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2025/01/06

サプライチェーンとは?意味や重要性とサプライチェーンマネジメントについて簡単に解説

目次

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者に提供されるまでの、原材料の調達、商品の製造、在庫の管理、目的地までの配送、店舗などでの販売、といった一連の流れのことを指します。

また、サプライチェーンの流れをより効率化し、企業が市場での優位性を高める観点から、近年ではサプライチェーンマネジメントを実施することが一般的になっています。

この記事では、サプライチェーンの意味、サプライチェーンとバリューチェーンとの違い、サプライチェーンの具体例、サプライチェーンが重視される背景、サプライチェーンマネジメントとは、サプライチェーンマネジメントを実施するメリット、サプライチェーンマネジメントの流れについて、簡単に解説します。

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サプライチェーンとは

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者に提供されるまでの、原材料の調達、商品の製造、在庫の管理、目的地までの配送、店舗などでの販売、といった一連の流れのことを指します。

サプライチェーン(Supply Chain)は、直訳すると「供給の連鎖」という意味で、調達から消費までの一連の流れが、鎖がつながっているように見えることから、サプライチェーンと呼ばれるようになりました。

最終的に完成する製品自体はもちろん、製品を構成しているひとつひとつの原材料や部品にもそれぞれのサプライチェーンがあり、各製品のサプライチェーンは、製品を構成する各要素のサプライチェーンから重層的に構成されたものであると言えます。

サプライチェーンとバリューチェーンとの違い

バリューチェーン(Value Chain)とは、原材料の調達から消費までに限らず、マーケティングや労務管理、アフターサービスなど、サプライチェーンよりもさらに広範囲の活動における付加価値の最大化を指します。

サプライチェーンとバリューチェーンの大きな違いは、チェーンの対象とする範囲にあると言えます。

サプライチェーンは、どの業者から原材料を調達するか、どの業者に配送を依頼するかなど、自社の関係先企業もチェーンに含めて考えます。

一方、バリューチェーンは、マーケティングからアフターサービスまで、あくまで自社の活動のみが対象のチェーンとして考えることが一般的です。

またバリューチェーンは、自社のみを対象とすることから、総務や経理など生産や物流に直接関係のない部門についても、価値を付与するものとしてチェーンに含める場合があります。

