カギは現場主導の組織改善。一人ひとりの社員体験を継続的に向上させる取り組みとは
株式会社博展 人事本部 人材マネジメント部 採用課 課長 / 組織開発課
早川 沙枝香 様
- メディア・エンタメ
- 301~1000名
- 従業員エンゲージメントを向上させたい
- 組織の課題把握・分析がしたい
- 組織診断サーベイ
HRBrain導入開始:2022年06月01日
カギは現場主導の組織改善。一人ひとりの社員体験を継続的に向上させる取り組みとは
- 課題背景
- 事業規模や働く環境の変化により、メンバーの状況把握の難易度が上昇した
- 人と組織における課題の優先順位付け~解決実行スピードを上げる必要があった
- 打ち手
- 社員体験を向上させるための組織診断サーベイ「EX Intelligence」を導入
- 現場主導の組織改善を実行するため、人事と各組織マネジャーで分析・改善MTGを実施
- 効果
- サーベイ結果から組織ごとの課題を抽出し、組織の状況に適した取り組みを実行できた
- 前回結果との推移比較により取り組みの効果を検証し、次へ繋げることができた
株式会社博展の人事本部 人材マネジメント部 採用課 課長 / 組織開発課の早川沙枝香様に、HRBrainの組織診断サーベイ EX Intelligence (以下、「EX Intelligence」)導入の経緯、具体的な活用方法、おすすめポイントを伺いました。
ー貴社の事業内容を教えてください。
早川様:
イベント、展示会、ショールーム等、人と人が出会う場・空間での企画、デザイン、制作、また時代に求められるデジタルソリューションを取り入れ、「体験」提供を通じた顧客のマーケティング課題解決を行っている会社です。
現在は「人と社会のコミュニケーションにココロを通わせ、未来へつなげる原動力をつくる」というパーパスを掲げ、持続可能な社会の実現に貢献していくとともに、さらなる企業価値向上に取り組んでおります。
社員数は、2022年3月末時点で単体368名、連結404名です。
マネジャーとメンバーが向き合うためのサポートツールとして導入
ー導入前に抱えていた人事課題を教えてください。
早川様:
導入のきっかけとなった人事課題は2つありました。
1つ目は当社が事業拡大に伴い社員数も400名を超えようとしており、組織ごとに抱える課題が異なる状況下で、全社一律の打ち手では難しいと感じていたこと、2つ目は、社員数が増える中、リモート勤務など働き方の多様化によって、本部長クラスのマネジャーから「メンバーの顔が見えづらい」という相談があったことでした。
そこで、人事として「マネジャーとメンバーが向き合うために組織状況を見える化し、改善に活かせるようなツールの導入の必要性」を強く感じました。
そこで着目したのが、従業員エクスペリエンス(※1)を可視化するHRBrainの組織診断サーベイ「EX Intelligence(※2)」です。
もともとは相談をくれたマネジャーの組織で、EX Intelligence活用のスモールスタートを行い、全社に広げていこうと考えていましたが、全体の組織状況が見えた方が、組織別の特徴も把握でき、改善の打ち手を講じやすいということで、経営会議を経て全社で一斉に取り組むことに。導入決定から1回目のサーベイ実施まではわずか1ヶ月程度で、スピード感を持ったスタートを切ることができました。
また当社が、イベントプロモーションやデジタルコンテンツなどの体験を創造する会社ということから、私個人的に「体験」に着目した「従業員エクスペリエンス」という考え方に興味を持っていました。
体験を生み出す会社だからこそ、社員には「活き活き働いてほしい」「もっとやりたいことに挑戦してほしい」など、働く上での「体験を高めたい」という想いもあり、様々な組織診断サーベイがある中でも「EX Intelligence」の導入を決定しました。
ー他システムと比べ、EX Intelligenceで印象に残っていることを教えてください。
早川様:
まずコンセプトに共感したことが印象に残っています。
