従業員に寄り添うサーベイ運用。 2,000名規模の組織改善の取り組みとは
はるやま商事株式会社 はるやま商事株式会社 人事部 係長
葛野 博紀 様
- 卸売・小売業
- 1001名~
- 評価の納得度を向上させたい
- 従業員エンゲージメントを向上させたい
- 組織の課題把握・分析がしたい
- 組織診断サーベイ
HRBrain導入開始:2023年06月01日
従業員に寄り添うサーベイ運用。 2,000名規模の組織改善の取り組みとは
- 課題背景
- コロナ禍に入って業績が下降し、離職者が増えていった
- 他社のエンゲージメントサーベイを導入していたが結果が見づらく、読み解きにくい課題があった
- 打ち手
- 課題の分析や人事評価などに活用するために「EX Intelligence」を導入
- システムを円滑に利用できるように、勉強会を個別に実施した
- 効果
- 結果が読み解きやすくなった
- 具体的なアクションプランを立てて全社に浸透させていくことができた
- 信憑性の高いサーベイ結果が出たため、マネージャークラスの従業員のサーベイへの関心が高まった
Q. 「はるやま商事株式会社」の事業内容を教えてください。
葛野様:
メンズ・レディースの、「はるやま」「HAL SUIT」「P.S.FA(パーフェクトスーツファクトリー)」「フォーエル」「TRANS CONTINENTS」などファッションを通してライフスタイルを提案する企画開発型・専門店チェーンの経営をおこなっています。
従業員数は2,524名です。※パート・アルバイトを含む(2022年4月時点)
サーベイを上手く運用できていなかったため、「EX Intelligence」を導入
Q. 導入前に抱えていた人事課題を教えてください。
葛野様:
エンゲージメントサーベイを実施した背景には、2点ありました。
ひとつはコロナ禍に入って業界に対するお客様のニーズが変化し、業務上求められる内容が変化したことで離職者が多くなったこと。もうひとつは、役員から「エンゲージメントサーベイを実施したらどうか」という意見が出たことでした。
それまで従業員の声を集める機会がなかったこともあり、2021年の夏ごろに他社で初めてエンゲージメントサーベイを実施しました。
1回目のサーベイは、従業員のエンゲージメントを知るためのアンケートのような位置づけでした。
2回目は、当時のサーベイ会社の担当の方から当社の経営層に結果報告の機会を設けていただき、サーベイに関する勉強会も実施し、次は具体的なアクションを立て実行していくという段階まで進みました。
しかし、人事側でアクションプランの具体的な施策を立てることができず、当時のサーベイのシステムに触れる機会もないまま翌年も同様、進めることができないままでした。
当時の運用が難しかった理由として、各段階に障壁がありました。まず準備段階で、サーベイの内容をカスタマイズすることができず当社に合った内容で実施することができなかった点がありました。また、サーベイ結果の帳票が読み解きにくく、施策(アクションプラン)を検討しようにも、帳票の内容を全従業員に理解してもらうのがそもそも難しい状況でした。結果として、サーベイ実施時以外に従業員がシステムに触れる機会を設けることができませんでした。
そのような状況下で「こんな状態でアクションを回してもスコアが上がる気がしない」「サーベイを取った当時から所属や組織が変わり、参考にならない」といった声が多く集まりました。
勉強会の場でも、「これではアクションの浸透や定着以前に、このサーベイ自体があまり役に立っていないのではないか」という声が上がりました。
経営側からも、費用対効果(ランニングコスト)含めシステムを見直す必要があるのではという意見がありました。
そんな折に、HRBrain様とご縁があり、導入させていただくことになりました。
Q. 他システムと比べ、EX Intelligenceで印象に残っていることを教えてください。
葛野様:
KPI的視点でアクションを打つことを重視していたので、現場責任者(当社では店舗責任者である店長)が帳票を見ながら的確に打つべきアクションを考えることができるようなシステムでないと、なかなか活用することができないだろうと考えていました。
EX Intelligenceはサーベイのカスタマイズが可能で、ただスコアを取るだけではなく、その後の分析や人事評価などに活用する上でも非常に操作がしやすいと感じます。
また、帳票が見やすいので、アクションプランを立てて浸透させていく上での具体策や計画が立てやすいと感じます。
Q. EX Intelligenceを選んだ決め手を教えてください。
葛野様:
他社様とも多々商談のお時間を頂きましたが、料金が少額であればあるほど、当社の担当者の作業が増えるなど人的負担が多くなる傾向がありました。
多少コストがかかったとしても活用と浸透まで確実に実行できるシステムの方が、効果が期待できるのではないかと考えました。
また、EX Intelligenceは単にサーベイを取ったりエンゲージメントを上げたりするだけではなく、リテンションや評価、人材開発などの場面でも活用できるような分析軸を作成することができる点が非常に魅力的だと感じました。
現時点ではサーベイを取ってアクションプランを回す、という施策しかできていませんが、EX Intelligenceを活用したエンゲージメント向上策や採用基準の策定もやっていきたいと考えています(後述)。
勉強会を個別に実施し、サーベイを活用できるように
Q. EX Intelligenceの運用で「ここが変わった!」というポイントはありますか。
葛野様:
当社はEX Intelligenceを導入する以前から、サーベイへの回答率が大体90%から95%ほどと非常に高く、従業員が会社に対して、何らかの期待をしてくれているということが感じられました。
ただ、サーベイの結果を基にいざ具体的なアクションを立てて実行していくとなった際に、その詳細がうまく伝わっていなかったり、アクションに取り組んではみたものの、その結果をどのように見ればいいのか分からなかったりといったところから、不満要素は多かったことが予想されます。
EX Intelligenceは3回目のサーベイであり、成功させたいという私の強い思いもありました。