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サプライチェーンの具体例

サプライチェーンは、商品や製品が生産され、消費者に届くまでの流れを指します。

サプライチェーンの具体例には、どのようなものがあるのか確認してみましょう。

コンビニエンスストアのおにぎり

サプライチェーンの具体例として、「コンビニエンスストアのおにぎり」があげられます。

おにぎりを製造するためには、まず原材料となる米を調達する必要があります。

米は、各地の米農家などの生産者が育て、農協を通じて中食事業者へ届けられます。

中食とは、外食と家庭食の中間の、惣菜やテイクアウトなどの商品を指します。

中食事業者が、お米を加工して製造したおにぎりは、コンビニエンスストアの各店舗の注文に応じて出荷されます。

生産者や農協、製造業者や配送業者などが連携することによって、最終的にコンビニエンスストアにおにぎりが並び、消費者に届けられます。

衣料品

サプライチェーンの具体例として、「衣料品」があげられます。

Tシャツやジーンズ、コートなどの衣料品を製造するためには、原材料となる布が必要です。

さらに、布を製造するためには、糸をはじめとした各種の素材を要するため、衣料品の製造は、専門の業者から素材となる糸などを仕入れることから始まります。

仕入れた糸を紡いで染色したあとに布地として織り、完成した布地を工程に合わせて裁断、縫製することによって、衣料品が完成します。

完成した衣料品は、注文された数だけ、所定の配送業者によって各店舗に運ばれ、消費者に届けられます。

サプライチェーンが重視される背景

サプライチェーンは、原料の調達先や配送業者など、自社だけでなく関係先企業を含めた供給の連鎖を指します。

サプライチェーンが注目を集めているのには、どのような理由があるのか、サプライチェーンが重視される背景について確認してみましょう。

サプライチェーンが重視される背景

  • 急速なテクノロジーの発達

  • 少子高齢化社会での競争優位性の維持

  • 企業のグローバル化の進展

急速なテクノロジーの発達

サプライチェーンが重視される背景として、「急速なテクノロジーの発達」があげられます。

近年、IT(情報技術)の発展によって、製造や物流の分野でも大量の情報を誰もが扱いやすくなりました。

ITの発展を表す技術の例の1つに、「IoT(Internet of Things)」があげられます。

IoTとは、従来はインターネットにつながっていなかったもの、例えば住宅や車、家電製品などがサーバーやクラウドに接続され、相互に情報交換を行う仕組みを指します。

今後、IoTがますます発展すれば、物流の管理もIoTが担うことが期待されるでしょう。

また、サプライチェーンに影響すると考えられるテクノロジーには、「AI(人工知能)」もあります。

具体的には、サービスの需要予測や商品の在庫管理などで、今後AIが活躍するようになると言われています。

少子高齢化社会での競争優位性の維持

サプライチェーンが重視される背景として、「少子高齢化社会での競争優位性の維持」があげられます。

少子高齢化が進むと労働人口が減少し、人手不足になることが予想されます。

しかし少子高齢化による人手不足とは反対に、商品やサービスの形式は今後ますます多様化かつ高度化していくと考えられます。

人手が不足する中でより効率的に商品やサービスを提供するためには、各企業が生産性を向上させていく必要があります。

製造や物流の分野において生産性を高め、市場での競争優位性を向上させることが、今後の各企業の課題であると考えられています。

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企業のグローバル化の進展

サプライチェーンが重視される背景として、「企業のグローバル化の進展」があげられます。

従来は、国内にある原材料から商品を製造し、国内で消費する形式が一般的でした。

しかし近年は、企業が海外で調達した原材料を用いて海外の拠点で製造を行ったり、海外で製造した商品が海外で広く流通したりすることが非常に多くなっています。

海外で製造や配送を行ううえでは、現地社会や企業文化について、日本と大きな違いがあると考えられます。

海外ならではの文化や地域独自の事情を理解したうえで効率的にビジネスを展開する観点からも、今後どのように生産や物流を行っていくかといったサプライチェーンのあり方が重視されています。

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サプライチェーンマネジメントとは

サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management:SCM)とは、サプライチェーン全体の調整を通じて供給を最適化することを指します。

サプライチェーンは、原材料の調達から商品やサービスが消費者の元に届くまでの一連の流れを指します。企業が市場での優位性を高めるためには、原材料の調達から配送までの過程をより効率化し、生産性を高めることが求められます。

サプライチェーンマネジメントの具体例の1つとして、「各生産パターンに応じたプロセスの定義」があげられます。

製品の生産には、一定数の受注を見込んで事前に商品を製造する見込み生産や、注文を受けてから商品を生産する受注生産など、さまざまなパターンがあります。

それぞれの生産パターンに応じた業務プロセスをあらかじめ定めて従業員全体で共有することで、不要な確認作業などが省略されます。

供給までのプロセスを最適化し、無駄を省く取り組みが、サプライチェーンマネジメントと言えます。

サプライチェーンマネジメントを実施するメリット

サプライチェーンマネジメントは、製品の供給までのプロセスを最適化する取り組みです。

サプライチェーンマネジメントを実施すると、具体的にどのようなメリットがあるのか、サプライチェーンマネジメントを実施するメリットについて確認してみましょう。

サプライチェーンマネジメントを実施するメリット

  • 無駄な部分の特定とコストの改善ができる

  • 在庫を適正に管理できる

  • 情報リソースを活用した需要の予測ができる

  • 人的リソースを最適化できる

無駄な部分の特定とコストの改善ができる

サプライチェーンマネジメントを実施するメリットとして、「無駄な部分の特定とコストの改善ができる」ことがあげられます。

サプライチェーンには、原材料の調達や商品の製造、出荷、販売など、さまざまな工程があります。

より効率的に商品を製造し、消費者へ届けるためには、各工程の無駄をなくし、リードタイム(所要時間)を削減することが求められます。

サプライチェーンマネジメントにおいては、レジなどに多く搭載されている「POS(販売時点情報管理システム)」や、営業担当者が使用する「受注システム」などから、売上などの各情報をデータとして効率的に把握することができます。

