創業150年のゼネコンの挑戦。「従業員エンゲージメント業界No.1」実現に向けた取り組みとは
株式会社鴻池組 ESG経営推進室長 兼CSR推進部長
佐伯和彦 様
株式会社鴻池組 ESG経営推進室CSR推進部人権・ダイバーシティ推進課
中川順子 様
- 不動産・建設
- 1001名~
- 従業員エンゲージメントを向上させたい
- 人的資本開示への準備がしたい
- 組織の課題把握・分析がしたい
- 組織診断サーベイ
HRBrain導入開始:2022年09月01日
創業150年のゼネコンの挑戦。「従業員エンゲージメント業界No.1」実現に向けた取り組みとは
- 課題背景
- 入社後のミスマッチによる早期離職がある
- 理念の浸透度が低い
- 打ち手
- 他社サーベイから乗り換え、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を導入
- 満足度ではなく、エンゲージメントを調査
- 効果
- 実感値だけではなく期待値も取得することで、施策優先度の議論がしやすくなった
- 経営層や現場へ具体的なフィードバックができるようになった
- 中期経営計画における組織のKPIとして、羅針盤となる指標ができた
株式会社鴻池組のESG経営推進室長兼CSR推進部長の佐伯和彦様、ESG経営推進室CSR推進部人権・ダイバーシティ推進課の中川順子様に、HRBrainの組織診断サーベイ EX Intelligence(以下、「EX Intelligence」※1)導入の経緯、目的、おすすめポイントを伺いました。
ー貴社の事業内容を教えてください。
佐伯様:
弊社は以下の事業を行っています。
- 建設工事の企画、測量、設計、監理、請負及びコンサルティングに関する事業
- 環境汚染物質の除去、土壌浄化、河川・湖沼の浄化等環境保全に関する事業、その他環境関連事業に関する企画、調査、設計、監理、施工及びコンサルティング並びにこれらに附帯する一切の事業
- 不動産の売買貸借及びその仲介並びに所有管理に関する事業
- 骨材及び砂利の採取販売に関する事業
- 建設用資材の製造及び販売に関する事業
- 不動産の鑑定評価に関する事業
- 再生可能エネルギーを利用した発電事業並びにそれに関する施設の運営、管理及び電力会社への電力供給、販売に関する事業
- 前各号に関連する一切の事業
2021年12月時点で、1,920名の社員が在籍しています。
従業員満足度ではなく従業員エンゲージメント向上のために導入
ー貴社は、なぜ従業員エンゲージメントの向上に取り組もうと考えられたのでしょうか。
佐伯様:
弊社は、創業150周年を機に未来に向けて目指すべき姿として、長期ビジョン「KONOIKE ONE VISION 2050」を策定しました。
その従業員価値の項目において、「従業員エンゲージメント業界No.1」を掲げています。
以前は、従業員満足度を重視していました。
しかし、従業員エンゲージメントは業績に直結するというところも含めて、「会社と社員がともに成長できる」という考え方が、「今後の弊社の方向性にも合致している」という認識にいたりました。
そこで、従業員エンゲージメントの向上に取り組むことにいたしました。
また、150周年を迎えたことで、経営陣に「会社を支えているのは人だ。これからは社員一人ひとりに目を向けて行こう」という意識が高まったことも、きっかけのひとつです。
そうした背景から、健康経営にも注力しています。
ー導入前に抱えていた人事課題を教えてください。
佐伯様:
人事課題としては、入社後のミスマッチによる早期離職がありました。
自身が行っている業務が「環境に優しい」「社会的に意義がある」ことを感じる前に、「向いていない」と早々に判断してしまうことが、その要因だと考えました。
会社として、社員に向けて理念やサステナビリティレポートなど、メッセージを頻繁に出しているつもりでも、「社員が目にする機会は少ない」と実感する出来事がありました。
150周年を記念して社内イベントを実施した際に、社員から「もっと、こういうイベントをやってほしい」という反応があり、「会社が思っているよりも、理念が浸透していない」ことに気づいたんです。
イベントに対する社員の満足度は高かったものの、逆にイベントがないと「理念や情報が伝達されていない」ことの課題が浮き彫りになりました。
そうした理念の浸透・伝達の問題を洗い出すヒントになると思い、EX Intelligence導入を決めました。
期待値と実感値のギャップを見ることで施策の優先度が明確になる
ー他システムからEX Intelligenceに移行されましたが、その際、経営層にはどのように説明されたのでしょうか。
佐伯様:
「業界No.1のエンゲージメントを目指す」ためにも、まずは自社の従業員のエンゲージメントを調査する必要があると説明し、以前の「ESサーベイ(従業員満足度調査)」から切り替え、KPI化することを提案しました。
ー他システムと比べ、EX Intelligenceで印象に残っていることを教えてください。
佐伯様:
印象に残っているのは、期待値と実感値のギャップを比較することで「施策を行う際の優先順位が決められるのではないか」と考えたことです。
導入の際にも、そういった説明を経営層にしていました。