そこで、システムを円滑に利用することができるように、相談会のような形で勉強会を個別に実施しました。
とくに多かったのはマネージャークラスからの相談なのですが、自分のエリアがどのような状態なのか見てほしい、アクションの立て方を一緒に考えてほしいといった相談を受けました。
相談の場で店舗のスコアを見て、期待値とギャップの差分が大きい項目について、「◯◯に課題があったりしますか」などと訊いてみると、「そうです!」「どうして分かったんですか」と言われることがありました。
サーベイの結果から考えられるギャップの原因が当てはまっていることで、マネージャークラスの従業員から「信憑性がある」と信頼してもらうことができ、具体的なアクションを実行してもらえているところは、EX Intelligenceを利用して前進したところなのかなと思います。
現在、アクションプランについては店舗の店長に任せており強制はしていませんが、システム側から見ていると、真面目に取り組んでくれている従業員が多いと感じます。
Q. 人事以外の経営や現場から、どのような反響がありましたか。
葛野様:
担当者としてはなるべく理解しやすいマニュアルや説明動画を作成し周知した上で、質問対応を受け付ける相談会を実施致しました。やはり現場の従業員の気持ちとしては、目の前の業務が忙しく正直サーベイのことまで気が回らないといった状況も充分に考えられるため、アクションに取り組むまでのストレスが少なくなるようにというところを心がけました。
真面目にサーベイに回答してくれている従業員に対して手厚くサポートすることで、今後自立・自走できるように人材に従業員がなってくれれば、今かけている工数は無駄ではないと思っています。
当社の従業員が、自分が働いている会社は課題認識のためエンゲージメントサーベイを実施している会社であるという意識を持ち、従業員のエンゲージメント向上のために動いている会社であるということを誇ってほしいという気持ちがあります。
それが結果的に、手厚いサポートにつながっているのかなと思います。
サーベイの結果を人材配置や採用の場面に活用していきたい
Q. 今後の展望として、EX Intelligenceを活用してどのようなことを実現していきたいとお考えですか。
葛野様:
実現していきたいと思っていることは、たくさんあります。
まず、今期のアクションの振り返りの意味で、アンケートを取ろうと思っています。
また夏にもサーベイを実施する予定なので、現行のアクションを振り返って、順調に進んでいるのか、それとも修正が必要なのかといった進捗を確認し、春の間に軌道修正していくということを施策としておこなっていきたいと考えています。
次に、サーベイを社内の人材開発でも活用したいと思っているので、人事評価をサーベイのスコアに分析軸として入れていきたいです。
たとえば、仕事のパフォーマンスは非常に高い一方で、エンゲージメントのスコアが低い従業員がいたとしたら、「志が高く、仕事にやりがいを感じてもいるけれど離職の可能性がある」というようなものが少し分かるのかなと思います。
また、スコアが高い店舗や組織があった際に、その店舗や組織がどのような要素を持つ人たちで構成されているのかという点を分析するのもよいのかなと思います。
店舗・組織の環境や人員、役職などのミクロ的な視点を集めて、パフォーマンスが上がりやすい組織形態を分析し、今後の店舗運営に活用していくことを、エンゲージメント向上の施策として考えています。
さらに、新卒・中途の採用基準の明確化や、今後入社する方のリテンションやオンボーディングを見据えて、性格分析のシステムを活用していきたいと思っています。
最近、現在の正社員全員に性格分析をしてもらったのですが、正社員分のデータから、当社には、やや受動的な人が多い傾向が分かりました。
そこで、今後の組織を活性化するためにはもう少しアクティブな要素を持つ人材が必要だ、ということになり、全員のデータのなかから評価と業績が高い人、低い人の割合をそれぞれ上位10%ほど取り出して、ハイパフォーマーとローパフォーマーの分析をしました。
会社としては、当社にないノウハウを持っている人に入社してほしいのですが、まったく毛色の違う性格の人だとギャップが発生して、離職につながってしまうかもしれないのでそれは防ぎたいです。
そこで、当社で長く働いている人に近い要素を持っている人で、なおかつコンサルティングのセンスを持っている、アクティブで積極的な要素を持っている、といった人が当社の組織風土に合っていて、イノベーションを起こしてくれる人材なのでは、という採用基準を作っていこうという動きをしています。
たとえば、新規事業を担当するマネージャーを新しく募集するとしたら、どのような要素を持つ人が必要かといった話をするときに重視されるのは、問題解決能力やオーガナイズ能力などのいろいろな要素があると思います。
これらの要素が高い人をまず性格分析から取り出します。
そして、スキル面については、当社の業績から取り出し、エンゲージメントの点についてはEX Intelligenceのスコアを取り出す、これら3つの軸で候補者を選定するのが良いと考えています。
システムを併用した3つの軸があることによって、経営側に候補者を提示する際の裏付の要素が増え、サーベイの結果を人材配置や採用の場面で活かせるのかなと思っています。
Q. 組織改善にお悩みの他社のご担当者様に、アドバイスがあればお伺いさせてください。
葛野様:
EX Intelligenceは、自社の課題を顕在化したい、認知したいという段階で活用する際には大変適していると思います。
サーベイを実施して、その結果を見るのは簡単ですが、その後の施策を具体的に打って社内に浸透させる段階は、どの企業にとっても課題になりますよね。
もし、実施しようとしている取組みが適切なのかどうか判断に迷うときは、プロであるサーベイの担当者に相談する方が早いと思います。
現在当社をご担当頂いているHRBrainの担当者の方は、こちらの想いや熱量をくみ取ってくださり、大変円滑で有意義なご相談をさせていただいております。システムだけでなく、そういった担当者の方の人としての魅力という点でも、本当にHRBrainを選んで良かったなと思っています。
※掲載内容は、記事公開の2024年8月時点のものです