売上や各情報のデータを、製造や販売などの各プロセスの設計に活かすことができれば、作業工程やコストなどに関する不要な部分の省略や改善が期待できます。

サプライチェーンマネジメントは、無駄な工程やコストの削減によって、供給プロセス全体の最適化を促進することができます。

在庫を適正に管理できる

サプライチェーンマネジメントを実施するメリットとして、「在庫を適正に管理できる」こ

とがあげられます。

製品を販売する際に需要を見誤ったり、製品にとってシーズンオフの時期に入ってしまった場合、在庫が大量に余ってしまい、売れ残った在庫は損失となり、業績を圧迫する可能性があります。

反対に、在庫を余らせないために製品の生産数を抑え過ぎてしまうと、急激に需要が高まった場合に十分な供給ができず、売上を伸ばす機会を損失してしまう可能性があります。

在庫管理の面でも、サプライチェーンマネジメントは役立つと考えられています。

サプライチェーンマネジメントの取り組みの中で、受注状況や売上個数から需要の予測を立てるようにすれば、製品の在庫を調整し、適切な数を維持することが可能になります。

適切な在庫管理によって、製品の余剰や機会の損失を減らすことができれば、売上の増大につながりやすくなります。

情報リソースを活用した需要の予測ができる

サプライチェーンマネジメントを実施するメリットとして、「情報リソースを活用した需要の予測ができる」ことがあげられます。

サプライチェーンには、非常に多くの工程があるため、各工程に関連する情報も大量になります。

各工程に関連する情報は、業務の効率化や売上の増大に関する重要な情報源となるため、有効に活用することが求められます。

一般的にサプライチェーンマネジメントを行う際は、各種の専用システムやツールを活用するため、従来は各部門でばらばらに管理されていた多くの情報を一元的に管理できるようになります。

製造や販売などの各部門の情報リソースを効率的に管理することで、タイムリーな需要予測が可能になることが期待できます。

人的リソースを最適化できる

サプライチェーンマネジメントを実施するメリットとして、「人的リソースを最適化できる」ことがあげられます。

製品の製造や配送、販売では、近年自動化が急速に進んでいる一方で、人の手による作業も必要です。

しかし、物的リソースなどと異なり、人的リソースは時期や社会状況によって、確保が難しい場合もあります。

サプライチェーンマネジメントを行うと、各種データを活用することで、金銭的リソースや物的リソースの他に、人的リソースがいつどのくらい必要になるかを予測しやすくなり、多くのリソースが余ったり、人手不足になったりすることなく、人的リソースを最適化することができます。