例えば「会社への期待値が高いにもかかわらず、実感値が低い部署は、早めに対策した方がいい」といったように、です。
導入後のいまは、「そのギャップを機械的にチェックすればいい」という単純な話ではないということも理解していますが、ひとつの指標として、経営層・事業本部長との会話の土台になっています。
ーEX Intelligenceを選んだ決め手を教えてください。
佐伯様:
「直感的に操作できる画面で、課題を分析しやすい」「社員が何に期待しているのか把握して、ともに成長するという自社の考え方に合致している」ということから、会議でほぼ全会一致で導入が決定しました。
また個人的には、担当者の方にスピーディーに対応していただけたことも大きかったです。
中川様:
EX Intelligenceはクラウドサービスのため、すぐに結果を確認できる点も、決め手のひとつでした。
以前のサーベイは、提供会社側でデータ集計をしていたため、結果を確認するまでに一ヶ月ほどかかっていました。
EX Intelligenceは、サーベイを実施している最中でも「都度進捗を確認できる」ため、待ち時間が発生しません。
サーベイ終了日からすぐに、課題分析・施策検討ができるので、経営層への報告や社員へのフィードバックにもスピード感があります。
サーベイ結果をもとに、経営や現場へ具体的なフィードバックができるように
ーサーベイ実施後、導入前に抱えていた課題の解決状況はいかがですか。
佐伯様:
導入初年度のため、効果については経年変化を見ていく必要があると考えています。
しかし、EX Intelligenceでは「具体的な課題」まで明確になったため、サーベイ結果から得られた示唆をもとに若手研修に活用するなど、実行に移すことができています。
具体的には、調査結果から「指示を出している管理職と、それを引き受けている現場に心理的な壁がありそう」という内容が読み取れたため、課題感や対策について研修で伝えました。
研修の後、対象者からは「思い当たることがあるので、現場で活かしていきたいと思います」という意見をもらえました。
調査結果と現場の感覚が一致していることに対して、手ごたえを感じました。
HRBrainのデータアナリストによる分析サポートもあり、どう現場に落とし込んで会話をすれば良いかが明確になっていたため、とても助かりました。
ー経営や現場から、どのような反響がありましたか。
中川様:
ある部門のサーベイ結果において「期待がとても高く出ていたため、実感との数値のギャップが大きく見えてしまった」という件がありました。
以前の満足度調査において、満足度・幸福度が一番高かった部署であったため、部門長・経営層から「どうしてだ?」と相談がありました。
佐伯様:
以前の幸せ度調査と、EX Intelligenceでは項目・内容も異なっているため「単純に比較はできない」と経営層に伝えたうえで、詳しく調べました。
すると、「『実感値』だけの調査結果を見ると、前回から大きく落ちているわけではない。また他の部署に比べた際にも、実感値は低くない」ということがわかりました。
つまり「他の部署に比べて期待値が高かったために、実感値とのギャップが大きく見えてしまった」というわけです。
事前にHRBrainの担当者から、他社事例を参考に、期待値が高い場合の対応や期待値が高くなりやすい部署などについて相談できていたため、建設的な議論ができました。
本部長クラスから「個別に説明してほしい」という要望は、以前はあまりなかったので、興味を持ってくれているというポジティブな変化だと捉えています。
また、社長からも従業員エンゲージメントについて意見をもらいました。
現在、社長は全国を回って、20代の若手中心に直接意見を交換をする懇談会を行っています。
そこで、従業員エンゲージメントについても会話した内容からのコメントでした。
以前の従業員満足度の場合は、「満足している」「満足していない」という一方向的な考えになりますが、従業員エンゲージメントは「会社と社員の双方向のかかわり」を重視しています。ただし、従業員エンゲージメントを高めるための器作りは、あくまで会社側の役割だと捉えています。その上で、社員との対話を通じて、共に成長していくことを大切にしたいと考えています。
長期ビジョンの「KONOIKE ONE VISION 2050」に掲げたように「会社が社会と環境にとって有用な存在であること。社員が行っている仕事は、社会にとっての有用性と繋がっていること」を、会社から発信するように努めていきます。
EX Intelligenceのスコアを中長期的な取り組みの羅針盤にしていく
ー今後の展望として、EX Intelligenceを活用してどのようなことを実現していきたいとお考えですか。
佐伯様:
健康経営やダイバーシティの取り組みなど、社員一人ひとりに目を向けて、経営層の想いが伝わる施策を考えていきたいと考えています。
今回のサーベイ結果で得られた総合点(EXスコア®︎(※2))は、その「羅針盤」として活用していきたいです。
実際に、中期経営計画における組織状態のKPIとして、EXスコア®︎ の数値を目標として置くよう、経営企画部とともに進めています。
※掲載内容は、記事公開の2023年1月時点のものです。