先ほどの通り、もともと従業員エクスペリエンスという考え方に興味があって調べていたところ、EX Intelligenceのことも知りました。動画や資料を拝見して、自分が実現したい考え方に近いサービスだなという印象を持ったことが導入のきっかけです。
さらに担当の方からサービス説明を伺っていく中で、例えば「期待と実感を高い数値ですり合わせていくことが良い体験に繋がる」、「分析軸を切り替えながら、あらゆる属性ごとの体験の状況を可視化できる」など、サービスを駆使することで体験を向上させる道筋のイメージを沸かせることができました。
また、組織改善のキーマンは組織のマネジャーであり、マネジャー主導で活用できることが重要であると考えていたため、使いやすそうなUIであることも大きかったです。
実際にサービス検討段階で現場のマネジャーにもシステムに触れてもらい「操作も分かりやすく、設問項目の具体性も改善活動に活かしやすそうだ」とコメントをもらえたことが最終的な決め手となりました。
HRBrainのEX事業本部の皆様に、チームとして寄り添ってもらえた点も大変ありがたかったですね。
レスも非常に早く、サービスの使用方法のフォローから分析支援まで、各スペシャリストの方と共に進めることで、スピードとクオリティのバランスを取りながら進めることができています。
サーベイ結果をもとに各部署で改善施策を考えるなど、現場でも活用できるように
ーサーベイ実施後、導入前に抱えていた課題の解決状況はいかがですか。
早川様:
現在、2回目の実施を終えた段階です。1回目は改善のためのアクション設計、2回目はその結果を振り返るというサイクルを回しました。
1回目の際に「このポイントを解決することが部署のEXスコア®︎(※3)向上に繋がるのでは」と仮説を立てて行った施策に対して、2回目で「そのとおりの結果が出た」という成功体験を得ることができた点は大きな成果です。1回目の結果を受け止め、改善アクションを実行できた組織でスコア向上が見られました。
そういった意味では、課題は一部解決したと言えます。といっても、すべての部署で同様に行えたわけではないので、成功事例を共有しながらサーベイへの信頼度を高め、活用を推進している最中です。
ー具体的に、どのような用途に使用していますか。
早川様:
メインは、「現場の組織改善のために現場が使用する」という用途ですが、システムだけ用意しても現場での活用は進みません。そこで「サーベイ職場MTG」というサーベイと向き合う機会を人事主導で複数回設定しています。
初回は分析考察の場で、事前に各組織マネジャーに良い体験3つ、課題体験3つを抽出して結果に対する考察、解釈をワークシートに記入してきてもらい、互いに考察へレビューしあう機会としました。
次の回はアクションプラン共有の場で、事前に考えてきてもらった、
①組織のありたい姿
②それを実現するために高めるべき体験項目の設定
③体験項目を改善するためのアクション
の3点を発表し、初回同様、相互レビューを行いました。
隣の組織の課題や改善活動を知ることで自組織の参考にすること、相互に宣言し合うことで行動を確かなものにすることを狙いとしましたが、実際に活発に議論が起こり、サーベイ活用に向け、一歩前進ができたと感じています。
その場を経て、最終的には各マネジャーが自組織メンバーへサーベイ結果やアクションをFBするという流れになっています。現在も、サーベイ取得の度に継続的に「サーベイ職場MTG」を実施中です。
もう1つの用途は、全社横串の組織、人事施策のモニタリングの指標として活用しています。
この半年で、当社では「経営の考えをメンバー全員に浸透させていく」ためのロードショーという対話会アクションを行いましたが、その反応もサーベイ結果に表れていましたね。
現在は、目標管理制度の運営改善を人事主導で行っているので、目標設定スコアの数値向上を狙っています。また人事の活動はダイレクトに社員一人ひとりの体験に影響するので、人事部門の活動KPIをEXスコア®︎に設定することも画策しているところです。
定量的なスコアをもとに改善策を検討することで、アクションに自信が持てるようになった
ーEX Intelligenceの運用で「ここが変わった!」というポイントはありますか?
