値」になります。
付加価値労働生産性からは、労働者が付加価値を生み出している「効率」を確認することができます。
人件費の計算式
付加価値はさらに、人件費・企業運営費・経常利益・減価償却費に分かれます。
人件費の計算は、付加価値から人件費以外の、企業運営費・経常利益・減価償却費の値を引いて計算します。
人件費の計算で注意しなければならないのは、人件費は給与や報酬だけではなく、社会保険料や会議費・接待交通費をはじめ、従業員にかかったすべての金額を指すため、計算の際には漏れがないようにしましょう。
労働生産性の高い企業の特徴
マサチューセッツ大学の研究によると、高い生産性を持つ組織には、次の2つの特徴があると言われています。
組織の構成員に高い社会的感受性を持った人がいる
社会的感受性とは、組織や社会の場において、他人の感情や要望を理解する能力のこと。この能力が高い人をチームリーダーや管理職に抜擢できるかが生産性向上の鍵と言えます。
組織の積極性に格差がない
誰かが率先して仕事をひきうけることで、他のメンバーが消極的で責任や仕事を請け負いたがらない体制は、効率が上がらない傾向にあると言われています。
組織の生産性を向上させるためには、当事者意識を持ち、自ら課題を見つけ積極的に取り組むスキルを向上させるよう、従業員の育成に取り組むのがよいでしょう。
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労働生産性の判定方法
現在の状況把握のためには、自社の労働生産性が適正かどうか判断することが必要です。
労働生産性が適正かどうかは、過去の労働生産性の値と比較してみましょう。
前年・前期と段階的に比較することで、労働生産性が向上しているかどうかを確かめることができます。
また、自社と似た事業を行っている競合他社の労働生産性を産出し、比較してみることも、1つの基準となります。
労働生産性の値は、会社の規模や業種、景気によっても異なるので、絶対的な基準値は存在しません。
自社でデータを比較して判定することが重要です。
労働生産性を上げるには
労働生産性を向上させる方法について、4つのポイントに分けて確認してみましょう。
投入資源を減らす
生産量は変わらなくても、事業の見直しや効率化によって、無駄なコストを減らす方法です。
成果を増やす
労働者の能力や値上げによって、投入は変わらなくても産出を増加させることができます。
規模の縮小
不採算部門の売却や人員削減により、投入と産出の両方を減らすことで、全体の産出を増やすことができます。
規模の拡大
部門増設や事業拡大によって投入を増やし、産出を上げていくことができます。
1の「投入資源を減らす」ことと、2の「成果を増やす」ことは、比較的簡単に施策を実施することができるでしょう。
▼「労働生産性を上げる方法」についてさらに詳しく
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労働生産性を向上させるメリット
労働生産性を向上させることで得られるメリットについて確認してみましょう。
労働生産性を向上することで、国から優遇措置を受けることができます。
経済産業省の「経営力向上計画」の認定
生産性向上に取り組んでいると認定された企業は、政府から優遇措置を受けることができます。
例えば、次のような法的優遇措置を受けることが可能です。
設備投資にかかる固定資産税が、3年間半額になる
中小企業経営強化税制との組み合わせにより、法人税と所得税について即時償却または取得価額の10%の税額控除を受けることができる
日本政策金融公庫からの設備資金の借入の際に、0.9%金利が引き下げられる
他にも、経営力向上計画が適切なものと認められることで、さまざまな恩恵を受けることができます。
(参考)経済産業省「経営力向上計画制度について」
労働生産性の向上は労働生産性の把握から
自社の労働生産性を上げるためには、まずは自社の労働生産性がどの程度なのか、前年比や競合比から適正数値なのか、自社の分析を始めることが大切です。
特に、労働生産性を上げるための施策はさまざまで、有名企業で成功した事例や、一般的に効果がると言われている施策でも、自社の状況に合わないものの場合は効果が感じられなかったり、場合によっては逆効果になってしまう場合もあります。
まずは、しっかり分析をして自社にとって最適な生産性向上施策は何かを検証するようにしましょう。
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また、タレントマネジメントを活用することで、適材適所の人材配置や、従業員のスキルに合わせた人材育成、従業員のタスク管理を通した業務プロセスの見える化、納得感のある人事評価などが可能になり、従業員のエンゲージメントを向上させることができます。
従業員エンゲージメントを向上させ、従業員ひとりひとりが「生産性」を意識することで、労働生産性を向上させることも可能になるでしょう。
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