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サプライチェーンマネジメントの流れ

サプライチェーンマネジメントは、在庫や人的リソースを管理する観点からも大きな役割を果たします。

サプライチェーンマネジメントは、どのような手順で実施すると良いのか、サプライチェーンマネジメントの流れについて確認してみましょう。

サプライチェーンマネジメントの流れ

  1. 需要計画を立てる
  2. PSI計画を立てる
  3. 基準日程生産計画を立てる
  4. MRPと仕入量を予測する
  5. 工程管理を行う

需要計画を立てる

サプライチェーンマネジメントの流れの1つ目は、「需要計画を立てる」ことです。

製品製造のための設備や人員を、必要なタイミングで急に準備することは難しいものです。

サプライチェーンマネジメントでは、今後どのくらい製品の需要があるかを予測した需要計画を立てる必要があります。

需要計画の各期間は、短期、中期、長期に分けられます。

一般的に、短期は3ヶ月、中期は1年〜2年ほどのスパンで考え、長期の需要計画は事業計画を立てる際に並行して作成します。

需要計画に必要な需要の予測は、過去の知見をベースにしたり、データとしての定量的情報を元にしたりして考えます。

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PSI計画を立てる

サプライチェーンマネジメントの流れの2つ目は、「PSI計画を立てる」ことです。

PSIとは、「Production(生産)」「Sales(販売)」「Inventory(在庫)」の3つの頭文字を合わせた言葉です。

PSI計画では、生産、販売、在庫の3つを密接なものと考え、販売数の見込みとその時点での在庫数を照らし合わせて、どの製品をいくつ生産するかを決定します。

基準日程生産計画を立てる

サプライチェーンマネジメントの流れの3つ目は、「基準日程生産計画を立てる」ことです。

基準日程生産計画は「MPS(Master Production Schedule)」とも呼ばれ、PSI計画を元に、各製品をいつまでにいくつ作るかを決めるものです。

基準日程生産計画は一般的に、各製品別、週ごと、日ごとに、「各品目の生産能力」「各品目の需要予測」「品目ごとの在庫量」「品目ごとの受注残数」などの要素を考慮して立案します。

MRPと仕入量を予測する

サプライチェーンマネジメントの流れの4つ目は、「MRPと仕入量を予測する」ことです。

MRPは、「Material Requirements Planning System」の頭文字を取ったもので、「資材所要量計画」の意味を持ちます。

資材所要量計画とは、必要な原材料を必要な時に必要な量だけ用意するための計画のことを指します。

多くの産業の中でも特に製造業は、在庫数を適切に保つことが重要であり、在庫過多や在庫切れの状態が続くと利益の損失につながりかねません。

利益や機会の損失を起こさない観点からも、MRPを立てたうえで必要な分だけ原材料を仕入れたり、適切な時期に新たな発注を行ったりして、適切な在庫数を維持することが大切です。

工程管理を行う

サプライチェーンマネジメントの流れの5つ目は、「工程管理を行う」ことです。

基準日程生産計画では、週や日単位まで生産計画を立てますが、工程管理を行う際は、基準日程生産計画よりもさらに詳細な工程計画を決定します。

所定の日時に製品を納品し、ビジネスを円滑に進める観点からも、細かな計画の元に正確な工程管理を行うことは非常に重要です。

サプライチェーンマネジメントで供給の最適化を

サプライチェーンは、ひとつひとつの製品が消費者に届けられるまでの原材料の調達や製品の製造、店舗への配送、販売といった一連の流れを指します。

食品や衣類、日用品などは、サプライチェーンの連鎖によって消費者の手元に届けられています。

サプライチェーンの流れをより効率化し、企業が市場での優位性を高める観点から、近年ではサプライチェーンマネジメントを実施することが一般的になっています。

サプライチェーンマネジメントによって、生産や流通に関する無駄な部分をカットし、人的リソースや物的リソースを最適な形で活用することが、今後ますます重要になっていくでしょう。

「HRBrain タレントマネジメント」は、サプライチェーンマネジメントに必要な、自社の人員データやリソースをカンタンかつシンプルに把握し、見える化します。

さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの面談履歴などの一元管理も可能です。

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株式会社HRBrain 中西諒
中西 諒
  • 株式会社HRBrain コンサルティング事業部 組織・⼈事コンサルタント

大学卒業後、組織・人事コンサルタントとして、研修設計/納品、アセスメント設計/納品等、商材開発から納品フロントまで一気通貫でプロジェクトを担当。
各社の評価制度に合わせた評価者研修の設計も担当しており、これまでの支援実績は200社以上。

現在は、HRBrainコンサルティング事業部で組織・人事コンサルタントとして活躍中。人事評価制度設計のコンサルティングに加え、評価者研修/1on1研修/フィードバック研修/キャリアマネジメント研修等、企業の課題に合わせた様々な研修の設計/納品を担っている。

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