早川様:
体験の中で、どの分野・項目に課題があるのかを設定し、課題解決のために行った施策の結果がスコアにダイレクトに反映されるため、アクションに自信が持てるようになったことです。
これまで、経験と勘に基づくアクションが多く、それが大きく外れていることはありませんが、どうしてもPDCAを回しづらいと感じていました。クリエイティブワークを行うという事業特性もあり「論理」よりも「感性」にウェイトを置く傾向もありまして。
今回サーベイを実施し、なんとなく分かっていたことが数値として表れたことで、感性に裏付が生まれ、話が具体化されていく手ごたえがありました。
「想定通り、この項目は高いけど、この項目は低いよね。高めるためにこんなことにトライしてみよう」「トライした結果、多少のスコア改善はあったけど、まだまだ足りない」など、スコアを明らかにしたことが大きなポイントとなり、社員の改善取り組みへの真剣度が向上したように思います。
数字としてスコアが出てくるため、「言い訳ができない」点は厳しいといえます。しかし、目に見える数字を指標としながら継続的な活動をしていくことで組織改善の質とスピードが上がり社員体験が向上することで、組織にとっても社員にとっても良い状況が生まれ、相互エンゲージメントが高まっていくと考えます。
ー経営や現場から、どのような反響がありましたか。
早川様:
あるマネジャーから「自組織は目標設定のスコアが低く、課題感を持っている。もし目標設定スコアが高い部署があれば、その部署の取り組みを学びたい。紹介してもらえないか」といった相談がありました。自身の部署の課題が明らかになったからこそ「改善していきたい」という自発的なアクションが生まれた事例です。
その他にも「サーベイ結果について職場メンバーと会話することで、メンバーの組織運営への当事者意識が進んだ」といった声をもらいましたね。
「カルチャーへ共感した人が集まる組織」が最終目標
ー4月から、タレントマネジメント「HRBrain」の運用も開始されます。今後の展望として、サーベイとタレントマネジメントシステムを活用してどのようなことを実現していきたいとお考えですか。
早川様:
率直なところ、まだリンクできているとは言えません。タレントマネジメントシステムを導入した目下の目的は、目標設定の徹底を図りたかったからです。
他のサービスも比較しましたが、HRBrainのシステムが一番使いやすいと感じました。
連携は今後のフェーズですが、展望としては、EX Intelligenceと評価結果を連携させて「目標設定のスコアが高かった部署は、評価シートをどう活用しているのか」などの分析をしていきたいです。
ーHRBrainの活用を通して、最終的にどのような会社にしていきたいとお考えでしょうか。
早川様:
社員の体験を最大限高め、ユニークなカルチャーをつくることです。
労働集約型ビジネスの当社においては、人の成長が会社の成長にダイレクトに直結するため、社員が最大の資本です。またボトムアップ型の風土であるため、社員一人ひとりの体験を向上させることこそが事業継続、拡大する上でのキーアクションとなります。
現在、当社は人の魅力や職の魅力スコアは高いのですが、キャリアに関するスコアは改善が必要な状況です。
短期的にはいい体験ができているけれど、長期的にはいい体験を創り出せていない。この点を改善し、持続的に共成長していけるような会社にしたいですね。
「いい体験ができる会社だから博展で仕事を続ける」と感じる人が集まるコミュニティのような存在だといいなと思っています。そのためにも会社のコアの考え方があり、そこに共感した人が集い、会社と一人ひとりの期待と実感がすり合っている状態をつくっていけたらと思っています。
ー組織改善にお悩みの他社のご担当者様に、アドバイスがあればお伺いさせてください。
早川様:
導入の目的は各社違うかと思いますが、目的を果たすための仕組みづくりとそれを動かす担当者の本気度が肝だと考えています。
当社の場合は、現場主導の組織改善の実行が目的であるため、実際にアクションを起こすのは組織のマネジャーが主となります。日々業務で多忙を極めるマネジャーが運用できる状態にするための仕組みづくりや働きかけを粘り強く行うことで一歩ずつ前に進めている最中です。
まだまだ駆け出しで、運用課題も多い状況ですが、HRBrainチームの皆様のお力添えもいただきながら、活動を継続していきたいと考えています。
※掲載内容は、記事公開の2023年5月時点のものです。